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消費者心理4カ月連続で低下 11月「弱い動き」に下方修正:「暮らし向き」や「収入増」など全項目で連続悪化
http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/217.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 12 月 10 日 22:25:49: Mo7ApAlflbQ6s
 


消費者心理4カ月連続で低下 11月「弱い動き」に下方修正[日経新聞]
2014/12/10 21:42

 内閣府が10日発表した11月の消費者態度指数(一般世帯、季節調整値)は37.7となり、前月に比べ1.2ポイント下がった。8月から4カ月連続で前の月を下回り、内閣府は基調判断を「弱い動きがみられる」に下方修正した。11月は株価などは上昇したものの、身近なモノの値上がりが消費マインドの足を引っ張った。

 調査基準日は11月15日。今後半年間で「暮らし向き」や「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時」がどうなるかを聞いたところ、4つすべてが悪化した。全項目の落ち込みは9月から続いており、比較可能な2004年度以降で初めて3カ月連続の全項目悪化となった。

 11月は雇用環境の指標が前月差1.9ポイント悪化した。失業率は低水準で有効求人倍率も上向きだが、足元で改善スピードが鈍っている可能性がある。暮らし向きの指標も1.5ポイント低下した。物価上昇や消費増税に賃金の上昇が追いつかないことで、生活が苦しくなると考える消費者が増えている。

 日本総合研究所の下田裕介副主任研究員は「足元で進んだ円安の副作用が意識されている」と分析する。消費者態度指数の水準は、消費税率が5%から8%に上がった今年4月(37.0)以来の低さになっている。

 1年後の物価は「上昇する」との回答が88.8%になり、今年3月以来の高さとなった。足元でガソリン価格の下がりが進んでいるが、まだ消費者のインフレ予想への影響は限定的だ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS10H3U_Q4A211C1EE8000/?n_cid=TPRN0003

 

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コメント
 
01. 2014年12月11日 07:21:26 : jXbiWWJBCA

シリーズ・日本のアジェンダ 消費増税先送りYES or NO
【第6回】 2014年12月11日 ダイヤモンド・オンライン編集部
消費税はむしろ5%に戻すべきだった 再増税までに法人税率を下げ給料へ回せ
――安田隆夫・ドンキホーテホールディングス代表取締役会長兼CEO

「本来なら、5%に戻す、減税するということでもよかったくらいです」と話す安田隆夫・ドンキホーテホールディングス代表取締役会長兼CEO?Photo by Kazutoshi Sumitomo
4月の消費税率の引き上げ後、軒並み苦戦を続ける小売業界にあって、ドン・キホーテは既存店すら前年を上回り、一人気を吐いている。そこでドンキホーテホールディングスの安田隆夫会長に、消費増税先送りの賛否について話を聞くと、意外な答が返ってきた。「消費税はむしろ5%に戻すべきだった」、さらに「法人税率を引き下げて給料へ回すべき」と言うのだ。その真意やいかに……。
(取材・構成/ダイヤモンド・オンライン編集長?原英次郎、片田江康男)

増税延期は喜ばしい
本来なら減税すべき

――4月の増税の際は、どのような影響がでましたか。

?4月の増税は、もう確定事項でずいぶん前から分かっていたことでしたので、いろいろと準備をしていました。結果的に、増税後の反動減をこなし、既存店売上は5月には100%を超え、今期に入って7月からはそれが定着しています。準備が功を奏したということでしょう。

?今回、延期になりましたが、私が感じている消費の現場の感覚からすると、増税延期は非常に喜ばしいことです。やはり、消費税が上がるということ自体が、われわれのような小売業にとってポジティブなことではありません。

?変化に対応するという意味では、私たちは変化があるほうが動きやすいということもあって、増税という変化が抗し難い運命ならば、ポジティブに捉えて、変化対応し、チャンスにしようということになります。

?ですが、抗し難い運命ではないというのであれば、話は違ってきます。そりゃあ8%のままがいい。もっと言えばね、本来なら5%に戻す、減税するということでもよかったくらいです。

