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米国の覇権はアジアに安全をもたらさない
http://www.asyura2.com/14/kokusai8/msg/743.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 6 月 04 日 00:36:11: Mo7ApAlflbQ6s
 


米国の覇権はアジアに安全をもたらさない
人民網日本語版 2014年06月03日13:15

 米国のヘーゲル国防長官は5月31日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議で講演した際、米国のアジア太平洋回帰戦略を弁護し、米日安保条約の釣魚島(日本名・尖閣諸島)への適用を大声で叫び、日本の集団的自衛権の行使容認を支持したうえ、公然たるいわれなき対中批判に重点を置き、脅し的な言葉さえ各所で使用した。(文:張軍社・海軍軍事学術研究所研究員。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

 ヘーゲル氏の無責任な発言について、中国人民解放軍の王冠中副総参謀長は「ヘーゲル氏の講演はアジア太平洋の不安定要素を煽動し、そそのかしてもめ事や騒動を引き起こす発言に満ちた、余りにも行き過ぎた講演であり、中国側の予想を遙かに超えていた。ヘーゲル氏は講演でいわれなく中国を批判したが、これは何の根拠もなく、全く筋が通らず、横暴、威嚇、脅しに満ちている」と指摘した。

 近年米国はアジア太平洋地域における覇権的地位を維持し、アジア経済の急成長の恩恵にありつくため、「アジア太平洋回帰」「アジア太平洋転換」「アジア太平洋リバランス」など様々な名目の新アジア太平洋戦略を相次いでぶち上げ、アジア太平洋地域における軍事的プレゼンスを強化している。米国のいわゆる「アジア太平洋リバランス」戦略については、すでに多くの国々が懸念と反感を深め、米国内でも多くの戦略家が非難している。こうした状況の中、ヘーゲル氏が自らを反省しないばかりか、反対にいわれなき対中批判を行っても、全く同調のしようがない。

 周知の通り、釣魚島(日本名・尖閣諸島)、西沙(英語名パラセル)諸島、中沙諸島、南沙(英語名スプラトリー)諸島は古来中国固有の領土であり、これには十分な歴史的根拠、法理上の根拠がある。だが、中国政府は地域の平和・安定を維持するため、一部の国による不当な要求と挑発を前に、極めて大きな自制と忍耐を続けてきた。釣魚島においても、黄岩島(スカボロー礁)においても、さらには係争の存在しない西沙諸島においても、中国は依然軍事的自制を保っている。それに対して、▽日本が航空自衛隊の戦闘機を釣魚島から遠く離れた東中国海上空に派遣して、非武装の中国の哨戒機を攪乱し、威嚇し続けているのだ。▽フィリピンが海軍軍艦を派遣して、寸鉄帯びぬ中国の漁師を攪乱し、威嚇しているのだ。▽ベトナムが大量の武装船を派遣し、中国の公船と漁船に衝突しているのだ。中国は今まで南沙海域で油井一つ掘ったことはない。ベトナムやフィリピンが中国の南沙海域ですでに長年石油や天然ガスを採掘しているのだ。ヘーゲル氏が地域の平和・安定維持に向けた中国のこうした努力や犠牲について見て見ぬふりをし、一方、事実を省みず、いわれなき対中批判を行うのは、一体どういう魂胆だ?

 ここで指摘しておく必要があるのは、ヘーゲル氏はもっともらしく中国をルールの破壊者と批判したが、これは完全に事実に反するうえ、米国の政治屋の偽善性が暴露されたということだ。国連海洋法条約はすでに採択から30年以上が経ち、150以上の国々が批准している。だが世界の圧倒的多数の国々が批准したこの国際条約を、世界の警察、世界のボスを自任する米国は、あろうことか私利のために遅々として批准せずにいる。それでもなお国際法とルールについて世界で大口を叩くどんな資格が米国にあるのか?このようなダブルスタンダードの国に、他国が国際ルールを遵守しているか否かをむやみに論評する資格があるのか?

