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中央アジアに関する論稿をご紹介いたしますA (古村治彦の酔生夢死日記)
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/400.html
投稿者 五月晴郎 日時 2014 年 9 月 15 日 17:11:28: ulZUCBWYQe7Lk
 

(回答先: 中央アジアに関する論稿をご紹介いたします@ (古村治彦の酔生夢死日記) 投稿者 五月晴郎 日時 2014 年 9 月 11 日 01:25:56)

http://suinikki.blog.jp/archives/11215942.html

 つまり、カザフスタンがロシアの作った大きな池の中の小さな魚になるのではなく、自分で作った池の中の大きな魚になることを夢見ていたとしたらどうだろうか?その池とは、旧ソ連だけではなく、自国よりも南にある、国名に「スタン」が付く国々全て構成されるとしたら、この池はまず小さいということはないであろう。この勢力ブロックは少なく見積もっても、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギスタン、タジキスタン、アフガニスタン、パキスタンの7カ国で構成されることになる。総面積は約210万平方マイル(約544万平方キロ)で、アメリカの約半分の広さとなる。これだと世界で7番目に広い国に相当する。オーストラリア(約3万平方マイル)よりは少し小さいが、インド(約130万平方マイル)よりは大きい。これらが1つになると、中央アジア地域の重要な塊ということになり、更には相互につながる旧世界大陸であるアジア、アフリカ、ヨーロッパで構成される「世界島(world island)」の中心地となる。

 カザフスタンが中心となる超国家は、世界において重要な戦略的地位を占めることになる。この超国家によって、ヨーロッパとインド亜大陸がつながるのである。そう、カザフスタンは巨大な国家であり、ヨーロッパの一部と言ってもよいほどである。また、中東と極東という地政学的に懸隔した地域をつなぐ橋梁ともなり得る。アフガニスタンはワハーン回廊(Wakhan Corridor)を持っており、これによって既に橋梁としての役割を果たしているという主張もある。これによって中国をリンクさせているというのである。しかし、ワハーン回廊はその地域と安全性を考えると、理想的なものとは言えない。超国家の主な強みとなるのは、アラビア海を経由する海洋への出口である。これが北部アジアに開発の可能性を与えることになる。パイプライン、鉄道、その他の現在はまだ建設されていない輸送手段を使って、カラチやその他パキスタン国内の港湾へのリンクが形成される。これによって最短距離で、カザフスタンに眠る石油、石炭、天然ガスを市場に送ることができるようになる。

 超国家は2013年の年間GDPは合計で6000億ドルに迫る規模となる。これはスイスとスウェーデンの間に入る規模だ。一人あたりのGDP(約5000ドル)となると、世界の下半分に入ってしまうが。カザフスタンの一人あたりのGDPは1万2000ドルで、ハンガリーよりも少し下である。アフガニスタンは5000ドルの7分の1である、700ドルで、これはルワンダより少し高い数字である。その経済力に加えて、超国家は人種と言語の多様性を有する。スラブ、トルコ、ペルシアの影響力が大きいものとなるであろう。しかし、超国家には統一を保つのに重要ないくつかの特性が存在することになるだろう。超国家の国民の圧倒的多数はイスラム教徒となる。そして、シルク・ロードの記憶、チンギス・ハーンの遺産、イラン歴の正月ノウルーズ(Nowruz)といった歴史的、文化的な共通点を持つことになる。「スタン」はペルシア語で「土地」や「国」を意味するが、それぞれの国名に「スタン」が付くのはなにも偶然の産物などではないのである。

 超国家の人口は約2億8000万人ということになる。これは、中国、インド、アメリカに次いで世界で4番目ということになる。そして、軍事力の面から言えば、現役将兵の数は約100万ということになり、中国、アメリカ、インド、北朝鮮に次いで世界で5番目ということになり、ロシアを凌駕することになる。超国家における最大都市はパキスタン沿岸の巨大都市カラチで、人口は900万である。しかし、戦略的な見地から首都は別の都市を選ぶことも可能である。1つの可能性としては、タジキスタンの首都ドゥシャンベ(人口75万人)が考えられる。

 しかし、新国家の首都の場所探しなどは大した問題ではない。最も緊急の問題は戦争である。西側諸国の軍隊がアフガニスタンから撤退している中、カブールにある中央政府は独力でタリバンと対峙しなくてはならなくなっている。これは、暴力はより深刻に、悪い方向に向かっていることを意味している。デュアランド・ラインを超えたパキスタンでは、中央政府は、タリバンの反政府勢力と対峙しているだけでなく、バルチスタンの分離独立運動、そして、インドとの冷戦といった問題を抱えている。民族間の争いと宗教の原理主義は、旧ソ連のスタンが国名に付く国々に不安定をもたらす要素となっている。特に、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギスタンが分割しているフェルガナ盆地(Fergana Valley)はそうした不安な要素が存在する地域である。また、貧困も大きな問題である。カザフスタンを除くと、全てのスタンが国名に付く国々の、2013年の一人あたりのGDPは1万ドルを割り込んでいる。

 マイナスの指標のリストは長く、その内容は想像通りのものとなっている。@汚職:高い。スタンと付く克明に国々はどこもトランスペレンシー・インターナショナルが毎年実施している汚職認識インデックスで高いスコアを叩きだしている。アフガニスタンは、北朝鮮とソマリアに次いで第3位を記録している。A識字率:低い。人口1億8600万人を誇るパキスタンの識字率は驚くべきことに55%に留まっている。アフガニスタンは28%で世界でも最低の方である。公平を期すために述べておくと、旧ソ連に属していたスタンと付く国々の識字率はこれらの国々に比べて大変高く、ほぼ100%を達成している。B民主政治体制:あやふや。アフガニスタンは失敗ばかりしているが、現在行われている大統領選挙の過程は、国内では戦争状態にありながら、何とか進行している。しかし、ステップ地帯の統治はよく言ってパントマイムのようなものである。「トルクメニスタンの父(Father of the Turkmen、Turkmenbashi)」サパルムラト・ニヤゾフ(Saparmurat Niyazov 1940〜2006年)大統領の奇妙な個人崇拝と統治を思い出して欲しい。彼は4月という月の名前を自分の母の名前に変えたのである。

 それでは、最後に、この新国家の国名はどうなるだろうか?もちろん、「中央アジア連邦(Central Asian Federation)」のような誰にでも思いつく、退屈な名前なら私でも書ける。しかし、全ての国が共有する「スタン」を使った国名「スタニスタン(Stanistan)」は、奇妙ではあるが、印象的な国名となることだろう。これは、英語では「国家の中の国家(Country of Countries)」となり、総称的に聞こえるが、ペルシア語だと、簡潔で、一度聞いたら忘れられない美しさがある。

(終わり)  

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