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(回答先: ウクライナ政権が崩壊 大統領権限、暫定的に議会議長へ（東京新聞） 投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 2 月 24 日 00:33:01)
ウクライナ、政権崩壊 大統領は国外脱出失敗、代行に国会議長
【モスクワ＝田中孝幸】反政権デモと警官隊の衝突で多数の死傷者が出たウクライナの最高会議（国会）は23日、トゥルチノフ議長を大統領代行に選出した。先に解任を決議されたヤヌコビッチ大統領は22日夜、東部ドネツクの空港から出国を試みたが、国境警備隊に阻止された。その後、大統領の所在は不明で、ヤヌコビッチ政権は事実上崩壊した。
ヤヌコビッチ氏は同日午後に辞任を否定していたが、野党勢力による政府や治安機関の掌握を受け、巻き返しが困難と判断したとみられる。閣僚や検事総長など政権幹部による国外脱出の動きも相次いでいる。
トゥルチノフ大統領代行は各党に、25日までに暫定内閣の樹立で合意するよう要請した。首相候補にはポロシェンコ元外相や野党第１党幹部のヤツェニュク氏らの名が挙がっている。
人口約4500万のウクライナを巡っては、隣接する欧州連合（ＥＵ）とロシアがそれぞれの経済圏に取り込もうと綱引きを続けてきた。政権交代でウクライナの親欧米路線への転換は確実な情勢だ。
国会が５月25日に繰り上げ実施を決めた次期大統領選には、22日に釈放されたティモシェンコ元首相がすでに出馬を表明しており、野党第２党ウダルのクリチコ党首の立候補も取りざたされる。今回の反政権デモで重要な役割を果たした民族主義政党からも候補者が出る可能性がある。
ウクライナでは2013年11月、政府がＥＵと関係を強める連合協定の調印手続きを突然凍結。反発した野党勢力や市民が反政権デモを続け、２月18日に激化した警官隊との衝突では20日までに82人が死亡した。
［日経新聞２月２４日朝刊Ｐ．１］
ウクライナ、親欧へ再転換 ＥＵとの連合協定、早期調印めざす ヤヌコビッチ政権崩壊
【モスクワ＝石川陽平】政治危機が続いたウクライナは今回の「政変」により、再び親欧路線に国家の針路を転じる。親欧派の野党勢力が権力の中枢を握り、ヤヌコビッチ政権が凍結した欧州連合（ＥＵ）と包括的に関係を強める連合協定調印の早期実現を目指す構えだ。人口4500万の旧ソ連第２の国がロシアからＥＵの影響下に移り、東欧の地政図が塗り替わる可能性が高まった。
「ウクライナは近い将来、ＥＵの加盟国になり、すべてが変わる」。ヤヌコビッチ大統領の政敵で、22日に釈放されたティモシェンコ元首相は首都キエフ中心部で「政権崩壊」を祝う群衆に表明した。政治、経済改革が遅れるウクライナのＥＵ加盟への道のりは険しいが、国の基本方針は明確に親欧路線に転換すると宣言した。
反政権デモの引き金を引いたのは、政権による2013年11月のＥＵ連合協定の調印手続きの凍結だった。親欧派のキエフなど中部や西部で住民が猛反発。10万人規模のデモと警官隊との衝突の末、ロシアに接近していた政権を事実上崩壊させた。親欧への回帰は、野党勢力の公約になる。
親ロか親欧か――。ＥＵとロシアに挟まれたウクライナは1991年の独立以来、国家の針路を巡る重大な選択を迫られてきた。今回の「政変」で答えが出た形になる。ヤヌコビッチ政権の支持基盤で、親ロ派が多数を占める東・南部が反発し、国家分裂の動きが強まるかどうかが焦点だ。
親ロ派の有力政治家は相次ぎロシアなどに逃亡した。住民の多くも「内戦」は避けたいのが本音だ。23日は野党勢力との衝突や抵抗の動きは小規模にとどまっている。
隣国の混乱を恐れるロシアも国家統一を支持する。野党勢力が親ロ派住民に融和的な姿勢を示していけば、分裂の危機は収束に向かうとの見方が出ている。
対ウクライナ金融支援を中断 ロシア
