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水野和夫氏が警鐘 「今年は日銀が自ら資本主義に幕を引く」(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/14/hasan92/msg/613.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 1 月 03 日 07:27:05: igsppGRN/E9PQ
 

        著書「資本主義の終焉と歴史の危機」がベストセラーに/(C)日刊ゲンダイ


水野和夫氏が警鐘 「今年は日銀が自ら資本主義に幕を引く」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/156086
2015年1月3日 日刊ゲンダイ


 経済関連の新書で2014年、最も売れたのが「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫著=集英社)だ。経済学者、エコノミストが投票する週刊ダイヤモンド「ベスト経済書」1位に輝いた名著だが、さて、資本主義の限界を鋭くえぐりだした著者は15年の日本経済をどう見ているのか。

 質問すると、恐ろしい予測が返ってきた。「私はこの本で資本主義の終焉について書きました。しかし私が書こうが書くまいが、15年以降の日本経済は、まさしく資本主義の終焉の様相を見せつけることになると思います」と言うのである。順を追って説明してもらおう。

「2年以内に物価上昇2%という目標を日銀は立て、13年4月に異次元緩和の第1弾、黒田バズーカの1発目を撃ちました。しかし、思うように物価は上がらず、14年10月に2発目のバズーカを放った。たしかに株価は上昇しましたが、世界的な原油価格暴落によってガソリン価格などが下がり、2%の物価上昇は実現していない。おそらく日銀は15年4月にバズーカ第3弾を撃ちますよ。それもかなりの規模で、何が何でもさらなる円安に持っていく。日銀自身のメンツがかかっているからです。しかし、こうした円安誘導政策で国民生活は豊かになるのか。これ以上の円安で物価を引き上げても、インフレに伴い実質賃金はどんどん下がってしまう。日銀はどこを向いて金融政策をしているのか。根本的な矛盾が問われることになると思います」

 水野氏の見立てでは1ドル=125〜130円のレベルになっていくという。円安インフレで実質賃金の伸び率はマイナスのまま。庶民はたまらないが、怖いのはその先だ。

「今ですら、出口なしといわれているのに、追加緩和をすれば、日本経済が破綻するまで日銀は異次元緩和をやめられないという苦境に陥ります。というのも、緩和を続ければ株や土地などの資産価格がバブル化しますが、緩和をやめたとたんに、暴落する。当然、政権は『緩和を続けろ』と圧力をかけてくるので、黒田日銀総裁は逆らえず、バズーカを次々と撃ち続けることになる。やがて国債の買い手がつかず、国債のほとんどを日銀が買い受けることになる。最終的には市場がなくなり、価格もつかなくなるでしょう。資本主義は終わるわけです」

 安倍政権のせいで何もかもが壊されてしまう。


 

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コメント
 
01. 2015年1月03日 13:35:54 : GFVdcPriAs
納得です。

日銀出動、次に待ち構えているのか、国民の厚生年金資金。
これが日銀と選手交代するシナリオでないか?

これでは、民間労働者はたまりませんね。
公務員の年金は、株式に出動しない。
これ一体どうなっているのだ?

責任の所在を明確にし、株式購入してもらわんと、暴動が起こります。
有識者会議なるもの、責任がはっきりしてない。
無責任発言で、国民資産崩壊は許せんゾ!


02. 2015年1月03日 13:48:24 : oA9GE6uXgc

>追加緩和をすれば、日本経済が破綻するまで日銀は異次元緩和をやめられない
>緩和を続ければ株や土地などの資産価格がバブル化しますが、緩和をやめたとたんに、暴落する