――ということは、消費は相当に弱い、ということでしょうか。


やすだ・たかお
ドンキホーテホールディングス会長兼CEO。1949年5月生まれ。80年9月ジャスト(現ドンキホーテホールディングス)設立、社長就任。長崎屋の買収や新業態開発など、同社の業様拡大を主導。
Photo by K.S.
?そうですね、5%に戻すくらいのことをやっても良かったと思いますよ。それくらい、私どもの会社の業績を見ると堅調に見えるかもしれませんが、消費全体を見てみると、著しく低迷しています。この不都合な真実を、政府は直視しなければならない。この消費の弱さはアベノミクスに暗雲をもたらすことは間違いないです。

――消費の弱さとおっしゃっているのは、駆け込み需要からの反動減で落ち込んだ消費が、戻ってくるといわれたのが、その戻りが弱いということなのでしょうか。

?お客さまの可処分所得があまり増えていないということなんですね。そこに8%へ増税されて、気分的にうんざりというものが拭いきれていない。そこへ来年さらなる10%への増税ということになると、のしかかる将来不安を拭うことなんてできません。そういうときに大事なおカネを無駄に消費することはできません。警戒感が高まっていると思います。

――アベノミクスでメリットを得られている人たちは、いまのところ株や不動産などの資産を持つ一部の人たちに偏っています。

?まさにその通りで、今後は資産価値の上昇による恩恵を得られていない人に、どうやって恩恵が及ぶようにするかが重要で、アベノミクスの真価が問われますね。

?政府は株高と円安で輸出企業や投資家が利益を上げて、景気が上昇し、それによって所得が増えるという、過去の経済原則に基づいていると思います。今、それがそのままいくかというと、分からないですよね。そもそも円安で利益を上げるような企業は一部の大企業です。

霞が関では決して議論されない
10%という税率が持つ意味

――御社には4月の増税前に取材をさせていただきました。その時は、増税は事業にはプラスだと予想されていて、その後、実際に御社はチャンスをものにしました。安田会長は5%に戻すべきだったとおっしゃいましたが、10%にするときも、同様にチャンスになるのではないでしょうか。安田会長は、そうお答えになるかと思っていました。

?もし10%に増税されることが決まっていて、先ほど申し上げたように抗し難い運命ならば、「10%への増税は当社にとってチャンスだ」と言ったと思いますよ。私たち民間企業は、政策は変えられません。常に周りの環境、政策、消費者の変化に対応して生き延びていかないといけない。変えるのは自分自身です。

?ただね、10%への増税が延期になったら、そりゃ話は別ですよ。率直に言わせてもらいますけど、もし10%に消費税上げたら、そりゃあもう、消費に対するダメージは大きいですよ。消費は確実に低迷します。当社はなんとか変化対応してやっていきますけど、10%になったら、今のまま持つかどうかわからない。

――でも、先月の消費再増税について議論した政府の点検会合では、有識者45人のうち、30人が法律通りの増税を求め、増税の延長・中止を求めたのは12人だけで(賛否を表明しなかったのは3人)、予定通り増税すべきだと言う意見が大勢でした。政府の考える経済状況と、安田会長が消費の現場から感じる景気や経済状況には、ずいぶん差がありますね。


Photo by K.S.
?増税に関して、霞が関ではまったく聞こえてこない論点があるんですよ。それはね、10%特有の怖さです。つまり、消費者は8%は暗算しにくいが、10%はパッと暗算できるということです。

?たとえば、消費税が8%のときに税込み2980円で売ろうとする。ということは、税抜き価格は2759円です。価格表示は外税表示が認められ、税抜き価格を表示してよいので、値札には税抜き価格だと表示をして2759円と書きます。

?これが消費税が10%になったときにどうするか。もしそのままの値札で税抜き価格2759円とすると、消費税10%だから3034円になる。10%だと暗算しやすいから、消費税分の275円を2759円に足すと、すぐ3000円超えると消費者は想像できます。

