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人種問題よりも深刻な政府の弾圧  日経ビジネス
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/331.html
投稿者 ダイナモ 日時 2014 年 8 月 26 日 19:36:58: mY9T/8MdR98ug
 

 「今さら当たり前だろう」
 こんな言葉が聞こえてきそうである。

 米中西部ミズーリ州で今月9日、白人警察官が黒人青年(18)を射殺する事件が起きた。これを機に、米社会において黒人差別という問題が改めて浮上している。

 事件から2週間以上がたった今も、黒人差別に反対するデモが米国内で起きている。撃たれたマイケル・ブラウンさんが丸腰だったことも、黒人側の怒りを助長させた。青年が白人であれば、警察官ダレン・ウィリアムズ氏は撃たなかっただろうとの思いを多くの市民が共有している。

 米メディアの主な論調は、21世紀になっても人種差別は消えず、公民権法が成立してから半世紀がたっても差別問題に大きな進展はないというものだ。これまで米社会は、多くの場面で白人と黒人が折り合いをつけていると思われてきたが、両者の間には依然として大きな隔たりがある。人種融合などというのは幻想でしかないとの論考さえある。それが今回の事件で如実に示された。

 米国で四半世紀を過ごした筆者も、原体験として、白人と黒人の人種的亀裂はほとんど埋まっていないとの印象を強く受けている。もちろん個人差があり、黒人の親友を持つ白人もいるし、その逆もある。差別意識を持たない人も少なくない。

 ただ民主国家として、世界の主導的な役割を担う米国が、根源的な社会問題を解決できていないのが現実だ。

人種問題に全く反応しないオバマ大統領

 バラク・オバマ大統領は2008年に大統領に当選した時、「白人のアメリカや黒人のアメリカなどというものはない。あるのはアメリカ合衆国だけだ」という主旨の発言をした。そして大統領として人種問題に果敢に取り組んでいく姿勢を示した。

 だが、ミズーリ州で事件が起きた後の姿は、まるでその言葉を忘れてしまったかのようだ。単に弔辞を述べて、事件の公正な解決を求めるといった表面的なことを口にしただけだった。これでは選挙時の公約を実現できていないばかりか、人種問題で敗北したのに等しい。

 失言を気にかけているのだろうか。黒人大統領として、今回の事件を契機にして流れを変えていく、といった意気込みもまったく感じられない。

 オバマ氏はハーバード大学法律大学院を出たエリートとして、白人社会に片足を入れた環境で人生を送ってきた。同氏のように黒人であっても政界や財界で成功した人は数多い。研究者として名を馳せた学者もいるし、芸術・文化で著名になった人も大勢いる。

 それだけに、同大統領が平均的な黒人青年の境遇をどこまで理解しているのかは分からない。黒人の失業率と所得は相変わらず白人の平均値よりも低いし、黒人青年の約半数は高校を中退しているという数字もある。

>>次ページ「差別構造は過去何十年間も変化がありません」

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「差別構造は過去何十年間も変化がありません」

 人種問題をテーマにした著書があるマーサ・コールマン・エイディバーヨ氏は、現実問題として亀裂はまったく埋まっていないと指摘する。「黒人が白人社会に溶け込んでいるというのは幻想に過ぎないです。今は『ポスト・レイシャル(人種差別)』の時代ですが、差別構造は過去何十年間も変化がありません。白人の男女には黒人に敬意を払うDNAがまるで欠落しているかのようです」。

 さらに驚くべきことは、15〜34歳までの黒人青年の死因のトップが射殺という現実だ。黒人同士の喧嘩や暴行などで殺害されることがほとんどで、これは黒人社会が荒れている証拠である。こうした背景が今回のミズーリ州の射殺事件にある。

 白人警察官は事件後、路上で出会ったブラウンさんに脅威を感じたと述べた。ブラウンさんは近くのコンビニエンス・ストアで強盗を働き、それで追われていた。だが、武器を持たない市民に6発も撃って殺す必要はない。

 ミズーリ州の大陪審(起訴するかを判断する機関)は今、同警察官を起訴するか審理している。黒人側は、大陪審が警察官を起訴することを切望しているが、無罪評決が出る可能性もある。その時は暴動に発展する可能性がある。

