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異次元緩和の出口戦略を考える(3)出口が遠い時こそ、真剣に議論するべき 金融緩和の継続には中長期的な副作用も 回復か足踏
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投稿者 蟲 日時 2015 年 1 月 13 日 19:39:45: VXoEun45fU5tI
 


異次元緩和の出口戦略を考える(3)
出口が遠い時こそ、真剣に議論するべき


2015年1月13日(火)  小黒 一正

 ついに新年2015年が明けた。今年の4月4日は、日銀が「量的・質的金融緩和」(QQE)、いわゆる「異次元緩和」を導入した2013年4月4日からちょうど2年となる節目である。残り数カ月で、2%インフレ目標の達成する目途とされた期限が到来する。

 では、2%インフレ目標は期限までに達成できそうか。結論から言えば、昨年(2014年)10月末にQQE第2弾を実施したものの、目標達成は無理そうだ。そもそも、日銀はインフレ目標を「コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)」で設定している。コアCPIの対前年平均伸び率はバブル期(1985〜89年)でも1.2%に過ぎなかった。また、最近の原油価格の下落もあり、総務省が2014年11月下旬に発表した10月のコアCPIは前年同月比で約0.9%でしかなかった(4月の消費増税の影響=約2%=を除いた値)。

 このような現状において、もし日銀が2015年4月4日以降も2%インフレ目標を堅持するならば、当分の間、異次元緩和を継続するはめに陥る可能性が高い。

図表:主要中央銀行の総資産(対GDP)の推移

出所:各中央銀行ホームページ
 その場合、この連載コラムの「『量的緩和』の本質は『国債利払いの抑制』」の回や拙著『財政危機の深層―増税・年金・赤字国債を問う』(NHK出版)でも指摘しているように、日銀の総資産は2016年末にGDP(国内総生産)比80%超に達することが見込まれる(図表)。米国のFRB(連邦準備理事会)や欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)の総資産(GDP比)が20%台の範囲にあることを考えると、これは明らかに異常な規模だ。金融政策の出口戦略を将来、より困難にすることは間違いない。

 インフレ目標を達成しないうちから、「異次元緩和の出口を議論するのは時期尚早」という意見も多い。だが、金融政策の出口戦略は、出口が遠い時こそ、真剣に議論しておいた方がよい。市場が出口を本当に意識し始めると、些細な情報でも市場を動揺させる可能性があるからだ。また、中央銀行は通常、保有資産を売却し、発行した紙幣を回収することでインフレを制御するが、後述するように、金融緩和の出口で失敗し、日銀の損失が累積してバランスシートが毀損すると、1980年代・90年代のアルゼンチンやジャマイカなどが経験したように、中央銀行がインフレを制御できなくなるリスクがある。

 中央銀行のバランスシートが毀損しても、一般会計の財政収支が黒字で財務省がその穴埋めをすることができれば問題ない。けれども、現在のように財政が赤字で、増税や歳出削減が政治的に容易でない場合、財務省が穴埋めすることは不可能となる。このような状況でインフレの制御が難しくなるのは、その穴埋めは究極的には中央銀行が自ら紙幣を発行することでしか処理することができず、それはマネタリーベースの増加を引き起こし、インフレを進行させてしまうからだ。

保有する国債を売却すれば利払い費が急増

 では、日銀が進める異次元緩和に出口はあるのか。これまでの緩和を通じて、マネタリーベースは2014年12月末で約276兆円に達した。このうち日銀当座預金の残高は約178 兆円(うち超過準備は約170兆円)を占める。また、図表から明らかなとおり、仮に日銀が異次元緩和を継続し2016年末時点で膨張したバランスシートを、2013年水準まで回復し、出口に向かうためには、まずは総資産の6割を圧縮する必要がある。

 やや技術的な議論だが、金融政策の出口戦略には概ね4つの方法がある。

 第1は、日銀が抱える長期国債といった資産を売却し、日銀のバランスシートを縮小する方法だ。だが、政府債務(対GDP)が200%を超える今、この方法は、長期金利の上昇(=国債価格の下落)を通じて、国債の利払い費を急増させ、財政を直撃するリスクがある。従って、実施するのは現実的に難しい。

 第2の方法は、「2015年以降も、日銀は国債買取を急にはやめられない」の回でも説明したように、長期国債の買い入れ額を徐々に減少させる方法だ。日銀が長期国債を市場に直接売却するのではないから、長期金利に及ぼす影響を限定的なものにする賢い戦略だ。2006年に量的緩和を解除する際、福井俊彦日銀総裁(当時)はこの方法を選らんだ。しかし、この方法も今回は限界がある。その理由を、試算を通じて簡単に説明してみよう。

 まず、2014年末に日銀が抱える長期国債は約200兆円となった。同年10月末のQQE第2弾で、日銀はグロスで毎月8兆〜12兆円の長期国債を買い入れるとしているので、ここでは、グロスで年間約110兆円の長期国債を買い入れるものとする。この時、グロスで年間約110兆円の長期国債の買い入れ額を毎年10兆円ずつ減少させていくとすると、2015年には約100兆円、2016年には90兆円といった具合に減少していくことになる。

 2015年において日銀が抱える国債の平均残存期間が7年だとすると、1年当たりの償還分は29兆円(200兆円÷7年)に過ぎない。日銀が抱える長期国債はネットで71兆円(100兆円−29兆円)増加し、271兆円(200兆円+71兆円)になる。このような膨張が2016年以降も続き、日銀が抱える長期国債の平均残存期間が7年で変わらない場合、ピーク時の2019年に保有する長期国債は382兆円にも達する可能性がある。日銀は当分の間、バランスシートを縮小させることはできないわけだ。

 なお、日銀が長期国債の買い入れ額を毎年10兆円ではなく、5兆円ずつ減少させていく場合、日銀のバランスシートは急速に膨張していき、ピーク時の2022年に保有する長期国債は473兆円に達する。

 以上のとおり、第2の方法には限界がある。この点は、中曽宏日銀副総裁が2014年7月23日に静岡市内で行なった講演の質疑で、以下のように情報発信している(参考情報)。

 「日本銀行は2006年3月に当時の量的緩和から出口を経験しているという意味で、おそらく先進国の中では、いわゆる非伝統的金融政策からの出口に関する実経験を持っている唯一の中央銀行であると思っています。むろん、2006 年 3 月当時の同じ戦略が『量的・質的金融緩和政策』からの出口で使えるというわけではありません。なぜならば、今回は、日本銀行のバランスシートの規模が格段に大きいですし、日本銀行が保有する資産の残存期間も長いからです」

第3の方法は日銀のBSを傷める

 上記以外の有力な方法が、日銀のバランスシートを縮小せずにインフレの高進を制御しようと試みるもので、第3の方法である「日銀当座預金の付利引き上げ」と、第4の方法である「預金準備率の引き上げ」などがある。だが、これらにも限界がある。順番に説明しよう。

 まず、第3の方法である「日銀当座預金の付利引き上げ」だ。付利とは、必要な準備額を超える日銀当座預金(=先に紹介した超過準備で現在の残高は170兆円)を市中銀行などが保有する時、日銀が利子を付与する(=付利)というもので、2008年10月に導入された。08年12月以降、付利は0.1%となっている。景気が好転し、市中銀行などが企業に対する融資のために超過準備を取り崩そうとしても、日銀当座預金の付利を引き上げることで、それにブレーキがかかる。

 付利の引き上げは、市場金利を引き上げる。市場金利の方が付利よりも低ければ、金融機関が市場での資産運用を減らすはずだからだ。その結果、長期金利も上昇する。これは国債を売却するのと同じ効果を引き起こす可能性がある。

 また、超過準備の取り崩しに対抗するため、引き上げた付利が日銀の保有資産の利回りを超える場合は、日銀に損失が発生する。中央銀行は通常、保有資産を売却し、発行した紙幣を回収することでインフレを制御するが、損失が累積してバランスシートが毀損すると、インフレの制御が困難となる可能性もある。

預金準備率の引き上げは預金者の負担を高める

 次に、第4の方法である「預金準備率の引き上げ」はどうか。対象金融機関は、「準備預金制度に関する法律」(昭和32年法律第135 号)に基づき、その保有する預金などの一定比率以上の金額を日銀に預けることが義務付けられている。この一定比率を「預金準備率」という。2014年12月現在、日銀当座預金約178兆円のうち約8兆円が準備預金となっている。預金準備率を引き上げることで、民間の与信を抑制することができる。

 この方法のメリットは日銀の収益を圧迫することがないことだ。しかし、預金準備率の引き上げが大きいと、超過準備の一部を日銀から引き出すことができない金融機関はその分だけ、収益を獲得する機会を損失するデメリットが存在する。これは、超過準備を持つ金融機関に対する部分的な(日銀当座預金の)預金封鎖に相当し、この機会損失が市中銀行などの預金者に転嫁される場合、それは預金課税と同じ効果を持つ。つまり、その機会損失は国民が「(目に見えない)預金課税」で支払う。

 もっとも、景気が好転した場合に、企業に対する融資を伸ばしたい市中銀行は、国債などの保有資産を売却することで、その原資を確保する可能性も否定できない。その場合、長期金利が急上昇する可能性があり、「緩やかな直接貸し出し規制」が必要になる可能性も出てくる。これは1945〜71年の間、英国のイングランド銀行が実施した手法だ(関連記事:「金融抑圧税」は現代日本で機能するか)

 以上のほか、「日銀の保有国債をゼロクーポン永久債へと転換する」というアイデアもある。かつて英FSA長官を務めたアデール・ターナー氏が2015年1月5日にロイターを通じて発表したものだ。これは奇策で、最終的に日銀のバランスシートを毀損するだけに終わる可能性が高い。

 なお、現実的な対応では、第2から第4の方法を包括的に実行することになると思われる。しかし、これによって、日銀が金融政策を正常化する段階まで到達できるか否かは予測不能だ。

 なお、QQEを継続する中、日銀の自己資本が簡単に吹き飛んでしまう可能性があるとの現実認識も重要だ。もし日銀が長期国債を300兆円以上保有する状況で金利が1%上昇すると、日銀は3兆円のキャピタル・ロスを抱えることになる。日銀の自己資本は約3兆円しかない。

 金融政策の出口戦略は、出口が遠い時こそ、真剣に議論しておいた方がよい。それが後々、役に立つはずだ。

このコラムについて
子供たちにツケを残さないために、いまの僕たちにできること

 この連載コラムは、拙書『2020年、日本が破綻する日』(日経プレミアムシリーズ)をふまえて、 財政・社会保障の再生や今後の成長戦略のあり方について考察していきます。国債の増発によって社会保障費を賄う現状は、ツケを私たちの子供たちに 回しているだけです。子供や孫たちに過剰な負担をかけないためにはどうするべきか? 財政の持続可能性のみでなく、財政負担の世代間公平も視点に入れて分析します。
 また、子供や孫たちに成長の糧を残すためにはどうすべきか、も議論します。
 楽しみにしてください。もちろん、皆様のご意見・ご感想も大歓迎です。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20150108/275951/?ST=print


 

 日本と世界の重要論点2015
【第6回】 2015年1月13日 ダイヤモンド・オンライン編集部
【2015年、日本経済はどうなる?】
金融緩和の継続には中長期的な副作用も
回復か足踏みか、景気シナリオの読み解き方
――山田 久・日本総研調査部長 チーフエコノミストに聞く
金融緩和第二弾、消費税率再引き上げの延期などにより、2015年の日本経済は本格的な回復軌道に乗るのか。それとも、思わぬリスクシナリオがあるのか。山田 久・日本総研調査部長/チーフエコノミストに詳しく聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 編集長・原 英次郎、小尾拓也)