 今日の中国は他国に蹂躙されるがままだった百年前の旧中国ではすでにない。中国はいざこざを引き起こさないが、いざこざを恐れもしない。中国が核心的利益を犠牲にすることを甘受すると期待してはならない。近年、東中国海と南中国海で中国は日本、フィリピン、ベトナムの挑発に直面しているが、二国間交渉による紛争の平和的解決という立場を堅持し、多大な我慢と譲歩をすると同時に、やむなくいくつかの反撃措置も取った。
 関係国が中国の我慢と譲歩を弱く侮りやすいことと見なさず、交渉による紛争の解決という正しい道に早急に戻ることを希望する。また、米国がその約束を真に履行し、地域の領有権紛争で特定の側につかないことを希望する。そうしてのみ、地域の平和・安定にプラスとなり、各国の長期的利益にプラスとなる。(編集NA)

 「人民網日本語版」2014年6月3日

http://j.people.com.cn/n/2014/0603/c94474-8736058.html

 

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コメント
 
01. 2014年6月04日 10:10:53 : SfozUUhDY2
中国の言い分、日本の言い分、ベトナムの言い分、フィリピンの言い分、それぞれそ時々の都合でどこにつくかで観方が変わるのはいたしかたないにせよ、みなそれぞれに一理ある。
問題は自国と他国の利害がぶつかってしまうことにある。
自国に有利に運びたいと思うのは当然なれどもソレはどの国とて同じ。
こちらを立てればそちらが立たない、アメリカの二重基準とはそのもぐら叩きのような利害対立を利用して調子よく乗っかることである。
つまり、アメリカにとって揉めても平時でも利益につながればどうでもいいということなのだ。
それはアメリカの強みであり、同時に弱みでもある。