公権力が黒人を排除するかのような動き

 こうした流れの中で顕著になったことがある。それは体制側の力の増大である。

 どういうことかというと、地方自治体や連邦政府は今回のようなデモや反体制運動が目に見えて大きくなった時に必ず規制を強めるのだ。60年代の公民権運動やベトナム反戦運動などでもそうだったが、地元警察の力で抑えられない場合は州兵を動員する。しかしデモ隊や反政府運動そのものが、州政府や連邦政府を転覆させることはない。

 新興国や途上国では軍部を味方につければ軍事クーデターという形で政権の奪取につながる。だが、シビリアンコントロールが機能している米国や日本では、デモや反政府運動が肥大化すればするほど、デモ参加者たちの影響力ではなく、それを押さえようとする権力側の力が増大するという皮肉をはらむ。

 両者が衝突した時、押されてしまうのは通常、デモ隊の方である。日本でも反原発運動の抗議運動が国会議事堂前で大きな盛り上がりを見せたが、それも警視庁の掌に載せられたものでしかなかった。たとえ暴徒化したとしても、機動隊が出動し、最悪の場合は自衛隊が動いて制圧される。

 米国では今、政府側の規制する力が強まっている。ミズーリ州では事件発生直後からデモ活動が活発化。同州内からだけでなく、他州からも大勢の人たちが参加した。警察隊に火炎瓶を投げるなどして、ファーガソン市では200人以上が逮捕されてもいる。

 その時に地元政府は何をしたか。州兵を投入したのだ。装甲車を出動させ、催涙弾やゴム弾なども発射した。それは白人が主流を占める体制側が、「黒人を排斥する」かのような動きである。徹底的に封じ込めてしまおうとの意図が見え隠れする。


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米軍と警察は10年間で5000人の市民を殺害

 実は1994年に発足したあるプロジェクトがある。それは国防総省が冷戦後に使用しなくなった兵器や軍事装備を、地方自治体の警察に使ってもらう取り組みだ。近年はアフガニスタンやイラク、ソマリアなどで使うことがなかった兵器を警察に流用している。その総額は昨年だけで4億5000万ドル(約468億円)にもなる。

 警察は犯罪の取り締まりと容疑者の逮捕など、重要な社会的責任を担っている。だが、戦地で使用するはずだった武器を市民に使うことに違和感はないのだろうか。

 グローバル・リサーチ・ニュースによると、過去10年で警察官に殺害された米市民は5000人に達したという。イラクでの戦死者が4489人なので、それよりも多い数字だ。これが世界の民主主義を代表する国家であるとは、どう考えても思えない。1年にすると500人の市民が警察官や州兵など、体制側の人間に殺害されているのだ。

 オバマ大統領は人種の壁をなくして「一つの米国」を実現させようと意気込んでいた。けれども、皮肉にも黒人たちは、大統領を含む政府の力では人種差別を解決することはできないことを悟っている。

 社会学者のアバヨミ・アジキウィ氏は、オバマ大統領が人種問題を解決できずにいることに対する黒人の姿勢を「悪意のない無視」と呼ぶ。オバマ大統領がいくら頑張っても差別はなくならないので口約束は無視するという意味だ。米国の人種問題は既に白人と黒人の両者に諦めムードが漂っており、行き先が見えない暗澹たる状況に陥っている。


http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140825/270349/?n_cid=nbpnbo_bv_ru  

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コメント
 
01. 2014年8月26日 20:14:28 : D3OUjmkPDQ
大規模な 戦争やはり 難しい
死の商人は 内戦に期待

02. 2014年8月26日 20:20:16 : LBtbDXFoS6
オバマ氏が「黒人」だというのは、あくまで見かけの上だけで、富裕層の白人女性を母に、ケニアのエリート官僚を父に持った人だと思えば、アメリカの貧困層の黒人とは何の縁もない人だとわかる。