アベノミクス、投資意欲、賃金
2015年、景気回復のキーワード


やまだ・ひさし
1987年京都大学経済学部卒業(2003年法政大学大学院修士課程・経済学修了)。同年 住友銀行(現三井住友銀行)入行、91日本経済研究センター出向、93年より日本総合研究所調査部出向、98年同主任研究員、03年経済研究センター所長、05年マクロ経済研究センター所長、07年主席研究員、11年7月より現職。『雇用再生 戦後最悪の危機からどう脱出するか』(2009年、日本経済新聞出版社)『デフレ反転の成長戦略?「値下げ・賃下げの罠」からどう脱却するか』(2010年、東洋経済新報社)『市場主義3.0?「国家vs国家」を超えれば日本は再生する(2012年、東洋経済新報社)』など著書多数。
――2015年の日本経済の見通しは、どうなっていますか。

 2015年の日本経済は、引き続き回復に向かうと見ています。その理由は第一に、金融緩和第二弾、補正予算、消費税増税の先送りといった安倍政権の経済政策が、少なからぬプラス効果を生むからです。

 第二に、設備投資の堅調さ。足もとの円安で輸出関連を中心に企業業績が回復しており、原油安も企業収益にプラスに働くでしょう。そうしたなか、これまでの設備投資の抑え過ぎの反動と、首都圏を中心とする東京五輪を見据えた再開発案件の需要増により、設備投資への意欲が増して行くと見ています。

 そして第三に、賃金の上昇です。実質賃金の上昇までにはまだ時間がかかりそうですが、昨年から久方ぶりに始まった名目賃金の上昇は、今年も続くでしょう。人手不足感もあって、大企業ばかりでなく中小企業の賃上げ気運も出始めると思います。1990年代後半期以降、企業業績が良くなっても賃金が増えないという状況は変わったと見ています。

――経済の回復ペースは、予想以上に速いのでしょうか。

 回復傾向にはあるものの、ペースはそれほど速くないと見ています。その理由の1つは、円安にもかかわらず輸出があまり伸びていないこと。本来120円を超えて進む円安は、日本経済にとって大きな追い風になりそうですが、長らく続いた円高時代に自動車・電機などの輸出企業が海外生産シフトを進めた結果、従来までに見られたような円安の恩恵が薄れているからです。

 2つ目は、先に述べた人手不足に関する負の影響。全体的に見れば設備投資需要は伸びるでしょうが、人材面のボトルネックにより、建設・不動産などの投資意欲が足踏みをする可能性もあります。

 そうした状況を勘案して、日本総研では2015年度の実質GDPを+1.6%と見ています。2014年度の▲0.7%に対して数字自体は強く見えますが、昨年4月の消費税増税の反動なども織り込んでいるので、その意味では堅い見方となっています。

――なるほど、不確定要素はあるものの、短期的には景気回復基調は揺るがないということですね。では、中長期的な見通しはどうなっていますか。

 前述の金融緩和、補正予算、消費税増税の先送りなどは短期的には経済にとってプラスですが、中長期的に見れば不安要因にもなります。そもそも増税の先送りで財政再建は後退している。また、金融緩和が長引くと副作用も出そうです。

 とりわけ金融緩和の副作用が懸念されるのは、実質金利が上がらないと生産性が低迷するからです。米国でも、実質金利と生産性の伸びはほぼ連動しています。金融緩和を長引かせると、当面は景気の下支えとなりますが、実質金利が下がって儲からない事業を放置する企業が増えることもあり、潜在成長率が下がってしまう可能性があります。結果、実質賃金も増えません。

 日本で金融緩和はもともと1990年代末から続いていますが、だからこそ生産の新陳代謝が行われず、成長率が下がり続けたという言い方もできます。今人手不足が起きている背景には、企業の生産性が落ち、一定量の生産を増やすのに必要な労働量が増えている影響もあります。そして、金利低下は財政規律の弛緩を促すデメリットもある。実は金融緩和の継続は、そうした構造問題を中長期的に生むことにつながります。

期限を切った消費税再引き上げに
向けて「体力」を身に付けるには?

――そうした状況を脱するためには、金融緩和頼みではなく、具体的な成長戦略を早く打ち出し、景気回復を目指すことが重要ですね。

 そうですね。今回消費税率の再引き上げを延期した安倍政権ですが、2017年4月には景気条項を設けずに増税を断行することを、明言しました。私はそれ自体は評価していますが、もう「待った」はありません。あと2年の間に具体的なアクションを起こし、成長戦略をしっかりやれるかどうかによって、増税を乗り切れるかどうかが決まります。

 また、政府は2020年度にプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化させると言っていますが、それには消費税10%ではおぼつかないので、さらなる増税が必要でしょう。将来的にさらなる増税が避けられないなか、増税後の景気下振れ圧力を乗り切る体力を身に付けなくてはいけない。さらにそう考えると、これからの日本は、そもそも景気がよくなくても増税をできる環境をつくって行かなくてはなりません。

――景気がよくなくても増税をできる状況をつくるというのは、なかなか難しそうですね。

 北欧やドイツなどの財政規律がしっかりした国は、過去のケースを見ても、増税による景気の落ち込みがそれほど長く続かない傾向があります。そもそも彼らは景気が悪くても、一度決まった増税を先送りにしたりしない。「増税は自分たちの社会保障を安定させるための措置」という認識を国民が持っているため、増税によって消費を絞ったりしないからです。

 ところが日本は、やるべき増税をやらずに社会保障を先に充実させ、国債の増発によってそれを穴埋めし、将来世代に負担をつけ回してきました。そのため、国民が「税と社会保障の正しい関係」を理解できなくなり、増税に対して不満ばかりを述べるようになっています。これは本末転倒な状況です。

 政府は向こう2年間で、「増税するからこそ社会保障が安定する」という正しい認識を、国民に周知させなくてはいけない。逆に、「増税できないなら社会保障はカットする」という方向性を、きっちり示してもいいと思います。

輸出よりもグローバル展開を促せ
産業構造の変化に対応した成長戦略を

――では、肝心の成長戦略はどう進めればいいでしょうか。

 もともと現在唱えられている成長戦略は、外需主導成長を前提とした、過去の産業構造になお引きずられている印象があります。しかし、前述のような産業構造の変化により、輸出主導の成長は以前ほど望めなくなっています。むしろ、企業のグローバル展開を促し、彼らがそこで得た利益を国内に還元するという、投資型の成長モデルを考える必要があります。

 たとえば、TPPや経済連携協定を加速する、アジアのインフラ整備に日本のODAや民間資金を入れて、アジアで日本企業が展開しやすい土壌をつくる、といった考え方です。そうして海外で稼いだ利益を、環境、医療、介護、健康など、日本の課題となる分野に集中的に投下し、そこで新たなビジネスモデルをつくって行く。そうした分野の「社会的課題解決事業」は、将来アジアでのニーズも高まる。メッセージ性のある成長戦略へと組み直し、成果を出していくためには、そうした発想が必要です。

 また、日本の環境変化に対応した成長戦略へと組み直すことも大事。「地方創生」が叫ばれるなか、地方を主役にした成長戦略も考えるべきでしょう。たとえば、中央に集中しがちな利益を国土全体にまんべんなく行き渡らせるのは難しいので、地方に中核都市を集中的につくり、そこへ人口・労働移動を促す。その中核都市の一部を特区化し、同じく高齢化課題を抱えるアジア諸国のモデルとなるような、医療・介護を低コストで提供できるスマート・シニアタウンをつくるのもいい。

 このように、「社会保障と税の正しい関係を国民に認識させること」「成長戦略の組み直し」の2点に力を入れれば、展望が開けて来ると私は思います。それができないと、実質金利のマイナス持続、産業の新陳代謝の遅滞、潜在成長率の低下、財政悪化という流れから抜け出せない気がする。政権発足後、景気そのものは悪くありませんが、そこに安住せず、将来を見据えた改革がどこまで出て来るかがカギとなります。

円安効果は1ドル=110円台半ばまで
120円を大きく超えるとむしろマイナスに

――2015年の株式・為替市場は、どんな水準で推移すると見ていますか。

 今の日銀の緩和姿勢を考えると、為替は基本的には円安基調が続くでしょう。具体的には、1ドル=120円台前半で推移するというのがメインシナリオです。また、景気が悪くないこと、円安基調、金利上昇が考えにくいことなどの理由から、株価は1万8000〜1万9000円に向けて上がって行くと見ています。

 ただ、社会保障改革や成長戦略が動かないということになれば、リスクシナリオとして上期は株の失望売りが出て来る可能性はあります。

――顕著な円安傾向が進んでいますが、そもそも今の日本にとって、円の理想的な水準はどの程度でしょうか。

 企業収益が増える、株価が上がるといった間接的効果を考えると、円安は1ドル=110円台半ばくらいまでがベターな水準でしょう。これが1ドル=120円を大きく超えると、輸入コストが増加することなどにより、ほぼ100円が平均だった2013年度と比較して、むしろマイナス効果が出てきてしまう。

 また、輸出企業にとって円安はプラスになりますが、いくら所得が増えても支出が増えないと、経済はよくなりません。たとえばカネ余り状態の大企業は、それなりに投資はやっているけれども、やはり内部留保を貯め込みがちな状況が続く。一方で中小も、内需型が多く円安の恩恵を受けないので、おカネが溜まらず支出を増やさない。日本は経常収支が黒字なので、富そのものは円安によって増えていきますが、こうした状況だと、それは必ずしも支出につながって行きません。こうした状況の中でさらに円安が進んでいくと、それはマイナス効果になってしまいます。

もう引き返すことはできない
日銀の「出口戦略」をどうすべき?

――そうした状況下で異次元緩和を続けている日銀も、いずれ出口戦略を考えなくてはいけないときがくるでしょう。金利上昇などによる混乱を招かずにうまくテーパリング(量的金融緩和の縮小)を行うためには、いつからどんな形で出口を模索するのが理想的でしょうか。

 まずやるべきは、「2年間で2%のインフレ」という目標にこだわらず、「近い将来1〜2%のインフレを目指す」というように、インフレ目標を柔軟化させること。そうすれば、今以上に追加緩和を行う必要はなくなります。その代わり、金融緩和ばかりに頼らず、成長戦略をしっかりやって利益を上げ、それが賃金に反映される道筋をつける。一方で、社会保障と消費税の正しい関係を国民に認知させ、財政再建の道筋もつける。そうした土壌が整った上でのテーパリングであれば、多少金利がハネたとしても、日本経済は耐えられるでしょう。

 米国を例にとれば、国債保有残高を増やすのを止めて短期の政策金利を上げる一方、期待で動く長期金利については声明を出したり引っ込めたりしながら、市場に織り込ませる、という方法をとります。日本の場合、ここまで大規模な緩和をやってしまった以上、金融政策を容易にいじれないのはジレンマです。

――ここまでのお話をまとめると、2015年の日本経済は堅調ではあるものの、中長期的なリスクも見据えておかなくてはいけない、といったところでしょうか。

 そうですね。そこを見据えて進まないといけません。繰り返しますが、問題は、政府が2年後の消費税再引き上げを明言してしまった以上、それまでに成長戦略が動き、賃金が上がっていないと、全てのシナリオが崩れてしまうということ。そうなると、「アベノミクスは失敗だった」という評価がなされてしまいます。

 マーケットも、実際には1年ほど前倒しで織り込みを始めるので、現実として安倍政権に残された猶予は、あと1年くらいしかありません。それを見据えて前倒しで政策を仕込んでいかなくてはいけないので、「2015年は結構大変な年」とも言えます。うまく対応できないと、劇薬の副作用は案外大きいかもしれません。

――わかりました。それでは最後に、日本を取り巻く世界経済の見通しを教えてください。

 リーマンショック後の世界経済は、均衡回復を模索している状況にあります。足もとで回復の原動力となっているのは、米国です。米国はリーマンショックでバブルが崩壊した後、異例の量的緩和を続け、すでにテーパリングを終えました。そして、早ければ今春、遅くても秋ころくらいまでには利上げに動くと見られます。