02. 2014年6月04日 14:25:11 : nJF6kGWndY

中国も昔に比べて、かなり米国に対して強気になったな

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40866 JBpress>日本再生>国防 [国防]
中国の原潜はついに米国への報復核攻撃能力を完成させたのか?
ここまで傍若無人になれるのには理由がある
2014年06月04日(Wed) 北村 淳
 イギリスのシンクタンクがシンガポールで開催した「シャングリラ会合」(アジア安全保障会議)で、安倍晋三首相の基調講演やアメリカのヘーゲル国防長官の講演における対中批判に対して、中国から参加した人民解放軍の王冠中副参謀長は真っ向から反駁した。というよりは、安倍首相の発言に対してはまさに“こき下ろした”。
 先週の本コラムでも、中国の強硬姿勢は、最高指導部による計算ずくの戦略的行動ではないか、という意見を紹介したが、昨今ますます強まっているこのような中国の強硬姿勢を軍事的に支えている理由の1つに潜水艦がある。
国家最高機密である戦略原潜
 中国海軍は「攻撃潜水艦」(通常動力潜水艦)や「攻撃原子力潜水艦」(攻撃原潜)の戦力を飛躍的に増強させているが、ここで取り上げるのは「戦略原子力潜水艦」(戦略原潜)である。
 通常動力潜水艦や攻撃原潜が各種海軍戦略実施のための海軍艦艇として活動するのと違って、戦略原潜は主として核抑止戦略(相互確証破壊戦略)実施のための道具である。いずれのカテゴリーにおいても、潜水艦は隠密性が最大の特徴である。そのため潜水艦に関する詳細な情報は、いずれの国においても極秘情報であり、とりわけ戦略原潜に関する情報は国家機密の中でも最高機密の1つとされている。
 中国海軍はすべてのカテゴリーの潜水艦戦力の強化に邁進しており、それら中国潜水艦戦力の強化状況や個々の潜水艦に関する分析は、アメリカ海軍情報筋にとって極めて高い関心事項となっている。特に戦略原潜に関しては、海軍だけでなくアメリカの全ての情報機関や安全保障関係シンクタンクにとって、様々な対中国軍情報活動の中でも最重要課題の1つとなっている。
 しかしながら、「そもそも何隻の戦略原潜が建造されているのか?」「運用されているのか?」に関してすら、把握するのは極めて困難な状況が続いている。
陸上の発射台が破壊されても海中から攻撃を継続
 核抑止戦略の1つとしての「相互確証破壊戦略」(MAD)というのは以下のようなメカニズムである。
 もし敵がアメリカに対して核弾頭搭載大陸間弾道ミサイル(核弾道ミサイル)を発射して先制核攻撃を実施したならば、アメリカもただちに敵に対して核弾道ミサイルを発射して反撃する。それをきっかけにして敵とアメリカとの間で核弾道ミサイルが飛び交うことになる。
 このような核弾道ミサイルの多くは、陸上の半地下式発射台(ミサイルサイロ)から発射される。つまり、移動ができず位置が特定されているので、互いに敵のミサイルサイロを攻撃する可能性が高い。
 そこで、核弾道ミサイルを発射することができる潜水艦を敵に見つからないように潜航パトロールさせていて、万が一にも敵の対米先制核攻撃が実施された場合には、潜水艦から核弾道ミサイルを発射して報復核攻撃を実施するのである。このような報復核攻撃任務を実施するのが戦略原潜である。
 これによって、たとえ敵の攻撃によって陸上のミサイルサイロが壊滅させられても、戦略原潜が海中深く潜航して生き残っている限り、敵に対する報復核攻撃が実施できることになる。
 このように、固定されているミサイルサイロから発射する核ミサイルだけでなく、海中から発射する核ミサイルを搭載した戦略原潜を運用することにより、敵の核攻撃を受けても必ず報復核攻撃が実施できる(あるいは、先制核攻撃をしても必ず敵の報復核攻撃を受ける)という状況になる。その結果、互いに核攻撃ができなくなってしまう。このような恐怖の均衡状態によって核抑止を維持するのが「相互確証破壊戦略」である。
 敵領域を攻撃可能な核ミサイルがあるだけでは相互確証破壊戦略にはならない。戦略原潜を運用してはじめてこの戦略が功を奏することになる。
戦略原潜としての役目を果たせなかった092型原潜
 アメリカとロシアは、互いにミサイルサイロ発射型の核ミサイルと戦略原潜をそれぞれ多数保有しており、相互確証破壊戦略による核均衡状態が保たれている。しかしながら、中国はミサイルサイロ発射型の核ミサイルは保有していたものの、戦略原潜を運用していなかった。そのため、相互確証破壊戦略の土俵に上がることができなかった。
 そこで、中国は1970年代より戦略原潜と潜水艦発射型核弾道ミサイルの開発に取り組み、83年からは巨浪1号(JL-1)核弾道ミサイルを12基搭載した092型(夏型)“戦略”原潜の運用を開始した。
 しかし、JL-1ミサイルの射程距離は改良型でも2500キロメートルと言われていた。したがって、アメリカ本土西海岸を攻撃するには、原潜が長駆潜航してハワイを越えてアメリカに接近しなければならず、そのハワイを攻撃するにも太平洋の日付変更線を越えねばならなかった。
 そのような長い航海をすれば、“騒音”が大きかった092型原潜が米海軍や海上自衛隊に発見され撃沈されてしまうことはほぼ確実であった。つまり、092型原潜は戦略原潜としての役目を果たすことはできなかったのである。
