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黒田日銀総裁にはさらなる禁輸緩和策発表が期待されてしまっている photo Getty Images
「日銀・追加緩和策への期待」というリスク バブルは、はじけて初めてバブルとわかる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41357
2014年12月08日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
米国の11月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が+32.1万人の増加、失業率は5.8%となった。非農業部門雇用者数事前予想は+23万人であったとことを考えると、大きなポジティブサプライズだった。為替市場では、それをきっかけに121円台にまでドル高・円安が進んだ。米国の予想以上の堅調な指標は、いまのところドル買いを支えている。
一方、わが国が抱えるリスク要因にも目を向ける必要がある。最大の懸念の一つは日銀の金融政策だ。10月末の追加緩和は消費増税の環境整備という大義名分のもとに実施された。だが、その論法は増税の延期と総選挙の実施によって効力を失った。「今後も、何かあれば日銀は追加緩和策を打つだろう」という心理的バイアスを市場にうえつけてしまった。
■マイナスに落ち込んだ国債利回り
12月に入り、市場が日銀の追加緩和を強く期待していることを示す動きが現れた。国債の流通利回りがマイナスに落ち込み、12月4日には3年国債の利回りが▲0.004%となった。知り合いのファンドマネージャーは、「もう国債を運用する意義は見いだせない」と話していた。
意図したか否かに拘わらず、黒田総裁は10月の追加緩和によって、市場に景気悪化には追加緩和という偏った期待を与えてしまった。事実、足許の景気は弱い。そのため、国内市場は景気後退には追加緩和という単純な論法に駆られている。
株価の上昇や円安の進展も、追加緩和への強い期待が支えている。国債流通市場は日銀がコントロールする官制相場の様相を強くするだろう。それは国債市場からの資金流出を促し、株式、外貨建て資産等への資金流入を支えるだろう。
■不安定なわが国の実体経済
こうした市場の動きは、本当の意味で“前向き”といえるのだろうか。すでに、大手格付け業者のムーディーズは、わが国の国債を格下げした。アベノミクスは、期待は高めたものの、構造変化を促すには至っていない。裏付けのない期待はいつかしぼまざるを得ないだろう。
それに加えて、新興国でも中国、そしてインド等を中心に金融政策の潮流に変化が表れ始めた。結局、世界規模で見ると需要の低迷と債務処理という、金融危機の後始末は完了していないのである。そのため、米国以外の地域では、金融緩和への議論が高まりやすい。
そうした中、原油価格の下落もあり、相対的に米経済への期待は高まりやすい。ドルの上昇はこれを反映している。一方、原油価格の下落はインフレ率が上昇しづらい要因でもある。フィッシャーFRB副議長はこの問題を基に、金融政策はデータ次第という慎重な見方を維持している。
12月の理事会後、ECBのドラギ総裁は原油価格下落のマイナス面を指摘した。この指摘は世界経済の需要の弱さへの懸念を端的に表したものといえる。その中で金融緩和の重要性が高まることも事実だ。同時に、この期待が行き過ぎると景気の下方リスクも高まる可能性がある。
バブルは、はじけて初めてバブルとわかる。足許の景気と、債券高、ドル高、株高の関係には、やや居心地の悪いところがないだろうか。膨らみ過ぎた政策への期待の巻き戻しがもたらすマグニチュードは冷静に考える必要がある。
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