 一方、不動産をはじめとする過剰投資・過剰信用に悩む中国、欧州危機以降経済がデフレと隣り合わせの欧州では、構造調整が続くでしょう。欧州は南欧の調整が道半ばであり、フランスやイタリアなど大国の財政状況も厳しくなっている。ギリシャの政局リスクも無視できません。

 足もとでは、ロシアをはじめとする資源国が原油価格の急落で被る景気下振れリスクも不安要因。ただ、巷間言われているように、ロシアがユーロ建ての借金を返済できなくなり、欧州危機につながるリスクは、向こう1年ではそれほど高くないでしょう。

2015年の世界経済の牽引役は米国
先進国が強く新興国が弱い状況に

 こうしたなか、米国経済が崩れる心配はないものの、かの国の利上げが新興国にもたらす影響は小さくない不安材料となります。ただ、米国はこうした状況を見据えながら利上げを慎重に進めるだろうし、欧州も中国も構造調整は進んでいるので、今年の世界経済は総じて回復基調が続くと見ています。

 ただ、これまでと違う傾向は、先進国と新興国の立場が逆転していること。リーマンショック前までは新興国の成長が著しく先進国は弱含みでしたが、リーマン後は2010年頃から新興国の減速が始まり、米国をはじめ先進国の成長が目立ち始めました。よって、ここ数年は両者の成長率格差が平均的に縮まっている。先進国が強く新興国が弱い状況が、今年も続くでしょう。
http://diamond.jp/articles/-/64855

 

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コメント
 
01. 2015年1月13日 19:49:34 : xEBOc6ttRg

インタビュー:日銀は景気重視を、国債買入増も選択肢=早大教授
2015年 01月 13日 15:31 JST
[東京 13日 ロイター] - 大胆な金融政策を主張するリフレ派の論客で知られる早稲田大学・政治経済学術院の原田泰教授はロイターの取材に応じ、金融政策は景気をよくするのが主眼で、物価目標はあくまで手段であり、現在のように原油安で物価動向が見えにくい局面では、景気をみて政策判断すればよいと指摘した。

景気の現状は、残業代の減少、世界経済減速の兆しなど微妙な局面であり、必要ならば国債買い入れのさらなる増額に踏み切ればよいとした。

9日に行ったインタビューで、原田教授は2%の物価目標について「あくまで国民にわかりやすい指標として採用しているのではないか」と述べ、金融政策は「日本経済の拡大が政策の目的。日本の国富の流出の有無をみるにはGDPデフレータが指標として適切だが、一般的にわかりにくく消費者物価が採用されているのではないか」との見方を示した。

現状は原油価格の急落が消費者物価指数を押し下げつつあり、日銀が目標とする2015年度中の2%物価目標の達成は、事実上難しいとみられている。この点について「2%目標を(2015年度に)達成できなくても良いのではないか。2%程度の(実質)経済成長が続けられるような政策運営が重要」と指摘した。

景気の現状については「微妙な局面」とし、懸念材料として現金給与総額が季節調整済みの前期比でもマイナスとなった点や、原油安の背景にある世界経済の減速懸念を指摘した。

日銀が追加緩和に踏み切る場合の手段としては、引き続き国債買い入れの増額が適切と指摘した。

一方、国債買い入れの増額について「国民の借金を日銀が減らすことだ。誰も困らず公平である」とした。さらに「金融政策には経済を刺激する効果がある。財政政策の効果は小さいから、金融政策のみ実施して、財政発動をしなければ、金融政策の効果で税収が増大し、結果的に財政再建につながる」と主張した。

金融政策を決定する9人の金融政策決定会合に出席するメンバーのうち、今年中に2人が任期を迎える。安倍晋三首相の周辺では女性でリフレ派の経済学者を探す動きもみられる。原田教授は「米国の代表的な金融論の教科書には、金利政策が効かない場合には量的緩和が有効と書かれている。教科書を理解していることが必要だ」との見解を示した。

(竹本能文 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KM0FA20150113

 

視点:消費税16%と歳出削減45兆円のリアリティ=フェルドマン氏
2015年 01月 13日 17:51 JST
ロバート・フェルドマン モルガン・スタンレーMUFG証券 チーフエコノミスト

[東京 13日] - 2015年の日本経済は消費増税の「二日酔い」からさめて回復基調に戻る見通しだが、持続的な成長経路に乗るためには財政の健全化が欠かせないと、モルガン・スタンレーMUFG証券のチーフエコノミスト、ロバート・フェルドマン氏は指摘する。

ただ、その手法は増税、歳出削減、成長力の底上げなど、バランスのとれたものでなければならないと説く。

同氏の見解は以下の通り。

<顕在化し始めた円安効果>

2014年4月以来、2四半期連続でマイナス成長が続いた日本経済だが、ここにきてようやく消費増税の二日酔いから回復し始めている。足元の経済指標は底入れの兆候を示すものが増えており、今後、実質所得は次第に改善し、消費は上向き、企業の設備投資も回復していくことだろう。

先行きの見通しを好転させてくれたのは、他でもない、消費再増税の延期だ。2014年4月の8%への増税第1弾は大方の想定以上に景気を冷え込ませた。10%への増税第2弾を当初予定の2015年10月から17年4月に延期したことは、消費マインドの回復に当面、確実に貢献すると思われる。

また、将来に関して増税一辺倒ではなく、成長力の底上げや歳出削減も進め、よりバランスのとれた経済運営を目指すことが分かった点は高く評価できる。

もう一つの好材料は、政権与党が12月の総選挙に勝利して、アベノミクスに弾みがついたことだ。周知の通り、新成長戦略は昨年6月に閣議決定され、現在、法制化や事業化が進められている状況にある。第3次安倍政権発足後、すぐさま3.5兆円規模の緊急経済対策も決まったが、何より今年は第3の矢(成長戦略)の本格的な実行がいよいよ期待できる点が大きい。

加えて、日銀による異次元金融緩和の長期化が確実になるなか、円安のプラス効果が次第に顕現化している点も好材料だ。秋口以降、輸出額が伸びに転じたほか、自動車や家電などの分野で国内生産比率を高めようという動きが出始めている。さらに、円安を背景に海外から日本を訪れる旅行者(インバウンド観光)が急増している。観光ビジネスの活況は都市部だけでなく、地方も潤わせる。これはアベノミクスが輸出産業以外にも好影響を与える証左だ。

2015年度の実質国内総生産(GDP)成長率は、こうした好材料に加えて昨今の原油安による景気浮揚効果もあり、14年度見込みのマイナス0.9%から大きく改善して、1.4%に達するとみている。生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI、消費増税の影響除く)は、日銀の2%目標には届かないものの、15年度1.1%、16年度1.7%と着実に上昇していくだろう。

原油安はエネルギー関連の品目の価格押し下げ要因だが、日本の実質賃金、企業収益にはプラスに働き、景気にとっては間違いなく追い風だ。極端な原油安となって金融市場や資源国発の世界経済混乱が起こる可能性には留意する必要があるが、現状程度ならば賃金を押し上げ、むしろ中期の国内物価に対しては押し上げ要因として捉えるべきだ。

<「増税=財政再建」は間違った発想>

ただし、中長期で見て、日本経済が持続的成長経路に乗ることができるかは、今後の改革次第だ。規制改革を進めることはもちろんだが、社会保障の持続性をどう確保するかが極めて重要な論点となろう。持続可能な社会保障は、国民の将来不安を解消し、消費にも好影響を与えることが期待できる。財政健全化が成長を促し、成長が財政健全化の進展に寄与するという好循環を作り出す必要がある。

ちなみに、昨年までは「増税=財政再建」が一部の官僚や有識者の通説だったが、増税だけで(特に消費税率の引き上げだけで)財政再建を果たせるとは思えない。

例えば、財政制度等審議会(財務相の諮問機関、以下「財政審」)の試算でも、そのことは明白だ。財政審の長期推計(後述する成長率などを前提としたケース)によれば、消費税が10%になっても、2060年度時点における債務残高対GDP比を現在の200%超から100%まで引き下げて安定化させるには、2020年代前半にGDPの11.94%ポイント相当分の収支改善が必要となる。額にして、およそ60兆円だ。

1%の消費税率引き上げによる税収増効果をやや多めの2.5兆円と見積もり、すべてを消費増税でカバーしようとすれば、さらに24%ポイントの税率引き上げが必要となる。10%への引き上げがこれだけの物議を醸す国で、34%の消費税率は相当ハードルが高いと言えよう。

では、どうすればよいのか。要は、歳入・歳出・成長のバランスだ。成長については後述するとして、仮に60兆円を歳出入改革で全額カバーしなければならないとすれば、増税で25%(15兆円)、歳出削減で75%(45兆円)を賄うというイメージはいかがだろうか。この配分ならば、増税分は消費税一本頼みとしても、税率は16%程度で済む。あと残りの45兆円を歳出改革で実現することになる。

削減対象の最大項目は当然、社会保障費だ。実は日本の非社会保障支出費(公共投資・教育費・防衛費など)の対GDP比は、すでに経済協力開発機構(OECD)加盟国の中ではスイス以外で最少となっている。その一方で、社会保障費は高齢化に伴い年々増え続けており(自然増だけで1兆円規模)、厚生労働省によれば、社会保障給付費総額は2014年度の予算ベースで115兆円に達する。ちなみに、2013年の国民経済計算を基にした私の試算ではもっと多く、ざっと127兆円以上ある。公的部門の歳出総額(連結ベース)は195兆円程度だから、その65%が医療・年金などの社会保障関連ということになる。

実は127兆円の5%(6兆円強)程度を削減することは、細かく積み上げれば、さほど難しくはない。ただ、40兆円以上削るとなると、年金支給開始年齢をさらに引き上げたり、受給資格に所得制限をかけたり、医療費の自己負担比率を上げたりといった痛みを伴う削減は当然必要になる。

こう話すと、非現実的に聞こえるかもしれない。だが、実は国民レベルでも社会保障費の削減は不可欠という意識は高まっているのではないか。私は講演会などの際に出席者にアンケートを取っているが、収支改善幅に占める増税と歳出削減の割合について聞くと、五分五分との回答が最多で、その次に先ほど私が提案した25%対75%との回答が多い。

政府はこの夏に財政健全化計画を提示するというが、歳出削減に切り込んだ分だけ、増税に頼らなくてよいことを国民には知ってもらいたい。

<R&Dと生産性の相関に成長のヒント>

一方、成長の高低によって、税収は当然、変わってくる。財政の安定化へ必要な収支改善幅が前述した60兆円程度で済むためには、実質成長率2%・名目成長率3%程度で推移する必要がある。これに対して、日本の潜在成長率は0%台後半なので、実質成長はよくて1%程度なのではないかとの声がある。しかし私はこの点について、日本にはまだできることが多いと言いたい。

名目成長を引き上げる2%インフレ目標は日銀の仕事であり、前述したように、今後は着実にコアCPIで1%台に乗せてくるとみている。一方、実質成長については、ここに面白い試算がある。2004年から13年までの10年程度の中期的なデータで見て、OECD加盟の先進成熟国(ルクセンブルクなど経済規模の小さい国は除く)では、研究開発費の対GDP比が1%ポイント上昇すると、労働生産性の伸びが約0.4%ポイント上昇している。

この試算が示唆するのは、アベノミクスが2%超の実質成長を実現するためには、マイナス約0.5%の生産年齢人口を補うことも必要で、労働生産性の伸び率を2.5%にしなくてはいけない。単純だが、研究開発費の対GDP比を現在の3.3%から約6.5%にほぼ倍増させなければならないということだ。これは年間約16兆円の追加的な研究開発費に相当する。