03. 2014年8月27日 09:53:56 : nJF6kGWndY

やはりね

http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/309.html#c2
デジタル・アリー株急上昇、ウエラブルカメラへの関心高まる
2014年 08月 27日 01:11 JST
[26日 ロイター] - 26日の米株式市場で、ウエアラブルカメラ製造のデジタル・アリー(DGLY.O)の株価が20%超急上昇している。ウエラブルカメラの装着を警察官に義務付けるよう求める動きが広がるなど、ウエラブルカメラへの関心が高まるなか、同社株価は上昇を続けている。

デジタル・アリーの株価は一時16.24ドルに上昇。その後は約20%高の15ドル近辺で推移している。

前日には一時80%急騰した。

デジタル・アリーによると、今月9日に米中西部ミズーリ州セントルイス近郊で黒人青年が白人警察官に射殺された事件を引き金に、同社のウエアラブルカメラへの需要が高まっているという。

また、ホワイトハウスに寄せられた、警察官にウエアラブルカメラの装着を義務付けるよう求める署名はこれまでに14万7000件を超えている。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0GQ1NF20140826


04. 2014年8月27日 09:59:20 : nJF6kGWndY

日本の生活保護世帯でも見られることだが、

米国の黒人貧困層のように、社会カーストの底辺に長期間いると、無力感を社会的に学習し

自分の不遇を他人のせいにして、無責任化し、努力しなくなる傾向が増える


一方、アジア移民のように出発点では、黒人より遥かに恵まれていなくても、より自己責任原則を意識して、勤勉な場合、そういうことにはならない

まあアル中や依存症などの慢性精神疾患と同じだから、簡単には解決しないな


05. 2014年8月27日 11:05:11 : ivOh1mHsOY
>04 日本の生活保護世帯でも見られることだが、米国の黒人貧困層のように、社会カーストの底辺に長期間いると、無力感を社会的に学習し、自分の不遇を他人のせいにして、無責任化し、努力しなくなる傾向が増える

こんなデータ どこにありますか。関連資料を示してください。でなければ、自分はそう思うのだが と断り書きをいれてください。


06. 2014年8月27日 12:38:26 : hRHDOPUoY2
アメリカに住んでいると、生活をしていてみじかに人種の特異性を感じる。私の周りのアジア人は勤勉な人が多く真面目で子供達の教育に力を入れている。ヒスパニックは、労働者階級が多く貧しいが明るくおおらかで真面目によく働く。印象が良い。白人の中でインターナショナルな人は日本にいったことのあるひとは、日本人の気質がよくわかる。また、正直で正義感が強く家族を愛し隣人にも親切な白人もいる。日本人にも好意的だ。井戸の中のかわずのような白人もいてそれらは鼻持ちならずどう見てもどう考えても頭も態度も悪い。
黒人は、アジア人やヒスパニックよりも優遇されている。例えば、アイビーリーグや他の大学にマイノリティ枠があり優先して入れる。この場合のマイノリティは黒人いわゆるアフリカンアメリカンのことだ。アジア人ではない。大企業や政府の仕事でもマイノリティいわゆる黒人を採用をしなければならない。しかし彼らを採用してもつかせられるしごとは警備員や受付など簡単な仕事だ。黒人の保護は、白人やアジア人やヒスパニックから見ると逆差別だ。努力しなくても職にありつけるし大学に入れる。アフリカ系アメリカ人の犯罪率はやはり高い。また、みじかに感じるケースでも仕事の仕方がレイジーだ。仕事をせず社会保障給付費を受けているケースも多いと聞く。全てのアフリカ系アメリカ人がレイジーとは言えないし真面目で優秀な人もおられるだろうが、奴隷制度の罪滅ぼしなのかアフリカ系アメリカンが保護されればされるほど他の人種との摩擦が生まれている。

07. 2014年8月28日 08:18:01 : jXbiWWJBCA
JBpress>海外>The Economist [The Economist]
米国の人種問題:ファーガソンの教訓
2014年08月28日(Thu) The Economist
(英エコノミスト誌 2014年8月23日号)

暴動を起こすことについては言い訳のしようがない。だが、もう少し賢明な警察活動は暴動の可能性を減らせるだろう。

米黒人青年射殺への抗議デモで30人逮捕
米ミズーリ州ファーガソンで、黒人青年が警察官に射殺された事件に抗議するデモの警備にあたる警官隊〔AFPBB News〕

 ミズーリ州ファーガソンでの1週間余りに及ぶ暴動の後で、米国は何を学べるだろうか? 