水野和夫はこれほどバカだったのなら少し驚きだね

まあゲンダイがアレンジした可能性もあるがw


03. 2015年1月03日 14:00:18 : oA9GE6uXgc
 
資本主義の終わり=純投資0の時代=実質0成長時代という定義なら、別に当たり前の話

ただし、QEは、成長促進政策というより、日本の様々なコストの低減に役立っている

そして民間の負債返済競争による産業崩壊と財政破綻防止に有用な政策である

ということは認識できていないらしい

http://shinsho.shueisha.co.jp/kotoba/tachiyomi/140303.html#1
資本主義の死の時代を生き抜く [対談]水野和夫(エコノミスト)×白井聡(政治学者)
資本主義の終わりの始まり
白井 いわゆるアベノミクスが始動して一年あまりが経ちました。しかし、水野さんが以前から主張なさっていたように、金融緩和や成長政策といった手段では、今日の世界的経済危機は解決できないことがますます明らかになってきた。現にアメリカが量的緩和を縮小する局面に入っただけで、株価の乱高下は激しくなり、新興国の経済が危うくなってきています。アベノミクスの三本の矢にしろ、アメリカの量的緩和にしろ、解決どころか、危機の本当の姿を覆い隠すことにしかなっていません。
水野 そのとおりです。リーマン・ショックのときの金融危機は、国家に債務を肩代わりさせて乗り切りましたが、こんなことはいつまでも続けられるわけがない。
 いまや世界経済が先進国の量的緩和を与件としてできあがってしまっています。そうなると、たとえ一時的に緩和を縮小したとしても、どこかでバブルが弾けて経済が低迷すれば、量的緩和を再開せざるをえない。そのツケは、結局、公的資金というかたちで国民が支払わされるわけです。
白井 そんな状況を単なる長期停滞だと認識してはならない、これは資本主義の終焉の始まりなんだというのが水野さんのご主張ですよね。
水野 資本主義の死期が近づいてきているとしか思えないのです。
 国債利回り二パーセント以下が一六年続く日本を筆頭に、先進国で超低金利状態が続いています。金利はほぼ利潤率に一致しますから、超低金利というのは、資本を投下しても利潤を得ることができない、という状況です。資本を自己増殖させることが資本主義の本質ですから、つまり、この超低金利状態から抜け出せないということは、資本主義の終焉を意味するのです。
 その資本主義の終焉と同時に、資本主義とともに発展してきた国家や民主主義といったものも、大転換期を迎えているのではないか。政治思想がご専門の白井さんに今日はそのあたりを、ぜひうかがいたいです。
白井 近代そのものの終わりという世界史上の巨大な転換期にいるのではないかと私も感じています。まず、国家の変質という点から、資本主義と近代の終わりについて考えてみようと思います。
ブラック国家化する現代
白井 水野さんは近刊『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)をこう始めていらっしゃいますね。資本主義にはどうしても、フロンティアが必要である。中心がフロンティアを広げながら利潤率を高め、資本の自己増殖を推進していくものだと。しかし、グローバル化が進んで地理的な意味でのフロンティアは消滅し、バーチャルな「電子・金融空間」でも利潤を上げることはできなくなった。もう外部に利潤を上げるフロンティアはなく、そうなると、内側でフロンティアを作るしかない。つまり、国内の国民から巻き上げていくしかない。
水野 そうです。アメリカでいえばサブプライム層への収奪的貸付であったり、日本でいえば低賃金で働かされる非正規社員であったり。日本でもアメリカでも、景気が回復しても労働者の賃金は増えず、中間層の没落ということが明らかになってきました。そして、中間層が没落すると、国民の同質性が失われるので、民主主義が成り立たなくなるのではないかと思うのです。
白井 ご本を読んで、この指摘はすごく重要だと思うと同時に、新鮮な論じ方だと感じました。おそらく、水野さんの民主主義の定義はカール・シュミットを参考にしていると思うんです。シュミットは、民主主義は同質性を前提とすると言った。ほとんどの読み手は、シュミットの言う同質性を、民族的な同質性として読んできたと思います。水野さんは、それを経済的な同質性として読んでいる。昨今、熟議民主主義の議論が盛んですが、それは最低限の同質性がなければ成り立ちようがないことを示唆する議論です。
水野 日本の金融資産ゼロ世帯を見ると、七〇年代半ばから八〇年代後半にかけての十数年はおおむね三〜五パーセントで推移していたんです。ところが、いまや三世帯に一世帯が金融資産ゼロという状況になってしまった。彼らにとってはなんのための国家なのかという話になるんです。
 一方で、下の図が示すように、ごく一部の富裕層の所得の国民総所得におけるシェアが増加してきている。日本の上位五パーセントの所得シェアの推移をまとめたものなのですが、九〇年代以降は急上昇しています。
白井 確かに、八〇年代までは、同じ国民の中では経済的な同質性を実現させようという、フォーディズム的な資本主義の発展の歴史があったわけです。その同質性をもとに議会制民主主義も機能してきた。二〇世紀後半の先進諸国は、国民国家の最も成熟した形態にまで達した社会だったと言えます。
