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副作用社内未報告 最大約1万人:ノバルティスファーマ:薬事法に加え、不作為の傷害罪や殺人(未遂)罪が成立する事案
http://www.asyura2.com/14/iryo4/msg/148.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 6 月 09 日 16:42:49: Mo7ApAlflbQ6s
 


副作用社内未報告 最大約1万人[NHK]
6月9日 15時27分

大手製薬会社ノバルティスファーマが販売する白血病の治療薬を巡って、営業担当の社員が重い副作用とみられる症例を把握していながら、安全担当の部署に報告せず国にも報告していなかった問題で、同じように報告されていなかった患者が過去12年で最大でおよそ1万人分に上ることが会社の調査で分かりました。

この中には国への報告義務がある重い副作用が含まれている可能性があるとして、会社が詳しく調べています。

ノバルティスファーマが販売する2種類の白血病の治療薬を巡り、営業担当の社員が国への報告義務がある重い副作用とみられる症例を合わせておよそ30例把握していながら、会社の安全担当の部署に報告せず国へも報告していなかったため、厚生労働省は薬事法に違反する可能性があるとして、会社に詳しい調査を指示しています。

これを受けて、会社がことし4月に社員に報告を求めたところ、同じように副作用とみられる症状が出ていながら、安全担当の部署に報告されていなかった患者が平成14年からの12年で最大でおよそ1万人に上ることが分かったということです。
会社は重複している症例があるとする一方で、国への報告義務がある重い副作用が含まれている可能性があるとして、個別の症例について詳しく調べています。
ノバルティスファーマは「社員の意識の甘さなどが原因とみられ、非常に重く受け止めている。今後、全社を挙げて再発防止に取り組みたい」とコメントしています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140609/k10015082641000.html

 

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コメント
 
01. taked4700 2014年6月09日 22:50:22 : 9XFNe/BiX575U : 8WJxGoLS0w
アメリカなら、患者が訴訟に訴えて、今頃1000億円の損害賠償とかになっていただろう。日本政府はきちんと自ら調査をするべきだ。会社に調査を任せていること自体がおかしい。

02. 函館の犬。 2014年6月11日 06:57:32 : bhbAK3m6MJQx2 : ZnNlnMZdUI
副作用の強い抗がん剤なんて薬じゃないね。医者はしたり顔して、副作用が強い分、効果もあるわけでなんて、嘘、偽りのムンテラ。製薬会社なんて薬が売れればなんでもいいんだ。

