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「便秘には下剤 or 浣腸」だと思わぬ病気を見逃す危険性あり---年間2万人が訪れるERを率いる医師が教える
http://www.asyura2.com/14/iryo4/msg/301.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 10 月 03 日 08:47:05: igsppGRN/E9PQ
 

「便秘には下剤 or 浣腸」だと思わぬ病気を見逃す危険性あり---年間2万人が訪れるERを率いる医師が教える 医師でも間違える病気・ケガ・薬の新常識(3)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40483
2014年10月02日(木) 林 寛之  現代ビジネス


便秘をしたら下剤を使うのはもちろん構いません。ただ高齢者で通常の便秘ではなく、腸閉塞になっている場合、つまり陣痛のように波のように腹痛がおそい、 排便もおならも出なくなって、嘔吐しているような場合には、浣腸は避けた方がいいでしょう。圧が上がって腸に穴が開いて緊急手術になることがあります。

医者でも高齢者の便秘に安易に浣腸をしてしまい合併症を引き起こしてニュースになることがあります。この判断は意外に難しいのです。

便秘の患者さんは多いですが、その原因をきちんと探さずにただ下剤を使うのは危険です。特に腹痛が強い急性の場合は、炎症や血流障害で腸の動きが止まっていることがあります。また卵巣腫瘍など骨盤腔で直腸を圧迫するものがあれば当然排便はしにくくなります。

便がしたくてたまらないのにすっきりせず、お腹が強烈に痛い場合は、骨盤腔に炎症があるかもしれません(感染性腸炎、腹部大動脈瘤、異所性妊娠など)。

腸管の動きが悪くなる病気(内分泌疾患、糖尿病、脊髄損傷、寝たきり)のために便秘になっている場合は下剤を使う方がいいでしょう。

忘れてはならないのは薬剤性便秘です。薬の副作用の便秘に対して下剤を追加すると言うのは本末転倒であり、原因となる薬剤をやめればいいだけです。

高齢者は皮膚が乾燥しやすく、かゆいからと言ってかみ止めなど漫然と内服している時がありますが、抗ヒスタミン薬には抗コリン作用があり、腸の動きを抑えて便秘にしてしまいます。医者もその辺りに気を配っていないことがあり、高齢者に抗ヒスタミン薬を漫然と処方しないように勧告も出ています。

風邪薬にも抗ヒスタミン薬が入っていますし、胃薬にも抗コリン薬があり、三環系抗うつ薬も抗コリン作用があります。便秘を来たしやすい薬には他に抗パーキンソン薬、睡眠薬、利尿薬、向精神薬、抗痙攣薬、抗アレルギー薬・・・・・・もうゲップですね。これら薬をやめられない時もあるのでその際は下剤を併用します。

痛みがなければ大丈夫かと言うと、そうでもありません。大腸癌で便が細い、出にくいというのに、下剤ばかり使って軟便状が出せればいいやと放っておくと癌が進行してしまう場合があります。

特に体重が減ってくる場合、家族歴で大腸がんがある場合、喫煙者、便が細くなってきた場合、50歳以上で初めての便秘、便に血液が混じる場合は要注意です。

小児の腹痛の約半数は便秘が原因です。浣腸一発ですっきり解消という経験を皆さんもお持ちではないでしょうか。

若い女性やダイエットをする人も確かに便秘になりがちです。食事の量が少ないと当然便秘がちになります。繊維質の野菜を多く取り、適度な運動をすると確かに便秘になりにくいですが、個人差が多く、科学的根拠はそれほど高くはありません。

一方、毎日排便が無いと自分は便秘だと信じ込んでいる人がいます。排便は週に3回あれば正常です。ただし便の質も関係ありますので一概に回数だけでは語れません。毎日排便が無いと気が済まなくて、救急外来を受診して浣腸して欲しいと言う人がいます。2〜3日に1回排便があれば病気じゃないと説明しても聞き入れてくれない人もいて、医療者も困ってしまうわけです。

下剤には大きくわけて2種類あり、刺激性下剤と緩下剤があります。刺激性下剤は名前の如く、腸を刺激してぐいっと動かし排便を促します。つまり排便前にお腹がキューンと痛くなるのです。硬い便をぐいっと押し出すので、硬い排便の後に軟便が一緒にドバッとでてきます。

刺激性下剤を飲んでばかりいると癖になると言われますが、あまり確固たる科学的証拠はなく、むしろ精神的依存の方が強いでしょう。刺激性下剤を乱用すると、直腸に色素が沈着して黒っぽくなるので、大腸ファイバーをするとすぐにわかります。

緩下剤(酸化マグネシウム製剤など)は便に水分を一緒に含ませて便を軟らかくする薬です。ということは食後に緩下剤を少し飲むだけではダメで、十分な水分と一緒に摂らないと効果は期待できません。だって便と一緒に水がないと効かないですから。また毎食後に飲まないと、ついうっかり飲み忘れて硬い便ができてしまうのでは意味がありません。

人それぞれ緩下剤の適正量は異なりますので、うまく量を調整するのがコツです。

酸化マグネシウム製剤は腎不全の患者さんは高マグネシウム血症になってしまうので禁忌です。また緩下剤を内服中の場合、キノロン系抗菌薬の吸収を妨げますので、キノロン系抗菌薬を内服する場合はやめるか時間をずらす必要があります。このあたりのさじ加減が、みなさんの主治医の腕の見せ所ですね。

下剤の乱用で一番怖いのは低カリウム血症です。力が入りにくくなり、腸の動きが悪くなるためさらに便秘になり、心臓の伝導系に障害を来し、不整脈になり死に至ることがあります。ダイエット目的の下剤乱用は特に危険なので絶対にやめてください。

『年間2万人が訪れるER(救急)医が教える 医者でも間違える病気・ケガ・薬の新常識』より

林 寛之(はやし・ひろゆき)
福井大学医学部附属病院総合診療部教授。
1986年自治医科大学卒業。トロント総合病院救急部での臨床研修、僻地医療を経て、福井県立病院救命救急センター勤務後、2011年4月より現職。
年間2万人が訪れる救急医療チームの責任者として、福井県のたらい回しゼロに大きく貢献する。「家庭を大事にできないと、患者さんを大事にできない」がモットーで、過去に3ヶ月の育児休暇を取った経験がある。
『プロフェッショナル 仕事の流儀』『総合診療医ドクターG』(いずれも、NHK)など、メディア出演多数。また、救急救命のスペシャリスト・研修医の指導医として、北は北海道、南は沖縄まで、全国各地の病院や医療施設で医師や研修医向けの講演や研修会を多数行っている。
著書に、医学雑誌の大人気連載を書籍化した「Step Beyond Resident」シリーズ(羊土社)、多くの医師がお世話になっている『研修医当直御法度』(共著/三輪書店)など、医師向けのベストセラーを多数出版しているが、一般向けの書籍は本書が初めてとなる。


 

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コメント
 
01. 函館の犬。 2014年10月03日 13:09:38 : bhbAK3m6MJQx2 : SPmwy2qyg6
ガッテン、ガッテン。

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