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iPS備蓄 安全性は  治療用、外部機関に提供開始
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 8 月 14 日 23:12:14: Mo7ApAlflbQ6s
 


iPS備蓄 安全性は [日経新聞8月14日]
治療用、外部機関に提供開始

 今月に入り、京都大学iPS細胞研究所が「iPS細胞ストック」の細胞を病気の治療用として外部機関に提供し始めた。これらのiPS細胞から作った網膜や神経の細胞は患者の体内に入るため、がんに関連した遺伝子の変異がないかなどを詳しく調べている。ただ、どこまで確認すれば安全なのかの判断はなかなか難しい。


 「ストック」とは備蓄や保管の意味で、高品質で安全な細胞をセ氏マイナス196度の液体窒素で冷凍保存しておく。なぜ、そんなことが必要なのか。

 iPS細胞は皮膚や血液の細胞に遺伝子を入れて作れ、いくらでも増やせて多様な細胞に育つ能力があるとされる。とはいえ、採血してすぐに十分な量の高品質な治療用細胞を得られるわけではない。


移植までに半年以上

 昨年、理化学研究所プロジェクトリーダーの高橋政代さんらが世界で初めてiPS細胞を再生医療に使った目の難病治療の臨床研究では、患者のiPS細胞を作るのに約4カ月かかった。網膜の細胞に育て、移植用シートにするのにさらに半年を要した。費用は5000万円を超えた。

 これほど時間やコストがかかっては治療の普及は望めない。たとえば、交通事故などで脊髄損傷になった人にiPS細胞から作った神経細胞を移植する場合、治療効果が高いとされる事故後、2〜4週間内に細胞の準備が間に合わない。

 そこで、京大教授でiPS細胞研究所の所長を務める山中伸弥さんが中心となり、あらかじめiPS細胞を作って備蓄することにした。

 他人のiPS細胞を使うと、免疫の働きで拒絶反応が起きる恐れがある。日本人の多くと共通する免疫タイプを持つ人を探してiPS細胞を作れば、この問題を解決できる。現状では備蓄してあるiPS細胞は日本人の17%に拒絶反応なしで使える。2017年度末までに3〜5割をカバーできるようにする。

 iPS細胞から作った治療用細胞は患者の体内に入れるので、医薬品並みの厳重な品質と安全性が求められる。京大は空気清浄機能などを備えた専用の細胞調製施設で作製している。できたiPS細胞は、まず顕微鏡で確認する。様々な細胞に育つ能力をきちんと持つかは、特定の目印物質を通して検査する。

 それだけでは、移植後にがんができるリスクなどはわからない。判断に役立つと注目されているのが遺伝子解析だ。細胞のゲノム(全遺伝情報)を隅々まで調べ、遺伝子を構成する塩基の配列のクセ(変異)や、細胞分裂の際に複製された遺伝子の量の違いを抽出する。配列は同じでも化学的変化が起きていないかをみる「エピジェネティクス」解析もし、がんとの関係が疑われるものは使わない。

 理研が臨床研究に使用したiPS細胞も、京大iPS細胞研が徹底的にゲノム解析した。iPS細胞ストックの細胞もすべてゲノムを調べ、山中さんが品質を最終判断するという。ただ、解析には高価な装置をフル稼働させなければならない。

 さらに問題なのが、変異とがんとの関係が必ずしも明確ではない点だ。「健康な人でも年齢とともに多様な変異が蓄積されていく」(山中さん)。解析技術が進み精度が上がれば変異も見つかりやすくなり、がんと無関係なのに治療に使えないと判断してしまう可能性がある。

 iPS細胞に気になる遺伝子変異が見つからなくても、治療に必要な細胞を作る過程で性質の変化や変異が起きうる。高橋さんは「遺伝子がこうだから大丈夫、という手順ではかえって危険だ」と指摘する。動物実験などを繰り返し、がんができないのを確認することこそ大切だとみる。


リスク情報で選択を

 安全性と品質の問題は文部科学省の作業部会でも検討中だ。自治医科大学学長の永井良三さんは8月上旬の作業部会で「iPS細胞はほかの細胞に比べ性質にばらつきがある。ゲノムデータをもっと検討すべきだ」と強調した。「iPS細胞だから変異が起きやすいというのは間違い」とする山中さんや、動物実験に重きを置く高橋さんらと意見が食い違った。

 iPS細胞ストックは様々な病気の治療への利用を想定しており、すべてに安全に使えると証明するのは難しい。治療成績にまで責任を負うと、身動きがとれなくなってしまう。国立医薬品食品衛生研究所部長の佐藤陽治さんは「どの細胞株にどんな変異があるのかリスク要因を示し、その情報をもとにユーザーが自らの責任で目的に合った最適な細胞を選ぶのが現実的」と話す。

(編集委員 安藤淳)

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150814&ng=DGKKZO90514220T10C15A8TJN000


キーワード 遺伝子変異

 遺伝子は塩基という物質の配列(塩基配列)で構成され、生命の営みに必要なたんぱく質を作り出す。配列の異常や、特定の遺伝子が多すぎるといった量的な異常を変異と呼び、「ゲノム(全遺伝情報)の不安定性」を示すとされる。健康な人でも細胞分裂を繰り返すとともに変異が蓄積される。

 がんにも様々な変異が関係し、代表的なものだけで200以上が知られるが、複数の組み合わせで発症し環境要因も絡むなど複雑だ。iPS細胞や移植する細胞の品質評価の際に、がんのリスクを判断するために変異を確認するが、どこから先が安全かという線引きは難しい。

http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20150814&ng=DGKKZO90514260T10C15A8TJN000

 

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