 ところが、資本主義が行き詰まり、国内の同質性の追求は放棄されてしまった。となると、それは国家のあり方そのものの変質につながると議論されている。この議論はギデンズやライシュの提唱した「第三の道」の破綻を論証するものです。彼らは、生産様式が変化した中で中間層を再建する方策を考案し、政府に採用されましたが、上手くいかなかった。水野さんのご本の中で「国家が資本の足手まといになっている」という記述がありましたが、これをより踏み込んで言うと、足手まといになっているのは国家というよりも、国民なのではないかと。
 かつてマルクスは近代国家とは全ブルジョア階級の共同事務を処理する委員会だと言いましたが、まさにそのような状態が出現している。その国家にとって最大のお荷物はなんですかといったら、国民です。だから、国民国家の黄昏とは何かというと、国民と国家が分離する状態だと思うのです。つまり「国民なき国家」という状況になってきているんじゃないでしょうか。
水野 おっしゃるとおりで、現代のグローバル資本主義は中間層を没落させるという意味で、どんどん粗暴になってきています。これは、資本主義の「退化」とも言える出来事です。国王と結託したかたちの資本主義、一六世紀あたりの資本主義の姿に「先祖返り」を起こしているのです。
白井 同感です。そもそも、国家がなぜ多額の借金をすることができるかといえば、徴税権があるからです。言うまでもなく、税金は国民の労働を源泉としています。つまり、国家は国民の労働を担保に借金をしている。しかし、一方で、もうお荷物だから、国民の面倒など見たくない。働けるだけ働かせて、面倒は見ない。つまるところ、国家の借金は国民の借金であり、国民の未来の労働が借金のカタにとられたということです。いまや国民は債務奴隷なのです。
水野 ブラック企業どころか、ブラック国家です。
白井 株価は上昇しても、賃金が上がらず、労働時間も減らない。しかも不安定な非正規雇用だけが増えている。これは、完全にブラック国家ですよ。非常に皮肉な話ですけども、資本主義というのは奴隷制や身分制を否定して、自由な主体として人々が労働や生産をするところから始まったのに、なんと資本主義の完成は、奴隷制の完成に帰結しつつある。現代はそういう状況にあるんじゃないかと見ているのです。
中間層が没落するとファシズムが台頭する
水野 資本主義の終焉を考えるときに、もうひとつ大事なことは、もはや多くの人々の中で、資本主義を支持するモチベーションがなくなってしまった、という点です。そういう意味でも、資本主義は危機に瀕している。
 そして、国家が「国民なき国家」になっているとしたら、先祖返りしているのは資本主義だけじゃなく、民主主義もそうなのかもしれません。
白井 中間層が没落し、同質性が壊されていく。同質性が壊れたところで無理やり民主主義をやろうとすると、どうなるか。これはファシズムになるんだと思うんですね。
水野 同質性のない人々を束ねるためには、ファシズムが台頭してこざるをえないと。
白井 はい。誰かを排除する身振りによって同質性を捏造するのです。ナチスが台頭したときというのは、まさに没落する中産階級が一番の支持基盤となって、ナチズムのイデオロギーが受け入れられていったという流れでした。翻って最近の日本を見ると、同様の構図が見て取れます。在特会(在日特権を許さない会)の跋扈など、「モッブの支配」(ハンナ・アレント)そのものでしょう。彼らは自分たちの活動が為政者から暗に推奨されていることを知っている。アベノミクスならぬアベノクラシーについて考えなきゃいけません。
水野 そのとおりだと思います。
白井 そんな情勢だからこそ、ゾッとしたのが安倍首相のダボス会議での発言です。「一〇〇年前、英独の経済は大きな相互依存関係にあったが、それでも第一次世界大戦が起きた」と発言したでしょう。情勢分析として正しいがゆえに、一国の首相がああいう発言をしたことは非常に危険です。中国側はこう受け止めたでしょう。「日中の衝突が不可避だと日本の中枢は考えている、であれば、その準備が必要だ」と。
水野 中国は当然、そう思ったでしょう。そうならないように努力するのが政治や外交の役割だというのに呆れるばかりです。ところで、日米同盟があるから日中衝突は避けられると考える人もいますが、白井さんはどのように見ていらっしゃいますか。
白井 実は今まさに、日米同盟についても、アメリカは日本を「お払い箱」にしようとする気配があります。というのは、対中戦争のリスクが日に日に現実味を帯びてきているような状況で、アメリカとしてはそんなものには巻き込まれたくないわけです。でも万一、日中衝突が起きてアメリカが無視を決め込んだりしたら、アメリカの他の同盟諸国にも激震が走ります。じゃあどうするか。あらかじめ、国際世論を仕立てておくのですよ、日本はまともな国ではないと。第二次世界大戦の反省もない「おかしな国」なのだから、いざとなったときに助けてもらえないのもしかたがないという雰囲気を作っておこうと考えるはずです。
水野 なるほど。
白井 問題発言を繰り返す日本国内の歴史修正主義者たちは、日本をデモナイズ(悪魔化)する国際世論作りに加担しているようなものですよ。しかし、歴史修正主義よりも根が深い問題は、日本異質論が海外から出てくることです。先日、突然、キャロライン・ケネディ駐日本大使がツイッターで和歌山県太地町のイルカ漁を非難した。あの唐突な発言に、どこまで政治的な意図があったかはわかりませんが、潜在的にたいへん危険です。政治の問題と違って、文明観、自然観の対立となった場合、それは非和解的なものとなります。