03. 2014年6月11日 12:21:16 : nJF6kGWndY

ま、日本も、こうした不正がオープンになるだけ、マシになったということだな

中国など途上国なら確実に揉み消しだ

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40900 JBpress>日本再生>オピニオン [オピニオン]
ノバルティスと東大病院 追加で明らかにされた4臨床研究不正
2014年06月11日(Wed) 関家 一樹
 5月19日、製薬企業のノバルティス社(以下ノバ社)は「慢性骨髄性白血病治療薬に関する4臨床研究についての社外調査委員会の報告について」と題して、調査報告書を公表した。
 この調査報告書は、ノバ社が東京大学医学部附属病院で行われた4つの臨床研究に不正関与した問題について、ノバ社自身が社外調査を依頼し提出を受けた調査結果である。
 今回の記事では、この調査報告書が作られることとなった経緯とともに、その内容を検討していきたい。
簡単な経緯
 この調査報告書は先述のとおり、ノバ社が東大病院の臨床研究に不正関与した事例について、調査したものである。したがってノバ社が他の病院の臨床研究に不正関与した事例や、東大病院がノバ社以外の製薬企業と研究不正を行っていた事例については、今後の調査が期待される。
 ことの発端となったのは今年1月17日から報道された、SIGN研究事件である。東大病院の血液内科と、同科に事務局を置く研究組織TCCが行った、白血病治療薬の医師主導臨床研究に、当該薬の製造元であるノバ社が不正関与していた事件だ。
 SIGN研究事件が報道された3日後の1月20日には、ノバ社は社内調査により同社のSIGN研究への不正関与が有ったと公表、2月5日には同事件の社外調査を依頼する。
 一方、東大病院はこの間長らく沈黙を保っていたが、3月14日に突如「慢性期慢性骨髄性白血病治療薬の臨床研究「SIGN研究」についての調査中間報告」と題して記者会見を行った。
 この記者会見の質疑応答時間中に突然、出席していた門脇病院長が自発的に、東大病院においてノバ社が関わる臨床研究をすべて調査したところ4件で不正関与が認められた、と発表する。
 したがって今回の4研究に関する公表は、東大病院の方がノバ社より早かったということになる。もっとも東大病院の内部調査は予備調査の中間報告であるにもかかわらず、その後の情報が途絶えてしまう。
 これに対して、ノバ社は4月2日には社外調査委員会の最終調査報告書を受け、翌4月3日には記者会見を実施、この中で同社は今年の夏までに2011年以降に行われた医師主導臨床研究への不正関与をすべて公表すると宣言した。
 この流れに従い今回第1弾としてノバ社の社外調査が、東大病院に関わる4件の臨床研究不正関与事件の調査報告書を提出した、ということになる。
内容の前提
 この調査報告書は4件の臨床研究に対して、ノバ社のMR(医薬情報担当者)がどのように関与し、その結果として研究内容に影響を与えたのか、についてのみ検討している。
 これは既にノバ社が厚生労働省から、降圧剤ディオバン®(バルサルタン)の不正関与事件で薬事法違反の誇大広告で刑事告発を受けており、その際の厚労省のロジックが臨床研究に不正関与しその結果として研究内容が改変され広告に利用されるというスキームで、これに対応したためと思われる。
 本来、臨床研究への不正関与と誇大広告は別物であるが、厚労省はこのような法律論で刑事告発まで漕ぎ着けている。
 もちろん研究内容に影響を与えていなかったとしても「個人情報の流出」や「患者さんの同意を詐取しての臨床研究実施」は当然問題とされるべきである。
 感想の先取りとなってしまうが、この調査報告書は事実の調査は十分だが、法的な分析が物足りないように感じる。
 もっともこの点については小粒な事件の調査としてはやむを得ないだろう。ノバ社が関わった膨大な数の臨床研究をすべて丹念に調べていては全体像が把握できなくなる。
 そこで読み手の側で、臨床研究に対する不正関与の一般論を綿密に検討したSIGN研究の調査報告書を前提とし、この調査報告書に補填し考えていくことが必要になる。いずれの調査報告書もノバ社が出しており、同社の中では一体として扱われるべきだからだ。