 最初の最も簡単な教訓は、警察官はカメラを装着すべきだということだ。自分たちが録画されていると分かっていれば、警察が容疑者を撃つ可能性は低くなるだろうし、その逆も同じだろう。

 そして、ダレン・ウィルソン警官が8月9日にカメラを装着していたら、米国人は、ウィルソン警官が武器を持たない黒人青年のマイケル・ブラウンさん(18歳)を射殺する直前に何が起きたのか分かっただろう。ところが実際は、2つの相反する話があり、そのどちらかを選ぶ方法がない。

 警察は、ブラウンさんがウィルソン警官を襲い、その銃を力ずくで奪おうとしたと話す。その後の格闘で、命の危険を感じたウィルソン警官がこの10代の若者を射殺したという。

 その時ブラウンさんと一緒にいた友人は、全く異なる説明をしている。彼は、ウィルソン警官がブラウンさんの首根っこを押さえ、そのあとブラウンさんが身を委ねようとした時に彼を撃ったと話す。初期の死体解剖の結果は、ブラウンさんが少なくとも6発の銃弾を浴びていたことを示しているが、論争は決着していない。

当局側の強硬な対応、人種間で異なる受け止め方

 ブラウンさんの死は抗議行動に火をつけ、すぐに暴徒化した。略奪者たちは店を破壊し、すべてを持ち去った。警察は、軍隊仕様の装甲車を街頭に繰り出し、抗議者たちにライフルを向け、催涙ガスで群衆を追い散らし、暴徒だけでなく、平和的なデモ参加者やジャーナリストも拘束するなど、圧倒的な力を示すことで対応した。

 これらの出来事をどのように受け止めるかについては、人種的に大きな隔たりがある。アフリカ系米国人の約65%は、抗議行動への対応で警察は行き過ぎていたと考えている。この考えに賛同する白人はわずか33%だ。ファーガソンの多くの黒人は、警察の言うことを一切信じない。

 ブラウンさんの家族は、彼を優しい大男だと表現する(身長は約190センチ)。ファーガソンの警察はこれに同意しかねている。地元警察は、ウィルソン警官と出会う数分前にブラウンさんが酒屋で乱暴に強盗を働いていたことを示すとされるビデオを公開した。地元住民の一部は、これを中傷として片付けた。その店はすぐに略奪に遭った。

 暴動を起こすことは、ファーガソンの問題を解決する役には立たない。逆に、暴動は企業を遠ざけ、地元の人たちの仕事や職場を少なくする。そのため、当面の優先課題は秩序を取り戻すことだ。次に、すでに進行中の発砲の調査が精力的かつ透明性を持って続けられなければならない。

 より長期的には、米国は3つのことをよく考えるべきだ。

地域社会を守り、奉仕する警察

 まず、バラク・オバマ大統領が8月18日に述べたように、「我々の軍隊と地元警察の間には大きな違いがあり、我々はこれらの境界線がぼやけることを望んでいない」。実際には、ファーガソンの街頭の装甲車が証明しているように、これらの境界線はすでにぼやけている。

 米連邦捜査局(FBI)によると、米国の警官は2012年に409人を射殺した。英国の警察は誰一人射殺していない。英国と違い、日常的に武器を携帯しているドイツの警察は、8人射殺した。日本の警察は過去6年間で射殺したのが1人だ。

 米国の警官を擁護して言えば、彼らは他の先進国の警官より大きなリスクに直面している。彼らが出会う市民はしばしば武器を持っている。相手の手が見えない時に、警官が神経過敏になるのも無理はない。

 だが、これは、警官が自分たちが仕える地域社会との関係を改善するためにもっと懸命に働かなければならない理由だ。米国の多くの警察はそれが得意だが、中には、徒歩でパトロールするよりも暴力を重視する戦闘的文化を身につけたところもある。

 余った軍用装備品を地方の法執行機関に提供する国防総省のプログラムは、そうした機関を公務員よりもむしろ占領軍のように見せかねない。これは、コストがかかるだけでなく、逆効果でもある。一般市民は、自分たちが恐れる警官よりも信頼する警官に自発的に情報を提供する可能性の方が高いからだ。