アメリカの次に中国が覇権を握るのか?
白井 いずれにしろ、日中の経済的な力がGDPでいえば逆転し、米中の力も差が縮まってきた。さて、こうなると次なる世界の覇権国は、やはり中国なのか、ということが議論の的になります。もう二〇年以上前のことですが、アメリカの歴史社会学者ウォーラーステインは「次は日本だ」と言い、見事にはずれました。
水野 日本は政治的な意味で、主権国家として成立しているかどうかも怪しい。そんな国が、世界の覇権を握れるわけがありませんから、振り返れば、もはや笑い話ですね。いや、でも日本人自身が、世界第二位の経済大国だと驕っていたわけですから、ウォーラーステインの間違いを笑っている場合ではありません。
白井 冷戦構造が続き、アメリカの保護下にあったからこそ、第二次世界大戦に負けたにもかかわらず、日本の経済大国化は成功した、ということを日本人自身が直視できていません。敗戦した事実からすら日本人は目をそむけてしまっている。
水野 そのことをお書きになった白井さんの『永続敗戦論』(太田出版)を私も読み、大きな衝撃を受けました。「敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、深い対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる」と書いていらっしゃいますね。
白井 経済的な繁栄が、敗戦の事実を否認する構造を完成させたのだと思います。その一方で、アメリカへの従属も続きます。経済の世界でも日本の従属構造ははっきりしているわけですよね?
水野 一九八五年のプラザ合意しかり、現在のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉しかりですよ。
いまや安倍首相のスピーチ・ライターになり、「影の総理」ではないかとも言われる谷口智彦さんはかつて『通貨燃ゆ』(日経ビジネス人文庫)の中で、日本のバブルについても米国追従と切り離せないと言っていました。冷戦末期のアメリカは軍事費の増大による財政赤字に悩まされており、日本のバブルは、その赤字をファイナンスするためのものだったと。ザ・セイホをはじめ、日本の機関投資家のマネーは米ドル債購入によってアメリカに流れていったわけです。だから、冷戦が終わってしまえば、日本の投資家なんてお払い箱で、事実、冷戦終結とともにバブルは弾けました。
白井 なるほど。レーガン政権の軍拡にファイナンスすることで、自分たちの繁栄を支えてきた冷戦構造をわざわざ壊してしまったのですから、無残な限りです。覇権変動に関する議論に戻りますが、水野さんは今回の新刊の中で、実に重要な指摘をなさっている。アメリカの次に、中国が覇権を握るわけではない、と。
水野 中国が覇権国になるとは考えられません。成長率はそれなりに高くとも、中国は過剰な生産設備という大問題を抱えている。その過剰な生産を消費できる所が、世界中にほとんど残っていない。もう需要がないとわかった瞬間に、世界中からの投資が集まった中国のバブルは破裂するわけです。となれば、世界中がデフレ化します。資本主義の終焉です。
白井 そして、アメリカの次に覇権を握る国は現れてこないのだと。これは非常に重要な指摘です。
水野 覇権国とは何か、というところから話せば、私は近代的な覇権国には、二つの経済的な条件が必要だと考えています。
 一つは、資本を集める能力です。一七世紀のオランダ、一八世紀以降のイギリス、二〇世紀のアメリカと推移してきた覇権国の金利を見ると、それぞれ絶頂期には金利が非常に低い。金利が低いというのは、世界中から資本を集める能力に長けていて、十分資本を蓄積できた結果、起きることです。
 現在のことを言えば、中国など新興国に資本は集まってきていましたが、あれはアメリカの量的緩和のせいで行き場のないマネーが流れ込んでいただけです。アメリカが量的緩和を縮小すると言っただけで、資本は引き上げられてしまう。市場は大荒れです。
 そして覇権国の条件として、もう一つ挙げたいのは、資源価格を低くコントロールする能力です。産油国の資源ナショナリズムが勃興し、オイル・ショックが起きた後も、原油を先物取引の対象にすることで、アメリカは資源価格をコントロールしてきました。しかし、グローバル化が進み、新興国も工業化することで需要は膨らみ、しかも量的緩和によって流れ込んだマネーで、価格は高騰するばかりです。だから、二つめの能力はもうアメリカにありません。いや、アメリカだけでなく、中国であれ、どこの国であれ、資源価格をコントロールすることはできないのです。
白井 もう近代的な覇権国は成り立たないんですね。近代という枠組み自体が壊れてしまった以上、一七世紀オランダから続いていた覇権の変遷の歴史も終わる、近代資本主義はもう終わるから同じような歴史の繰り返しはないということですね。
定常状態が豊かさを取り戻す道
水野 だからこそ、次の時代の準備をしなければならないのに、ゼロ金利の先進国ですら、量的緩和政策などで、近代を延命させようとしています。近代を延命させる成長主義はバブルを生み出すだけですから、逆に近代の死、資本主義の死を早めてしまうんです。