 以下の各研究の検討では個別の違反事例の特徴について検討していくが、すべての研究において前提となっている慢性的なMRと病院の関わりは、別途問題とされる可能性があるものだ。もっともこの点については既に別の記事で述べさせていただいているので、今回は指摘するにとどめる。
研究Iについて
 研究Iは「初発時慢性期慢性骨髄性白血病に対するイマチニブの至適血中濃度を指標とした早期投与量調整の効果を検討する第II相臨床試験」という名称で、先述の東大病院に事務局を置く研究組織TCCが主導して行った臨床研究である。
 内容はノバ社の製品であるグリベックの投与初期段階にある慢性期の慢性骨髄性白血病患者さんを対象に、グリベックの血中トラフ濃度を測定し、至適血中濃度未満の患者さんに対し、グリベックの投与量を増やして血中トラフ濃度が確実に上昇するかどうかなどを調べる臨床研究であった。
 この研究Iは登録方法の煩雑さもあって、東大病院を含む10施設が参加したものの、予定登録症例数の100例に対し実際の登録症例数が6例にとどまり、データ解析段階に入らぬまま2011年9月に中止に至った。
 不正関与の態様については、ノバ社のMRが臨床研究の実施計画に当たるプロトコールの立案から関わり、医師を交えた検討会議をノバ社の会議室で行い、症例登録についてもMRが管理していたという。SIGN研究と同様の関わり方であるが、注目すべき特徴もある。以下少し長いが引用する。
 「症例登録情報については、学術担当ⓟが、症例連絡票に係る症例をまとめた『候補症例登録シート』と題するエクセルファイルを研究事務局から入手すると、その都度、MRやブロックマネージャー等に対して電子メールで報告するなどしてノバ社内で共有していた」(略称等適宜修正、以下同様)
 「また、病院#4の担当MRのフォルダに、病院#3が症例登録した特定の患者について、来院予定日と各来院予定日に行われる検査項目を記載した『Tokyo CML Conference イマチニブ臨床試験来院予定表』と題するエクセルファイルが保存されている。このファイルのプロパティ上、前回保存者として学術担当ⓟが記録されていることから、参加施設の担当MRまたは学術担当ⓟが、研究Iの登録患者の来院予定日と検査項目を管理していた可能性がある」(編集部注: 丸数字は機種依存文字であるため#つき数字に変換しました。【例】丸数字3 → #3、以下同様)
 以上の記述をまとめると、特定の登録患者の来院予定日や検査項目を製薬企業のMRが管理していた可能性があるということになる。
 これは患者さんにとってはかなり不気味なことであり、もし本当ならば情報の取得・共有方法がシステム化されている分、MRがアンケートの運搬機会にコピーし情報を収集していたSIGN研究よりも、個人情報入手の態様が悪いと言える。
 研究Iの登録人数が少なかったため特定されたと考えることもできるが、もし登録数が増加していたとしたら同様に情報共有がされていた可能性がある。個人情報保護の観点から研究Iはさらに検討されるべきであり、東大病院側の研究Iへの情報管理体制の調査が待たれる。
研究IIについて
 研究IIは「イマチニブ長期服用患者における腎機能への影響実態調査」という名称で、研究Iと同じくTCCが主導して行った臨床研究である。
 内容は2001年1月1日から2012年9月30日までの間にグリベックを投与した慢性骨髄性白血病の患者さんの治療データを収集することで、グリベックの長期投与が腎機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的としており、新たな検体収集や測定は行わない後方視的研究であった。
 もっとも研究IIは類似研究の結果が先に学会で発表されたことなどにより中断し、論文化には至っていない。
 不正関与の態様については、SIGN研究や研究Iのようにプロトコールの作成から関わるよりはおとなしく「調査票(書式)の作成および改訂、参加した医療機関への連絡文書案の作成および送信、データ集計表の作成、中間発表のスライド原案の作成等」ということである。
