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郵政３社上場、初回売却１兆円超 金融２社株５割維持［日経新聞］
住宅ローンなど業務拡大に意欲
2014/12/26 22:53
日本郵政は26日、傘下の金融２社（ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険）を含めた３社で来秋をメドに同時上場する計画を正式発表した。３社合計の初回の売却規模は１兆〜２兆円になる見込みだ。2005年に決まった郵政民営化では金融２社の株式をすべて売却する計画だったが、持ち株会社の日本郵政は２社の株を当面５割程度保有する。
小泉政権時代からの郵政民営化構想は、民主党政権での一時凍結など曲折を経て、ようやく仕上げの時期に入る。同日記者会見した西室泰三社長は、東京証券取引所に来年６月にも上場申請する方針を示した。上場時期は「来年８月から12月ごろ」と述べ、来年９月を軸に検討する。親子３社の同時上場は前例がないが、西室社長は「民営化法で早期の株式売却が義務付けられ、同時が望ましい」と強調した。
民営化法では政府が保有する日本郵政株は３分の１超を残して売却することが求められている。日本郵政が保有する金融２社については「保有割合が50％程度になるまで段階的に売却する」（西室社長）。民営化法では金融２社株は全株放出を前提としているが、完全売却の時期は明示しなかった。郵政の上場計画発表後に財務省は、初回の売却規模について「３社合わせて１兆〜２兆円規模」（理財局幹部）との見方を表明した。詳細を詰めて来年夏をメドに正式に決める。
日本郵政が金融２社の売却を進めるのは、新規業務に進出しやすくする狙いがある。郵政民営化は民間銀行や保険会社が対等に競争できるよう政府の関与を薄める目的だ。そのため日本郵政が金融２社株を50％以上保有している状態では、新規事業に乗り出す際に認可が下りにくい。
（郵政改革の流れ）
2005年
小泉首相（当時）が郵政民営化を決断
金融２社は17年９月末までに完全売却
↓
09年
民主党政権が誕生
民営化を一時凍結
↓
12年
改正郵政民営化法が成立
金融２社の売却期限を撤廃して先送り
↓
12年末〜
自民党が政権復帰
西室泰三氏が日本郵政社長に就任
再び金融２社の上場検討
日本郵政は業務拡大を目指し、政府に住宅ローンや大企業向けの直接融資などを申請しているが、認可のメドは立っていない。かんぽ生命も成長が見込めるがん保険や単品の医療保険への参入を事実上、凍結したままだ。金融２社が民間金融機関との業務提携で新規事業を始めようとしても、厳しい認可審査が待ち受けている。
西室社長は「地方銀行や信金・信組から一緒に仕事をしないかという話があれば、積極的にやっていく」と業務提携を広げる考えも示した。ＡＴＭ提携網の拡大や、支店を維持できない地域金融機関に代わって郵便局で金融サービスを提供する案などを示した。
日本郵政の株式は政府が現在100％保有しており、政府は売却収入で東日本大震災の復興財源として４兆円以上を賄う予定だ。日本郵政は金融２社株を売却した資金で政府が保有する自社株を買い入れる考えも示しており、３社同時上場は政府の財源確保を優先するためとの見方もある。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS26H5V_W4A221C1EA2000/?dg=1
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