白井 成長を前提とする近代経済学に対して、水野さんが根源的な批判を繰り返してきたのは、それゆえですよね。水野理論の最大のポイントは、資本主義が駆動するためには、「自然からの贈与」の必要性を論証していることだと思います。近代資本主義で言えば、自然からの贈与とはずばり石油です。石油をタダ同然で手に入れられたからこそ、先進国はオイルショックまで成長を謳歌できたとおっしゃっている。しかし、その「贈与」はもはやない。主流派の経済学は等価交換の世界を描き出し、そこからはみ出すものをたかだか「外部性」としか位置づけできません。実際は、交換の世界が交換ならざるものの上に乗っかっていることを水野理論は明らかにしました。
 しかし、依然として「成長教」はとどまる気配はありません。そういう現状を見ると絶望的になりますが、水野さんはその中でも今後の展望をなんとか描き出そうとしています。そのポイントは何かというと、「余剰の収奪がない」ということだと思うのです。封建制と資本制はシステムこそ違いますが、「余剰の収奪」という点ではモデルチェンジにすぎませんでした。
 しかし、水野さんが主張している今後のあるべき経済社会の「定常状態」というのは、「余剰の収奪がない」状態ですよね。
水野 そのとおりです。定常状態は、すなわちゼロ成長ですから、純投資をしないということになります。純投資をしないということは、余剰を使って拡大再生産をしないんですね。イメージしやすくいえば、これはある意味で、豊かな時代の家計に近い状態です。身の回りにモノが溢れている時代において家計は将来を心配せずに消費を行います。正常なあり方ですよね。無理に利潤を上げたり、ストックを増やしたりする必要がない状態です。それが私のイメージする定常状態です。
白井 その考え方には、どこかバタイユの気配を感じます。バタイユは、資本主義というのは余剰を上手く処理できない唯一の経済様式であるというふうに言っているんです。どの社会にも余剰はあるわけですね。その余剰にどう対処してきたかというと、未開社会などではポトラッチや祭りをやって蕩尽してしまう。そういうかたちで人類は余剰に対処してきたんだけれども、資本主義が特異なのは、余剰が出るとそれを拡大再生産に向けるんですね。
水野 はい、資本が自己増殖していくわけです。
白井 水野さんはそれにストップをかけようと言っていますが、ただ定常状態の社会であっても、余剰はどうしたって出ます。「今年は作りすぎた」みたいなことがあるわけです。だから定常状態を実現するためには、余剰が出たら、それを何がしかのかたちで「蕩尽」しないといけない。つまり贈与なのか自分で使うのかはわかりませんが、使い切ってしまうということが定常状態では重要になってくるのです。
 これは豊かさを取り戻すことでもあると思うんですね。資本主義というのは、マックス・ヴェーバーが分析したように、非常に禁欲的になって豊かさを断念しないといけないわけですから。
水野 禁欲であると同時に強欲ですよね。白井さんが今おっしゃった「蕩尽」とは正反対に、とにかく「蒐集」するのが資本主義の原理ですから。
白井 定常状態や脱成長というと、おそらく一般的には非常に後ろ向きの議論だと見なされやすい。それこそ禁欲的なイメージが強いと思うんです。でもバタイユを参照すれば、定常状態は決して禁欲的な社会ではなくて、余剰分は使い切ってしまう豊かさがあるということになる。
水野 確かに脱成長、ゼロ成長は非常に誤解されやすい言葉です。まずマイナス成長と同義だと思われてしまうのですが、マイナス成長は貧困社会ですから、違うんですね。そして、現在の粗暴な資本主義下では、成長を求めるとマイナス成長を呼びよせてしまう構造ができあがっています。
 ゼロ成長を実現するには、財政、人口、エネルギーといった経済・社会政策だけでなく、それを支える哲学・思想が必要とされます。金融緩和や財政出動をすれば世の中よくなるという単純思考に比べてよっぽどチャレンジングなんです。
白井 その反論にたいへん勇気づけられた気がしました。いまや成長主義に固執することこそが反進歩主義にほかならないということですよね。
(構成・文=斎藤哲也)
水野和夫(みずの かずお)
エコノミスト。日本大学国際関係学部教授。1953年、愛知県生まれ。早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミストを経て、内閣府大臣官房審議官(経済財政分析担当)、内閣官房内閣審議官(国家戦略室)を歴任。主な著作に『人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか』(日経ビジネス人文庫)、近著に『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)など。
白井聡(しらい さとし)
政治学者。文化学園大学助教。1977年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。専攻は、社会思想・政治学。著書に『未完のレーニン 〈力〉の思想を読む』(講談社選書メチエ)、『「物質」の蜂起をめざして──レーニン、〈力〉の思想』(作品社)、『永続敗戦論──戦後日本の核心』(太田出版)など。
●水野和夫の『資本主義の終焉と歴史の危機』(740円+税)が集英社新書より3月14日に発売。