膨大な金額だが、決して不可能ではないと私は考えている。例えば、期待できる分野は農業だ。2009年の農地法改正以降、一般企業の農業参入の動きは加速し、農業ファンドも増えている。さらに肝心要の農協改革が進捗すれば、J‐REIT(不動産投資信託)方式の導入など、抜本的な活性化策が期待できる。ここまで進めば、国内外から良質な日本の農業の将来性に賭けたマネーが集まり、研究開発にも弾みがつくはずだ。

もともと日本の創造力は優れているのだから、イノベーションの結果生まれた農業関連製品を市場で売る換金力には期待できる。このように考えると、生産性向上の余地は高いはずだ。

ちなみに、農業に限らず、規制改革を実行する際には、供給力の強化という側面だけにとらわれず、需要の喚起という発想も強く持つべきだ。

例えば、電気自動車や燃料電池車の普及に必要な充電、水素ステーションの整備加速を促すために規制緩和をするのはよいが、それだけで満足してはいけない。充電、水素ステーションが全国各地にできて、電気自動車や燃料電池車の普及が進み、その結果、エネルギー価格が下がり、実質所得の向上を通じて需要サイドにプラスになるとの発想力を持って、政策面でその流れを後押ししていくことが大事だ。

規制改革は、スタートポイントに過ぎない。成長力の底上げという意味で、アベノミクスにできる仕事はまだたくさん残っている。

*ロバート・フェルドマン氏は、モルガン・スタンレーMUFG証券のマネージングディレクター、チーフエコノミスト。国際通貨基金(IMF)、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券などを経て、現職。米マサチューセッツ工科大学(MIT)経済学博士。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KM0E420150113

 


ドイツが14年に財政均衡、目標より1年早く達成
2015年 01月 13日 19:29 JST
[ベルリン 13日 ロイター] - ドイツ財務省は13日、2014年に財政均衡を達成したと明らかにした。政府は2015年の達成を目指していたが、予想を上回る税収などにより1年早く実現させた。財政均衡は1969年以来、約半世紀ぶりとなる。

財務省によると、2014年の税収は2708億ユーロ。14年予算の見込みを約26億ユーロ上回った。

歳出は、低金利による利払い負担の軽減で見込みより10億ユーロ少なくなり2009年以来の低水準となった。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KM0YP20150113


 


アングル:日本株の攻防、海外勢の売り/国内勢の買いが激突
2015年 01月 13日 18:54 JST
[東京 13日 ロイター] - 日本株が荒い値動きを続けている。3連休明けの東京市場で日経平均.N255は原油安によるリスクオフの売りで一時350円を超える下げとなったが、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れなどを背景に、終値は110円安まで値を戻した。海外勢の売りに対して、国内勢の買いが対抗する構図となっている。需給上の攻防も2015年の大きな注目ポイントになりそうだ。

<高水準の投機ポジション>

13日の日経平均は、寄り付きで1月7日以来、3営業日ぶりとなる1万7000円割れとなり、下げ幅を369円安まで広げる場面があった。原油価格が下げ止まらない中で、海外短期筋を中心とするリスク回避の動きが強まったためだ。

BNPパリバ証券・株式・派生商品統括本部長の岡澤恭弥氏は「日本株はグローバルシクリカル(世界の景気敏感株)であるうえ、リクイディティ(流動性)が高いため、リスクオフが強まると真っ先に売られやすい」との見方を示す。

リスクオフの一因となっている原油安は、将来的に国内経済のポジティブ要因になるが、短期的にはヘッジファンドなどのリスク許容量縮小や損失補てんに伴う株売りにつながりやすいという。

米商品先物取引所委員会(CFTC)によれば、ヘッジファンドなど投機筋の動向を表すとされる非商業部門の買い越しポジションは、1月6日時点で4万3297枚となっている。12月30日時点の4万5304枚からは4週ぶりに減少に転じたが、2014年7月以来となる4万枚台を維持したままだ。

「現時点ではポジション調整の範囲内で、積極的に売りに傾いているわけではない」(みずほ証券・マーケットアナリストの楊為舟氏)との声はあるが、原油価格の下げ基調やギリシャの政局不安など外部のリスク要因には事欠かず、昨年末にかけて積み上げた短期筋の買いポジションが解消されれば、日本株は下げピッチを速めかねない。

<黒田バズーカ2帳消しの可能性も>

テクニカルでは目先の下値めどとして、12月17日安値の1万6672円が意識されている。同水準を下回ると12月8日高値(1万8030円)と12月29日高値(1万7914円)のダブルトップを形成し、短期的なピークアウトを示唆するためだ。同水準には75日移動平均線(1万6649円98銭=13日時点)もあり、下値支持線として作用する可能性もある。

一方で、同値水準を下回るとめどがなくなり、売りが加速するとの指摘がある。国内証券の現物株トレーダーは、日本株に対する中長期的に強気な見方は不変としながら「17日安値を下回った場合には、短期的に仕掛け的な売り圧力が増し、黒田バズーカ2以前の水準となる1万5600円近辺まで逆戻りする可能性を頭に入れておいた方がよい」と警戒していた。

<日銀ETF買いを材料に下げ渋り>

ただ、日経平均は後場に下げ幅を縮小。終値では1万7000円台を保った。

日本株の底堅さに寄与したのは、日銀によるETF買い入れ策への期待だ。2兆円を超す東証1部の売買代金に比べて、日銀のETF買い入れ規模は直近で1日あたり341億円と小さいが、「日銀買いをネタに買い戻しが入りやすい」(米系証券トレーダー)という。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など年金勢による国内株式比率引き上げも支援材料だ。

1日当たりの買いの規模は小さいとしても、年間を通じて買い切る主体が存在するというアナウンスメント効果は小さくない。

日銀は昨年10月31日に決定した追加金融緩和策で、ETFを2015年に3兆円購入することを決定した。2014年の日本株の最大の買い手は信託銀行を通じた国内年金の買いだったが、その規模は2.6兆円(現物株と先物の合計)。今年、日銀はそれを超えるETF買いを実施する予定だ。そこにGPIFなどの買いが加わる。市場では「おいそれと売り向かうわけにはいかない」(外資系証券トレーダー)との声も多い。

大和証券によれば、13日時点の東証1部の12カ月先予想PERは13.8倍と、米国の同16.4倍や世界平均の同14.8倍に比べて低い。「今月下旬から始まる企業決算では外需中心に好調が見込まれ、東証1部のPER14倍以下は強気スタンス」(大和証券・シニアクオンツアナリストの鈴木政博氏)という。海外株と比較した日本株の割安感も強まっている。

海外勢の売りと国内勢の買いの攻防が、日本株の需給をめぐる大きな焦点となってきそうだ。

(杉山容俊 編集:伊賀大記)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KM0W020150113
 


http://diamond.jp/articles/-/64923
【第6回】 2015年1月13日 ダイヤモンド・オンライン編集部
円安・株高、財政サポート、原油価格下落によって2015年の日本経済は予想以上の底上げ―高田 創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト
後世の日本人が振り返ると、2014年は日本の歴史の転換点だったと評されるかもしれない。7月には、安倍政権が集団的自衛権行使容認の閣議決定を行った。どのような限定をつけようとも、外国で戦争する権利を認めたことに間違いはない。経済面では順調に見えた「アベノミクス」が4月の消費増税で腰折れし、結局、15年10月からの再増税を1年半先延ばしする決断をして、12月の総選挙になだれ込んだ。結果は、与党である自民・公明両党が圧勝し、アベノミクスを信認した形となった。
さて、来る15年は戦後70年の節目でもある。増税再々延期という選択肢を断ったアベノミクスはまさに正念場を迎える。集団的自衛権ではいよいよ関連法の改正が行われ、具体的な姿が浮かび上がってくるはずだ。わが国のエネルギー構成をどうするかも決めなければならない。安倍・習会談で関係改善の糸口をつかんだ日中関係はどうなるのか。世界情勢を見れば、原油価格の暴落が暗い影を投げかけている。平和でやさしいイメージの未(羊)年とは打って変わって、課題山積。そこで著名な経営者、識者の方々にアンケートをお願いし、新年を予想する上で、キーとなる5つのポイントを挙げてもらった。第6回は、高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミストの見通しをお伝えする。
たかた・はじめ
みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長 チーフエコノミスト。1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、11年執行役員、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書多数
(1)トリプルメリット
 @融緩和による円安・株高、A財政サポート、消費増税延期と補正予算での財政拡張、B原油価格下落、の3要因(トリプルメリット)によって2015年に向けて日本経済は予想以上の底上げが働くと展望。2015年度の成長率は2.4%を見込む。今から30年前、1985年の円高不況後に改善が生じた局面と類似した環境に。
(2)新たな「財テク」時代
 今日、日本の上場企業の約半分が実質無借金になるまで債務圧縮のリストラを行いキャッシュを溜め込む状況にある。2015年の課題は日本企業がそうしたキャッシュを少しでも活用し、多様な投資に振り向けるかが問われる状況。1980年代との投機的な「財テク」とは異なる形態ながらも新たな資産の活用としての「新財テク」時代を期待。
(3)経済のグローバル化のなか国際政治の分断化
 世界の経済については一層、グローバル化が進む。一方、「世界の警察官」である米国がオバマ政権の弱体化のなかで内向きに向かうなか、国際政治・外交面では分断化が生じやすい経済と国際政治の乖離状況。こうした環境下、勢力の「空白」から世界的な地政学的変動が各地で生じやすい状況にある。
(4)ニューアブノーマルで金利機能喪失、麻酔状態、債券市場の死
 今日、世界的に大恐慌以来ともいえるバランスシート調整からの出口を迎える段階にある。ただし、そこで起こりうる新たな状況は依然として世界の中央銀行が超金融緩和を続ける状況であり、それは従来とは異なる状況への回帰、「ニューノーマル」というよりも、誰もが体験したことにない「ニューアブノーマル」の状況とも言える。
 日本においては、日銀の大量の国債購入で金利機能が喪失した債券市場の「麻酔状態化」、「債券市場の死」。「麻酔」がかかった極端な低金利のうちに円安・株高を導いて企業活動を蘇生できるかが問われる。「麻酔」がかかったあいだに、多方面の経済構造を変える「手術」を行う猶予期間の位置づけ。
(5)最後の猶予期間は不退転に
 2015年は2010年代後半に向かい、2020年の東京五輪などのある節目に向かう大きな分岐点。日本は2020年代以降、本格的な人口減少社会に入る中、日本が対応を行うまでの最後の猶予期間との認識。同時に、金融市場が「麻酔」に麻酔をかけ超低金利の官制相場にしている「猶予期間」なかで財政再建も含めた正常化への指針が問われている。
 今や日本は「麻酔」をかけて、しかも一度「手術」を行いだしてしまった以上、元には戻れない不退転の気合でアベノミクスを続けざるを得ない。


小宮一慶の「スイスイわかる経済!“数字力”トレーニング」

2015年の日本経済はどうなる?
• 2015.01.09コメント(3件)
 新しい年を迎え、2015年となりました。本年もよろしくお願いいたします。
今回は、2014年を振り返りながら、2015年の日本経済について考えてみたいと思います。
年初から株価が大きく下げるなど不安定な動きをしていますが、私は、今年の日本経済は緩やかではあるものの、回復すると考えています。ただし、円安や一方では原油安などの不確定要因ありますので、今年の予測は非常に難しいと感じます。
 もちろん、欧州経済の不安定さや米国の利上げ予測など世界経済の動きにも大きく影響されますので、国内の指標だけでなく、海外の指標にも注意することが肝要です(世界経済の予測は、次回行います)。
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国内景気の底は昨年8月だった
 2014年の国内景気を振り返りますと、7-9月期に底を打ったのではないかと感じます。まずはGDPの推移を見てください。

