米国の命令には背けないEUや日本に合理的判断を期待できないと悟った露国は制裁への報復を決断
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201408070001/
2014.08.08 00:12:53　櫻井ジャーナル

　ロシアのウラジミル・プーチン大統領は自国に「制裁」を科している国々、つまり日米欧に報復する決断をした。今後１年間農産品の輸入を禁止または制限するのだという。この段階まで報復しなかった理由はEUや日本がアメリカの暴走にブレーキをかけることを期待していたからだろうが、こうした国々の支配層はアメリカに抵抗できないことを確認し、踏ん切りをつけただけでなく、恐らく、アメリカが戦争を仕掛けてくるなら受けて立つと腹をくくった。

　ロシアの報復を批判する声明をEUは発表したが、滑稽である。
http://europa.eu/rapid/press-release_STATEMENT-14-249_en.htm
制裁が話題になり始めた直後から、経済制裁で最もダメージを受けるのはEUだと指摘されていた。ロシアはEUを必要としないが、EUはロシアが必要だからだ。これまでロシアが報復しなかったことを感謝しなければならない。

　EUは声明の中でクリミアの併合とウクライナの不安定化を自分たちの「制裁」を正当化する理由として挙げているが、クリミアの住民が独立の道を選んだ理由はウクライナの選挙で選ばれた政権をネオ・ナチが前面に出たクーデターで倒されたことに危機感を感じたからであり、ウクライナを不安定化させているのもそのネオ・ナチやIMFの要求。そのネオ・ナチを操っているのがアメリカ／NATOだ。（これは本ブログで何度も書いてきたこと。）理由になっていない。

　今回は農産物だけの話に止まっているが、エネルギーに波及するとEUは破綻する。現在、EUは天然ガスの3分の1以上をロシアからの輸入で賄っているのだ。これだけの量を補填する体制を数年で整えることはアメリカの能力を超えている。この程度のことはEUの「エリート」も理解していただろう。その上で、アメリカの命令に従ったのだ。

　いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」で潰すべき潜在的ライバルとされた国々の中にはEUもロシアと同じように含まれていた。アメリカの立場から見るとロシアへの経済制裁は一石二鳥ということ。考えてみれば、第1次世界大戦や第2次世界大戦で戦場になったヨーロッパは衰退、それを利用して世界に君臨するようになったのがアメリカだ。

　ロシア側から見ると、EUに替わる新たな天然ガスの販売先がすでに存在する。言うまでもなく中国だ。ロシアと中国は5月21日に天然ガスの供給契約を結び、今後30年間にロシアは中国へ毎年380億立方メートルを供給することになった。

　中国としてもこの取り引きには大きな意味がある。アメリカは中国の石油や天然ガスの輸送ルートをいつでも断つことができるように、南シナ海での軍事力を強化している。日本の「シーレーン防衛」もそうした戦略の一環だろう。

　そこで中国はミャンマーやパキスタンにパイプラインを建設しようとしてきたのだが、アメリカはミャンマーとの関係改善を図り、そうした動きを潰そうとしている。そうした状況の中、ロシアからの天然ガスを確保する意味は大きい。ロシアへ接近した中国に「制裁」を科すことはアメリカにとって自爆行為だが、それでもやりかねないのがネオコンと戦争ビジネス。早晩、中国もアメリカに対して持っている幻影を捨てなければならない時が来る。

