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幸楽苑290円ラーメン販売中止の高価格路線、それだけでは増収困難と予想される理由(Business Journal)
http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/400.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 12 月 22 日 08:21:15: igsppGRN/E9PQ
 

幸楽苑290円ラーメン販売中止の高価格路線、それだけでは増収困難と予想される理由
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141222-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 12月22日(月)6時0分配信


 2014年11月29日付「東洋経済オンライン」記事『幸楽苑「290円ラーメン」販売中止の衝撃』によると、「日本有数のラーメンチェーンを展開する幸楽苑が大勝負に打って出る」という。

「同社は、約10年にわたって看板商品だった290円(税抜き)の『中華そば』の販売を中止し、2015年4月から500円台の新しょうゆラーメンに主力商品を切り替える計画だ。11月27日の決算説明会で、新井田傳社長が明らかにした。主力商品の交代で、低価格志向から高単価路線への大転換を図る」(同記事より)

 さて、この方針転換はうまくいくだろうか? 経営戦略の観点から、成功可能性を考えてみたい。

 同記事によれば、方針転換の理由は以下の2つだという。

(1)岡山県限定「醤油らーめん」を520円で出したところ、支持が高かったこと
(2)食材費、電力料、人件費のコスト増

 幸楽苑はもともと290円の「中華そば」が全体の売り上げに占める比率は17%程度であり、販売中止のタイミングを図ってきたという。今回の方針転換により、同社は客単価が50円上がり、6500万人の来店客に掛け合わせて約33億円の増収になると見込んでいる。

 では、このもくろみ通り、増収は可能になるだろうか。

 筆者の予想では、「醤油らーめん」投入だけでは増収は難しく、他の策も検討すべきであると考えられる。

●日本のラーメン市場

 日本のラーメン市場は、大きく3つのセグメントに分けることができる。

 ひとつは、アンダー500円の低価格セグメントだ。リーズナブルに、そこそこ美味しいラーメンを食べることができるセグメントである。もともと価格が安いので、顧客は際立って味にこだわるわけではない。醤油ラーメンか味噌ラーメン、塩ラーメンを食べることができれば、満足できるセグメントである。

 次に、500〜1000円までの百花繚乱セグメントである。中心価格帯は650円から850円くらいだが、このセグメントでは、淡麗醤油、豚骨醤油、鶏白湯、豚骨または鶏白湯と魚介のWスープ、さらにはベジタブルスープなど、まさに百花繚乱の非常に個性あふれるセグメントである。

 そして、アッパー1000円のセグメントだ。ラーメンは2014年の『ミシュランガイド東京』(ミシュラン)にも選ばれるようになった。素材にこだわり、器にこだわり、料理としてこだわりを持って提供されるセグメントである。

 幸楽苑がこれまで主軸としてきたのは、アンダー500円の低価格セグメントだ。同セグメントで成功する秘訣は、まずスケールメリットを生かすことである。だから、それにより「日高屋」や「幸楽苑」のような大資本が調達コストを下げ、多店舗展開によりオペレーションコストを下げることが成功要因となるわけだ。

 次に、マス市場をターゲットとすることである。多店舗展開しても、多くの顧客が来なければビジネスは成り立たない。だから、マス市場、言い換えればあらゆる顧客をターゲットとすることになる。そうすると、現在の「幸楽苑」のように、醤油、味噌、塩、つけめんを出し、醤油でもあっさり、こってり、旨辛といったあらゆる顧客のあらゆるニーズに応えることになる。「幸楽苑」にとっては、自社の強みを生かしてビジネスを行える非常に戦いやすいセグメントであり、「幸楽苑」の経営戦略は理にかなっているといえる。また、ラーメン業界でスケールメリットを実現できるだけの大資本は少ないので、このセグメントは「日高屋」と「幸楽苑」で分け合うことができる、ライバルの少ないセグメントであるといえる。

●幸楽苑の強みを生かせず

 一方、百花繚乱セグメントでは、顧客はとりあえずラーメンが食べられればよいとは考えていない。自分なりのこだわりを持ち、「淡麗醤油を食べたいから三越前の『なな蓮』に行こう」「ベジタブルな気分なので『ソラノイロ』に行こう」「ガッツリ食べたいので『二郎』に行こう」と考えるわけだ。同セグメントのラーメン店では、「すべての味をなんでも出しますよ」ということは、あまりない。醤油なら醤油、こってりならこってりにこだわり、そこの一点で勝負をかける。だから、満足度の高いラーメンを提供することができる。

 ところが、「幸楽苑」の場合、スケールメリットを生かす大量調達、大量生産、大量販売のビジネスモデルである。だから、さまざまなニーズを持った顧客に支持されなければならず、あまりとがったラーメンに一点集中することはできない。

 その結果、今回岡山県で支持された醤油らーめんも、中細麺にネギ、海苔、メンマ、ばら肉チャーシューといった、どこでも見られるラーメンになってしまう。もちろん、このラーメンでも低価格セグメントであれば「ちゃんとしたラーメンを低価格で食べられる」という価値を提供することができる。しかし、百花繚乱セグメントで戦うことになると、あまた存在する個性的なラーメンの中に埋もれてしまう恐れがある。ライバルが多すぎて、個性がないとまったく目立たなくなってしまう。

 したがって、今回の醤油らーめんで百花繚乱セグメントを戦うことは、難しいと考えているのだ。

●検討すべき2つの戦略

 もちろん、実際の醤油らーめん投入の結果がどうなるかはわからないし、せっかくのチャレンジなのでぜひがんばっていただきたいと考えている。そして、ジャストアイデアではあるが、以下のような方向性も検討できる余地がある。

 基本的に戦いにくい百花繚乱セグメントには参入しない。自社の強みを生かせる低価格セグメントをさらに拡大する。そのために、次の2つの戦略を検討する。

(1)ラーメンも提供するファミレス化を図る
(2)カップラーメンよりも少し美味しいラーメンを提供する

 すでに「幸楽苑」ではお子様セットも提供しており、老若男女あらゆる層をターゲット顧客としている。だから、あらゆる顧客への販売機会を増やすため、ラーメンを主軸としたファミレス化を図るのである。この場合、ライバルは百花繚乱セグメントのラーメン店ではない。低価格ファミレスだ。

 次に、290円ラーメンではなく200円ラーメンを出す。コンセプトは、「カップラーメンよりも少し美味しいラーメン」だ。かけそばならぬ、かけラーメンでもよい。セルフで麺を湯がいて、スープをかける形式でもよいかもしれない。カップラーメンの弱点はペラペラ乾燥チャーシューだ。スープや麺はずいぶん改良されてきたが、それでもみすぼらしいチャーシューのカップラーメンは多い。そこで、麺量、スープを減らしながらも、チャーシューは1枚、または半カット付けてラーメン店らしさを出す。既存のラーメン店をライバルにするのではなくカップラーメン業界をライバルにし、そこから需要を取り込む考え方である。

 重要なのは、自社の強みを考えた時に、戦いにくいセグメントで戦わないことである。戦いやすいセグメントを探して、そこでどう工夫をするのかを考えたほうがよい。

牧田幸裕/信州大学学術研究院(社会科学系)准教授


 

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