［東京　６日　ロイター］ - 世界的な株安が加速する一方、長期金利が急低下するなど今年のマーケットも年初から波乱の幕開けとなっている。世界景気に対し慎重ムードが広がる中、リスク性資金が巻き戻され、安全資産に逃避する構図は昨年と同じだ。しかし、今年は原油安という懸念材料が新たに加わっている。

原油安は先進国経済にプラスとの見方は多いものの、資源国を「震源地」としたマネー収縮への警戒感は、昨年よりも大きい。

＜資源輸入国のインド株も下落＞

インドの主要株価指数であるＮＳＥ指数.NSEIが６日、一時２％下落した。インドは資源輸入国であり、現在の原油などコモディティ価格の下落は同国経済にメリットをもたらすとみられている。しかし、世界的に広がるリスクオオフの波は、こうしたファンダメンタルズの判断を横に追いやり、「とにかくリスク資産からいったん資金を引き揚げようという動きになっている」（邦銀アナリスト）という。

マクロ系ヘッジファンドなど海外投資家の売りは、日本株にも波及。日経平均.N225は５００円を超える下落となり、約３週間ぶりに１万７０００円の大台を割り込んだ。市場では「先高期待は維持されているものの、昨年１２月の世界的な株価調整の際に、日本では衆院選のイベントがあり、ポジション調整が進まなかった海外投資家の売りが今出ている」（大手証券トレーダー）との声が出ている。

「リスクプレミアムが小さくなっていることで、ヘッジファンドなどは投資規模のボリュームを増やすことでしか収益を稼げなくなっている。それゆえわずかなプライスの変化でも、大損するリスクも同時に大きくなっている」と三井住友銀行シニアグローバルマーケットアナリストの岡川聡氏は警戒する。

リスクオフが拡大する中で、マネーは株式などから「安全資産」にシフト。原油安はドル高要因であるが、円やスイスフランなどが買われ、ドル／円JPY=は一時、１１８円台後半に下落した。日本の１０年債利回りJP10YTN=JBTCは０．３％を割り込み史上最低水準を更新。１０年債利回りは米国で２．０％、ドイツで０．５％を下回るなど各国で急速な低下となっている。

＜米経済に一抹の不安、投資家が過敏に＞

ギリシャのユーロ離脱懸念もリスクオフを促した１つの要因だが、問題自体は昨年末の３回目の選挙で大統領を選出できなかった時点から出ていた。年末年始、株式などリスク資産やユーロは下落したが、大きな調整には至っておらず、足元の直接的な売り材料とは考えにくい。

ここにきて投資家の心理が大きく冷えたのは、原油安をきっかけに米株が大きく下げたためだ。原油安自体はガソリン社会の米経済において大きなプラスになるとみられているが、５日の米株市場ではエネルギー株が大幅安となり、ダウ.DJIが３００ドル以上下落。「世界経済の命綱ともいえる米経済への不安が強まったことが、投資家のリスク回避を加速させた」（国内投信ストラテジスト）という。

７─９月の国内総生産（ＧＤＰ）が年率５％も伸び、盤石に見える米経済だが、これまでエネルギー産業が大きな推進力になってきたことは確かだ。金融危機後、米国の雇用は７％伸びたが、エネルギー関連業界での雇用者数は約５０％増加したといわれる。シェール革命への期待で企業の参入が相次いだからだ。

しかし、昨年後半からの原油安で、原油関連への投資は急ブレーキがかかった。石油・天然ガス生産のリン・エナジー(LINE.O: 株価, 企業情報, レポート)が２０１５年の設備投資予算を５３％減らすなど、石油関連の設備投資は減少する見通しだ。米石油サービス会社ベーカー・ヒューズが５日公表したデータによると、２日までの週の米石油掘削リグ稼働数は、４週連続で減少し、２０１４年３月以来の低水準を記録した。

ＳＭＢＣ日興証券・米国担当シニアエコノミストの丸山義正氏は「原油安による消費刺激効果よりも、石油関連への投資抑制の影響の方が経済には早く出やすい。米経済は今年後半、加速するとみられるが、前半は減速しそうだ。世界で唯一好調ともいえる米経済への一抹の不安がマーケットを過敏にさせている」と指摘する。　

