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ワシントンの鉄のカーテン(マスコミに載らない海外記事)
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投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 6 月 11 日 00:34:05: igsppGRN/E9PQ
 

ワシントンの鉄のカーテン
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-a2ea.html
2014年6月11日 マスコミに載らない海外記事


2014年6月6-8日
DIANA JOHNSTONE
CounterPunch

西ヨーロッパへの支配力を強化するアメリカ
ウクライナに、ワシントンの鉄のカーテン

NATO指導者達は今、ヨーロッパで、ロシアと欧米との間に鉄のカーテンを再建するよう仕組まれた茶番を演じている。

驚くほど異口同音に、NATO指導者達は、自分達が何ヶ月も前に計画した出来事に驚いているふりをしている。連中が意図的に引き起こした出来事が、突然の、驚くべき、不当な“ロシアの侵略”だと、偽って表現されている。アメリカ合州国と欧州連合こそ、何らかの形で、ロシアに防御上の対応を強いることが分かっていた攻撃的な挑発を、ウクライナ国内で行ったのだ。

アメリカ合州国が、ウクライナ国内の政治紛争を操作して、NATO加盟を意図する、欧米支持派政権をしつらえるのを見た時に、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が一体どのように反応するか、確実には分かっていなかったろう。これは単なる、ロシアの“旧ソ連邦諸国”における“勢力圏”問題ではなく、ロシア海軍の死活にかかわる問題であり、ロシア国境での重大な国家安全保障上の脅威だ。

かくして、プーチンに対する罠がしかけられた。彼が対応しても、対応しなくとも、だめにされる罠だ。彼は、控えめな反応をして、NATOの敵対的勢力が理想的な攻撃態勢に進めることを許して、ロシアの基本的な国家権益を売り渡す可能性も有り得た。

あるいは、ウクライナ侵略の為、ロシア軍を派兵して過剰反応する可能性もあった。欧米はこれに対する用意ができていて、プーチンは貧しく無力なヨーロッパを侵略する態勢を整えている“新たなヒトラー”だと叫ぶ準備をしていた。ヨーロッパは(再度)寛大なアメリカ人によってのみ救われるのだ。

現実には、ロシアの防衛的行動は、極めて妥当な中道だった。1954年にフルシチョフが軽薄にも領土をウクライナに贈与するまで、ロシア国民だった圧倒的大多数のクリミア住民が自分をロシア人だと思っていて、平和的、民主的解決策を見いだしたおかげだ。クリミア住民は、ウクライナ憲法には違反しているが、国際法上、全く合法的な住民投票でロシア再編入に賛成した。ウクライナ憲法はその前に、正当に選挙で選ばれたウクライナの大統領ビクトル・ヤヌーコビッチの、暴力的民兵に促進された打倒により侵害され、ぼろぼろになっていた。クリミアの立場の変更は、血を流さずに、投票箱で実現された。

それにもかかわらず、欧米の怒りの叫びは、あたかもプーチンが過剰反応し、ウクライナにアメリカ的な爆撃作戦をしかけたり、西側は彼がそうするよう期待していた可能性があるが、あからさまにウクライナに侵略したりしたかのごとく、全て感情むき出しの敵対的なものだ。

アメリカのジョン・ケリー国務長官は、独りよがりの怒りの合唱を率いて、自国政府が習慣的に行っていることをそのままなすりつけ、ロシアを非難した。“自分の権益を確保する為、まやかしの口実で他国を侵略してはならない。これは全くのでっちあげの口実による侵略行為だ”、ケリーは尊大に述べた。“これは実に、21世紀における、19世紀の振る舞いだ”。この偽善を笑いとばす代わりに、アメリカ・マスコミや政治家や専門家連中は、プーチンの受け入れがたい拡大主義的侵略という話題を熱心に取り上げた。ヨーロッパ人達は、か弱い、従順な繰り返しを言って続いた。