 実質成長率は、4-6月期は実質年率6.7%減、7-9月期は同1.9%減(ともに前四半期比)と、消費税増税の影響が大きく、2四半期連続のマイナスとなっています。
 また、国内製造業の生産状況を示す「鉱工業指数 生産指数」は、集中豪雨などの悪天候の影響もあり8月に95.2まで落ち込み、9月は98.0、10月は98.4と少し上向いてきている様子が分かります。ただ、11月は97.8(※速報値)と若干減少していますので、底を打ったと考えられるものの日本経済はそれほど強いわけではなく、今後の動きに注意が必要です。
 製造業の生産設備がどれだけ稼働しているかを示す「稼働率指数製造工業」を見ても、やはり8月が最も低く、96.4となっていますね。その後は少しずつ改善してきています。
 7-9月期の実質成長率がマイナスだった大きな要因に、消費税増税の影響とともに、少し技術的ですが、在庫の減少があります。在庫の減少は、GDPを算出する際、数字を押し下げる働きをします。GDPは付加価値の生産ベースで見ますから、これとは逆に、売れなくて在庫が積み上がったとしても、生産が増えていればGDPは押し上げられるのです。
 このように、9月以降は在庫調整が、十分ではありませんがある程度進んで、生産が増えつつあることを考えますと、8月が景気の底だったのではないかと考えられます。
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今後はごく緩やかな回復基調へ ただし、力強さは欠ける
 景気が底を打って緩やかに回復しつつあることは喜ばしいことですが、力強さはありません。

 「製品在庫率指数」を見ますと、確かに10月にかけて少し在庫調整が進んだようですが、11月は116.8(※速報値)まで上昇しています。「製品在庫率指数」は出荷に対する在庫の割合を示しており、在庫の調整が一進一退だということが言えます。今後、在庫が積み上がれば、企業は在庫を減らすために生産を落とす可能性がありますが、今のところはその判断は難しいところです。
 企業の設備投資の目安となる「機械受注」も、前年比で見た場合、増加と減少が繰り返されている状況です。企業は景気の先行きを慎重に見ており、設備投資額を昨年と比べあまり増加させない様子が窺えます。
 最も懸念しているのは、現金給与総額の伸びが予想以上に小さいということです。

 10月の現金給与総額は、速報値では前年比0.5%増加でしたが、改定値では同0.2%まで減少しました。さらに11月は同マイナス1.5%(※速報値)と、大幅に落ち込んでいます。
 おそらく12月の賞与は増えていると思いますので、ここで一時的に増加するとは思いますが、所定内給与(基本給)と所定内給与(残業代)については、思ったほど伸びていないのです。
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景気に力強さはない
 続いて、消費者物価指数を見ますと、11月は前年比2.7%です。前月より微減していますが、これは原油価格の急落によって、ガソリンや灯油の価格上昇率が縮小しているからです。
 原油価格は今も下落し続けていますから、これが今後、どれほど消費者物価に影響を及ぼすのかという点にも注意してください。ただし一方で、円安が1ドル=119円台(1月6日現在)まで進んでいますから、その部分は輸入物価、消費者物価を押し上げます。すでに一部の食料品などは値上げを余儀なくされています。

 いずれにしても、給与の伸びが消費者物価の伸びに追いついていないわけですから、実質所得が減少していることには変わりありません。政府が、賃上げに執拗にこだわっているのはこのためです。
 次に、GDPの約6割を支える「消費支出2人以上世帯」を見てください。消費増税が行われた昨年4月以降、ずっと前年比マイナスが続いています。実質所得の減少がここにダイレクトに現れているのです。
 以上の主要な指標が微妙な動きをしていることから、景気は昨年夏に一旦底を打ったと考えられるものの、力強さがないと感じるのです。


次ページ:円安と原油価格の下落は好材料となるか?
円安と原油価格の下落は好材料となるか?
 今年の景気を考える時、不確定要因が2つあります。1つは、原油価格の下落がいつまで続くかということです。原油価格が下落すれば、その分、ガソリン価格や電気料金も下落します。発電や都市ガスの燃料となる液化天然ガス(LNG)の価格は、原油価格ベースで算出されますので、原油価格が下がればLNGの価格も下落します。
 ただ、原油やLNGは、輸入と決済との間でタイムラグがありますから、ガソリン価格や一部地域の電気料金は、今後もしばらく下落が続くかと思われます。
 もう1つは、円安がどこまで進むかという点です。今のところ、世界的な株価の下落を受け、避難通貨として円が買われて1ドル=119円台(1月6日現在)まで戻しました。それが再び円安に転じるのか、そしてどこまで進むのかというところに注意が必要です。
 このコラムでは何度か説明していますが、私は中長期的には円安ドル高が進むと考えています。ただ、短期的な視点で見ると少し話が複雑です。
 米国経済については次回詳しく説明しますが、今、同国の景気は好調に推移しているだけでなく、消費者物価の上昇も落ち着いています。このような状況ですと、イエレンFRB議長は短期金利を上げるタイミングについて、少し余裕を持つことができますから、日米金利差が実際に拡大するまでは少し時間があり、金利上げの時期がある程度明確になるまでは、しばらく円安が少し進みにくくなる可能性があるのです。
 私の感覚では、ドル/円レートは現在の1ドル=120円前後の水準で落ち着いて欲しいと考えています。これよりも少し円安が進んでしまいますと、輸入物価が上がり始める恐れがあるからです。
 それは、期待インフレ率を維持するという意味(こちらを参照)では良いことかもしれませんが、そもそも、輸入物価の上昇によって消費者物価が押し上げられることは、コストプッシュ型の悪いインフレです。当然、国民の生活に直接悪影響を与える恐れがあります。
 一方、原油価格下落は、先にも説明したように、実質賃金の減少が長引く国民生活には朗報ですが、期待インフレ率という点ではマイナス効果となり、またまたデフレ懸念が出てくる可能性もあります。
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貿易収支がどう変わってくるかにも注意
 円安と関連して、貿易収支がどのように変わってくるかにも注意が必要です。円安は輸出に有利に働きますが、輸入価格を押し上げてしまいます。しかし、今は原油価格が急落していますので、円安が進んでいてもLNGなどのエネルギー資源価格は抑えられています。
 「円安」と「原油価格の下落」という綱引きによって、輸入額全体が減るのか減らないのか。一方、輸出価格は円換算で増える可能性がありますから、トータルで貿易収支がどれだけ改善するのかという点にも注目です。

 ベストシナリオは、輸入物価がそれほど上がらず、賃金が増えて、需要が増加していくという流れです。いかにしてこの方向に持って行けるのか。その点を考えますと、今年もアベノミクスの真価が問われる年になるでしょう。
 今は原油価格が安いですから、何とか円安とのバランスが取れています。もし、原油価格が元の水準であれば、ガソリン価格も1リットル200円に近づいていたかもしれません。さらには賃金が予想以上に伸びていないわけですから、国民の生活が非常に苦しくなっていたかもしれないのです。
 この点を考えますと、原油価格やドル−円レートにもよりますが、下手をすると、今年後半には景気が失速し始める可能性もあります。
 景気が失速しはじめたり、期待インフレ率が低下したりするようなことがあれば、日銀はまた手を打たざるを得なくなります。しかし、3発目の"バズーカ砲"を撃つのは、非常に難しいでしょう。
 何度も説明していますが、異次元緩和はあまり効果がないばかりか、リスクをより大きくしているだけだと思うからです。2度目の異次元緩和を行った時、日銀の政策審議委員9人のうち4人が反対したのも、この理由からでした。つまり、日銀はもう打つ手がほとんど残されていないのです。
次ページ:2015年はアベノミクスの真価が問われる
2015年はアベノミクスの真価が問われる
 安倍政権としては、「経済最優先」と言っていますが、具体的に何をするのでしょうか。12月27日に、3.5兆円の緊急経済対策を閣議決定しましたが、これは短期的なカンフル剤でしかありません。今後、地方創生事業や公共事業を行うにしても、裏付けは財政赤字です。
 結局は、本格的な成長戦略しかありません。成長戦略はすぐに効果が出るものではありませんが、安倍政権が発足してから2年が経過しているわけです。安定した政権基盤を与えられているので、経済の足腰を強くするためにさらに強く動くべきではないでしょうか。
 いくら金融緩和を行い、公共事業を増やしても、一時的な景気浮揚効果しかありません。国民一人ひとりが豊かになりつつあることを実感しない限り、消費が継続的に増えることはないのです。そのためには、規制緩和や有望産業への集中投資、あるいはさらなる法人税減税など、中長期的に経済を成長させるための戦略が必要だということを私たちは認識すべきです。(つづく)
小宮一慶(こみや・かずよし)
経営コンサルタント。小宮コンサルタンツ代表。十数社の非常勤取締役や監査役も務める。1957年、大阪府堺市生まれ。81年京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、米国ダートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。主な著書に、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』『ビジネスマンのための「数字力」養成講座』(以上、ディスカバー21)、『日経新聞の「本当の読み方」がわかる本』、『日経新聞の数字がわかる本』(日経BP社)他多数。最新刊『ハニカム式 日経新聞1週間ワークブック』(日経BP社)――絶賛発売中!
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皆様からお寄せいただいたご意見(3件)
1. 世界のグローバル化と共に先進国諸国では所得格差が拡大している
これは各国各種の優遇策により一部大企業(富裕層個人)がより多くの資本を手にしてたとしても、グローバル化により自分の国内経済・地域経済に還元していないからではないかと考える。
フランスで増税策をピケティが唱えたところで、実際には重い税を避けるために国外に移り住む富裕層が相次ぎ結局廃案となってしまった。(グローバル化が進んでいなければここまではなっていなかっただろう)
そういった事もあり「反グローバリズム派は国内経済・地域経済の自律性を確保すべき」と主張しています。
何故北欧諸国が高税率にも拘らず幸福度及び一人当たりのGDPが高いのかは、富の再分配システムが構築されているという要因が少なからず影響しているからだろう。
結局、富の再分配システムが再構築されない限り、いくら国全体のGDPを上げたところで富は集中(いわゆる既得権益と言われるもの)してしまい、国民一人ひとりが豊かになりつつあることを実感することは困難と考える。
解決の為には、「地域経済の自律性が確保された社会」や「若者・高齢者に関わらず努力が報われる社会」など地方にとってどれがベターなのか切磋琢磨できる環境を構築することが必要(価値観の多様性)
日本のスポーツ界の推移を見ても明らかで、戦後の「野球」から東京五輪後の「バレー」・サッカー・スケート・テニスと様々な方々の尽力により多様化することによって拡大した
地域経済も同じで、自治体独自の知恵と工夫で海外と直接対話が出来たって良いではないか。成熟した社会がこれからも成長するには、既存の中途半端な経済政策ではなく、各個人・各企業・各自治体の知恵と工夫が発揮できる環境作りではないか?(規制緩和・地方分権・道州制など) (そうりゅう) (2015年01月09日 21:07)
2. この1年間の日本経済に影響する内外の変化を拾えば、影響の大きい順に、原油価格低下、日銀金融緩和、一層の円安、消費税増税であろうか。小宮様もおおむねこれらの影響を述べられているが定量的指摘はないので、私は発表されている最新の2013年統計値を基に影響を概算した。為替レートも原油価格も数十%の大きな変化だから、前年同月比で追う小宮先生の定例的手法ではなく、総額の大きな変動の略算で十分だろう。
2464億ドルだった原油LNGの輸入額は、単価半減で1200億ドル約14兆円減少する。輸入8332億ドル・輸出7151億ドルは、為替レート1ドル100円から120円への変化で、輸入品は大凡17兆円値上がり・輸出品売上は14兆円増加する。
ある投稿では、黒田総裁の金融緩和は「消費者にインフレマインドが芽生えて物価が上昇しても消費は増え続け、内需企業の売上が増えて賃金に反映されるという内需の好循環が起きる」が狙いと書かれているが、このロジックは国際社会から為替操作と非難されない口実で、実際は「円安による輸出競争力回復」が本音だと裏を読む賢さが必要だ。
円安による輸入品価格高騰は、原油価格値下がりによるエネルギー輸入額減少で大凡キャンセルされ、日本の富はおおよそ1年で11兆円、消費税3%増税の負担増3兆円の4倍近い巨額増加だ。円安誘導の狙いは当たり、原油価格低落の追い風も加わって日本の富をこの1年で約10兆円も増やした。富の増加が貯蓄に回って未だ消費が増えないが、全体として日本経済活性化は当然と判る。
四半世紀も停滞した日本経済を立て直すには、抜本的な体質改善が必要で、一桁の具体策位では上向かない。政府は、2014年12月27日発表の27年度予算編成の基本方針で、たくさんの抜本的方針転換を示している、国民も評論家も漠然とした議論をする時期ではない。この予算編成方針を紐解いて成長戦略を議論したら如何であろう。 (富士 望) (2015年01月09日 20:00)
3. どう数字を見てもリフレ政策は詰んだとしか思えませんが、黒田総裁は白旗を上げるのか、それとも更なる冒険に踏み出すのか、審議委員は黒田総裁に追従するのか反抗するのかなど日銀の金融政策の行方には興味が尽きません。
一方政府側は、元々1年や2年で結果を出そうというのが無理筋だったので、こちらも白旗を挙げて10年後を見据えた政策をやってくれればいいのですが、企業への賃上げ要請だの内部留保取り崩し要請だの地方への本社移転要請だの本質からずれた事ばかりやっていて、現実逃避に拍車がかかっているように見えます。
かといって代替政治勢力もなく、このまま失われた30年を過ぎて40年目も視界に入ってきたかなと感じます。 (エンジニア) (2015年01月09日 12:38)