 第2に、配管工や会計士と異なり、警官は肌の色が何色かが問題になる。ファーガソンの人口は、1990年の75%が白人という状態から2010年には67%が黒人になったが、警察は今も95%が白人だ。これは、部分的には官僚的な惰性によるものだ。

 公務員は雇用保障が盤石で、年金も手厚いため、労働力がゆっくりとしか回転しない。ヒスパニック系になった町のファストフード店は、すぐにスペイン語を話すレジ係を雇う。だが警察は、変化する地域社会に対する理解力を持つ警官を雇うのがはるかに遅い。

 だからと言って、ファーガソンが白人の警官を解雇し、彼らを黒人に入れ替えるべきだというわけではない。それは違法だ。だが、警官を町の間で異動させたり、新顔を連れてきたり、もっと人種的に敏感になるようベテランを再教育するのはもっと簡単なはずだ。

ドラッグの合法化も推進を

 第3に、米国がドラッグを合法化すれば、警察活動はもっと簡単になり、人種間関係はもう少し和やかになるだろう。非常に多くのアフリカ系米国人が警察を信頼していない1つの理由は、あまりに多くの若い黒人男性が非暴力的な薬物犯罪で刑務所に入れられることだ。ドラッグが合法であれば、誰も薬物を持っていないかどうかボディーチェックされたり、薬物所持で投獄されたりしないだろう。

 違法薬物を扱う暴力団は、廃業に追い込まれるだろう。そして、警察は、窃盗犯や強姦犯を捕まえることに集中できるようになり、すべての人がもっと安全になる。コロラド州やワシントン州の例に倣って、マリファナを合法化することが良い第一歩になるだろう。

 ピリピリした人種間関係を伴う、斜陽産業の町の弊害は、すぐに是正することはできない。だが、ファーガソンの壊れた窓は、自分たちが努力しなければならないことを米国の指導者たちに再認識させるはずだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41588


08. 2014年8月29日 10:25:03 : nJF6kGWndY

無知と貧困が差別の温床

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/41601
米国で今なお根強い人種差別と警察への不信感
セントルイス郊外での黒人男性射殺が暴く差別と権力と暴力の闇
2014年08月29日(Fri) 竹野 敏貴
 手にはアサルトライフルや拳銃、装甲車を伴い、防弾チョッキと迷彩服に身を包んだ男たち。ガスマスクをしている者もいれば、銃を構えている者もいる。

先進民主主義国の米国でまたも起きた黒人射殺事件

米黒人青年射殺への抗議デモで30人逮捕
黒人青年が警察官に射殺された事件に抗議するデモの警備にあたる警官隊〔AFPBB News〕

 戦禍のさなかにあるシリアでもイラクでもリビアでもない。軍政のタイやエジプトでもなければ、独裁者が国民を蹂躙するアフリカの国でもない。

 それは、世界に名だたる民主主義国家である米国中西部の人口2万1000人ほどの町から送られてくる写真が写し出す光景である。

 8月9日、18歳の黒人男性が白人警察官に射殺された。翌日、現場付近でデモが発生し、一部暴徒化。警察は重武装で威圧、火に油が注がれ、人々は怒り、混乱は続いた。

デモ参加者を「狂犬病の犬」呼ばわり、警官を処分 米ミズーリ州
射殺した警察官の逮捕を要求してデモ行進する人〔AFPBB News〕

 警察は男性が逮捕に抵抗し小競り合いになったと発表。一方、丸腰で無抵抗だったとの目撃証言もあり、主張は対立。

 このミズーリ州セントルイス近郊の町ファーガソンに住む人々の3分の2は黒人だが、警官はわずか5%ほど。市議も6人中1人だけが黒人で、黒人は差別されているとの意識が強いという。

 主張が対立するこの事件を中立で解明する必要性から、セントルイス郡検察とは別に、FBIも捜査に乗り出した。

 公民権法が制定されてから50年の歳月が過ぎた。その1964年夏は、「Freedom Summer」と呼ばれ、劣悪な人権状況にあったミシシッピ州の黒人のため、700人を超える公民権活動家が粉骨砕身した季節だった。

