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コラム 山口一臣 世界中に『化け物』を生み出すアメリカの困った体質(さくらフィナンシャルニュース)
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/347.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 8 月 30 日 17:36:05: igsppGRN/E9PQ
 

【コラム 山口一臣】世界中に『化け物』を生み出すアメリカの困った体質
http://www.sakurafinancialnews.com/news/9999/20140829_7
2014年08月29日 16:05 JST さくらフィナンシャルニュース=東京


■「イスラム国」の困った誕生

この国はいったい何をやりたいのだろう。日本の同盟国アメリカのことだ。

いま中東では、おそらく人類史上初めてと言っていいほどの、冗談では済まされない、とんでもないことが起きている。「イスラム国」(ISIS)の“誕生”である。

ISISは、日本では「民間軍事会社」のCEOを名乗る湯川遥菜さん拘束で知られるイスラム教スンニ派の過激派組織だ。詳しくは後述するが、正真正銘のテロリスト集団である。それが今年6月にシリアとイラクにまたがる地域を支配し、勝手に「建国」を宣言した。

もちろん、そんな「国」を承認するまともな国家があるわけもなく、国際社会は「長続きするわけがない」とたかをくくっていた。ところが、「イスラム国」軍は、イラク国軍やクルド自治政府の治安軍と互角かそれ以上に戦い、支配地域を広げ、「国」として行政サービスさえ始めている。

それどころか、欧州から社会に不満を持った若者たちが数千人単位で駆けつけているという情報すらある。

「イスラム国」は既存の国境線を認めていない。というか無視すること公言している。どこまでも支配を拡張しつつ、この地域に巨大なイスラム原理主義国家を建設しようとしているようだ。そして、最終的にはそこを拠点に世界にイスラム革命を輸出しようとしているのだという。日本にとっても対岸の火事として見過ごせない。

こうした動きに我が同盟国のアメリカは、当然ながら強い警戒感を表明している。

きっかけは、「イスラム国」が米国人ジャーナリストの首を切断、処刑する映像をYouTubeで公開し、「アメリカへのメッセージ」というタイトルを付けてあからさまな挑発をしたことだ。

■「化けもの」を産んだ責任はアメリカにある

これに対しては米国務省のケリー長官は、

「世界には悪が存在する。そして、われわれは再びその悪と対決することになった。卑劣で、残酷で、不可解で、虚無的で、価値のない悪と。ISIS(イスラム国)は、そのような悪を体現する組織であり、平和に暮らそうとする人々に対する脅威であり、日々その残虐な行為で冒涜している平和な宗教を卑劣に侮辱するものである…」(在日米大使館HPより)

と、これ以上ない激しい言葉の声明を出し、「イスラム国は壊滅の対象だ」と明言した。国防総省のヘーゲル長官もまた、21日の記者会見で、

「(ISISは)テロリスト集団の域を超え、イデオロギーと戦略や戦術に長けた高度な軍事力、そして資金力がある。これまで目にしてきたどの組織とも違う。われわれは万全を期さなければならない」

と語り、オバマ米大統領は26日、退役軍人を前にした演説で「イスラム国」の殺人者に「正義の鉄槌をくだす」と強調した。

アメリカ政府がここまで感情的になる気持ちは、わかる。

ジャーナリストを拘束し、殺害するというのは言語道断の行為である。だが、相手は人の首を平気でちょん切る野蛮なテロリストだ。そんな奴らの挑発に、こうも簡単に乗せられてしまっていいのだろうか。

これでは奴らの思うツボだ。

しかも、この「イスラム国」なる“化け物”を生んだ責任は、ほぼアメリカにあるといっても過言ではないのである。順を追って説明しよう。

ISISの創始者はヨルダン出身のアブ・ムサブ・ザルカウィという人物で、1989年当時、ソ連のアフガニスタン侵攻に抵抗するイスラム義勇兵としてオサマ・ビン・ラディン指揮下のゲリラ訓練所だった「アル・カイーダ」に加わった。

オサマ?ビン?ラディンが率いた「アル?カイーダ」は、いまでは世界的な反米テロ組織としてその名が知渡っているが、もとは米CIAがアメリカの対ソ戦略上の必要からパキスタンの諜報機関ISIを使ってつくらせたものだ。

アメリカが資金・物資の両面から支援を続けたことで、皮肉にも9.11テロを起こすほどの“化け物”に育ってしまった。その後、アメリカはオサマ・ビン・ラディンを暗殺するが、“化け物”をこの世に生み出してしまった責任からは逃れられない。

前出のザルカウィはオサマ・ビン・ラディンの教え子の1人だ。その意味ではアメリカの資金によって、テロリスト人生のスタートを切ったともいえる。2004年頃にはイラク入りし、ISISの前身に当たる「イラクの聖戦アルカイーダ」を結成する。このきっかけをつくったのもアメリカだ。

2003年3月にアメリカが仕掛けたイラク戦争である。

当時の米ブッシュ政権は「イラクのサダム・フセインが大量破壊兵器を持っていて、アル・カイーダ系テロリストともつながっている」などと主張して開戦に踏み切った。

ところが、この「イラクに大量破壊兵器がある」というのは完全な捏造情報だったことが後に分かる。偽情報の発信源は、イラク出身の詐欺師のような技術者が、バクダッドで起こした事件の訴追を免れるためにドイツの諜報機関BNDに駆け込んで「自分はサダムの下で化学兵器をつくらされていた」と証言したことだった。