 その後も、中国技術陣は092型原潜とJL-1弾道ミサイルの改良に取り組んだものの、なかなか“本物”の戦略原潜は誕生しなかった。
戦略原潜の代用としての東風31型弾道ミサイル
 そこで、中国は地上移動型発射装置(TEL)から発射して対米攻撃ができる地上発射型大陸間弾道ミサイルの開発にも取り組むことになった。その結果、99年にはアメリカ本土を射程に収める東風31型(DF-31)弾道ミサイルの開発に成功した。現在はアメリカ全域を射程に収める東風31A型(DF-31A)も配備されている。
 DF-31、DF-31Aは地上とはいえ移動可能なTELから発射されるため、固定されたミサイルサイロからしか発射できない核ミサイルよりは、はるかにアメリカ軍の攻撃を受けにくい。つまり、ある程度は相互確証破壊に近づいた。
 しかし、いくら小型で移動可能とはいえ、地上に姿を曝しているTELでは、戦略原潜に比べると“確証”のレベルが低くなってしまい、完全な相互確証破壊戦略を達成したとは言えない状態であった。
094型戦略原潜の登場
 そのため、092型原潜の後継としての094型(晋型)戦略原潜と、それから発射する巨浪2型(JL-2)核弾道ミサイルの開発が絶え間なく続けられた。2004年には094型戦略原潜のテスト運用が始まり、その後も開発が続けられ、静粛性の向上などの改良を施しながら、アメリカ本土を攻撃可能なJL-2ミサイルの登場を待っていたものと考えられる。
094型戦略原潜が3隻並んでいる写真(中国のサイトより)
 一方、アメリカ軍側も、094型戦略原潜やJL-2の情報分析には力を注いできたものの、そもそも何隻の094型原潜が運用されているのか? そして建造中なのか? といった基本的情報すら確実性を持っては把握できない状態が続いていた。2009年から2010年にかけて094型と思われる潜水艦が2隻同時に3回ほど撮影されたため、2013年末まではその他の情報を加味して094型原潜は3隻というのが米海軍関係者の通説となっていた。
 しかし、2014年春には094型と思しき潜水艦が3隻並んでいる写真が公表されたために、現在の094型の運用数は少なくとも4隻あるいは5隻ではないかと考えられ始めている。そして、この不鮮明な写真から3隻のうち1隻は094型の後継として開発中の096型(唐型)戦略原潜ではないかという分析もあり、依然として中国戦略原潜に関する情報分析は混乱状態が続いている。
すでに動き出したと見られる中国の相互確証破壊戦略
 中国海軍が094型戦略原潜を4〜5隻は保有しているということは、少なくともそのうちの1〜2隻が実際にパトロールを実施することは十分可能である。実際に、すでに1〜2隻の094型戦略原潜が“本物”の戦略原潜としての任務を帯びて、南シナ海沿岸域あるいは渤海など、中国海軍にとって安全な海域をパトロールしている可能性が極めて高い。
 アメリカ太平洋軍司令官ロックラー海軍大将は、今年になってから公の場で「アメリカを核攻撃可能な中国戦略原潜は、遅くとも2014年末までには実戦運用される公算が大きい」との見通しを複数回述べていた。そのようなアメリカ軍の危惧の通り、すでに中国はJL-2核ミサイルを搭載した094型戦略原潜を実働させているものと考えられる。
 094型戦略原潜に12基搭載される巨浪2型弾道ミサイル(JL-2)も最大射程距離が8600キロメートルと言われている。そうであるならば、094型戦略原潜にとっては、アメリカや日本の潜水艦、艦艇、航空機に攻撃される恐れがほとんどない渤海という“後方海域”からJL-2型核ミサイルを発射しても、ハワイ全島、アラスカ州、それにワシントン州の一部が射程圏内に入ることになる。それらの射程内には、シアトルやホノルルといった大都市、ホノルル周辺に点在する太平洋軍司令部、太平洋艦隊司令部、太平洋海兵隊司令部、太平洋空軍司令部をはじめとする多数の軍事拠点、シアトル周辺のエベレット空母基地、バンゴール戦略原潜基地、アメリカ陸軍第1軍団フォートルイス基地をはじめとする数々の重要な軍事施設、それにアラスカの油田など、重要な戦略目標が存在している。
JL-2射程圏
シャドー(薄い白色)の領域は、山東半島沖の渤海海中を潜航中の094型戦略原潜からJL-2核ミサイルを発射した際の射程圏、ハワイ、アラスカ、ワシントン州の一部が収まっている。
 米本土全域を攻撃するためには、094型戦略原潜はいまなお太平洋を長駆潜航して日付変更線を越えなければならないが、安全海域から上記のような攻撃目標に対して報復攻撃ができるならば、すでに中国は相互確証破壊能力を保持したものと考えて差し支えない。
 その結果、中国指導者にとって、アメリカの核もさして恐れるに足りない存在となったのである。中国が相互確証破壊戦略というアメリカと同じ核の土俵に這い上がってしまったとするならば、まさに「傍若無人」とも言える昨今の中国の軍事的横暴は納得(もちろん容認できないが)できる態度と考えることができる。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/40839
JBpress>日本再生>国防 [国防]
米中新冷戦時代突入、中国にすり寄る韓国 日本は対話を模索しつつも、韓国のような朝貢国に成り下がるべきではない
2014年06月04日(Wed) 山下 輝男
1 初めに