04. 2015年1月03日 14:44:07 : qpd25J8Ajs
>03
あなたのコメントは言葉を並べただけで何を言いたいのか意味がよく分かりません。誰でも分かるようにコメントしてください。

05. 2015年1月03日 20:41:24 : Q1AShcAlNU
>03様
目からうろこです。私が知りたかった資本主義の終焉のはじまりについて理解できました。ありがとうございます。最新号の東洋経済で、ジム・ロジャースが語っていることと合わせて納得です。では、我々はどう危機管理をしてよいのが迷っています。政権交代もすぐには実現不可能ですし…。地獄の果てまで安倍政策と付き合わされるのか.。。後は、川の流れに身を任せて考えることを忘れてしまった多くの人たちにも、彼らの言葉で教育していただきたくお願いいたします。

06. 2015年1月04日 01:43:23 : I5qE7QL2ho
日本ではごく一部の人が巨大な資産を持ち
資本主義が成立していない
放置するとスターグフレーションになる
中国も経済的状況だけは同じでチキンレースになっている
どちらが破滅するかは明確である

さようなら日本


07. 佐助 2015年1月04日 06:20:56 : YZ1JBFFO77mpI : 439YTZK3Rc
非科学的になるが80年目の節目に大革新しないと,その時のシステムが自壊するだけのこと

2015年になっても、世界信用縮小恐慌の渦中にあることを認識できないエコノミスト・政治家や経済学者は多い。なぜバブルはバルブが弾けないかぎり見えないのか?