全てヤルタで計画されていた

2013年9月、ウクライナの最も裕福なオリガルヒの一人、ヴィクトル・ピンチュクが、1945年に、ルーズベルト、スターリンとチャーチルが、ヨーロッパの将来を決定する為に会合したクリミア、ヤルタの同じ宮殿で、ウクライナの将来に関するエリート戦略会議のスポンサーになった。エリート・マスコミの一つエコノミスト誌は“熾烈な外交の誇示”と呼んだ見出しの下、こう書いた。“人口4800万人の国ウクライナの将来と、ヨーロッパの将来が、リアルタイムで決定されつつあった。”出席者には、ビルとヒラリー・クリントン、元CIA長官デービッド・ペトレイアス将軍、元アメリカ財務長官ローレンス・サマーズ、元世界銀行総裁ロバート・ゼーリック、スウェーデン外務大臣カール・ビルト、シモン・ペレス、トニー・ブレア、ゲルハルト・シュレーダー、ドミニク・ストロス=カーン、マリオ・モンティ、リトアニア大統領ダリア・グリバウスカイテ、ポーランドの有力な外務大臣ラデック・シコルスキ。5ヶ月後に追放されたヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領も、最近彼の後継者に選ばれたペトロ・ポロシェンコも両方出席していた。元アメリカのエネルギー庁長官ビル・リチャードソンは、アメリカ合州国が、ロシアの天然ガス埋蔵量を、フラッキングで置き換えてロシアを弱体化するのに利用したがっているシェール・ガス革命について論じる為に出席していた。議論の中心は、ウクライナと欧州連合間の“深く包括的な自由貿易協定”(DCFTA)と、ウクライナの西側との統合可能性だった。全般的な調子は、ウクライナが西欧を優先して、ロシアとの絆を断ち切る可能性を巡る陶酔感だった。

ロシアに対する陰謀だろうか? 決してそうではない。ビルダーバーグとは違い、議事は秘密ではなかった。何十人ものアメリカ人VIP連中や、多数のヨーロッパ政治エリートに、対決したのは、セルゲイ・グラジエフというプーチンの顧問で、ロシアの立場を極めて明確にした。

グラジエフは、政治的・経済的現実主義の雰囲気を会議に注入した。フォーブスは当時“ウクライナのEU統合の妥当性を巡ってではなく、そのありそうな影響を巡る”ロシアと欧米の見解の“明確な違い”を報じていた。欧米の陶酔感とは対照的に、ロシアの見解は、ウクライナの経済に対する貿易協定の影響に関する“極めて具体的で適切な経済的批判”に基づくもので、ウクライナは膨大な対外赤字を抱え、対外借款で資金を得ており、結果として起きる、欧米からの輸入の大幅な増大は、赤字を膨らませるだけだとしていた。ウクライナは“借金を返済できなくなるか、相当な額の救済措置を要求することになろう”。

フォーブスの記者は“ロシアの立場は、ブリュッセルやキエフのお目出度い話よりも遥かに真実に近い”と結論付けた。

ロンドンのタイムズ紙によれば、政治的影響に関しては、東ウクライナにいる少数派のロシア語話者が、ロシアとの絆を断つことに抗議して、国を分裂させる動きに出る可能性があり、ロシアは法的に、彼等を支援する権利があるとグラジエフは指摘した。

要するに、ウクライナを欧米の勢力圏に取り込むことを計画しながら、欧米の指導者達は、この動きが、ロシア語話者のウクライナ人、そしてロシアそのものとも深刻な問題を伴うことを十分に承知していたのだ。妥協策をさぐる代わりに、欧米の指導者達は、押し進め、何でもまずくなったら、ロシアのせいにすることに決めたのだ。最初にまずくなったのは、欧州連合との貿易協定が暗示する経済崩壊に直面して、ヤヌコービッチがおじけづいたことだ。彼は、より有利な協定をのぞんで、署名を遅らせた。こうしたことは一切ウクライナ国民にはっきり説明されなかったため、激怒の抗議行動が起こり、それをアメリカ合州国が素早く… 反ロシア策に利用した。