コメント
01. 2014年8月08日 00:59:46 : AQLSPLIkCw 今は夏だが、もう四ヶ月もすれば寒くなる北半球。今度の冬はロシアにガスを止められ、欧州諸国は底冷えの毎日だろう。プーチンさんに謝っても、後の祭り。
02. おみや 2014年8月08日 01:00:40 : 5avMm4ZgNSSko : OQaWpDchoA アメリカとしてはレールガンの技術進歩によって 核砲弾を数百キロ飛ばせる状況になり、 大きな戦略転換の時期となっている。 ロシア西部を偵察機によって詳細に把握できる位置にあるウクライナ ロシア東部、中国東部沿岸部を偵察できる日本の支配は アメリカにとってますます重要になっている。 安陪晋三に対する締め付けは今後きびしくなるだろう。 それに気がつかない安陪晋三はこっけいでもある。
03. 2014年8月08日 04:54:43 : UbTfjvADeY アメリカとしてはレールガンの技術進歩によって 核砲弾を数百キロ飛ばせる状況になり、>>>> 天然ガスが来ないことには何の変わりもない。
04. 2014年8月08日 12:21:13 : e5qoKCuKBU 墜落地域での休戦の終了がキエフから発表された、戦闘準備を整えたウクライナ軍は、東部地域への侵攻作戦を大規模に展開するであろう。 作戦のあとには、うまくいってもいかなくても、経済制裁が追加されているので、今回もそのようになるであろう。 これまでは、ロシアのここが悪いから、経済制裁だとキャンペーンをはって、ウクライナ傀儡軍事政権による軍事作戦への非難をかわしていたともいえる状態に、ＥＵは形式上、お付き合いして、つかず離れずの立場を保持していた。 今回、ＥＵの一部エリートが、意図的に、ロシアから実効性のある経済制裁を引き出したと判断している。 ＵＳの意に沿ってなのか、ＥＵの意に沿っているのかは不明であるが、これまでのパターン化した、政策はこれから開始されるであろう大規模軍事作戦の終了とともに転換点を迎えると予想している。
05. 2014年8月08日 19:39:13 : GIJVAwlwGc 冬将軍　これぞロシアの　贈り物 ナポレオンでも　耐えるは難し
06. 2014年8月09日 06:51:09 : JFBcDRs0dM 大英帝国の馬鹿ウヨがイスラエルとアメリカが仲よくなってることにヤキモチ焼いてるんだろ。 イギリスの没落する理由とは、自らの軍備が追いつかれ抜かれたときに世界に軍縮を提起することだ。 最初から世界軍縮を推進しろ。 キリストの意思を創造してるのかもしれないが大英帝国だけが世界を焼き尽くすことは神の意志を
07. 2014年8月10日 07:58:01 : FoozYI3PZF 米国イスラエルに追づいする日本は本当にお馬鹿さん。 これまでのプーチン氏の発言からも分かるように、経済制裁などをしてもとてもそんな脅しが通用する人ではないのは分かるでしょうに。 米国イギリスは過去にイラク戦争で先走り失敗し、それらの欺瞞も徐々にバレバレになってきているし、イスラエルだってイラク原発爆撃などに見られたように、とにかく先走って軍事行動を取る。 核保有を懸念して原発を爆撃するなら日本はどうなるのか？ まるで、自国の同盟国なら良く、一緒に他国に戦争を仕掛けることが同盟だとでも思っているのだろうか？ あまりにも時代遅れな行動としか言えない。 それにイラクなどの過激派もその能力を超えるほどの戦力は、何処からか武器提供が行われている事は既にバレバレ。 金流れを追えば必然的に軍需産業が見えてくるが、それが見えれば世界のどの国が問題かが誰にでも容易に分かる。 マスコミにチェック機能など元々なく、重要な事で権力者がチェックされない為だけのただのプロパガンダ期間である事ももう世界周知の事実。 それでも戦争に明け暮れるお偉い方々は、マスコミ以上に国民からチェックされている事に気付かない。 もう世界中の人が戦争にうんざりしているこの空気感の中で、あくまでも代理戦争を続ける暴力国家と、それに小判鮫のようにくっついて集団的自衛権行使を認める安倍政権は1%に迎合する余り世間の空気感が全く分かっていないのではないか？ 流石にEUもこれまで通りにはいかないでしょう。 サイレントマジョリティとは言うけれど、一度声を挙げれば誰もが戦争には反対だし、ましてや民間航空機を爆撃したり、何の罪もない子供達まで虐殺するないてとんでもない事をしでかしている。 ロシア、中国などは当時のイラク戦争にも反対を示したが、今回も世論の空気感に支持されるのは間違いない。 まず、EUはプーチン氏の提示した踏み板に、どういった決断を取るのか？ 圧倒的な最新武力を持つ、戦争国家が強いという過去の幻想に溺れるか、それとも、戦争のない本当の新しい時代に踏み出すか？ 穴だらけの米国とは違い、ロシアには今の所穴が見当たらないがEUはどうする気か？ 今後の対応で各国の本当の姿が世界に提示されるでしょうね。 米国や日本のような誤魔化し方は今後通用しないことに早く気付くべき。 この辺りを、芯がぶれずに脅しにも屈しないプーチン氏はよく分かっているように見えますね。 都民

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