 ところで臨床研究の実施に当たっては、参加する医療機関の倫理委員会の承認を得る必要があり、研究IIについては以下のような顛末があったようである。
 「研究IIは、研究事務局を務める東大病院においても倫理委員会を通さずにスタートしたが、東大病院だけは倫理委員会を通しておいて欲しいという参加施設からの要望を受け、東大病院の倫理委員会の承認を得ることとなった」
 そして調査報告書は以下のように続ける。
 「この東大病院の倫理委員会の手続について、MRⓐを始めとするノバ社従業員の関与は認められない」
 確かにノバ社の不正関与という視点からすると、プロトコールの作成・倫理委員会への届出に関わっていない以上「関与がない」という結論に至る。
 しかし東大病院の側から検討すると、倫理委員会への承認申請に当たってはCOIと呼ばれる利益相反事項を開示する必要があり、そこでは製薬企業の関わりについて開示される必要がある。
 そこでTCCが先述のようなノバ社のMRの関わりを説明していないのであれば、倫理委員会に対して虚偽の届出をしたということであり、倫理委員会の承認を詐取したということになる。
 研究IIの東大病院における倫理承認手続きの経過と、利益相反事項の説明がどのようになされていたかの調査が必要である。
 このように製薬企業の従業員が研究に関わっていることを秘して医師主導臨床研究が行われた場合、「倫理委員会の承認詐取」「患者さんの同意詐取」「個人情報流出の可能性」が常につきまとうことになる。これは他の3研究についても同様である。
研究IIIについて
 研究IIIは「イマチニブ治療により分子遺伝学的完全寛解がえられた慢性骨髄性白血病に関する多施設共同後方視的研究」という名称で、主導して行ったのは東京医科大学病院に事務局を置く研究組織TSSGであり、東大病院はこの研究に参加する形で関わっている。
 内容はグリベックの投与が継続されている慢性骨髄性白血病の患者さんで、過去24カ月間分子遺伝学的完全寛解を持続している症例と、その継続が困難であった症例の差異を明らかにすることを目的とした後方視的研究である。
 2013年9月には100例の目標症例数に対し127例が登録され症例登録が締め切られたが、SIGN研究におけるノバ社の関与等が問題となった影響から、論文発表には至っていないもようである。
 不正関与の態様については「参加施設の依頼によるアンケートの研究事務局への運搬、研究事務局の依頼によるアンケートの進捗状況確認のための連絡文書の作成等」ということである。
 そして調査報告書には以下のような記述がある。
 「MRⓐは、(東大病院の)医師Aから研究事務局に届けるよう依頼されて、記入済みの二次アンケートのアンケート用紙を2回にわたって受領し、これをMRⓔに渡した。また、病院#7の担当MRであるMRⓖは、2013年2月中旬、同病院の医師Jから研究事務局に届けるよう依頼されて、80個の入力済みの二次アンケートのワードファイルが入ったCD-ROMを受領し、これをMRⓔに渡した」(かっこ部分は筆者が補った、以下同様)
 「MRⓖは、上記で述べたCD-ROMをMRⓔに渡す前に、CD-ROM内の二次アンケートのワードファイルを自分のネットワークドライブにコピーして保存し、エクセルファイルの形式に整理した。これは、症例データのバックアップだけでなく、グリベックで分子遺伝学的完全寛解を維持できなかった症例について、今後の(ノバ社の新製品である)タシグナへの切替え等を視野に入れた情報収集活動を意図したものであった。なお、ノバ社東京事業所から、記入済みの東大病院の二次アンケート用紙のコピーが発見された。これはMRⓐがMRⓖと同様の意図でコピーしたものである可能性が高い」
 このようにアンケートの運搬中にデータをコピーし、患者さんの情報を不正に収集するという手口は、SIGN研究と同様のものである。調査報告書からはアンケートの匿名性の度合いは判然としないが、場合によってはSIGN研究と同様の個人情報流出事案になる可能性がある。
研究IVについて
 研究IVは「初発慢性期の慢性骨髄性白血病に対するニロチニブの分子遺伝学的完全寛解達成率を検討する多施設前方視的共同試験」という名称で、主導して行ったのは研究IIIと同じくTSSGであり、東大病院は参加病院である。