＜昨年並みの調整なら１万５５００円が下値めど＞

日経平均は昨年、大発会から大きく調整し、前年末の１万６２９１円から、２月５日に１万３９９５円を付けるまで、１カ月間で約２３００円下落した。ドル／円も１０５円台から１００円７５銭（２月４日）まで下落。１０年債長期金利は０．７％台から低下し３月に０．５％を付けている。

日経平均は昨年末にすでに下落が始まっていたので、１２月２６日の１万７８１８円を起点とし、昨年初めの下落幅をあてはめると、１万５５００円レベルが下値めどとなる。ドル／円も同じように試算すると１１５円が下値目標だ。

ただ、昨年と違うのは原油安が大きく進んだことだ。米原油先物中心限月CLc1は昨年初の１月４日には１バレル９５ドルのレベルだったが、足元では５０ドルを割り込むまでに急落している。長期的には原油安は世界経済にプラスに働くとしても、先進国の超金融緩和で生み出されたグローバル緩和マネーが収縮すれば、実体経済にも大きな影響を与えかねない。

りそな銀行・総合資金部チーフストラテジストの高梨彰氏は「金融危機を経て、各国中銀などによるセーフティネットが敷かれているため、金融機関が資金繰りに窮する事態は現時点では可能性が低いだろう。ただ、保有している資産が目減りしている段階から、手元資金がなくなった後の『２週目』に入ると信用収縮が起きやすくなるので警戒が必要だ」と述べている。

（伊賀大記　編集：田巻一彦）

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KF0N620150106?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0

　（ブルームバーグ）：東京外国為替市場では、円が一段高。対ドルでは１ドル＝118円台後半まで水準を切り上げた。原油安やギリシャの政局不安を背景にリスク回避の動きに伴う円買い圧力が強まった。

午後３時50分現在のドル・円相場は118円73銭付近で推移。一時は118円66銭と、昨年12月18日以来の水準まで円高が進行した。円は対ユーロで一時１ユーロ＝142円02銭と、昨年11月以来の高値を付けた。

ＩＧ証券の石川順一マーケットアナリストは、「株安になると円高になるというこれまで続いてきたトレンドが2015年も健在」と指摘。その上で、「リスク要因としてのギリシャ総選挙が意識され続けることによって、欧州株安が震源地となって、米株の上値を抑えると言った状況が続いた場合は、１月末までに115円50銭がドルの下値めどとなる」と述べた。

５日の海外市場では、原油安を背景に米株が大幅下落。欧州株はギリシャのユーロ圏離脱懸念も出て大幅安となった。この流れを引き継ぎ、６日の東京株式相場は日経平均株価 が前日終値からの下げ幅が500円を超えて取引を終えた。

ニューヨークのウェスト・テキサス・インターミディエート（ＷＴＩ）原油先物は５日の取引で大幅続落し、一時2009年４月以来で初めて１バレル当たり50ドルを割り込んだ。　

世界景気の減速懸念

ギリシャでは今月25日に総選挙が実施される。サマラス現首相率いる新民主主義党（ＮＤ）は、選挙で勝利し、救済プログラムの審査完了、金融機関と信用枠で合意する方針を示した。一方、野党・急進左派連合（ＳＹＲＩＺＡ）が勝利した場合は、財政再建の行方に不透明感が生じる恐れがあるとみられている。　

三井住友銀行の山下えつ子チーフエコノミスト（ニューヨーク在勤）は、「年末から年始にかけて、特に欧州の方で原油安とギリシャの政局不安というリスク要因が出てきていて、これが全体的に株も押し下げて、為替はリスクオフの円高方向に動いているところが大きい」と指摘した。

今週は６日の米国時間に供給管理協会（ＩＳＭ）が昨年12月の非製造業総合景況指数を発表するほか、７日にユーロ圏で同月の消費者物価指数（ＣＰＩ）、９日には米雇用統計など、主要な経済指標の発表が控えている。

マネースクウェア・ジャパン市場調査部の山岸永幸シニアアナリストは、原油安は需要国にとってはプラスだが、産油国にはコスト割れなどのマイナス面が大きく、世界景気の減速につながりかねないと説明。株式市場ではオイルマネーの逃避懸念もあり、株価のボラティリティが高まる中で、週内に発表される各国指標が期待通りの結果とならなければ、「株安の連鎖が続き、向こう１、２週間で114円台後半までドル安・円高が進む可能性がある」とみる。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NHQ8TR6K50XZ01.html

金融緩和勧めた三橋も相も変わらずし、たり顔で言い訳解説しているぞ！！