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20150108/431083/?P=7

 
14年は国内年金勢が日本株最大の買い手、外国人買い95%減
2015年 01月 13日 14:36 JST
[東京 9日 ロイター] - 2014年の日本株式市場で、年金資金のフローを表すとされる信託銀行の買い越し額が年間で2兆円を超え、最大の買い手となった。安倍晋三政権下で国内年金による日本株比率の引き上げが進むなか、信託銀行を通じた資金流入が強まった。

一方、海外投資家の買い越し額は1兆円に満たず、15兆円買い越した13年から95%減少。個人投資家は3兆円超の売り越しとなった。

<年金の国内株引き上げが寄与>

東京証券取引所と大阪取引所が9日に発表した14年の投資部門別売買状況によれば、信託銀行による日本株の現物と先物合計の売買は、2兆6708億円の買い越しとなった。13年には3兆5635億円の売り越しと個人投資家に次ぐ2番目の売り手だったが、14年は一転買い越しとなった。買い越しは3年ぶり。

信託銀行の売買動向は、その大部分を年金資金が占めるとされる。10月末には年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用資産における国内株式の割合を12%から25%に引き上げており、今年10月に一元化が予定されている3共済とともに年金資金が流入したとみられている。かんぽ生命保険による株買い増しも寄与した。

野村証券・ストラテジストの柚木純氏は「15年も引き続き信託銀行が日本株の買い手を担う」とみる。野村証券の試算では、GPIFと3共済の資産ポートフォリオ変更に伴う日本株の買い需要は約13兆円。すべてが15年に流入するわけではないが、「14年と同規模以上の買い越しが見込める」(柚木氏)との見方を示す。

<海外勢は買い鈍化、個人は売り継続>

一方、13年に15兆円以上の買い越しとなった海外投資家は、14年には6967億円の買い越しにとどまった。米量的緩和の縮小(テーパリング)に加え、ウクライナ危機や米国によるイラク空爆、エボラ出血熱の感染拡大などがリスク許容度の低下を招いた。4月の消費増税に伴う国内景気の低迷も、買い手控えにつながった。

ドル建ての日経平均の年間パフォーマンスが13年末比5.7%減とさえなかったことも、海外投資家による日本株買いを鈍らせた。

個人投資家は、年間で3兆6337億円の売り越し。規模は13年の8兆4291億円から大幅に縮小したものの、14年の最大の売り手となった。投資信託も売り越しに転じた。「NISA(少額投資非課税制度)の開始によるプラス寄与よりも、たび重なる日本株の急落が、個人投資家の警戒姿勢につながった」と大和証券・投資戦略部マーケットアナリストの熊澤伸悟氏は分析した。

現物の株式委託取引に占めるシェアは、海外投資家が63.8%(13年は58.1%)、個人は26.4%(同32.1%)、信託銀行は3.8%(同3.5%)だった。

*見出しを修正して再送します。

(杉山容俊 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KI0NM20150113

 

欧州とドル高見通し、米国にリスク=バーナンキ前FRB議長
2015年 01月 13日 09:51 JST
[12日 ロイター] - バーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長は12日、欧州経済の弱さが大きな懸念材料として浮上していると指摘。ドル高見通しも米輸出企業にとってリスクになるとの見解を示した。

小売業界幹部の年次会議で講演した。

バーナンキ氏は、労働市場や製造業、消費者信頼感の改善を背景に米経済は金融危機以降、最も力強く回復しているとみられると述べた。

その上で、欧州の景気悪化リスクがあると指摘。この問題自体が米経済の回復を妨げるとは考えていないとしながらも懸念を表明。

小売業界のロビー団体、全米小売業協会(NRF)の取締役会会長、スティーブン・サドーブ氏からの質問に対し、「私が最も懸念している市場は欧州、ユーロ圏だ。これらの国は景気回復を支援するのに必要な措置を取れていない」と述べた。

バーナンキ氏は「政治的・法的な抵抗」が、欧州の中央銀行による一段と積極的な金融政策を妨げているとし、欧州のインフレは2%前後という目標に対し、約0.5%にとどまっていると指摘。

「現在、欧州の状況は非常に弱く、デフレ圏にかなり近い。これがわれわれにとって最大の貿易パートナーの現状だ」と述べた。

また、米経済が回復するなか、欧州の金融政策は長期間にわたって緩和的にとどまる見通しで、日本も積極的な金融緩和を実施していると指摘。これを踏まえると「ドル相場のかなりの上昇が見込まれる」と語った。

ただ、こうした状況を受けたドルの上昇は「すでに起きており、必ずしもこれまでのような上昇ペースが続くとは限らない」と付け加えた。

その上で、ドルが上昇すれば、米輸出業者や海外に子会社を持つ米企業はドル高に対処しなければならなくなり、米国にとってややリスクとなるとの見方を示した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KM02820150113


http://diamond.jp/articles/-/64959
【第185回】 2015年1月13日 週刊ダイヤモンド編集部
原油安とギリシャ情勢で乱高下するマーケットの前途
年明け早々、マーケットが荒れている。昨年秋以降、歯止めがかからない原油価格の下落と、政治の混乱から再び迷走しているギリシャ情勢を背景に、日本、米国、欧州の主要マーケットで株価が乱高下しているのだ。方向感が定まらないマーケットはどこに向かうのか。どんなリスクを抱えているのか。行方を占った。
 未年の2015年、マーケットはヒツジのようにおとなしくとはいかないかもしれない。年明けの日経平均株価は、次のグラフのように、2日目から1万7000円を割り込む波乱の幕開けとなった。
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 いきなりマーケットが荒れている要因は二つある。原油安とギリシャ情勢だ。先行きの不透明さが増したことで、投資家がリスクの高い資産(株式や新興国通貨など)を売ってリスクの低い資産(国債や基軸通貨のドルなど)を買う「リスクオフ」に走っている。
 一つ目の要因である原油価格の下落は、本来なら企業や家計にとって歓迎すべきものであり、景気にはプラスのはずだ。リスクオフではなく、リスクの高い資産に投資する「リスクオン」になってもおかしくない。だが実際には逆に動いている。原油安の負の側面をマーケットが警戒しているからだ。
 次のグラフのように、昨年夏ごろまで1バレル=100ドルの水準にあった原油価格(WTI)は秋以降下落し、ついに今年の1月7日には同47ドルと半値以下にまで下がった。中国など新興国経済の低迷で原油の需要が強くない一方、米国のシェールオイルの供給量は増えている。しかも石油輸出国機構(OPEC)は昨年11月27日の総会において減産しないことを表明したため、原油価格の下落に歯止めがかからなくなったのだ。
拡大画像表示
 急激な原油安は一部産油国に打撃を与えている。原油価格が採算ラインを割り込んでいるベネズエラでは、5年物のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS。債務不履行が起きた場合にお金が支払われる金融派生商品)の保証料率が昨年末に4000ベーシスポイントを超え、かつての欧州危機時のギリシャ並みの水準に達している。
 また、ロシアやメキシコ、マレーシアなどの資源国通貨が下落しており、株価も下がっている。
 さらに米国でも、エネルギー関連企業の株価が業績悪化懸念から下落している。1月5日、石油元売りのシェブロンは前日比4%、エクソン・モービルが3%、エネルギー関連建機の売上構成比が2割のキャタピラーも5%下落した。
 現在は原油安の負の側面に警戒するマーケットも、いずれはリスクオンに転じるという見方もあるが、先行きは不透明だ。
大統領候補が決まらず、総選挙に踏み切ったギリシャのサマラス首相。反緊縮財政を掲げる野党のSyrizaが優勢とみられ、政治混乱は続く Photo:AP/アフロ
 マーケットが荒れているもう一つの要因がギリシャ情勢だ。昨年12月、任期満了に伴い大統領選挙が実施されたが、連立与党が推す候補が必要な賛成票を確保できず、1月25日に総選挙が実施されることとなった。現時点では緊縮財政に反対する野党の急進左派連合(Syriza)が優勢で、このままいけば第1党となる可能性が高い。仮にSyriza主導の政権が誕生すれば、欧州連合(EU)に対して債務減免などを求めることは確実だ。交渉の結果次第では、ギリシャのユーロ離脱というシナリオもあり得る。
 ただ、ギリシャにとってユーロからの離脱は自国通貨ドラクマの暴落などダメージの方が大きい。ドイツのメルケル首相は、ドイツの経済誌を通じて「緊縮財政を放棄すればユーロ離脱は不可避」と発言、ギリシャをけん制している。
 もしもギリシャがユーロから離脱した場合、スペインなど他の重債務国への波及も懸念材料となる。
新たなかく乱要因
米国利上げの後ろ倒し観測
 リスクは他にもある。Syrizaが第1党となった場合、第1党のボーナス議席50議席を足し合わせたとしても過半数に達する可能性は低く、連立協議が必要となる。だが、12年の総選挙では連立協議がまとまらず、翌月に再選挙が行われて現行の中道右派と中道左派の連立政権が誕生した経緯があり、協議は難航必至だ。
「政治空白は、EUなどとの支援プログラム協議の遅れにつながり、金融市場に混乱を引き起こしかねない」(田中理・第一生命経済研究所主席エコノミスト)
 ただし、12年のときのようなギリシャ危機の再燃を予想する向きは少ない。「財政健全化が進んできた上、欧州安定メカニズム(ESM)などの危機への受け皿ができている」(伊藤さゆり・ニッセイ基礎研究所上席研究員)ためだ。
 もう一つ15年のマーケットのかく乱要因となりそうなのが米国の利上げのタイミングだ。原油安でインフレ率が低迷する中、有力視されている今年6月前後の利上げが予定通り行われるのか。マーケットでは年末まで後ろ倒しされるとの見方も出てきている。そうなれば、利上げを織り込んで買い進まれてきたドルが急落し、マーケットが混乱する可能性もある。
 原稿執筆時点(1月8日)では、日米共にマーケットは上昇に転じてはいるが、膠着が続いた午年とは対照的に、未年はボラティリティ(価格変動率)が大きな年になりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)


国債購入に関するECB協議、かなり進んだ段階=クーレ専務理事
2015年 01月 13日 18:47 JST
[フランクフルト 13日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は、13日付の独紙ウェルトに掲載されたインタビューで、国債買い入れプログラムに着手するかどうかの協議がかなり進んだ段階にあり、1月22日の理事会で決定する可能性があると述べた。