 内容は初発慢性期における慢性骨髄性白血病の患者さんにタシグナを投与することによって、分子遺伝学的完全寛解の累積達成率を将来にわたって観察することを目的とした、前方視的医師主導臨床研究である。
 研究IVは現在も症例登録期間が継続中であるが現状は不明である。
 不正関与の態様については「プロトコール案の作成や症例登録票等の各種書式の作成、投与患者の各種情報の集計整理、症例登録を促進する各種連絡文書案の作成と送信等」ということである。
 MRの関与形態としてはいわゆるプロトコールからのSIGN研究型である。
 この研究IVでは「医師主導臨床研究」の名の下でいったい何が行われていたかが、赤裸々に記述されている。そこで少し詳しく見ていくことにしよう。
▽医師主導って何ですか?
 さて研究IVで一番注目すべきは、製薬企業の臨床研究への不正関与という視点からは180度変わって、研究者としての医師がいかに製薬企業とMRを利用しようとしていたかである。以下引用していく。
 「研究IVの端緒は、東医病院に所属する医師Eからの提案であった。すなわち、医師Eから、2011年初め頃に、タシグナに関する新しい臨床研究の枠組み案を明らかにした上で、ノバ社の競合相手であるブリストル・マイヤーズ株式会社の活動状況を踏まえるとノバ社においても新たな臨床研究を実施した方が良いのではないかとの提案があり、これを受けて、研究IVの検討が開始された」
 「この頃、(ノバ社の)メディカル部門は医師主導臨床研究への関与を限定的なものとする方向に方針転換し、学術担当ⓡを含め、メディカル部門のノバ社従業員は研究IVへの関与を拒否するようになった。そのため、以後は、東医病院を担当するMRⓔが、過去の類似の臨床研究の資料を参照するなどしながら各種関係書類の原案作成等の作業を行うようになった」
 この経緯がもし事実であるならば、研究者である医師が製薬企業の競争を利用して、臨床研究を行うよう持ちかけたことになる。そして当の製薬企業の本部からはそっぽを向かれてしまい、結局病院担当のMRが付き合い上、医師のために働くことになったということになる。
 このあたりは医薬品の消費者として病院で力を持つ医師と、営業担当としての性格を持つMRの微妙な力関係が透けて見える。また臨床研究への製薬企業の不正関与につき、けして研究者たる医師が被害者ではないことがよく分かる事例である。
 「MRⓔは、プロトコール委員の候補の選定や、候補者を委員に選任することについて賛同を求める医師D名義の参加施設宛の連絡文書案の作成等、プロトコール委員の決定手続の補助を行った。研究IVのプロトコール検討会は、2011年9月6日に、ノバ社東京事業所の会議室において開催された。(中略)MRⓔがプロトコール委員の意見をとりまとめて修正案を作成するなどしている」
 「研究IVに関する資材としては、慢性骨髄性白血病患者に対する説明文書、慢性骨髄性白血病患者からの同意書、症例登録票、症例登録通知票などがある。これらの資材は、MRⓔが、MRⓕなどの他のノバ社従業員の協力を得ながら、過去の臨床研究における同種資材をベースに原案を作成し、医師Eによる確認を経て内容を確定した」
 「少なくとも東医病院に係る倫理委員会申請書類については、MRⓔが作成を代行した」
 「MRⓔは、(中略)医師D名義の参加施設宛の連絡文書案を作成した。また、MRⓔおよびMRⓕまたはMRⓗは、TSSGの研究事務局である病院#8血液内科の担当者を差出人とする参加施設宛のメールの文案も作成していた」
 「医師Eが当該進捗報告に用いたスライド資料の作成に際しては、MRⓔが過去の他の臨床研究における発表資料を参考に医師Eにおいて報告すべき項目を提案し、医師Eがこれを踏まえて内容を記載していた」
 この記載が真実ならば、プロトコールの作成・研究使用書面の作成・倫理委員会への申請書の作成・メールの作成送付・発表資料の作成、すべてをノバ社のMRがやっていたことになり、まさに「至れり尽くせり」である。
 いったいどのあたりが「医師主導臨床研究」なのだろうか?
▽組織的な個人情報の収集
