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EU離脱問う国民投票、英首相の賭けと誤算:EUはユーロ圏と非ユーロ圏に“分化”するほうが収まりがいいはず
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/556.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 10 月 30 日 03:04:36: Mo7ApAlflbQ6s
 


EU離脱問う国民投票、英首相の賭けと誤算[日経新聞]
欧州総局 小瀧麻理子
2014/10/29 7:00

 英国のキャメロン首相が、欧州連合(EU)離脱へと追い詰められている。国内で台頭する反EU・移民制限政党が支持を伸ばしている焦りから、これまでの親EU路線を変更。スコットランド独立をめぐる住民投票に続き、EUからの離脱の是非を問う国民投票の実施という“劇薬”で支持の回復を狙うものの、下手をすると本当に意図せざるEU離脱に追い込まれかねない状況で、逆に悩みは深まるばかりだ。


■EUに約2900億円の追加拠出求められ激怒

 「完全に怒っている」「到底受け入れられない」。今月24日、ブリュッセルで行われたEU首脳会議後の記者会見で、キャメロン氏はみるみる顔を真っ赤にさせて、怒りをぶちまけた。今年のEU予算に関連し、経済が好調な英国が21億ユーロ(約2900億円)と追加拠出を求められたことを受け、不当な請求だと訴えた。

 実はキャメロン氏が追加拠出問題を示唆されたのは首脳会議に着くほんの数分前。しかも政権の右腕でもあるオズボーン財務相は数日前に知らされていたという。情報の蚊帳の外に置かれたことも含めて、会見では悔しさや憤りをあらわにし、12月の拠出期日までに「払うつもりはない」と繰り返した。
 21億ユーロの追加拠出は確かに加盟国の中でも突出した金額だが、英国の国民総所得の0.1%にも満たない。それでもEUに対する「過剰反応」(英フィナンシャル・タイムズ紙)ともみえる姿勢を強める背景には、いまや政権にとって最大の悩みの種となった英国独立党(UKIP)の存在がある。

 EU離脱と移民制限を掲げるUKIPは、EUからの移民に職を奪われたり、格差が拡大したとする労働者などの不満の受け皿となり、英国内で金融危機以降に急速に支持を伸ばしている。


■野党UKIPの支持拡大で強硬姿勢示す

 英国の典型的な上流階級出身のキャメロン氏とは対照的に、UKIP党首のファラージュ氏はパブで支持者とギネスビールをかたむけながら語り合う気さくさが武器。英メディアでは、同氏の笑顔から保守党に対する「にこやかな暗殺者」とまで呼ばれている。その一方で、イスラム教徒など移民に対する過激で差別的な発言がたびたび国内で批判を受けてきた。

 キャメロン氏も先手を打ってきたつもりだった。昨年1月、2015年5月の英総選挙で同氏が率いる保守党が勝てば、EU改革を進めたうえで、17年にEU離脱の是非を問う国民投票を実施する方針を打ち出した。キャメロン氏自身は実際は影響の大きいEU離脱には反対の立場とされるが、あえて強硬な姿勢を示すことで、UKIPに流れている支持層を呼び戻す狙いがあった。当時英エコノミスト誌はリスクの高い企てだとして、ギャンブラー姿のキャメロン氏を表紙に描いた。

 だが、今のところその「賭け」は裏目に出ている。国民投票の公約を打ち出したあとも、UKIPは順調に支持を拡大し、5月の欧州議会選挙では議席数で英国の第1党に躍進。保守党若手ホープのUKIPへの転籍が相次ぎ、10月の補欠選挙では、UKIPが下院で初めて議席を獲得した。11月下旬の補欠選挙でも、新たな議席確保をうかがう勢いだ。英国の総選挙は小選挙区制で小政党は本来、議席獲得が難しいだけに、衝撃は大きい。
 「UKIP対策にこだわればこだわるほど、キャメロン政権は本来の魅力を失っている」。キャメロン政権でかつて外交政策を担った保守党議員は25日の英紙への寄稿で古巣への懸念を示した。

 就任当時43歳と、戦後の英国で最も若く首相に就任したキャメロン氏は、政治的な経験不足を指摘されながらも清新さがあった。その後、同年代のオズボーン財務相などを抜てきし、法人税や社会保障制度改革、財政再建など経済優先・親ビジネス路線を着実に進めたことへの一定の評価もある。
 ところが、今はUKIPを前に持ち味が生かせず、負けじと反EU政策や移民制限を打ち出すのに躍起だ。産業界は「このままでは誰も望んでいないEU離脱に突き進むのでは」と本気で心配する。
 「キャメロンが夜眠る前に考えているのはUK(英国)ではなく、UKIPのことだ」。9月下旬に行われた野党・労働党大会の最終演説で党首のミリバンド氏が発言すると、その日一番の喝采が起こった。