 当時のミシシッピ州人口に占める黒人の割合は45%だったが、黒人は6%しか有権者登録しておらず国内最低。登録することは、白人からの暴力、解雇という肉体的経済的ダメージをも意味していたのである。

 そんなミシシッピ州フィラデルフィアの町に有権者登録所を作ろうした3人の男性が、交通違反で捕まり、留置、釈放の後、消息を絶った。1人は黒人、2人はユダヤ系だった。

 『ミシシッピー・バーニング』(1988)でも描かれたその事件は、映画の主人公ともなるFBIの捜査で、白人至上主義団体KKKの影、その地に根付く人種差別の闇が明るみに出た。

公民権法が成立して50年、根深い差別は消えず


フルートベール駅で
 そして、殺害されていた3人の遺体を探し出すまでに、別の8人の黒人の遺体を見つける結果ともなった。

 公民権法が成立しても、そんな根深い差別や偏見がすぐさま消えるはずもなく、ファーガソンで起きたような悲劇は、これまで幾度となく繰り返されてきた。

 メディアは事件が起こるたび、過去の犠牲者のことを語りたがる。5年前の「白人警官による丸腰の黒人男性射殺」事件については、日本では、その犠牲者最後の1日を描いた映画『フルートベール駅で』(2013)が、3月に劇場公開されたばかりである。

 2009年、新年を迎えたばかりのサンフランシスコ・ベイエリアの交通システムBART(Bay Area Rapid Transit)車内で、ちょっとしたトラブルから、22歳の黒人男性が鉄道警察官に列車を降ろされ、丸腰だというのに、ホームでうつ伏せに押さえつけられたまま射殺されてしまった事件である。


パンサー
 サンダンス映画祭作品賞観客賞ダブル受賞のこの作品を撮った黒人監督ライアン・クーグラーは、自分が犠牲者になっていたかもしれない、と語る。

 悲劇が起きたフルートベール駅はMLBオークランド・アスレチックスのホームグラウンド最寄り駅の隣駅。MLB観戦後、夜遅くBARTを使いホテルへと帰って行った経験のある浅黒い有色人種である私ということもあり得た。

 事件の様子は携帯電話で撮られていた。動画はネットで公開され、テレビの電波にも乗った。抗議行動が起き、ベイエリアでは小さな暴動と化した。

 デモは人種統合されていた。それは、警察暴力への市民の反発であり、デモも事件そのものも、どれほど人種問題が関係していたかはかり知ることは難しい。

 とは言え、オークランドはブラックパンサー党(BPP)発祥の地。その活動を描いた映画『パンサー』(1995)でも語られる通り、1966年、警官暴力からの黒人の「自衛」のため結成された、というBPP創設理由の重さを無視することはできない。

 BPPは、1968年、平和的に公民権運動を率いてきたマーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺されると、急進性を増した。

 危機感募らせるロサンゼルス市警は、火器などの不法所持容疑で、BPP支部を不意打ち。銃撃戦となるが、そこで活躍を見せたのが、創設間もないSWAT(特殊火器戦術部隊)だった。

全米各都市に常設されていくSWAT


特別狙撃隊S.W.A.T.
 そして、多くの都市部の警察にSWATが常設されていくことになるのである。

 このSWATについては、1975年、米国で放映開始されたテレビシリーズ「特別狙撃隊S.W.A.T.」オープニングでの日本語版ナレーションに解説してもらうことにしよう(そのバックに流れるテーマ曲は、76年、全米ナンバーワンヒットとなった)。

 「激発する凶悪犯罪。しかも、それは強力な武器弾薬によってエスカレートの一途をたどる。(中略)その事態に即応し、凶悪犯罪抑止のために組織された特別狙撃隊SWAT。射撃をはじめ特殊訓練で徹底的に鍛えぬかれた少数の精鋭たち。彼らは防弾チョッキに身を固め、狙撃銃を片手に今日も敢然と危険な任務に出動する」