 最近の国際政治・軍事情勢は、冷戦時代を思わせるものがある。新冷戦が到来したという識者もいるほどだ。本稿では、最近の国際軍事・政治情勢を瞥見し、今がいかなる時代であるを推定し、日本はいかに対応すべきかを考察することとする。

2 国際政治・軍事情勢で気になる特異行動

南シナ海でベトナムに強硬姿勢、中国の狙いは 専門家が分析
西沙諸島でベトナムの艦船に放水する中国の警備艇〔AFPBB News〕

(1)中国の覇権主義的行動

 中国の覇権主義的行動には驚かされる。中越間で領有権争いが続く西沙諸島(パラセル)海域では、5月初めに中国が石油の掘削作業を始めたと発表して以降、中国船によるベトナム船に対する体当たり衝突などが相次いでいる。

 5月25日には、ベトナム漁船が多数の中国船に取り囲まれて沈没するという重大事案が勃発した。沈没は初めてだ。両国関係がさらに悪化する可能性もある。あろうことか、5月27日には、掘削を第2段階に進めると発表したのである。相手が弱いとみると嵩に懸ってきているのが分かる。

 フィリピンとの係争が激しい南沙諸島においても、着々と実効支配を強化し、両国艦船が睨み合いを続けるという状況が起きている。いかせん、比の能力は極めて脆弱であり、実効支配が着々と進展する可能性もある。

 中国は、関係国の批判を一顧だにせず、全く根拠のない9段線なるものを持ち出して、盗人猛々しく自らの領域であると言い放つ。

 東シナ海においても、我が国領空を含む空域に、防空識別圏を独断で設定(2013/11/23)し、尖閣諸島に対する領海侵犯や接続水域航行を常態化し、既成事実化を図っているかに見える。中国機に対するスクランブルも急増している(ちなみに平成22年の95回から、平成25年は415回と急増した)。

 5月24日には、警戒監視中の自衛隊機2機に異常接近する事態も惹起した。偶発事態も想定される事態であり、これは正に軍事的威嚇そのものであると断じるべきだ。

ロシア軍基地設置10周年で記念式典 キルギス
SUー27戦闘機(写真はロシア軍のもの)〔AFPBB News〕

 その中国が本音を垣間見せたのが、中国が議長国となっているアジア信頼醸成措置会議(CICA)で採択された上海宣言である。

 同宣言には、アジアの新たな安全保障の枠組みを構築していくことが盛り込まれた。これは、米国のアジア重視のリバランス戦略に対抗し、地域の安全保障を主導する姿勢を鮮明にしたものと考えられる。

(2)ロシアの、かってのソ連を彷彿とさせる行動

 財政破綻に直面し、ロシアへのガス料金未払い問題を抱えるウクライナが2007年のオレンジ革命以来混乱し、欧米とロシアの発火点となりつつある。

 近々のウクライナ政変により、親露ヴィクトル・ヤヌコビッチ政権が崩壊し、2月27日に親欧米の暫定政権が発足した。これに対し、クリミアは反発し、ロシアはウクライナへの軍事介入を承認し、クリミア自治共和国を実効支配、3月18日クリミアはロシアに併合された。