?これは小売業者にとって非常につらい。消費税10%でも2980円という割安感を演出するために価格設定をするなら、税抜き価格の2759円の方を値下げせざるを得ない。ということは、2709円となる。

?これは、そのままデフレ圧力として、ストレートに効いてきますよ。政府と日銀がとっているインフレ政策とは、真逆になるということです。これはほとんど議論されていない。小売業者からすれば、当たり前のことなんですけどね。

?何十円か値段を下げるということは、どういうことかというと、当社の経常利益率は約6%だから。そのマイナスの影響は極めて大きいですよ。そんなチキンレースをやれるんですか。もしかしたら、売上高1.5倍になっても、利益はあまり変わらないか、落ちてしまうということになる。10%というのは、計算しやすくてダメですね。

?外税表示というのが、激変緩和措置ということで認められましたけど、10%というのは激変緩和措置としての外税表示がまったく効かないんですよ。

なぜ歳出についての
議論を先にしないのか

――政府や与党の議論を聞いていると、歳出(収入)と歳入(支出)の、歳入だけを見ているように感じる。歳出の部分はしっかり議論をしているのかが疑問です。

?おっしゃる通りで、歳出と歳入の収支が合っていなくて赤字だから、それを補うためにすぐに増税しようとすることが問題です。

?本来は歳出の議論をするのが先です。そこが議論の中心にならないといけない。しかし、すぐに増税だと言って景気の「気」を冷やす。実際、4月の増税で足元はまさにそうなってしまいました。歳出を減らすということをなぜ先に言わないのか。「痛みを我慢して、皆さんご負担ください」とは言うけど、「痛みを我慢して、歳出を減らしましょう」とは誰も言わない。

?いや、企業だったらね、もし赤字になったら真っ先に経費を減らして、赤字を削減しようということになるじゃないですか。なのに、なぜ政府は歳出を減らすことを先に言わないんですかね。本当に不思議ですよ。議論の焦点を意図的に歳入の方ばかりに持っていっているんじゃないですかね。

「社会保障だ、福祉だから……」と言いますけど、痛みを我慢してある程度この部分を削らないと、どうにもなりません。福祉が大事だっていっても、国家が破綻していいのか。そんなことになったら、福祉もヘチマもないんですよ。ハイパーインフレにして、一気に政府の借金をチャラにするんですかね。歳出を削減するとなると、福祉は大事だ、削れないと言って、議論を封じてしまうように見えます。

――可処分所得を上げるために、給料を上げるべきだということは、政府も言及しています。先月の政労使会議では安倍首相は経済界に賃上げを要請し、経済界もその必要性は認識しているようです。

?確かに、当社も含めて給料は上げないといけないと思っています。しかも、中間管理職以上の給料じゃなくて、現場の人の給料を上げないといけないと思います。


Photo by K.S.
?私は政府や政治家が直接、企業に給料を上げろというのは、奇異なことに受け止められやすいですが、評価して良いと思っています。選挙対策もあったのかもしれませんが、政府がそうやって言っていかないと。

?ただ、現実に給料を上げられる状況にあるのは、一部の輸出企業に限られると思います。いま上げずに、いつ上げるんだって思いますね。しかし、当社のような内需型の企業は、怖くて上げられない。明日、どうなるか分かりませんからね。そんななかで給料を上げたら、なかなか下げられないし、怖いですよ。

?消費税が8%になるまでは、株も上がって円も安くなって、外国人の旅行者も増えて消費が活発化しつつあった。賃金も上昇傾向だったと思います。でも、消費税を8%に上げて、一気に腰折れ。内需型企業は軒並み勢いがなくなった。

?やっぱりね、内需型の企業がダメだと、景気全体もダメなんですよ。お客さまがどんどん消費してくれるような気持ちにならないんですよ。おカネを大事に抱え込んでいる自分が正しい姿だと思っていると思います。この際、使おうという気持ちになるにはどうしたらいいかを考えないといけません。