また、25日に行われるギリシャ総選挙について、ECBの金融政策に影響はないと言明した。

クーレ専務理事は国債買い入れによる量的緩和について、「先週、技術的な詳細を集中協議した。22日に国債買い入れ開始を決定する用意がある」と述べる一方、「実際に決める、というわけでは必ずしもない」とも指摘した。

ギリシャの選挙がどの程度影響を及ぼすかと問われ、「(ECBの)金融政策の道筋に何の影響も及ぼさない」と答えた。

専務理事は、ギリシャには「ユーロ圏にとどまり、改革を推進する意気込み」があるとの見方を示した。

ユーロ圏の12月の消費者物価指数は前年同月比0.2%低下した。ECBは2%をやや下回る水準のインフレ率を物価安定の目安としており、クーレ専務理事はその目標から大きくかい離している状況をECBは見過ごさないと指摘。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KM0VF20150113

 
「ギリシャのユーロ圏脱退容認」報道をめぐる心理戦争

2015年1月13日(火)  熊谷 徹

 年明け早々、世界中の株式市場、金融市場を激震が襲った。「ドイツ政府はギリシャのユーロ圏脱退を許容する方針を持っている」というニュースや原油価格の下落が原因となって、1月5日と6日に、各国で株価が下落。6日の東京株式市場は全面安となり、日経平均株価が500円以上値下がりした。

メルケル政権の「転向」

 いま欧州の政界、金融業界、論壇は「Grexit(ギリシャのユーロ圏脱退)」に関する議論でもちきりである。

 引き金となったのは、ドイツのニュース週刊誌「シュピーゲル」が1月5日号に掲載したスクープ記事だ。その要旨は、1月3日の夕刻に電子版で発表された。同誌は、次のように報じた。「メルケル首相とショイブレ財務大臣は、万一ギリシャがEUの求める緊縮策や経済改革を拒絶し、ユーロ圏を脱退しても、通貨同盟全体が崩壊することはないという見解を持っている。その理由は、通貨同盟が、危機的な状況に対応できる能力を以前に比べて増したからだ。このため連邦政府部内では、ギリシャがユーロ圏を脱退する道を選んだ場合のシナリオが検討されている」。

 さらに同誌は、「急進左派連合のアレクシス・ツィプラス党首が1月25日の総選挙で首相になり、緊縮政策や経済改革を取りやめ、利払いを拒絶するという公約を実行した場合には、ギリシャのユーロ圏脱退はほぼ避けられないだろう」とコメントしている。

 もちろん、メルケルやショイブレがギリシャの脱退を許容すると言ったわけではない。しかし1月4日の記者会見でシュテフェン・ザイバート報道官は「ドイツ政府のこれまでの方針に変更はない」と述べたものの、記事の内容を全面的に否定しなかった。このため、外国為替市場の参加者は、「ギリシャがユーロ圏を脱退するというシナリオが現実味を増した」と解釈。ドルに対するユーロ安傾向に拍車がかかるなど、マーケットが動揺する兆候を見せ始めた。さらにギリシャや他のEU加盟国の間でも、「この時期にギリシャ脱退について憶測するのは、無責任だ」という批判が出始めた。ツィプラスは、「ドイツ政府はギリシャ脱退というおとぎ話を流布している」とメルケル政権を非難した。

 このためメルケルは1月7日に訪問先のロンドンで声明を発表した。「ギリシャ国民はこれまで困難な道を歩み、大きな成果を挙げてきた。我々は今後も、ギリシャ国民とともにこの道を歩み続けると確信している。その際に必要なものは、EU加盟国の連帯と、ギリシャ政府の自助努力だ」と述べ、将来もギリシャがユーロ圏に残ることを希望するという態度を表明した。

 報道官のザイバートは このメルケルのコメントの動画をツィッターに公表するとともに、「連邦政府はギリシャ脱退に関する憶測には加わらない。連邦首相府で指導的な立場にある政治家たちの手元には、ギリシャ脱退に関するシナリオはない」と付け加え、市場の鎮静化に努めた。

 シュピーゲルの記事は、誤報だったのだろうか。筆者は、そうは思わない。メルケルとザイバートが発表したのは、政府の公式見解つまり建前である。

 連邦首相府の職員数は450人。連邦財務省では1900人が働いている。そこでは日々様々な分析や研究を行っているが、首相や報道官がその内容の全てを公にするわけではない。

 メルケルやザイバートのコメントを注意深く読むと、彼らがシュピーゲルの記事に対して直接コメントするのを避けていることに気がつく。興味深いのは、ザイバートが「連邦首相府で指導的な立場にある政治家たち(die politische Führung des Bundeskanzleramts)の手元には、ギリシャ脱退のシナリオはない」と語ったことだ。つまり彼は、連邦首相府の実務者レベルや、政治家ではない官僚、連邦財務省がそのようなシナリオを検討していることは否定しなかったのだ。

 こうした発言から判断すると、連邦首相府または連邦財務省の実務者レベルが、ギリシャ脱退のシナリオを極秘で検討している可能性は高い。そして官僚たちはギリシャによるユーロ圏脱退が通貨同盟に与える影響について、メルケルやショイブレに口頭で報告したのかもしれない。このことを知る政府関係者が、シュピーゲルに情報を流したのだ。

 連邦首相府または連邦財務省に属する政府関係者がシュピーゲルにリークした情報の中で最も重要なのは、「ユーロ圏は以前に比べて危機に耐える抵抗力が増しているので、万一ギリシャがユーロ圏を脱退しても、通貨同盟は生き残る」という見解だ。この見解については、メルケルもザイバートも1月7日のコメントの中で否定していない。

 この見解は、ドイツ政府の情勢判断が大きく変化したことを意味する。2009年末にギリシャ政府の債務危機が表面化して以来、メルケルは「ユーロの破綻は、欧州統合の失敗を意味する。ギリシャを救済する以外の選択肢はない」と公言し、同国をユーロ圏から脱落させないという姿勢を維持してきた。

 ユーロ危機は、スペイン、ポルトガル、アイルランド、キプロスに飛び火し、一部の国は債務不履行の瀬戸際まで追い詰められたが、欧州連合(EU)と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)が緊急融資によって「消火活動」に努め、これを防いできた。

 またECBのマリオ・ドラギ総裁は2012年9月に、「必要ならば南欧諸国の国債を無制限に買い取る」という方針を打ち出し、どのような手段をとってもユーロを防衛するという強い決意を表明した。これも、メルケルの「一国たりともユーロ圏から脱落させない」という路線に沿ったものだ。ドラギの発言以降、ギリシャやイタリアの国債の利回り(リスクプレミアム)は下降し、市場は鎮静化していった。

反EUの極左政党が勝利する予兆

 なぜドイツ政府関係者は、「ギリシャ脱退を恐れる必要はない」という見方をシュピーゲルにリークしたのか。きっかけとなったのは、ギリシャの政治危機だ。同国の大統領選挙で、与党である新民主主義党が推していたスタブロス・ディマス候補(元EU委員)が2014年12月29日に行なわれた3回目の投票を経ても、当選に必要な票数を獲得できなかった。このため議会は解散され、ギリシャは1月25日に前倒し選挙を実施せざるを得なくなった。

 同国で12月に行われた世論調査によると、反EU色の強い極左政党「急進左派連合」への支持率は31%で、新民主主義党を5ポイント上回っている。このため、急進左派連合が率いる左派連立政権が生まれる可能性が高い。同党は「EUやIMFが押しつけた緊縮政策を撤廃し、ギリシャ政府が負っている対外債務の部分的な免除(リスケジューリング)、利払いの停止を要求する」と訴えている。

 ギリシャは、今年2月にEUとIMFから、109億ユーロの援助融資を受け取る予定だ。しかしもしも急進左派連合が選挙に勝って、緊縮策を撤廃し利払いをやめた場合、EUとIMFは援助融資を停止するので、ギリシャ政府は債務不履行の危機に直面する。

 これまでギリシャは2010年5月の第1次救済措置で1100億ユーロ、2012年3月の第2次救済措置で1300億ユーロの融資を受けている。これに加えて、ドイツやフランスなどの民間投資家が1070億ユーロ相当の対ギリシャ債権を放棄した。支援措置の総額は3470億ユーロ(約48兆9000億円)で、ギリシャのGDP(国内総生産)の166%に相当する。国民1人当たり3万ユーロを超える援助を受けたことになる。

ギリシャ経済の低迷

 それにもかかわらず、ギリシャ経済は本格的な回復の兆しを見せていない。ギリシャでは、2008年以来6年間連続でGDPが減少している。2014年10月の失業率は25.9%と、ユーロ圏で最悪。25歳未満の若者の2人に1人が失業している。累積公的債務残高のGDP比も約175%と、ユーロ圏で最高だ。ギリシャ政府は、EUなどから融資を受ける代わりに、公務員数の削減、規制緩和、社会保障サービスの切り詰め、国営企業の民営化、歳出の削減、増税などの改革プログラムを実施しなくてはならない。この緊縮措置に対する市民の不満は根強い。


2011年にアテネで行われた市民のデモ。ギリシャ市民の間では新民主主義党とEUに対する不満が高まっている。(筆者撮影)
 ギリシャ政府は、通称トロイカと呼ばれるEU、ECB、IMFの監視団に、改革の進捗状況を定期的に報告しなくてはならない。ギリシャは今なお自力で国債を売って借金をすることができない。

 こんなエピソードがある。ギリシャ政府は、トロイカに対して「2015年には利払いを除いた財政収支(プライマリーバランス)のGDPに対する比率を3%の黒字にする」と約束していた。しかしギリシャ政府はトロイカの許可を得ずに灯油税の税率を30%引き下げたため、同国の2015年のプライマリーバランス黒字比率は、2.34%にとどまることになった。トロイカは、ギリシャ政府が勝手に減税を行ったために、プライマリーバランスの目標値を達成できなくなったことについて、同国政府を批判した。

 つまりギリシャ政府は、EUやECBからまるで子どものような扱いを受けているのだ。誇り高いギリシャ人にとって、これは屈辱である。そしてギリシャの庶民の間では、生活が苦しくなったのは、EUの緊縮策のせいだと信じている人が多い。

 急進左派連合が有権者から高い支持率を得ている理由の1つは、EUの屈辱的な管理プログラムから抜け出すことを、公約に掲げていることだ。多くのギリシャ人は、EUの管理プログラムを押しつけている張本人は、EU最大の経済パワーであるドイツだと考えている。EUの緊縮政策に反対するデモで一部の市民が、ヒトラーの写真の顔の部分をメルケルの顔にすげかえたプラカードを掲げているのは、このためだ。急進左派連合のアレクシス・ツィプラス党首は、「2009年以降のユーロ圏は、ドイツの新たな独裁体制の下にある」と主張している。

ギリシャのGDP成長率

(出所:欧州連合統計局)
 これに対し独財務大臣のショイブレは、選挙の前倒しが決まった12月29日、「痛みを伴う改革は、必ず果実をもたらす。ドイツは、ギリシャが自助努力を続けるならば、今後も支援するつもりだ。しかしギリシャが他の道を歩む場合には、困難な事態になる」と警告を発した。これは、「ギリシャの自助努力なしには、支援を続けることは難しい」という従来のメルケル政権の姿勢を改めて強調したものだ。

 ドイツのガブリエル経済大臣(社会民主党=SPDの党首)も、「シュピーゲル」誌の記事が公表された直後、「ギリシャは、緊縮策や経済改革を続けるという約束を守るべきだ。もはや我々はギリシャによって脅迫されない」と厳しいコメントを発表した。SPDは、これまでギリシャなど南欧諸国に対する支援について、メルケルが率いるキリスト教民主同盟(CDU)よりも寛容な態度を取ってきた。つまりSPDも、ギリシャに対する姿勢を硬化させつつあるのだ。