独BNDはこの情報を協力関係にあった米CIAに通報した。ブッシュ大統領(当時)がそれに飛びつき、あの「悪の枢軸」演説の根拠になるという流れである。一方、独BNDは途中で情報がガセだと気づいてドイツ政府に待ったをかけた。その結果、ドイツはフランス、ロシアと並んで「イラク戦争反対」を主導することになったわけだ。

独BNDは当然、そのことを米CIAにも伝えたが、すでにブッシュ大統領が戦争に向かって突き進んでいたため、情報は米政府上層部に上げられることもなく握り潰されてしまったという。こうした経緯は日本ではあまり詳しく報道されていないが、米議会などで検証されたイラク戦争のあまりに情けない「真実」なのだ。

ついでに言っておくと、アメリカはそんな根拠のない不正義な戦争に「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」などと日本を脅し、自衛隊の派遣までも強要したのだ。

それはさておき、米ブッシュ政権によるイラク侵攻とサダム・フセイン殺害によってそれまで曲がりなりにも秩序を保っていた中東の大国イラクの崩壊が始まった。

■対テロ戦争の言葉の裏には、テロリストたちの温床

ポストフセインとして登場したアメリカの傀儡マリキ政権(シーア派)がスンニ派排除政策をとったことで混乱に拍車がかかる。耐えきれなくなった米軍がすべてを放り出して撤退を決め、イラクはますます手がつけられなくなった。

この間、権力の空白に乗じてイスラム過激派などさまざまなテロ組織がイラク国内に入り込み、自爆テロを繰り広げる事態になる。2003年当時のブッシュ政権が主張していたような「サダム・フセインとアル・カイーダのつながり」などもとよりなく、むしろアメリカが始めた無謀な戦争がイラクにテロリストを呼び込んだというべきなのだ。

アメリカは「対テロ戦争」などといいながら、結果としてテロリストたちの温床を自らつくってしまったわけである。

こうしてイラク国内で過激テロを繰り広げてきたアル・カイーダ系などの過激派組織は、隣国シリアの内戦が泥沼化するとすかさず「シリア反体制派」となって参戦する。

ここで再びアメリカは“化け物”に手を貸し育てることになる。

シリアのアサド独裁政権vs.反体制派の構図の中で、アメリカはアル・カイーダ系も混在する「反体制派」を支援し、一時は空爆による軍事介入までしそうになった。この時も、「アサド政権が化学兵器を使った」という真偽不明の情報に踊らされていた。

いずれにせよ、こうした流れの中で米CIAなどが「シリア反体制派」へ莫大な資金や武器の援助を続けた。その一部が前出の「イラクの聖戦アルカイーダ」(その後、ヌスラ戦線とISISに分裂)にも流れ、 テロ組織は武器を近代化し戦闘員を増やすことができた。それが冒頭の「イスラム国」樹立につながるわけだ。

それにしても、正真正銘のテロ組織が「国」を名乗るというのはとんでもない話である。彼らは恭順の意を示す住民に行政サービスを提供する一方で、宗派の違う人や異教徒には容赦のない迫害や略奪、虐殺を繰り返している。しかも、そうしたテロ革命を世界に拡大しようとしているというのだ。

このまま放置すれば、国際社会にとって大きな脅威になることは間違いない。石油の供給にも影響することになるだろう。

しかしだからと言ってオバマやケリーやヘーゲルのように、やたらと拳を振り上げ、「鉄槌をくだす」だの「壊滅の対象だ」などという安っぽい正義感を振りかざした、しかもドロ縄的な対応では、また新たな“化け物”を生み、世界に拡散することになりかねない。それは歴史が証明している。

とくにアメリカ同盟国の我が日本は、くれぐれもアメリカの場当たり的で不正義な戦争に巻き込まれないようにしなければならない。そのためにも、これまで失敗を繰り返してきたアメリカの過去の歴史をしっかり検証することが大切だ。

日本のマスコミはややもするとアメリカの「正義」に寄り添いがちになる。何か紛争が起きれば大々的に報じてくれるが、なぜそうなっているのかという、時間軸を遡った部分が少し弱い気がする。「イスラム国」はなぜ生まれたのか。その答えを把握しない限り、有効な対応策などあり得ない。【了】


やまぐち・かずおみ/ジャーナリスト
1961年東京生まれ。ゴルフダイジェスト社を経て89年に大手新聞社の出版部門へ中途入社。週刊誌の記者として9.11テロを、編集長として3.11大震災を経験する。週刊誌記者歴3誌合計27年。この間、東京地検から呼び出しを食らったり、総理大臣秘書から訴えられたり、夕刊紙に叩かれたりと、波瀾万丈の日々を送る。テレビやラジオのコメンテーターも。2011年4月にヤクザな週刊誌屋稼業から足を洗い、カタギの会社員になるハズだったが……。


 

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コメント
 
01. 2014年8月31日 09:52:46 : jXbiWWJBCA
>恭順の意を示す住民に行政サービスを提供する一方で、宗派の違う人や異教徒には容赦のない迫害や略奪、虐殺

戦国時代


02. 2014年9月01日 02:00:05 : TGgfYEbPRU
飼い犬に手を噛まれるって状況を CIA が作り出す・・・。

03. 2014年9月01日 04:48:26 : Rv9sIyuqEM
著者は9.11はアルカイーダが起こしていたと解釈しているようだ。この段階で,読む価値はなさそうだ。正解は米の自作自演だ。

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