?それには、株を上げて不動産価値を上げるような政策だけじゃダメです。やはり給料が上がらないと、それから内需型産業が良い状況にならないとダメだと思います。

法人税率が下がったら
うちは給料を上げる

――政府は内需型産業が潤い、給料が上がるために何をするべきだと考えますか。


Photo by K.S.
?一年半増税が延期になりましたので、いろいろと次の手を打てる時間ができた。やはり政府は法人税率を下げるべきだと思います。その上で、政府は法人税を下げた分、給料を上げろと、かなり強い調子で民間に言う。どこの経営者も、法人税率が下がれば給料を上げると思いますよ。だって、国に払うよりも、自分のところのかわいい社員に払った方がいいに決まっています。

?日本の法人税率って、本当に高いんですよ。普通のビジネスマンは、企業が100万円儲かったら、国が税金でいくら持っていくか、知りませんよ。いくら持っていくか、知っていますか??約45万円持っていくんですよ。自治体などによって違うんですが、約半分持っていかれちゃう。ここを下げない限り、企業は給料を上げられない。

?一年半の猶予ができたので、法人税率を下げて、給料を上げ、そうして初めて消費税率を10%にしても腰折れしない状況がつくれると思いますよ。法人税が下がっても給料が上がらなかったら最悪ですけど、経営者はみんな給料を上げると思います。すくなくとも、当社は上げます。同じ業績水準だったら。

――しかし、財務省は消費税増税を先延ばしにするんだから、法人税引き下げはなし、という考えを持っているとも聞きます。

?いやね、法人税率を下げないんなら、消費税増税を先延ばしした意味がないんですよ。法人税下げないんだったら、来年消費税を上げたらいいじゃないですか。

?法人税率を下げるから社員の給料を上げろ、っていうのは、すごく話の筋が通るんですよ。政権の支持率も上がると思うんですけどね、なんでそうしないのかな。ストレートに言ったらいい、「法人税率を下げるからその分社員の給料を上げろ」って。

?この議論は、なかなか主役にならないですね。それは「法人税を下げて、消費税を上げるのは、企業ばかりを優遇して国民から取るのか」って攻め込まれちゃうから。でもね、違うんですよ。法人税率を下げた分を給料に回せっていう、シンプルなメッセージを政府が出せばいい。政府もそうやって経営者を追い込んで、給料を上げるように強く言ったらいい。

思い切った開放政策で
外国人観光客を増やす

――他に政府がやるべき消費を刺激し、内需型の産業を元気づける政策はあるのでしょうか。

?やはり多くの外国人の方に日本に来てもらい、観光してもらって消費をしてもらうことではないでしょうか。ましてや円安なので、この機会に日本は一気に開放政策をとって、より多くの外国の方に日本に来てもらうようにするべきでしょう。

?日本に来てもらえばリピーターになってくれると思いますよ。魅力的な要素が日本にはたくさんある。日本の良さは、優れた商品を生み出すということだけじゃなくて、治安の良さ、それからホスピタリティです。

?それを見れば、日本に対して必ずしも良いイメージを持っていない国の人でも、一度、日本に来てみれば、「日本は学校で教えられたような国ではないじゃないか、全然違う」ということはすぐに分かると思います。こういうことが分かるだけでも、国益につながると思います。

――確かに、10月から免税対象品目が全品目に拡大してから、御社や百貨店などは非常に大きなメリットを得ていると聞きます。

?それはもう、一部の都内の店はものすごい勢いですよ。でもこれは初動に過ぎません。まだ実態として、免税品対象品目が拡大したことを、知らない人が多い。来店された外国人観光客の方に説明すると、「えっ!」と驚かれます。

?初めて日本に来る観光客の方の多くは、添乗員が案内するようなパック旅行でやって来る。だから、観光客の方が自由に買い物するのはアフターディナーの自由時間。でもその時間帯は夕方から夜なんです。その時間帯に、いろいろな分野の商品を揃えている店が、当社くらいしかないということなんでしょう。当社はたまたま、パックツアーで来られた外国人観光客の買い物需要の受け皿になっているのです。