「チョコレート王」が勝利宣言、ウクライナ大統領選
ペトロ・ポロシェンコ氏〔AFPBB News〕

 東部2州では親露派武装集団と暫定政権軍が武力衝突し、大統領選の投票も出来ない状態が惹起した。5月25日行われた大統領選は新欧州派のチョコレート王と称されるペトロ・ポロシェンコ氏が圧勝、当選を確実にした。

 暫定政府軍は、重い腰を上げて親露派武装集団の大規模な排除作戦に乗り出した。一方、ロシアは、大統領選の結果を受け入れ、対話の用意があると発表した。

 ロシアは、クリミアを併合したことで、当面の目的を達したのか、これ以上欧米を刺激することは得策でないと判断したのか、東部2州への軍事介入・併合までは控えているようだ。

 当面、ウクライナ東部に対する軍事的・経済的影響力を行使しつつ、親露派の勢力拡大を狙いつつ、中期的には連邦制を視野に入れているのではないかと思える。

(3)中露の接近

 (1)項で述べたCICAに参加したロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、会議に先立ち中露首脳会談を行い、習近平主席とともに中露海軍合同軍事演習の開幕式に揃って参加した。これに先立ち、10年来の懸案事項であったロシア産天然ガスを相場より安く向こう30年間中国に輸出する契約を締結した。

上海で中露首脳会談、合同軍事演習も 天然ガス交渉は妥結せず
中露の合意文書署名式典に出席したロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席〔AFPBB News〕

 CICAは上海宣言を採択して5月21日閉幕した。米国の影響力排除を狙った上海宣言に中露が合意した意味は大きい。中露の接近、蜜月が本物かどうか注視したい。

(3)これらの行動への欧米諸国などの対応

ア 米国の行動

1.オバマ大統領は4月23日から29日にかけ、米国のリバランス戦略を実証すべく日、韓、越、比を訪問し、同盟・友好国の懸念払拭に努めた。比では22年ぶりに新米比軍事協定を締結した。本歴訪は、対中牽制を狙ったものである。

2.米司法省は、5月23日、米国企業にハッカー攻撃を仕かけたとして、中国人民解放軍(PLA)「61398部隊」の幹部5名を起訴した。このような刑事訴追は異例だ。

イ 欧米のロシア制裁

 ロシアのクリミア併合などに関連して、欧米はロシアをG8から排除するとともに、資産凍結や渡航禁止などの経済制裁を2度にわたり科した。が、ロシアはこれらの対抗策にさしたる痛痒を感じていないよう思える。

 欧米の制裁は、基幹産業などに対する制裁にまでは踏み込んでおらず、ロシアに依存せざるを得ないEUの苦しい台所事情を窺わせる。ロシアもそれを見越してクリミア併合で当面満足し、それ以上の行動を控えているのだろう。

ウ ASEANなど

 中国の南シナ海における横暴に対して、それぞれの国が個々に対応するのみで有効な地策を見出していない。ASEAN(東南アジア諸国連合)にも中国にシンパシーを感じ、または中国に依存しているが故に強硬な態度を採れない国もある。

 11月には日本ASEAN防衛相会合が開催される予定であり、ここで何らかのメッセージが出されるものと期待したい。

3 新冷戦と言えるか

(1)現状打破(挑戦)対現状維持

 中・露対欧米などのグループ対立とも言える国際的対立が起きており、第2次大戦後の冷戦状態を彷彿とさせる。

 当時と異なるのはイデオロギーが対立軸となっているのではなく、領土や資源をメインテーマとして、現状に飽き足らず、現状変更を企図して覇権主義的行動を繰り返す国家群(主として中・露)とそれを容認せず認めない、法の支配が肝要であるという国家群の対立だ。