 今、ファーガソンに展開している警察に象徴される重武装化への批判の声は小さくない。SWATの出動回数は著しく増加、適応とは思えないケースも多々あるとの指摘もある。

 平和的デモを続ける住民への威嚇などもってのほかだが、「特別狙撃隊S.W.A.T.」ナレーションが語るように、エスカレートする犯罪者の武器に対抗するには、それ以上の装備が必要であり、その抑止効果も重要、というのが警察サイドに立つ者の答えだろう。

 より治安に不安のあるブラジル、リオデジャネイロには、SWAT同様、BOPEと呼ばれる特殊部隊がある。ただし、所属先は州軍警察(憲兵)。

 その実情を描くベルリン国際映画祭金熊賞獲得作『エリート・スクワッド』(2007/日本劇場未公開)の中で、BOPEの一員である主人公は、「町にあるスラム(ファヴェーラ)は700.麻薬ディーラーが大半を仕切る。拳銃、機関銃、ライフル。外国では戦争で使うが、ここではギャングが使う」と語る。

 この映画が見せるスラムと警察の汚れぶりはあまりにリアルでどぎつい。

 そんな現実を知るこの映画の監督ジョゼ・パジーリャは、ハリウッド進出を果たし、『ロボコップ』リブート版を撮った。セントルイス同様、黒人と白人の住み分けが進み、犯罪多発都市であるデトロイトが舞台の近未来SFである。

現実味もある? ロボコップ


ロボコップ
 米国は、ドローンやロボット兵士を使い、テヘランで「世界の警察官」ぶりを発揮している。容疑者でも丸腰ならいきなり撃たれることはないようだ。

 一方、国内では、人間性を欠くロボット警察は法律で禁止されており、腐敗した警官もいて、悪くもないのに撃たれるケースも少なくない。右派は法律を変えて、ロボット警察導入を進めようとしている。

 ベストは武器のない世界であることは分かっていても、今や、3Dプリンターで拳銃を作ろうとする者まで出てくる時代となり、もはや、その実現に現実味はない。

 そして、相手が武器を持って襲って来れば、非武装の者はそれで終わりというのも、当たり前のことながら、忘れるわけにはいかない。

 争いの中で「自衛」が「正当防衛」から「過剰防衛」へと発展してしまうケースは少なくない。それならば、バグの問題は別として、間違って丸腰の人間を殺すこともなく、人間にありがちな自らの命惜しさの過剰防衛もない機械の方がよっぽどまし。

 とてつもない管理社会になるかもしれないけど、命あっての物種だから、などと、どこか近未来ディストピアSFの映像のようにも見えるファーガソンから送られてくる写真を見ながらあれこれ考えてしまうのであった。

(本文おわり、次ページ以降は本文で紹介した映画についての紹介。映画の番号は第1回からの通し番号)

(927)ミシシッピー・バーニング (928)フルートベール駅で (929)パンサー
(930)エリート・スクワッド (931)ロボコップ
927.ミシシッピー・バーニング Mississippi Burning 1988年米国映画


ミシシッピーバーニング
(監督)アラン・パーカー
(出演)ジーン・ハックマン、ウィレム・デフォー

 1964年6月。ミシシッピ州で3人の公民権運動家が行方不明となった事件の捜査へとやって来たFBIのアンダーソンとウォード。

 しかし、彼らに協力する素振りをみせれば、その人物は嫌がらせを受けることになり、捜査は困難を極めた。

 そんなある日、フリーダムサマーの行進に参加し留置されていた黒人青年が釈放された直後、誘拐される様を目撃し・・・。

 ミシシッピ州で実際起きた公民権運動家失踪事件を題材に、『ミッドナイト・エクスプレス』(1978)など社会派作品も多いアラン・パーカー監督が描いた人種差別の深い闇。

 アカデミー賞7部門にノミネートされ、撮影賞を獲得した。

928.フルートベール駅で Fruitvale Station 2013年米国映画


フルートベール駅で
(監督)ライアン・クーグラー
(出演)マイケル・B・ジョーダン、オクタヴィア・スペンサー

 2009年1月1日早朝。オスカーは、衆人環視の中、フルートベール駅で警官に撃たれた。

 大みそかの朝をオスカーは恋人と3歳の娘と一緒に迎えていた。クビになったスーパーに行って、仕事復帰を頼んだがだめだった。カネのため、以前やったことのある麻薬の売人も考えたがやめた。