?思い切ってビザ発給条件を緩和したり、誘致策を大胆にとるべきだと思います。成田と都内とのアクセスを良くするなど、オリンピックまでにやるべきことはたくさんある。
http://diamond.jp/articles/-/63532


02. 2014年12月11日 07:22:33 : jXbiWWJBCA


【第84回】 2014年12月11日 森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
的外れの選挙の争点(2)軽減税率は究極のポピュリズム
選挙の争点として税制が問われているのは、消費税の軽減税率だ。公明党は消費税軽減税率の導入を最優先政策として打ち出している。しかし、軽減税率にはこれから述べるように多くの問題点がある。それに一切触れず、減税になるからということで選挙公約に掲げるのは、究極のポピュリズム政治ではないか。新聞も業界として軽減税率を要求しており、そのデメリットについては(一部の新聞を除き)一切口をつぐんでいる。
各党の主張を比較すると
自民・公明賛成、維新反対、民主?
公明党は選挙公約 で、軽減税率の導入を最優先政策としてかかげている。
「消費税率の引上げ(2017年4月)と同時に、食料品などへの「軽減税率」の導入を目指します。消費税には、……低所得者の負担感が重くなる「逆進性」の問題があります。……消費税率引上げに対して幅広く国民の理解を得るためには、軽減税率の導入が不可欠であると考えます。2017年度からの導入に向け、対象品目、区分経理、安定財源等について、早急に具体的な検討を進めます。」
パートナーを組む 自民党の選挙公約は以下のようである。
「消費税率10%への引上げは2017年4月に行います。また、軽減税率制度については、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入します。2017年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について早急に具体的な検討を進めます。」
「関係事業者を含む国民の理解を得た上で」という条件が付き、「税率10%時に導入します」となっており、公明党に比べるとトーンダウンしたものになっている。
一方、維新の党は、ホームページから探した公約には記載はなかったが、新聞報道によると、「軽減税率や一律の給付金ではなく「 給付付き税額控除を実現」となっている。
驚かされるのは民主党である。これまで一貫して軽減税率よりは給付付き税額控除を主張し、法律にも書き込んで来た当事者であるが、 公約では以下のように軽減税率をも容認する内容となっている。
「複数税率だけでなく、消費税の還付措置(給付付き税額控除)の導入についても検討を行い、低所得者対策を確実に講じます。」
軽減税率は逆進性対策・
低所得者対策ではない
筆者はこれまでこの欄で、「軽減税率は消費税制度の劣化、導入で本当に得をするのは富裕層」( 第73回)、「低所得対策の効果は軽減税率よりも給付付き税額控除の方が圧倒的に大きい」(第77回)と、軽減税率の政策的効果について、科学的に分析をし、低所得者対策ではないこと、代案である給付付き税額控除(消費税還付制度)の方が、はるかに効果的であることを述べてきた。
図表は、内閣府が公表している試算である。英・独・仏の軽減税率の制度を、わが国に導入した場合に、どの所得階層がどの程度の利益を受けるかということを金額ベースで試算したものである。どの国の制度をみても、所得の高い層ほど受益額が多いことがわかる。 
拡大画像表示
より具体的に、全国消費実態調査から、軽減税率の対象を生鮮食料品として、8%のまま据え置く場合の軽減税率の受益額を試算してみよう。 
年収400万円の世帯で年間生鮮食料支出は20万円、これを2%(10%−8%)軽減すると、年間4000円の負担軽減となる。年収1000万円の世帯の生鮮食料支出は年間30万円程度、受益額は6000円となる。 
低所得者の受益はわずか年間4000円である。このために莫大なコストが事業者、消費者、税務当局にかかる。しかも、お金持ちほど受益額は大きい。 
例えば何が生鮮食料品か
対象品目の選定は困難を極める