架け橋、あるいは弁慶の泣きどころとしてのウクライナ

国境地方を意味する名前のウクライナは、明確に固定された歴史的国境なしに、余りに東方に、そして余りに西方に拡張しすぎた国なのだ。これはソ連の責任だが、ソ連はもはや存在しておらず、結果的に、統一したアイデンティティが欠けた国となり、それが自国にとっても、近隣諸国にとっても問題となった。

ロシアであったはずの領土を取り込み、ソ連をツアー帝国と区別する為の政策の一環として、ソ連が実際に平等な社会主義共和国の連合であることを証明として、ロシア部分を犠牲に、ウクライナを拡張し、余りに東方に拡大しすぎた。ソ連全体が共産党指導部によって支配されている限りは、こうした国境はさほど問題にはならなかった。

第二次世界大戦の終わりに、余りに西に向かって拡張しすぎた。勝ち誇るソ連は、ウクライナ国境を拡張して、リトアニア、ポーランド、ハプスブルグ帝国、あるいはソ連のどの国家に所属しているかによって、リビウ、ルブフ 、レンベルクやらリボフと様々な名前で呼ばれてきた都市が支配する西部地域、反ロシア感情の温床地域までも取り込んでしまった。これが、敵対的分子を無力化する為の守勢として考えられたことは疑いようがないが、それにより本質的に分裂した国家を生み出し、現在、敵対的な魚釣りに対する全く荒れた海となっている。

先に引用したフォーブス記事はこう指摘していた。“過去五年間の大半、ウクライナは基本的に、EUにはDCFTA署名に興味があると言い、一方ロシア人には関税同盟参加に興味があるといって裏表のある手段をろうしてきた。”ヤヌコービッチが決心できなかったのか、両側から最善の契約を絞りだそうとしていたのか、あるいは一番高く買ってくれる入札者を求めていたの。いずれにせよ、彼は決して“モスクワの手先”ではなく、彼の没落は、両者を争わせることによって自分が利益を得ようとした彼の役割によるところが多いことは疑いようがない。大国同士を戦わせよう、彼は危険なゲームをしていたのだ。

これまでウクライナに全く欠如しているように見える何かが必要だといって間違いはあるまい。指導部がウクライナの分裂した性格を認識し、地方住民達と、彼等のカトリックの西とロシアとの歴史的な絆の両方を満足させる解決策を見いだそうと、外交的に動くことだ。要するに、ウクライナは、東と西の架け橋になりうるのだ。そして、それこそが、まさに、ロシアの立場だ。ロシアの立場は、ウクライナを分裂させることにはなく、まして征服でもなく、架け橋としてのウクライナの役割を促進することにある。これには、選挙ではなく、キエフ中央政府によって選ばれた地方知事がいるウクライナではこれまでのところ全く欠けている、地方政府の一定の連邦制度が必要だ。連邦制ウクライナなら、EUとの関係を発展させ、重要な(そして儲かる) ロシアとの経済関係をも維持することができよう。

だがこの妥協には、欧米がロシアとの協力を快諾する必要がある。アメリカ合州国は、危機に乗じて、ロシアに“敵”というレッテルを貼ることを好んで、この可能性をきっぱり拒否した。

第一案と代案

既に2013年9月、ヤルタ会議で明らかだったアメリカ政策が、ディック・チェイニーの元顧問、NATO副大使、ヒラリー・クリントンの広報官、ネオコン理論家ロバート・ケーガンの妻ビクトリア・ヌーランドによって現地で実行された。ウクライナの出来事における彼女の主導的役割が、ブッシュIIの下で確立された国務省内でのネオコンの影響力が、アメリカの多文化的特性で世界を感銘させようという計算から、アフリカ系人物が大統領の地位にあるという、外交政策変化上の目に見える唯一の貢献しかないオバマによっても維持されていることを証明している。近年の大半の他の大統領同様、オバマも、他の連中が立案し、実行する政策を売るだけの暫定的セールスマンとして存在しているに過ぎない。