危機に対する抵抗力を強めたユーロ圏

 ミュンヘンのIFO経済研究所のハンス・ベルナー・ジン教授など、ユーロ防衛策に懐疑的な経済学者たちは、「ギリシャ政府が真剣に経済改革を行わない理由の1つは、メルケルやドラギが是が非でもユーロを防衛し、一国もユーロ圏から脱落させないと言明してしまったためだ」と考えていた。つまりギリシャ人たちは、「事態がどう転んでも、EUは我々を救う」と考えているというのだ。2010年から今日まで、EUとドイツは、「ギリシャの脱退はあり得ない」という、自らが決めた大前提の虜(とりこ)になっていた。

 なぜメルケル政権の中に、「ギリシャ脱退は恐れるに足らず」という見解が浮上しているのだろうか。その理由は、ユーロ圏の状況が2010年ほど緊迫していないからだ。当時は国債市場の動揺が激しく、債務危機や銀行危機がギリシャ、スペイン、ポルトガルなどだけではなく、イタリアにも波及する危険があった。万一イタリアがギリシャ同様の事態に陥っていたら、EU・ECB・IMFの救援プログラムだけでは足りなかったかもしれない。つまり当時ギリシャが破綻してユーロ圏から脱落していたら、連鎖反応が起きて他の過重債務国に波及し、ユーロ圏が崩壊する危険もあった。5年前にメルケルが「是が非でもギリシャを救済しなくてはならない」と主張したのは、このためだ。

 しかし、現在では、かつて危険な状況にあったスペイン、ポルトガル、アイルランドがEUの支援を必要としなくなった。これらの国々は、自力で国債を売って資金を調達できるようになっている。また2012年のドラギ発言以来、国債市場は極端な変動を見せなくなった。最悪の事態には国債を買い取るとECBが太鼓判を押したため、機関投資家たちがパニックに陥らなくなったのである。このためメルケル政権は、ギリシャがユーロ圏を脱退しても、債務危機が再発して他の国に広がり、ユーロ圏全体の屋台骨が揺らぐ危険は、5年前に比べて減ったと判断している。

 また2010年に比べると、ユーロ圏で再び過重債務国の国債の利回り(リスクプレミアム)が急上昇し、自力による国債販売が困難になった時のための「消火体制」も整っている。EFSF(欧州金融安定ファシリティー)の後身として2012年9月にESM(欧州安定メカニズム)を創設した。債務不履行の瀬戸際に追い詰められたユーロ圏加盟国を支援するために、7000億ユーロ(約98兆円)の資金をいつでも注入できる。不測の事態に対応するための体制は、5年前に比べて整備されているのだ。

 さらに、ギリシャ以外の国々の金融機関は、過去5年間にギリシャ国債など同国に対する債権を大幅に減らした。このため、ギリシャが万一支払い不能状態に陥っても、外国企業が受けるダメージははるかに少なくなっている。

ユーロ圏脱退はギリシャにとって破局?

 ドイツのハレバ銀行で主任エコノミストを務めるゲルトルート・トラウドは、「ギリシャが脱退することは、ユーロ圏にとってもはや破局ではない。だが脱退は、ギリシャにとって破局になる」と語っている。ギリシャ支援のためにドイツ政府がこれまでに融資した資金の総額は500億ユーロ。ギリシャが債務不履行に陥った場合、ドイツの納税者は約7兆円の金を失うことになる。

 シュピーゲルに情報をリークした政府関係者は、「ギリシャのユーロ圏脱退はこわくない」というシグナルを送ることによって、ギリシャの有権者に対し、「極左政党を勝たせた場合には、同国がEUからの支援を受けられなくなり、今よりも困難な事態に陥る」という警告を発したのだ。

 ギリシャの運命を決する選挙を前にして、有権者にプレッシャーを与えるという、一種の心理作戦である。

 ドイツの金融関係者の間では、次のような意見が強い――ギリシャが通貨をユーロからドラクマに変更した場合、ドラクマの価値が大幅に下落する可能性が高いので、ユーロの預金を引き出すために市民は金融機関に殺到するだろう。ギリシャの富裕層は、すでに資産の大半を国外に移しているので、最も被害を受けるのは庶民である。さらにギリシャの対外債務は、ドラクマ暴落のために相対的に増えることになる。

 シュピーゲルの情報源が抱いたもう一つの意図は、ECBに対して援護射撃をすることかもしれない。1月22日のECB理事会は、極めて重要な意味を持っている。ECBはこの理事会で、ユーロ圏のデフレ傾向に歯止めをかけるために、1兆ユーロ近い資金を投じた国債買い取りオペレーションを決定すると予想されているからだ。欧州がバブル崩壊後の日本のような「失われた10年」に突入するのを防ぐためである。

 しかし、もしもその3日後のギリシャの総選挙で急進左派連合が勝った場合、ECBの国債買い取り発表が持つ前向きな心理的効果が大幅に減殺される可能性がある。このためシュピーゲルの情報源は、ギリシャの有権者に対し「急進左派連合を勝たせると、大変な目にあうだろう」というメッセージを間接的に送ったのである。

対ギリシャ強硬姿勢とドイツ国内政治

 さらに、この心理作戦にはドイツの国内政治も影響しているかもしれない。「ドイツでも拡大し始めた反ユーロ政党」の回で紹介したように、ドイツでは新しい反ユーロ政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持率が急速に高まっている。同党は2014年夏に、旧東ドイツの3つの州で2桁を超える得票率を確保し、州議会において初めて議席を獲得した。全国レベルの支持率も7%に達しており、2017年の総選挙で連邦議会に議席を持つのは確実と見られている。

 保守的ポピュリズム政党であるAfDは、メルケルの率いるキリスト教民主同盟の最大のライバルになる可能性がある。同党は、ユーロを廃止してマルクを復活させることや、南欧の債務過重国への支援を制限することを求めている。AfDは、メルケル政権やEU指導部が「ギリシャ救済以外の選択肢はない」という態度を取っていたことを批判していた。政府関係者が「ギリシャ脱退のシナリオがある」という事実を初めてメディアにリークし、同国に対して間接的な警告を送ったことは、AfDが政府を批判する矛先を鈍くする効果がある。

 また地政学的な観点から見ると、混迷するギリシャ情勢に頭を痛めている国は、米国だろう。米国にとって、ギリシャがユーロ圏に残ることは極めて重要である。その理由は、「アラブの春」により、中東およびアフリカ地域の政治状況が不安定度を増していることにある。イスラム過激組織「イスラム国」の急激な勢力拡大、親米的だったエジプトのムバラク政権の崩壊、シリアの内戦、トルコでの保守主義の高まり、イランの核問題など米国にとっての懸案は増えるばかりだ。

 こうした中でギリシャがユーロ圏を脱退し、さらに経済状況が悪化して、革命のような事態が起きた場合、米国は地中海地域における重要な拠点の一つを失うことになる。ギリシャには今も共産主義勢力が残っており、ユーロ危機が表面化する以前から、米国系企業を狙ったテロ事件などを起こしていた。米国のヒラリー・クリントン国務長官(当時)は、2011年7月にアテネを訪れ、パパンドレウ首相(同)に対して全面的な支援を約束している。これまで、ドイツやEU指導部が「ギリシャを絶対にユーロ圏から脱落させない」と主張していた背景には、米国による地政学的な観点からの要請もあると考えられていた。オバマ政権は、シュピーゲルの報道に当惑しているだろう。

 1月25日のギリシャ総選挙で何が起こるか。ギリシャ人たちは、EUに踏みにじられてきた民族の誇りを回復するために極左勢力を政権に参画させ、ユーロ放棄、ドラクマ再生という苦しい道をあえて選ぶのか。世界の目は、再びアテネに注がれている。

(敬称略)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20150107/275936/?ST=print


中国貿易統計、12月の輸出は市場予想上回る伸び 
2015年 01月 13日 17:10 JST
[北京/上海 13日 ロイター] - 中国税関当局が発表した2014年12月の中国貿易統計は、輸出が市場予想を上回る伸びとなった。欧州や日本向けは軟調だが、景気が改善する米国からの需要が押し上げた。

輸入は市場予想を下回る減少となったものの、税関当局者は第1・四半期にさらなる逆風を受ける恐れがあると警告している。

輸出はドル建てで前年比9.7%増。輸入は同2.4%減で2カ月連続のマイナスだったが、減少幅は市場予想を下回った。商品相場での安値拾いの買いが背景にある。

ロイターがまとめたエコノミスト予想は、輸出が前年比6.8%増、輸入が7.4%減だった。

貿易収支は496億ドルの黒字。市場予想は498億5000万ドルの黒字だった。

輸出と輸入を合わせた昨年の貿易の伸びは3.4%。政府の通年目標である7.5%を下回った。中国の商務省は下期が予想外に軟調だったことから、輸出が目標に届かないとの見通しをすでに示していた。

当局者は慎重姿勢を崩しておらず、税関当局の報道官は「2014年の貿易統計を圧迫した悪材料が、一定期間残ることになる」と指摘。

世界全体での低調な景気回復、中国製造業分野での外国直接投資の減少、国内生産のコスト増などに言及した。

税関当局はまず人民元建ての貿易統計を発表。その後にドル建ての増減率を公表した。

2014年の中国輸出は6.1%増、輸入は0.4%増だった。

<コモディティ価格下落が追い風に>

輸入の減少が11月よりも小幅だったことは、商品相場での買いが復活したことが主因。税関当局の報道官は価格下落が輸入コストの減少につながり、中国にとっては総じてプラスだとの見方を示した。

税関当局のデータによると、12月の原油輸入量は3037万トン、日量715万バレルとなり、日量700万バレルの大台を初めて突破した。鉄鉱石輸入も過去最高に達した。

ただ、コモディティ価格の下落は中国の工業部門の企業利益には総じてマイナスとなっており、CLSAリサーチのエネルギーアナリストは「コモディティ輸入の急増が貿易統計の数字全体を大きく押し上げたが、潜在需要を反映しているわけではない」と指摘した。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、ジュリアン・エバンズ・プリチャード氏はリサーチノートで「中国が引き続き、世界の中で輸出が最も好調な国の1つであることを示した」とコメント。「世界経済は引き続きぜい弱だが、米国など、中国にとって主要な輸出先の多くの成長が加速する見通しで、中国の輸出を支援するはずだ」と述べた。

一方、「刺激策による投資増や不動産セクターの大幅な好転を期待する人々を失望させる結果になる」とも指摘した。

中国は来週、第4・四半期の国内総生産(GDP)を発表する。エコノミストは通年の成長率が政府目標の7.5%を下回り、24年ぶりの低成長になると予想している。

*情報を追加して再送します。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KM04T20150113


02. 2015年1月13日 20:10:08 : pKoeGrSXuw
出口?ない。なにをごたごた書いている。出口があるとしたら、国の借金をハイパーインフレでチャラにして、国民の貯金を略奪して返す、以上。

03. 2015年1月13日 20:53:05 : bfiJIUelwU
日本の未来は脱デフレではなく、超低金利と低インフレの半永久的な経済システムしか選択できない。日本政府と日銀の一体化した機関は脱デフレのための機関を返上して、インフレ阻止のための機関になるしかない。

日本は金利が一パーセント上昇しても、今日の脆弱化した日本の金融システムは瓦解するから、インフレが起きない対策をとるしかない現実に直面している。

政府は増税とその規模によってインフレ率は確実に調整できる。日銀が市場にある国債をほとんど買い占めても、政府の税収から日銀にマネーを返済することになるだけで、低インフレ社会は持続できる。


04. 2015年1月13日 23:31:21 : nJF6kGWndY

>日銀が金融政策を正常化する段階まで到達できるか否かは予測不能

少子高齢化が終わるか、日本国が崩壊するまで、正常化は無理だろうな


05. 2015年1月14日 10:22:43 : 15cVDBqPH2
02<その通り!

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