一方で、何が生鮮食料品かをめぐっては、大議論が予想される。与党税制協議会に提出された資料では、「生鮮食料品」を軽減税率にする場合には、「たらこ、しめさば、ゆでだこ、釜揚げしらす、冷凍みかん、カットフルーツ盛り合わせ、いくら、ヨーグルト、こんにゃく」などが、不明確な品目として挙げられている。 
韓国では、未加工食料品は非課税となっているが、この定義から外れたキムチ業界が巻き返して、今では、キムチは加工食料品であるにもかかわらず、非課税対象となっている。 
スーパー業界は、「生鮮食料に少しでも付加価値をつけて売ろうとしている業界の流れに逆行する」と、大反対をしていることも付け加えておきたい。 
もう一つ、軽減税率がいったん導入されると、軽減対象にしてほしい業界から、自民党に毎年陳情合戦が行われることが容易に予想される。すでに、今回の業界ヒアリングでも、「自らの販売する商品やサービスを軽減税率にしてほしい」との要望が、新聞、雑誌、医療、農協、住宅などから出されている。 
自民党が、業界ごとの要望を「電話帳」と呼ばれる分厚い一覧にまとめ、税制調査会で、要求項目ごとに○×をつける古きスタイルの完全復活が目に見えるようだ。政治とカネの問題が依然大きな課題であるわが国に、新たな「利権の種」を蒔くことになる。 
給付付き税額控除は、
子どもの貧困対策にもなる
消 費税率引き上げで、低所得者対策が必要なことはその通りである。しかし財源が限られた中で対策を行うのなら、対象者を絞り、政策意義も考えながら効果的な政策を考える必要がある。
その意味で、消費増税法7条に低所得者対策として記載されている給付付き税額控除は、カナダなどで導入されており、きわめてすぐれた政策といえよう。 
生鮮食料品を2%軽減したことにより失う税収、3600億円(与党税制協議会試算)の財源を活用すれば、世帯収入300万円以下の世帯一人一人に3万円強の給付を行うことができる(ただし、年金受給者は、別途物価スライドがあるので除く)。 
この制度では、子どもの数が多くなればなるほど給付額が増えるので、生鮮食料品を軽減税率にする場合より、はるかに家計への支援効果は高い。給付付き税額控除は、消費税還元制度であると同時に、子育て支援、ワーキングプア支援策でもあるのである。 
なお、両制度の家計に与える影響試算の比較については、 第77回で詳細に分析しているので、それを参照していただきたい。
先進諸国の税制当局は
「軽減税率は非効率」と認識
本年4月に東京で、OECD主催の国際会議VAT(付加価値税=消費税)フォーラムが開催されたが、その中で軽減税率も取り上げられ、以下のような ステートメントが公表されている(政府税制調査会でも報告されている)。
「今回の消費税グローバルフォーラムにおいては、消費税が、所得等の異なる層に与える影響についても議論が行われた。低所得者世帯の負担を緩和するため、軽減税率を導入している国もあるが、消費税グローバルフォーラムにおける議論においては、軽減税率は、低所得者を支援する方策として、対象者を限定した給付措置に比べると極めて非効率であるということが確認された」(太字筆者)
その場で、知り合いのOECD租税委員会パスカル・サンタマン事務局長に会った際、筆者に、(軽減税率の問題については)「Don’t Follow Europe」と語った。 
給付付き税額控除の導入には、世帯の所得の把握など番号制度が必要になる。幸い消費税率10%引き上げ時が17年4月になり、番号制度の導入が16年1月なので、1年以上の時間的余裕が生まれることとなった。この機会に給付付き税額控除の具体案を作って、軽減税率とメリット・デメリットを比較し国民的な議論を行うべきだ。 
 報道は、「世論調査では軽減税率に多くの賛成がある」というが、このような世論調査は(減税がいいに決まっているので)、政治の提案に乗っかったポピュリズムの一種である。 
新聞は、自らの業界の利益と、国民全体の政策の是非を混同することなく、冷静に議論を行うべきだ。 
http://diamond.jp/articles/-/63534 

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