【モスクワ＝田中孝幸】ロシアのシルアノフ財務相は23日、ウクライナのヤヌコビッチ政権が事実上崩壊したのを受け、昨年末に決めた同国向けの総額150億ドル（約１兆５千億円）の金融支援を当面中断する意向を表明した。20カ国・地域（Ｇ20）財務相・中央銀行総裁会議の開催地シドニーで記者団に語った。
改革条件に金融支援へ ＥＵ・ＩＭＦ、国際市場混乱を回避
【ベルリン＝赤川省吾】欧州連合（ＥＵ）や国際通貨基金（ＩＭＦ）は23日、ウクライナに金融支援を実施する検討に入った。透明な政治制度の整備など政治・経済改革を条件にする見通し。ウクライナが債務不履行（デフォルト）に陥り、国際金融市場が混乱するのを避ける狙いがある。
シドニーで開いた20カ国・地域（Ｇ20）財務相・中央銀行総裁会議に出席した欧州委員会のレーン副委員長（経済・通貨担当）が「政治混乱が収まり、新政権が誕生すれば支援を実施する用意がある」と明らかにした。
ＩＭＦのラガルド専務理事もシドニーでの記者会見で「経済改革を条件に支援に応じる」と明言。具体策はＥＵとＩＭＦで今後協議する。
ウクライナは300億ドル（約３兆円）超の対外債務を抱える。新政権が親ＥＵに転換すれば、ロシアからの支援が見込めなくなり、債務返済が滞る恐れがあった。
欧州各国はウクライナを通るパイプラインを通じて天然ガスを輸入している。オーストリアやイタリアの銀行はウクライナ国債を大量に保有。経済混乱は欧州の景気回復の重荷にもなる。
ドイツの与党・社会民主党（ＳＰＤ）の幹部は23日、「ウクライナの債務不履行を避けるためにＥＵは支援する必要がある」と地元紙に語った。
米国務長官が政権崩壊を歓迎
【ワシントン＝吉野直也】ケリー米国務長官は22日、ロシアのラブロフ外相に電話し、ウクライナ情勢について「ヤヌコビッチ大統領の予期せぬ退場後、首都キエフに平和的な空気が広がりつつある」と述べ、ヤヌコビッチ政権の事実上の崩壊を歓迎した。同時に「憲法改正、連立政権の樹立、大統領選の早期実施に向けた支援が重要だ」と伝えた。
カーニー米大統領報道官も同日の声明で、ヤヌコビッチ政権の崩壊を歓迎。「ウクライナの動きは暴力の沈静化や憲法改正、連立政権の樹立、大統領選の早期実施という米国が掲げた目標に近づいてきた」と指摘した。
汚職・蓄財国民怒り 続く貧困「将来ない」
ウクライナのヤヌコビッチ政権を事実上崩壊させたのは、大統領への権力集中で腐敗した政治体制への国民の強い怒りだ。汚職のまん延もあって大統領の家族や側近が蓄財する一方、国民は貧困にあえいでいた。
大統領が東部に脱出したとの一報が流れた22日から23日にかけ、大統領一家が利用していたキエフ近郊の私邸には人々が列をなした。140ヘクタールとされる広大な敷地と豪華な邸宅は政権の「腐敗」の象徴とみなされており、一目見ようと多くの住民が詰めかけた。
大統領は2010年に就任すると、直ちに憲法を改正し、議会と政府から権力を自らの手に移した。治安や内政の主要ポストに側近を就け、政府機関の隅々に汚職がはびこった。トランスパレンシー・インターナショナルの最新の腐敗調査では、世界177カ国・地域の中で144位に落ち込んだ。
企業家の息子アレクサンドル氏には急速に事業を拡大させた。13年11月時点の資産は約５億ドル（約500億円、米フォーブス誌）に急増。大統領の周りに、同氏に近い若い新興財閥の人々を集め「ファミリー（家族）」と呼ばれる利権集団をつくった。
一方、国民は貧困にあえいだ。13年の１人当たり国内総生産（ＧＤＰ）は約3800ドルで、隣国ロシアの３分の１以下。12、13年はほぼゼロ成長だった。平均賃金も月400〜500ドルにとどまる。旧ソ連時代は工業化の先頭に立っていたが、独立後の経済混乱とヤヌコビッチ政権の腐敗で、国家の発展は立ち遅れた。
「政治体制を根本的に変革しなければ国の将来はない」。首都キエフで親欧派の反政権デモの参加者は口々に叫んだ。デモの引き金は昨年11月の親欧路線の転換だったが、腐敗した政権への不信がそれ以上に、民衆を「政変」に駆り立てていった。
（モスクワ＝石川陽平）
［日経新聞２月２４日朝刊Ｐ．７］
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