 個人情報の収集に関しては以下のような事実が記載されている。
 「研究IVデータベースは、(中略)MRⓔが研究IVの登録症例について、TSSG症例登録番号、観察研究の登録番号、施設名、担当医師名、性別、身長、体重、Sokal score、合併症、既往歴などを入力したものである。MRⓔは研究IVデータベースを医師Eに提供したほか、ノバ社内部でも少なくとも一部MRと共有していた」
 「MRⓔは、折を見て東医病院血液内科の秘書から症例登録票を預かってコピーをとっており、現在に至るまでこれを保管している。MRⓔはこれにより把握した症例登録状況を担当MRにアナウンスするとともに、グラフや一覧表にまとめ、ブロックマネージャーへの研究IVの進捗報告や、各MRに対する次回検査日のリマインド、後記キの参加施設宛のメール文案作成等に用いていた」
 「上司のブロックマネージャーは、MRⓔに対し、毎月症例登録状況をチェックするよう指示していたが、実際にはMRⓔが当該秘書の機嫌のよいタイミングを見計らって不定期に症例登録票を借り受けるに止まり、毎月のチェックを実施できていなかった」
 文中に出てくるMRが作成していた「研究IVデータベース」が個人情報に該当するのかについてはなお慎重に検討する必要がある。
 しかし他の情報と照合することで個人が特定できる可能性が高く、医師主導臨床研究であり製薬企業の関与が予定されていない情報を、ノバ社のブロックマネージャーが収集するように指示をしていたという事実は重く考えるべきであろう。
▽奨学寄附金の実態
 奨学寄附金は企業などが大学や教授に寄附を行う制度で、通常は特定の研究目的を定めずに寄附を行う。有名な教授になると複数社から寄附金を集め、それを資金力に研究を進めていくことになる。
 研究にかかる費用を奨学寄附金から支出している場合、目的が紐付けられておらず、複数社の寄附が交ざるため、仮に寄附者に研究の目的となる医薬品の製薬企業が入っていたとしても「利益相反はない」というのが、大学の立前である。
 東医病院ではないが、東大病院のSIGN研究の中間報告書では、このあたりの大学側の主張が以下のように述べられている。
 「(「ノバ社からの血液・腫瘍内科への奨学寄付金」の項目で)本研究が計画されてから今年度までの寄付額は2011年度200万円、2012年度300万円、2013年度300万円であった。本研究に直接関する奨学寄付金はない」
 「ノバ社からの血液・腫瘍内科への奨学寄付金については、本研究に対する直接的な寄付金ではなく、通常の寄付金の範囲内と判断された」
 もっともノバ社側のSIGN研究外部調査報告書では、同じ奨学寄附金に対する見方はずいぶんと違う。以下引用する。
 「支出の制約がなく手続も簡易なことから、営業現場では、奨学寄附金を営業活動の手段または医療機関にMRが出入りするための前提として用いていることがうかがわれる。実際、一部の医療機関等から、露骨な奨学寄附金の要求が行われている事実がうかがわれる記載を含む資料もあった。こうしたことからも、医療機関等が製薬企業に財源的に依存している実態がうかがわれるところである」
 「また、ノバ社の医薬品を使用した医師主導臨床研究を実施してもらうこととの見合いで寄附されることが多かった模様である。これは、奨学寄附金の目的に反する点で問題であるのみならず、医師主導で行う医師主導臨床研究の精神にも反するという、二重の問題点を含んでいる」
 では研究IVではどうだったのだろうか? 4研究の調査報告書に戻ろう。
 「研究IVについては、基本的には観察研究による検査を利用していることから、9か月目に行われるBCR-ABL mRNAモニタリング20を除き、試験費用の負担は生じなかったが、観察研究の症例登録期間終了後に登録された症例については、観察研究による検査を利用することができなくなるため、その試験費用の負担をどうするかが問題になった」
 「ノバ社従業員10名は、2013年2月26日に、ノバ社東京事業所でTSSGに関する会議を開き、東医病院に対する奨学寄附金を用いることによって試験費用を東医病院に負担してもらうことが可能であると結論付けた。また、その後の同年3月22日頃に、MRⓘが、試験費用の試算を行い、その支払方法は『東医病院への一括が望ましい』などと記載した資料を作成した」
