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コラム:ウクライナ支援で過去の失敗を繰り返すな=サマーズ氏:経済的には合理的でも政治プロセスに耐えられない条件は無用
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投稿者 あっしら 日時 2014 年 3 月 13 日 01:21:17: Mo7ApAlflbQ6s
 


コラム:ウクライナ支援で過去の失敗を繰り返すな=サマーズ氏
2014年 03月 11日 13:19 JST

[10日 ロイター] - ウクライナを成功裏に経済・政治改革に導くため、諸外国が有効な支援を差し伸べることの重要性が、今般の出来事により一段と増した。
国際社会は臨機応変に対応しつつある。国際通貨基金(IMF)その他の国際金融機関のみならず、米国、欧州連合(EU)、そして20カ国・地域(G20)が具体的な援助を示唆している。

1つの視点から眺めた場合、ウクライナの状況は独特だ。最たるものはクリミア半島におけるロシアの影響力に絡む地政学的側面であり、ロシアと欧州に挟まれた戦略的に微妙な位置ゆえに諸問題が生じている。
より広い視野で眺めると、過去約30年の間に正統でない、あるいは少なくとも非常に問題の多い政権が打倒され、国際社会が経済改革および、より民主的で正統と想定される新政権を支援するための援助を模索した前例は豊富にある。ベルリンの壁崩壊、あるいは「アラブの春」の後の政権移行を考えてほしい。

おおざっぱに一般化するなら、こうした支援の努力は建設的なものであったが、もたらされた結果は国際社会が抱いた大志からすれば期待外れだった。過去四半世紀間に10回近くもマーシャル・プランが引き合いに出された。しかしオリジナル版ほどの成功を収めた支援策は皆無だ。無論、うまく機能する機構というのは外部から押し付けられるものではなく、自らの運命を形作るのは各々の国とその国民である。しかし支援プログラムを設計する上で、過去の経験は間違いなく重要な教訓を提供してくれる。

5つの教訓がとりわけ重要だ。

第一に、すぐにインパクトを与えることが不可欠である。民衆が実感できるような結果を出せない限り、新政権は存続できない。支援の条件は政治、経済両面の現実に立脚したものとする必要がある。インパクトがすぐに目に見えるよう、資源の提供は真っ先に実行に移さねばならない。
例えば、セーフティーネットの強化や新規事業支援といった措置は、補助金を引き揚げた後ではなく前に実施する必要がある。国際社会はしばしば、経済的には合理的だが政治プロセスに耐えられない条件を設定した挙句、支援を実行できず当該国の悪政を非難する。今こそ専門家の心配よりも政治上の懸案事項を優先すべき時である。

第二に「ポチョムキン・マネー(見せ金)」を避けねばならない。メディアの熱狂に加え、最大限の支援を得たいという受け取り側の欲求、幻想的に見せたいという支援者側の欲求が組み合わさることで、見境なくあらゆるプロジェクトを合算した額に基づく巨大な支援策が常に発表されてきた。その帰結が失望、そして幻滅である。すべての援助が迅速に実現したり、地元の喫緊のニーズにこたえるわけではないことに、受け手側が気付く結果だ。
マーシャル・プランは金額も具体的な説明資料もなしに発表されたことを思い出してほしい。ウクライナ支援が目指すべきは、約束は控えめにし、数カ月後に期待以上の効果を上げることである。

第三に、債務について現実的に対処する必要がある。ウクライナの債務比率は、危機に見舞われた欧州周縁国に比べれば低めであるため、金融安定化を図り、既存の資金フローを維持するという観点で、債務の全額返済を促すことに利点があるかもしれない。しかしウクライナの民間債権者が何年もの間、500ベーシスポイント以上のリスクプレミアムを受け取ってきたという事実に照らせば、債務再編や返済延期といった選択肢も慎重に検討してよいかもしれない。

1989年のベルリンの壁崩壊後のポーランドに見られたように、債務削減は政治的支援を示す力強いメッセージとなり得る。もっとも国際社会が既存債務を処理するに当たり慎重を期さねばならないのは、金銭的恩恵を伴わずコストは持続するプロジェクトの資金調達を、直接援助ではなくデットファインナンス(債務による資金調達)に頼ることにより、将来の問題の種を撒いてしまう可能性だ。

第四に、誠実な運営は賢明な政策と同じくらい重要である。国際金融機関は伝統的に、政策の質に関わる条件を課すことに焦点を当ててきた。しかし今では、公共資源の流用や横領こそが、経済政策の成績が芳しくない主因であることが理解されている。国際社会はウクライナ前政権幹部らが不法に得た利益を回収し、将来の資金流用を防ぐための手順を整えるため、全力を尽くすべきである。そうすることの利点は狭い経済的観点からも大きいが、政治的観点でも突出している。

第五に、各国はウクライナを利するようなやり方で広範な政策を追求する必要がある。例えば米国が金融危機における指導的役割を維持するためには、米議会は米国が諸外国と歩調を合わせるよう導き、IMFへの資金拠出を全額承認する必要がある。仮に米国が天然ガスおよび原油の輸出を許可すれば、それもウクライナの経済力と自治権を高めることになろう。

ウクライナは米国よりも遥かに欧州に近いため、ウクライナの繁栄と、輸出市場としての拡大によって欧州が受ける利益は米国以上に大きい。ウクライナの経済改革者らが目指す最大の目標は、EUとの協力緊密化だと考えるのが自然だ。

これら5つの原則に留意することは成功を保証しない。しかし留意しなければ失敗が約束されたに等しい。クリミアにおけるロシアの利害に照らせば、われわれが成し遂げようとしていることには、計り知れない利害が掛かっている。


*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*ローレンス・H・サマーズ氏はハーバード大学教授。元米財務長官。

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http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYEA2A02W20140311?rpc=188&sp=true


 

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コメント
 
01. 2014年3月14日 12:02:51 : MEJkFnPqrk
サマーズさんのご意見は承ったが、ネオナチの件はどうなるのか。 目的にためには手段を選ばずだとしても、SSまで造られるとは思われなかったでしょう。 ネオナチがアメリカ本国に飛び火して、コンフェデレーション(南軍)の旗を振られては可笑しなことになる。 既に日本じゃ図書館で「アンネの日記」をやぶく事件が起きていいるけど、まさか朝鮮にネオナチが飛び火したのかな。 白昼に亡霊に遭う心地がするって。 ナチスが出てきちゃあ、メルケルはウクライナへの支援なんてやれないね。 

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