 現状打破派対現状維持派の対立と言えよう。

(2)従前の冷戦との相違

 以前の冷戦のプレーヤーの主役の一方は強力な軍事力を誇ったソ連であったが、今般は、中国が新たなプレーヤーとして参戦したことに特色があろう。主役が3人になったことによる複雑さがある。

 しかしながら、中・露必ずしも一枚岩ではない。中国とロシアの確執は長い。国境線問題はすでに解決したとしても、国境を接することによる軋轢は様々な形で噴出しよう。今回は反米同盟、天然ガスの交易という意味でたまたま利害が一致したに過ぎない。

 そういう意味では中露同盟は脆弱性を秘めている。とは言え、他方の欧米側も問題が多い。米国の軍事費削減圧力は強力であり、政治力の低下、威信の低下も著しい。米国債で牛耳られ、経済的相互依存で強い政策も採り得ない。

 凋落する米国ではあっても、それでも世界の最強国であることは事実である。問題は、世界の警察官としての役割を果たす気概が希薄になっていると感じられ、そのように受け止められているということであり、そして、何よりも力の行使に躊躇する傾向がある。民主党政権の性向か?

 欧州とて例外ではない。天然ガスでロシアに依存し、中国との貿易も大事にしたいとの思惑もある。

 日本にも対中依存があるが、それでも中国に対する強硬意見が支配的になりつつある。

 このように、従前の核の恐怖の均衡の上にあった冷戦とは明らかに違う構造があり、複雑さも一入(ひとしお)である。

(3)中・露陣営の拡大

 ロシアにしろ、中国にしろ、自国陣営の拡大に狂奔している。ロシアは資源外交を展開し、エジプトにも影響力を拡大しつつある。

 中国は、アフリカ外交を活発化し、えげつない進出を繰り返している。韓国にも触手を伸ばし、今では韓国は中国の朝貢国に成り下がっている。

 もっとも、中露が影響力拡大を狙っている国々はマイナーであり、国際政治上の影響力は大きくはない。とは、数は国連では影響力を持ち得る。

4 日本の対応

 新冷戦はいまだ、完全に固定化し、確定しているわけではない。その萌芽が見られるということだろう。いま我々現状維持派が為すべきことは、この新冷戦を早めに潰すことである。中露同盟という悪夢を見ぬためになすべきことは多い。

(1)欧米、ASEAN、印、豪とのさらなる連携を

 多言は要しないが、現状維持・力による現状変更反対陣営は、中露に付け入る隙を与えないように、一層連携を密にすべきであろう。

 東南アジアや太平洋地域における各種の地域的枠組みに積極的に参加して理解を得る努力も重要だ。

(2)日本の外交・防衛努力など

 日本の安全保障、国益に対する重大な挑戦を受けつつある。日米安保に期待せざるを得ない面もあるが、肝心なことは日本自らがその努力を行うことである。

 安保法制懇の提言を基にした与党協議が開始されたが、公明党の引き延ばし作戦に乗せられることなく、速やかな合意形成と立法措置そして所要の態勢整備が望まれる。日本の抑止力が増すことが重要である。

 もちろん、軍事・防衛努力のみならず、中・露との関係改善を図る外交努力も続けるべきだ。民間や経済界或は政界等様々なチャンネルでの対話は継続しておく必要があるのは当然である。