 「これらを受けて、医師Eは、同月30日開催の第22回TSSG定例会議において、MRⓘ作成の上記資料をほぼそのまま一部に取り入れた資料に基づき、毎月3例が症例登録されその半数に対して血中濃度測定等を行った場合の試験費用が1300万9500円になること、およびその支払方法は「一括して東医病院への請求」となることなどを説明し、特段異議は述べられなかった」
 「したがって、東医病院に対する奨学寄附金の一部が研究IVの試験費用に充てられた可能性は高いものと思われる」
 製薬企業とMRの側の奨学寄附金に関するやり取りが、ここまで公開されることは珍しい。まさしくノバ社のSIGN研究外部調査報告書が述べたとおり、実際にはノバ社の奨学寄附金が、ノバ社の医薬品を対象とした医師主導臨床研究に利用されていたことが如実に分かる。
 今後は大学側も、「奨学寄附金を利用しているので利益相反がない」とは言えない実態が克明に表れている。
▽研究IVのまとめ
 このように研究IVは、研究者である医師が、ライバル製薬企業の研究が進んでいるという情報をもとにMRをけしかけて、プロトコールから発表資料の作成までやらせたという、かなりひどい「医師主導臨床研究」の事例だ。
 むろん研究者であるお医者さんのほとんどは、自らの手でまじめに医師主導臨床研究をしているはずである。だからこそ、このような研究者を放置しておいてはいけないのである。
 医療系臨床研究への信頼を維持し、患者さんの臨床研究参加への厚意を裏切らないためにも、医療研究界は自浄作用を働かせていただきたいと思う。
 もっともこの調査報告書は、あくまでノバ社の社外調査に、ノバ社のMRが回答した内容である。医師Eにはこの調査報告書の内容が真実なのかを是非、自ら答えていただきたい。
相変わらずの東大病院の対応
 5月20日に東大病院は、前日のノバ社の4研究の調査報告書公表を受けて「慢性期慢性骨髄性白血病治療薬の臨床研究について」との記事を公開した。
 内容については見ていただければお分かりいただけると思うが、3月14日の「SIGN研究」の「予備調査」の「中間報告書」を再掲しただけである。
 経緯でも述べさせていただいたが、今回の4研究はSIGN研究と同じTCCが関わっているものの、SIGN研究とは別の研究である。
 そもそもこのSIGN研究の中間報告書では、今回の4研究のことについては全く触れられていない。4研究については中間報告書の質疑応答時間中に門脇病院長が口頭で公表したにすぎないからだ。
 さらに言えば東大病院はSIGN研究の予備調査の中間報告を行って以来、今回の内容がほとんどない記事を掲載するまで、全く情報を公開していない。これは東京大学、東大病院、研究責任者、のすべてが一切公の場で発言していないということである。
 東大病院の内部調査は先日報道されたアルツハイマー病研究J-ADNIの不正でもそうだが、現在のところ信用に足るだけの実績を示していない。この点は早急に改善が必要である。
おわりに
 今回の4研究の調査報告書では、冒頭の調査結果の要旨の部分で早々に「結論」として、「以上のとおり、研究IないしIVの調査の結果、ノバルティスファーマ株式会社従業員の関与によって研究結果が不当に歪められたとは認められない」と記載されている。
 確かに「研究結果」への影響はなかったのかもしれないが、そのことは臨床研究不正が引き起こすほんの一面にすぎないことは既に見てきた通りである。
 臨床研究と他の研究の最大の違いは、実際の患者さんという人間を対象にしているという点だ。したがって臨床研究の不正は常に患者さんの視点から考えなければならない。
 以上のように述べてきたがこのように問題のある事実が明らかになったのは、ノバ社が調査を公表すると決断したからである。ノバ社はこれからも厳しい事例が報告され、社会的批判にさらされるかもしれないが、徹底的な調査と公表を行っている姿勢は高く評価したい。
 さて東大病院はどうするのだろうか。


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