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乱交の生物学
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投稿者 BRIAN ENO 日時 2019 年 1 月 04 日 13:54:41: tZW9Ar4r/Y2EU QlJJQU4gRU5P
 


 『乱交の生物学』(ティム・バークヘッド著、小田亮・松本晶子訳、新思索社刊)を読む。表題にある「乱交」はpromiscuityの訳として採用されている。通常「乱婚」という訳であるが、動物は結婚制度がないので「乱交」としたと訳者あとがきにあった。確かに雄性と雌性のつがい方について数という関係で見れば、一対一、多対一、一対多、多対多の四通りあるから、これらを総括していうなら乱交となろう。でも動物に結婚制度はないのは当然だが、人間でいう乱交もないと思う(生殖としてではなく社会的関係のためにセックスをするのはヒトとボノボくらいだろう)。訳者としても悩んだのではないだろうか。副題が精子競争と性的葛藤の進化史であり、こちらがより正確に本書の内容を表している。

 男性と女性が恋愛してお互いいに仲睦まじく協力しあって子供を作るという「家族観」は、人間社会で理想とされている(ビクトリア朝の頃に淵源するのであろうか)。こういう観点が「常識的な」大人の見方とされているのは、人間社会にとっては好ましいことであろう。しかし生物一般に視点を拡げると事実ではない(端的にいうと嘘、虚構である)。人は、しかしながら自分の見方で他者を見るから、動物も当然一夫一妻であろうとされてきた。この見方(ジェンダー観)の訂正から生殖に関する進化生物学は始まったと言ってよい。
 雄はとにかく自分の遺伝子をなるべく多くの卵子に受精させ、子孫を残すことを優先させる。それだけではなく、投資する資源を最小限にするようにしてという条件がつく。すなわち可能な限り雌の面倒はみることなくということだ。雄の方が研究対象にしやすかったこと(に加えて男性の研究者が多かったこと)から、雄の生殖戦略のほうが早くから明らかにされてきた。広範な種について研究されている鳥類では、(鴛鴦夫婦というような)仲睦まじいつがい関係どころか、雌はしばしばつがい以外の雄と性交していることが明らかにされている。
 雌についても雄の言いなりにはなっていない。卵子という高価な(生物学的に大きな投資が必要なという意味で)、しかも精子と違って数限りある遺伝子格納装置を有意義に使うため、できるだけ優秀な雄を選択するように進化する。雄と雌は互いに戦略の限りを尽くして競争している関係なのだということは、本書の一つの重要なメッセージである。

 本書では、ハエから霊長類に至るまでのさまざまな生殖にまつわる進化戦略を紹介している。精子競争があるのは確かだが、本書で述べられているような卵子による精子選択というのはどのくらい確実なことなのだろうか。このあたりはどのくらいまで研究が進んでいるのか寡聞にして知らない。性交を許すときには外見やディスプレイなどで選択をするというのは分かりやすいが、その雄の精子を卵子が選択するという場合、その形質と個々の精子が示す形質とは必ずしも関連していないだろうから明確に存在するというのはかなり難しいように思われる。
 どのレベルでどれくらいの選択が働いているのか種によってもさまざまであろうが、雌による性選択は雄にとってはかなり強力な淘汰圧になるのは確実だろう。ヒトの社会でも身長が170cm以上の男性としか結婚しないという選択がかかれば、相手の女性の身長が低くとも男性の身長はおそらく世代ごとにみるとかなり早く伸びるだろうな。

 本書では雄の生殖器、すなわちペニスが非常にバラエティに富むことが紹介されている。鳥類は一般にペニスをもっていないことや、ある鳥は偽陰茎を有していることが最初に紹介されたあと、ペニスのデザインには基本形が三種類あることが説明されている。ヒトのような陰茎海綿体タイプはあくまでその一つなのだ。このあたりを読むとなんとなく謙虚になるのが不思議だ。その他ペニスを複数有しているものあるどころか、ヒラムシなどは何十個ももっていること、ナメクジは体長の何倍ものペニスをもっていることが書かれている。これを読むとさらに謙虚になる。とにかくペニスという構造が進化的にみてさまざまにデザインされ、それなりに工夫を凝らして形づくられてきたことは生物学的にみても非常に興味深い。
 それにしてもなぜ雄と雌があるのかというのは、実に不思議なことである。

https://blog.goo.ne.jp/hy223606/e/7118375467e321ee06a013deb454b017

烏有亭日乗さんのところで、ティム・バークヘッドの『乱交の生物学』(新思索社)という本のことを知り、早速読んでみた。たいへん面白かった。
ちゃんとした内容は、烏有亭日乗さんの書評をお読みいただくとして、わたしのほうはこの本のどうでもいいエピソードからいくつか気楽なヨタ話など。