 恋人と連れ立って、落ち合った仲間たちとともに、電車に乗り、新年はその中で迎えた。しかし、以前収監されていた時もめた相手と出会いトラブルに。

 鉄道警察がやって来た。ホームに連れだされるオスカー、そして・・・。

 BARTホームで実際に起きた警官による黒人男性射殺事件を題材に、犠牲となった男性の最後の1日を静かに描き、サンダンス映画祭作品賞など、多くの賞を獲得した。

 冒頭に、その場に居合わせた乗客が撮影した実際の映像が収められている。

929.パンサー Panther 1995年米国映画


パンサー
(監督)マリオ・ヴァン・ピーブルズ
(出演)カディーム・ハーディソン、ボキーム・ウッドバイン、ジョー・ドン・ベイカー
(音楽)スタンリー・クラーク

 ケネディ大統領の「米国の社会およびその法のもとで人種差別は認められていない」との言葉とともに、警官に暴力的に扱われる黒人たちの姿が映し出される。

 「ブラックパンサーの成り立ちは複雑だが、ボビー(・シール)とヒューイ(・P・ニュートン)の「自衛」という言葉が原点だ」と語られ、警官による黒人への暴行に対する自衛を目的として結成されたブラックパンサー党について描かれていく。

 ブラックムービーの元祖『スウィート・スウィートバック』(1971)を監督したメルヴィン・ヴァン・ピーブルズの脚本を、その息子で『ニュー・ジャック・シティ』(1991)などを手がけたマリオ・ヴァン・ピーブルズが監督した。

930.エリート・スクワッド Tropa de elite 2007年ブラジル映画(日本劇場未公開)


エリート・スクワッド
(監督)ジョゼ・パジーリャ
(出演)ワグネル・モウラ、アンドレ・ハミロ

 激務に明け暮れるBOPE(特殊警察作戦大隊)に属するナシメントは、そろそろ引退、そして後継者づくりを考え始めている。

 そんなとき、正義をなすことを期待しながら、腐敗にみちた警察の実態に幻滅した2人の警官がBOPE入りを志願し・・・。

 『バス174』(2002)で知られるパジーリャ監督が、スラム(ファヴェーラ)での撮影も決行、その実態や汚職まみれの警察をも描く、社会派にしてアクション作でもある本作は、ブラジルで大ヒットを記録。

 ベルリン国際映画祭金熊賞など多くの賞を獲得し、のちに続編『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』(2010)も撮られた。

931.ロボコップ Robocop 2014年米国映画


ロボコップ
(監督)ジョゼ・パジーリャ
(出演)ジョエル・キナマン、ゲイリー・オールドマン、マイケル・キートン、サミュエル・L・ジャクソン

 2028年。妻子とともに幸せな生活を送っていた警官アレックスは、車を爆破され、重傷を負うが、オムニスコープ社の最新ロボット技術により一命をとりとめた。

 とてつもない能力が備わったアレックスは、犯罪都市デトロイトの凶悪犯罪に次々と立ち向かっていくが、人間としてのアレックスとマシンが・・・。

 シリーズ3作が製作された『ロボコップ』(1987)のリブート作。


09. 2014年8月30日 07:54:17 : GxUppR5zoM
生活保護に焦点を当てて働かない不正受給を容認する税金の無駄遣いと槍玉に上げるのは、弱者による弱者叩きの典型的な例。
俺より良い思いをしやがって、上手く金を引っ張りやがって、ずるい、狡い、要するに嫉妬だ。
弱い者を挫くのは強い者、ではなく同じ弱い者が足を引っ張るのだ。
強い者はそれを眺めながら、弱者保護政策を切り詰める風潮を税収減の煽りを受けてと一言入れることでさらに煽り、弱者は弱者を叩き自分で自分の首を絞める愚に気づかない。
貧困と無知は確かに差別を助長させる。
しかし弱い者同士で強い者に奉仕するような無益なモグラ叩きをやって、それを得意気に社会カーストなどと書く弱者の無知は救いがたいものであることは言を待たない。



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