ビクトリア・ヌーランドがワシントンで自慢した通り、1991年のソ連崩壊以来、アメリカ合州国は、ウクライナで政治的影響力を得る為に50億ドルを費やした(これは“民主主義の推進”と呼ばれている)。この投資は“石油の為”やら、即効的な経済的利益の為ではない。ウクライナはロシアにとって弁慶の泣き所で、ロシアにとって問題を起こす最大の可能性がある領土を持った国なのだから、主要な動機は地政学的なものだ。

ウクライナ危機で、ビクトリア・ヌーランドの役割に衆目が集まったのは、アメリカ大使に向かって“EUくそくらえ”と言って下品な言葉を使ったためだった。だが彼女の下品な言葉を巡る騒ぎは、彼女の悪意を覆い隠してしまった。選挙で選ばれた大統領ヴィクトル・ヤヌコーヴィチから、誰が権力を簒奪すべきかが問題だったのだ。ドイツ首相アンゲラ・メルケルの党は元ボクサーのヴィタリー・クリチコを候補者として推していた。ヌーランドの無礼な拒絶が、ドイツでも、EUでもなく、アメリカ合州国が次期指導者を選ぶ立場にあり、それは、クリチコではなく“ヤッツ”だったことを物語っている。そして、実際、ヤッツ、IMFの緊縮政策と、NATO加盟への熱心さで知られているアメリカが支援する二流テクノクラートのアルセニー・ヤツェニュクがその地位を得た。これで、アメリカが支援し、街頭では、ファシスト民兵によって支えられた政権が、選挙の影響はごく僅かながら、多数の武装した卑劣な連中が5月25日の選挙を管理したが、選挙では、ロシア語を話す東部はほとんど排除されていた。

ビクトリア・ヌーランド・クーデターの基本案は、おそらく、キエフにNATOに加盟する政権を急いででっちあげ、アメリカ合州国が、ロシアに必要不可欠なクリミアはセバストーポリの黒海海軍基地を手に入れるお膳立てを正式に整えることだったろう。クリミアのロシア編入は、プーチンにとって、これを防ぐ為に必要な防衛的行動だった。

しかし、ヌーランドの戦術は、実際どっちにころんでも得をする策略だった。もしロシアが自国防衛に失敗すれば、南方艦隊丸ごとを失う危険にさらされる。全くの国家的災難だ。一方、もしロシアが反応すれば、その可能性は非常に高かったが、アメリカはそれで、おそらく、主な目的であっただろう政治的勝利を得ることになる。プーチンの全く防衛的な行動が、政治指導者の発言をおうむ返しにして、欧米の主流マスコミにより、正当な理由のない“ロシアの拡張主義”として描きだされ、プロパガンダ装置は、ヒトラーによるチェコスロバキアとポーランド占領になぞらえるのだ。

根本的に受け身のロシアに対し、ウクライナの政治的混乱を利用したこの見え透いた欧米の挑発は、欧米マスコミが作り出す人工的な時代精神の全面転換を生み出すのに驚くほど成功した。突如として、我々は“自由を愛する欧米”が“攻撃的なロシアの拡張主義”の脅威に直面することになったと聞かされることになった。約40年前、自分達が平和的に戦争放棄をすれば、欧米、特にアメリカ合州国と、友好的協力関係が得られるという幻想を持って、ソ連指導部が大盤振る舞いをした。だが決して冷戦を終わらせたいとは思っていなかったアメリカ合州国側の連中は、仕返しをしているのだ。“共産主義”などどうでも良い。もし、プロレタリアート独裁を提唱する代わりに、ロシアの現在の指導者が、単にある意味昔かたぎなのであれば、欧米マスコミは、それを怪物にでっちあげることもできる。アメリカ合州国には、それから世界を救うための敵が不可欠なのだ。