その一。
メスにとって卵子の受精を確実にするためのひとつの戦略は精子を貯蔵するという方法である。たとえば生息密度が低くて、オスとメスがちょうどいいタイミングで出会う確率があんまり高くないような種は、とにかく機会があればどんな相手であっても交尾してその精子を繁殖に都合のいいときまで貯蔵しておくというのは合理的なやりかたである。爬虫類はこういう精子貯蔵能力にたけている。ヘビには2年から3年の間精子を貯蔵する種がいくつかみられる。これに対してヒトはこれほどまでの精子の貯蔵能力はもちろんない。(でなければオギノ式はありえないですわな)
さて本題はここから。
あるとき著者はさまざな動物の精子貯蔵についての一般記事を書いたというのですね。そのなかでヒトの精子貯蔵期間の短さについても言及した。記事が掲載されてしばらくして著者のもとに手紙がきた。それは、北海油田で働いている男性からのもので、それによるとかれは仕事柄、いちど家を出ると三ヶ月は帰れない。しかるに、前回の勤務から帰ると妻が妊娠二ヶ月であったというのであります。かれは非常に信心深い人間なので、これは処女懐胎のたぐいか、あるいはヒトにおける精子貯蔵の新記録のどちらかだと思うと書いてあった。著者は、この男ただの変人と思って、手紙を投げ捨てた。翌日、今度はその男の妻と名乗る女から電話が入った。彼女は夫が手紙を事前に見せた様子を語って、すすり泣きをはじめた。もちろん、ヒトにおける精子貯蔵の新記録とか奇跡なんてわけないじゃないですか、ただ夫がいなくて寂しかったから・・・
著者は、これはまずい、こんな人間ドラマに巻き込まれてしまってはかなわないと、あせってその日は一日落ちつかなった。まあ、そうでしょうね。しかし、なんのことはない。すべては著者が指導教官を務める院生どものいたずらであった。
ははは、やるなあ、学生諸君。

その二。
睾丸(testis テスティス)の語源は誓い(testament テスタメント)あるいは証言という言葉と同じ語源をもっている。
誓いをたてるときにキンタマを握るのがローマの習慣であったから。(笑)
これほんとかしら。塩野七生の「ローマ人」シリーズにもそんな「大事」な話はなかったぞ。
裁判やら、公聴会やら、結婚式やらで、聖書に手を置いて誓うかわりに、キンタマ握りながら誓うのは絵柄としてなんかいいかも。あ、でもそうすると女はどうするんだろ。(笑)

その三。
精子と卵子を比較すると、ほとんどすべての種であきらかに精子の方が小さい。しかも、個体の生涯で考えると、ほとんど何兆個という精子をつくる種(たとえばヒト)にとっては精子の生産コストは無限に小さいはず。しかし、一方で精子は数百万個から数億個の単位で射精されたり、精包というかたちでパッケージにされて提供されるから、精子生産のエネルギーコストはけっこう馬鹿にできないかもしれない。というわけで、行動生態学者と呼ばれる人々は、オスが精子生産にどれほどのエネルギーをつぎ込んでいるのか(つまりどれくらい他のことを犠牲にしているのか)に関心を抱き続けてきた、と著者は説明する。
そして、精子の生産コストが決して安くないかもしれんよと次のように言うのであります。


精子が無限に生産できコストも安いという仮定は間違っている。(中略)少なくともすべての男性が知っているように、精子には限界がないわけではないということだ。なぜなら射精の後には回復期間をとらざるを得ないからである。回復期間はヒツジやチンパンジーのようないくつかの種においては非常に短いようだが、それでも彼らとて限界はあるのだ
ある一頭の雄ヒツジに一日五〇頭以上の雌のヒツジをあてがってみても、そのうち何頭かは妊娠しない。

ここでわたしは(食事中だったのだが)吹き出した。
いいですか、よくお読みいただきたい。最後のとこです。「何頭かは妊娠しない」ですよ。オスヒツジ君は音をあげたとか、終わりのほうはもういやになって止めたとか、やりたくてもできなくなっちゃった、というのではないことにご注目。
いやはや・・・・

http://kawausotei.cocolog-nifty.com/easy/2006/10/post_f723.html

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