 また、過度の対中依存度を低減する企業の危機管理が適切になされるよう期待したい。

(3)中・露との偶発事態防止策の確立

 東シナ海においては、日中間の偶発事態の惹起が懸念される。空域を含む海上安全確保システムを構築することが喫緊の課題である。

 これは日本のみならず、中国側にとっても益あるはずであり、速やかな合意を期待したい。もちろん、そのようなシステムは南シナ海においても確立されるべきだ。

(4)中露の分断を策せ

 中露の関係は先に見たように決して一枚岩ではなく、同床異夢的な面もある。そこに付け入る隙がある。

 ロシアは、資源大国・資源輸出一辺倒の体制から欧米型の近代的工業経済体制への移行を切望しており、そのために日本のノウハウや技術力・経済力を必要としている。

 日本は欧米とある程度同調しつつ、かといって完全に一体となるのではなく独自の対応をすることも考えるべきだろう。難しい第3の道だが、見つけなければならない。

(5)韓国への対応

 習近平主席が訪韓するとも報ぜられているが、韓国はますます中国に取り込まれ、抜けるに抜けられない状況に陥りつつあるやに思える。韓国をあえて、あちら側に追いやることはしたくはないが、韓国が無節操に中国陣営に加わるのであれば、それはそれで止むを得ない。

 安全保障の観点からは、韓半島は日本の脇腹に突き付けられた匕首(短刀)であり、韓半島が中露陣営に組み込まれるのは重大事であるが、米国はそのような事態を決して認めないだろう。米国の関与に期待したい。

 二進も三進もいかなくなるのは彼の国である。日本は、節を枉げてまでも彼を当方に引き付けておくべき義理はない。彼らが泣きを入れてくるのを待てばいい。

6 終わりに

 現状に覇権主義的行動で挑戦する中露の陣営は一枚岩ではないし、脆弱さも抱えている。それらを見極めて対応する必要がある。中露が同盟状態にならぬように色々な策を講ずるべきだ。

 そして、彼らの野望を打ち砕くためにも、安保法制懇の提言にある諸課題を早急に解決していただきたいものだ。


03. 2014年6月04日 18:17:09 : mj33gOYMWk
中國がアメリカの海軍力を恐れないと言う自信は、何処から生じたものかという論点には疑問がある。 現状での弾道弾搭載の原潜の実力では、アメリカ全土をカバーすることは不可能であり、原潜としての無音潜航には難があって西太平洋にまで進出すれば、発射点に到達するより以前に発見されてしまう。 日本列島線を通過すれば、100%確実に日本の海上自衛隊の対潜哨戒によってピンポイントされてしまう。 尖閣を奪取出来れば、日本列島線に穴をあけることが出来ると考えたが、日本の予想外の抵抗にあって、実行が不可能であることに気付いたことが南シナ海に方向転換した理由だろう。 南シナ海を通過できるようになれば、西太平洋南部に進出することが出来る。 本来であればアメリカ海軍がこれを阻止しなければならない筈だが、オバマのアメリカはそれをやろうとしていない。 中国の原潜が西太平洋に進出することは、アメリカのみならず日本・豪州にとっては致命的な脅威になる。 アメリカが安倍政権に圧力をかけ、日本に集団的自衛権と言う憲法解釈を実行させたがっているのは、南シナ海をも日本の対潜哨戒の範囲とさせることが目的であるに違いない。 P3CやPTの哨戒機をフィリピン・ボルネオに展開させ、空母を含む任務部隊を常時南シナ海に派遣させておきたい。 同時に武器輸出を解禁し、豪州に海自の新鋭潜水艦を供与させ、フィリピン・インドネシア周辺海域の海峡を監視させるという事だろう。 例によって自分では直接中国とは対決せず、日中戦争という形で問題を解決するというやり方だと思う。 解放軍の幹部には海軍、特に潜水艦や対潜哨戒攻撃などの知識が不十分であり、現在の中国の原潜や原潜搭載の弾道弾の能力に対する評価が甘い点があって、それが傲慢な態度を取る過信となっているものと思う。 いずも型やひゅうが型の空母型護衛艦を中心にした海自の護衛艦隊4個が完成するのには、後少なくとも3〜4年掛かるが、中国海軍の原潜の改良にも3年以上ひつようだろう。 中国海軍が日本の海自護衛艦隊と対決できるようになるには、それ以上の年月が必要なことは言うまでもない。 それ以前に中国が暴発して日本を核攻撃する事態になれば、アメリカやヨーロッパにとって願っても無い事態となるだろう。 

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