2010年代恐慌は、住宅土地信用縮小恐慌と債券信用縮小恐慌からスタートしいる。 2012年、ついにブラジル・中国・インドの住宅土地バルブが弾け、同時に、欧州各国の債券バブルが弾けた。1930年代の世界信用恐慌は、農業信用縮小恐慌(自作農の破産)と株式信用縮小恐慌(大暴落)からスタートした。従って資本主義は消えることはありません。国土や野原は消えません。これは80年ごとに繰り返す大革新で見えなくしているだけ。自給自足・共存共栄になるのか,戦争に明け暮れる戦国の世になるのか,福祉国家になるのか,弱肉強食国家になるのか,それは政治・経済の指導者と国民次第。これは非科学的なんですが,80年ごとに大革新しないと,社会的・政治的に自壊は避けられなくなる。

ただし国家によって管理されているブラジル・中国・インドの住宅土地バルブは、認可権をもつ官僚と土地会社と投資会社により、汚職まみれになって自壊することはあるでしょう。

社会主義国家ソ連と中国は、一党独裁支配制を採用したため、社会主義国家ソ連と中国は、革命から80 年目に自壊するしした。それは、三世代目になると、革命を直接経験しない世代が多数派となるためだ。彼らは、低生活水準での平等より、自由を求めるため自壊する。社会主義政治制度が、資本主義的経済を採用したとしても、80年後には、政治的自由を求めて民衆は蜂起し、自壊を避けることはできない。

ロシアは、資本主義的民主主義のル一ルを採用すれば、自然に資本主義的自由経済に移行できると錯覚した。そのため、国家の政治的分裂と、多数財閥による経済のマフィア的寡占化を誕生させてしまった。

石油輸出国も、40年目に政治的自由の要求に譲歩し、政治体制を維持するが、戦後80年目の節目には、民衆蜂起によって指導者層は分裂し、自壊することを避けるのは難しい。そして国家は自壊し民族ごとに分割し、連邦制度は崩壊する。

どんな政治体制も経済体制も、個人と企業と国家レベルごとの利己的な行動と思考が不一致になり、矛盾が拡大分裂する。そのため、40 年ごとに改革し、80 年ごとに大革新が必要となる。80 年以上継続した体制は、改革と革新を繰り返し継続してきた。

個人は、国家や企業と互角でなく巨大なハンディキャプをもつ。そのため、近代国家ではストライキ権と選挙権と福祉制度を採用し、40 年ごとに改革して、資本主義制度の存続に成功してきた。だが、ライバルの社会主義国家が自壊すると改革を停滞させている。

資本主義国家でも、官僚支配するビジネスに参加するにはコネと賄賂が絶対必要である。社会主義政治体制は官僚支配なので、どんな開放政策にも認可権がつきまとう。そのため、自由経済システムそのものも腐敗堕落が避けられない。

ナゼ、個人と企業と国家は、それぞれ利己的に行動し思考するのか?そして、個人の心理は、ナゼ愛国心と一体化して、熱狂し暴力を容認してしまうのか?それは、昆虫から人間まで、動物には「縄張り(テレトリー)脳」が、設計されているためである。

人は無条件反射脳と神経回路は、生まれてから死ぬまで、その生命維持のために、性と食のために、敵だけでなく仲間でも縄張り死守のために、暴力と死闘させる。

個人の善/悪の判定規準は、線型脳の縄張りを土台に、自分にとってプラスは善で、マイナスは悪とハッキリしている。企業や国家の正義/不正義・善/悪・味方/敵は、この個人の善/悪の判定規準から連想される。そのために、哲学者カントと孟子は「人間は生れる前から、善悪を判定できる」と考え、ヒトの先天的理性や性善思考もつと主張した。


08. 2015年1月04日 14:54:11 : eQVzWTI8D6
明治カルト維新によって日本は侵略国家になってしまった
さらにこいつらの子孫が資本を牛耳っている
日本を再生するには明治カルト維新の否定からはじめないといけない

09. 2015年1月04日 18:58:00 : RQpv2rjbfs
サッチャーを始めとするネオコンの諸政策は大失敗だったと言いたいのね。私もそう思う。
資本主義が終焉するかといえば、そんなに簡単に終焉するとは思えない、江戸幕府だって300年も続いているし、北朝鮮だって驚くほどしぶとい。

変化には時間が必要だ、そのうちなんとかなるだろう。ヘーゲルいうところの正反合の形態だ、いまはフォースの暗黒面の力が強い、辛抱我慢の時代である、辛抱たまらんが。


10. 2015年1月05日 00:18:27 : Ipgi7lvEiQ

ていうか、黒田総裁アホでしょ?