保護詐欺師の再登場

しかし、そもそも、アメリカ合州国が、「ヨーロッパ支配を続ける為」という意味の別表現“ヨーロッパを救う”為に、敵としてのロシアが必要なのだ。ワシントンの政策立案者連中は、オバマのアジア重視策と、ヨーロッパ無視が、NATO同盟諸国に対するアメリカの支配力を弱体化する可能性があると懸念したように見える。5月25日の欧州議会選挙は、欧州連合に対する大きな不満を明らかにした。この不満、特にフランスでは、EUは、アメリカ合州国に対する、将来性ある代替案とはほど遠く、現実には、ヨーロッパ諸国を、アメリカが規定するグローバル化、経済的衰退や、アメリカ外交政策や、戦争等々に閉じ込めるための仕組みだという認識の高まりと結びついている。

ウクライナだけが、拡張しすぎた組織というわけではない。EUとて同様だ。様々な言語、文化、歴史と考え方の加盟国28を抱えたEUは、ワシントンが押しつけるもの以外、いかなる外交政策にも同意することができない。EUを旧東ヨーロッパ衛星諸国にまで拡張したことで、元々の欧州経済共同体の国々、フランス、ドイツ、イタリアとベネルックス諸国の間では可能だった、何らかの深い合意も完璧に破壊された。ポーランドとバルト諸国は、EU加盟が有用だと見てはいても、彼等の心は、最も影響力のある指導者達の多くが教育訓練を受けたアメリカを向いている。ワシントンは、反共、反ロシア感情や、北東ヨーロッパの親ナチ郷愁でさえ利用して、旧EU、特にドイツとロシア間の経済提携の強化を妨害する為に“ロシア人がやってくる!”という偽りの雄叫びを起こすことが出来る。

ロシアは脅威ではない。ところが、バルト諸国、西ウクライナとポーランドのやかましいロシア嫌い連中にとっては、ロシアの存在そのものが脅威なのだ。アメリカ合州国とNATOにあおられたこの風土固有の敵意が、1997年に、ズビグニュー・ブレジンスキーが『グランド・チェスボード: アメリカ世界覇権の永続化の為、ユーラシア大陸を分裂させ続ける(邦訳は、ブレジンスキーの世界はこう動く 21世紀の地政戦略ゲーム、あるいは、地政学で世界を読む―21世紀のユーラシア覇権ゲーム―、ただしいずれも日本経済新聞社刊ながら品切れ)』で打ち出した目的の実現を狙った、新たな“鉄のカーテン”の政治基盤なのだ。旧冷戦は、西ヨーロッパにおけるアメリカ軍駐留と政治的影響力を強固にして、この目的に役立った。新冷戦で、アメリカの影響力が、西ヨーロッパとロシアとの間の良い関係によって弱められるのを防ぐことができる。

オバマがヨーロッパにやってきたのは、これみよがしに、できるだけロシアに近い地域により多くの軍隊を駐留させてヨーロッパを“守る”と約束し、同時にロシアには、混乱したウクライナから遥か遠くの自国領土に軍隊を撤退させるよう命令するためだ。これはキエフから送り込まれた殺人者の前に自分達を放棄するロシア指導者に対し、東ウクライナで抗議行動が起きている中、プーチンに恥をかかせ、ロシア内で彼の支持を損なうことを狙ったものだ。