円安にすれば、輸出で儲かると思っていたみたいだけど、財界に言われていましたよ。「 あんまり円安にすると内需が落ち込むって 」



11. 新鮮組 2015年1月05日 10:58:33 : hYT1ZzdBhtgo2 : ACQlvY2w4o
物価の上昇イコールデフレ脱却は本当に正しいの?
デフレとは需給ギャップの表れでしょ。無理やり物価を上げてデフレ脱却というのは
まやかしでしかない。
日銀や政府はなにか別の目的があるのではないだろうか。例えば日本の赤字国債をチャラにするため「ハイパーインフレ」を起こすこと。

12. 2015年1月05日 17:48:39 : AOMzP28Cu8
いいんでない。私は日本に生まれて日本だけで暮らして50有余年なるマヌケですが、そもそもカネの仕組みは解らないし、解ろうともしていない人間です。
感覚だけで日々の生活をしてきた人間です。でも動物的本能で、カネの仕組みはイカサマとぼんやりと感じてたりもします。そんな私が思うことは、米も日本も破綻すれば良いと思ってるし、借金だって踏み倒せば良いと思っている。先送り的妄想はもう飽きた。

13. 2015年1月05日 19:21:02 : 21CP4EcDYA
<界的な原油価格暴落によってガソリン価格などが下がり、2%の物価上昇は実現していない。おそらく日銀は15年4月にバズーカ第3弾を撃ちますよ。>

ーーーそうゆうことではなく、
2%達成されたら金融緩和を使えなくなる、考えても見なさい、
マイナス金利の緩和は恰好の米国債の原資となるわけで、相手が手放すわけがない、そうでしょう。
だから早急に原油暴落と株価暴落、更には世界不況や、恐慌を用意される、金融緩和に手をつけたら最後こうされる、インフレ達成など無いのだ。ーーーー日銀はそんなことも分からなかった、お粗末千万な官僚達である。

<緩和を続ければ株や土地などの資産価格がバブル化しますが、緩和をやめたとたんに、暴落する。>

マイナス金利で不動産、特に住宅を今買わしておけば、利上げできなくなる、米国債に使えるように相手も先手を打っている、―――不動産を煽ったのはそうゆう事からである。

<バズーカ第3弾を撃ちますよ。それもかなりの規模で、何が何でもさらなる円安に持っていく。日銀自身のメンツがかかっているからです>

こんなイカサマ政策に手を出す幼児集団にこだわる面子など初めからない。
早急に幕を引くことだ。


14. 2015年1月05日 20:39:14 : zyqff5KQXU
アフリカの工業化が終わるまでは一応資本主義は続くだろうね。

15. 2015年1月06日 18:40:56 : EnxZz1U4vd

金融緩和止めさせろ。


16. 2015年1月06日 20:57:51 : 71x16Fjowk
13. 2015年1月05日 19:21:02 : 21CP4EcDYA

2%達成されたら金融緩和を使えなくなる、考えても見なさい、
マイナス金利の緩和は恰好の米国債の原資となるわけで、相手が手放すわけがない >

「2%達成されたら金融緩和を使えなくなる」

目からうろこ、正にずばりですね、之に全てが入っていますね!!
愚直に2%達成に金を使い捲くる日本と、そうさせたくないアメリカですか、うまくいくはずがないですね。

ところで日米同時株価暴落で米国債が急騰です。
おっしゃるとうりのてんかいですね。
日本が金融緩和をしていることが原因ということですね?



17. 2015年1月07日 12:17:45 : fTfDYg8ZGI
今年は日銀が自ら資本主義に幕を引>

資本主義云々の問題ではない、緩和そのものに問題がある。


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