アメリカのヨーロッパに対する支配力を強化する為、アメリカ合州国は人工的危機を利用して、負債を抱えた同盟諸国に、特にアメリカの武器体系を購入し“防衛”にもっと金を使うよう要求している。新たなアメリカのフラッキング・ブームで、アメリカがヨーロッパのエネルギー需要に対応できる状況からはまだほど遠いにも関わらず、仮定的なアメリカのエネルギー売り上げがあたかも善意であるかのように“政治的圧力を行使する方法”とレッテルを貼り、この可能性をロシアの天然ガス販売の代替物であるかのように称賛している。ロシア・ガスをバルカン諸国や南ヨーロッパにもたらすサウス・ストリーム・パイプライン建設を阻止するよう、ブルガリアとセルビアにまで圧力をかけている。

Dデイ(北フランス侵攻開始日)から最後の審判の日へ

今日、6月6日、Dデイ上陸の70周年は、ノルマンジーで、オバマが、ヨーロッパ指導者総出演を率いて、アメリカ支配の巨大な祝賀として演じられている。出席した年老いた最後の生き残り兵士やパイロット達は、アメリカ合州国が、世界の主人として新たな経歴の出発点にあった、より無邪気な時代の亡霊のようなものだ。彼等は現実の存在だが、それ以外は茶番だ。フランスのテレビは、フランスへの純粋な愛から、ノルマンジー海岸で死ぬべく自国の青年を派兵したアメリカ合州国は一種の守護天使だと教え込まれたノルマンジーの若い村人達の涙であふれていた。過去のこの理想化されたイメージが、暗黙裡に将来に向けて投影されている。70年間で、冷戦という支配的なプロパガンダ言辞と、何よりもハリウッドが、フランスと、西欧の大半を、Dデイが、第二次世界大戦に勝利し、ヨーロッパをナチス・ドイツから救った転換点だと説得してしまったのだ。

ウラジーミル・プーチンも祝賀にやってきて、善の仲裁人を自薦するオバマから入念に敬遠された。ロシア人も、フランスをナチス占領から解放したD-Day作戦をたたえてはいるが、彼等も、そして歴史学者も、大半の欧米が忘れ去ったことを覚えている。ドイツ国防軍は、ノルマンジー上陸によってではなく、赤軍によって決定的に敗北したのだ。もし大量のドイツ軍が、東部戦線での負け戦に釘付けにされていなかったなら、現在祝賀されているようなDデイを、誰も慶賀することはできなかっただろう。

プーチンはウクライナ危機で最初に勝利した“最高のチェス棋士”だと広く認められている。押しつけられた危機に直面して、彼は疑うべくもなく、できる限りの最善を尽くした。だがアメリカは、プーチンにはない、ありとあらゆる手駒を持っている。しかも、これは単なるチェスではなく、チェスとポーカーとロシア・ルーレットをまぜこぜにしたものだ。アメリカ合州国は、より慎重なロシア指導部なら、できる限り避けたがるような危険を冒すのをいとわない。

現在の茶番で、おそらく最も驚くべき点は“古い”ヨーロッパ人の奴隷根性だ。どうやら現在のヨーロッパ指導者達は、様々な戦争や悲劇から得て集積したヨーロッパの知恵全てを放棄し、自らの最大の権益さえも忘れ、次のD-デイに向かって、アメリカの保護者達に進んでつき従っているように見える … ただしこのDは最後の審判(Doom)の頭文字だ。

平和を希求するロシア指導者のノルマンジー出席は状況を変えられただろうか? そうなる為には、マスコミが真実を語り、ヨーロッパが適度に賢明で勇気ある指導者を生み出し、インチキな戦争機構が丸ごと輝きを失い、真実が見え始めることが必要だ。平和なヨーロッパはまだ可能だが、それもどれだけ続くのだろう?

ダイアナ・ジョンストンは『Fools’ Crusade: Yugoslavia, NATO, and Western Delusions(愚者の十字軍: ユーゴスラビア、NATOと欧米の幻想)』の著者。diana.johnstone@wanadoo.frで彼女と連絡できる。

記事原文のurl:www.counterpunch.org/2014/06/06/washingtons-iron-curtain-in-ukraine/


 

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