 労働層を味方につけ、エリートぞろいのウェストミンスター(英議会)批判で英政治を揺さぶるファラージュ氏の手法は、9月の住民投票で英国を分裂の危機に追いやったスコットランド民族党のサモンド党首(当時)に似たところもある。ミリバンド氏の指摘通り、対UKIPへの執着はキャメロン政権にとって命取りになるのか。

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78974580Y4A021C1I00000/?dg=1

 

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コメント
 
01. 2014年10月31日 18:14:35 : jXbiWWJBCA

英国を激怒させたEU予算の追加支払い請求
支払えば、キャメロン首相の政治生命の危機
2014年10月31日(Fri) Financial Times
(2014年10月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

英首相、EU残留を問う国民投票を約束 17年末までに
英国のデビッド・キャメロン首相は、EUからの請求書を突き付けられて激怒した〔AFPBB News〕

 英国のデビッド・キャメロン首相と欧州委員会の対決を、後者を引き立てるような形で説明する方法がある。

 欧州委は度を越すまでに合理的で、組織内の規則の論理を最後の最後まで守る。もしその論理が、英国が欧州連合(EU)予算に追加で21億ユーロ支払うことを意味するのであれば、良識のような些細なことが邪魔をすることを許さない。

 歴代の英国首相の中で最もイングランド人らしいキャメロン首相は、この大陸的なリテラリズム(直解主義)を軽蔑している。同氏は主流派ではない妥協の世界に住んでいる。この世界では、規則は操作することができ、分別のある人間の判断に委ねられる。

欧州委員会の合理性と加盟国の事情を斟酌してきた過去

 これらの対照的な思考習慣は異なる文化から生じるものだが、欧州委のやり方の方が28カ国から成る連合の秩序をうまく保てる。EUについて英国が気に入っている域内市場は、欧州委が規制の調和を図り、公正な手で各国の保護産業をこじ開けることに依存している。

 これが欧州委を引き立てる説明だが、実際には通用しない。実際には、EUの規則の執行は乱雑で公平性を欠く作業だ。

 法律の条文は常に政治と戦ってきた。大きな加盟国が騒ぎ立て、国内の圧倒的な世論や、格別に大きな戦略的利益について訴えれば、言い分を通すことができる。過去10年間に複数の加盟国によって安定・成長協定が無視されたのは、そういう経緯だった。また、これによって、なぜ域内市場がまだ不完全なのか説明がつく。

 先週、フランスのフランソワ・オランド大統領がキャメロン氏に「規則を守る」よう求めた時、同氏のチームは笑いすぎて死にかけた。何しろ彼らはこれまで、歴代のフランス政府がEUの規則に対して完全とは言えない忠誠を示すのを見てきた。

 今でさえ、欧州委はフランスとイタリアに対し、国家予算の制約の執行について妥協の余地があると内々に伝えている*1。

 だから、ブリュッセルは純粋な論理の要塞ではない。欧州委は加盟国の政治的な現実を斟酌する。

*1=実際、欧州委員会は10月28日、両国が提出した予算案をEUの予算規則に対する「重大な違反」がないとして、大幅な修正を求めることは見送った

英国の政治的な現実

 英国の政治的現実とは、キャメロン氏がこの追加分担金を払うわけにはいかないということだ。12月の支払い期限までには絶対に払えないし、仮に払うことがあるにしても、恐らくは来年5月の総選挙までは払えない。もしこれを払えば、政治的な死に至る恐れがあるからだ。

欧州議会選、英で反EU政党が勝利へ
英国では、反EUを掲げる英国独立党(UKIP)が勢力を伸ばしている(写真中央がナイジェル・ファラージ党首)〔AFPBB News〕

 支払ったら、反EUの英国独立党(UKIP)や自党である保守党、多くの有権者から、キャメロン氏が耐え切れないかもしれない怒りが噴出する。

 保守党内ではすでに、イングランド南部のロチェスターで11月に行われる補欠選挙でUKIPに敗れた場合に、バックベンチャー(要職に就いていない平議員)が何らかの形でキャメロン氏を突き上げる動きに出る可能性がある。

 総選挙の半年前に、自党の支持率の足を引っ張っていない唯一の主流派の指導者の立場を揺るがすことは、興奮した人の自傷行為のように見えるが、これは保守党だ。

 「神経が高ぶっている人は馬鹿なことをする」と、ある党内関係者は話す。怒っている人は、それ以上に馬鹿な真似をする。EUの追加分担金を速やかに支払えば、キャメロン氏の敵を燃え上がらせることになるだろう。

 また、追加の分担金の支払いは、英国のEU懐疑主義に一世代に一度しかない刺激を与え、筋金入りの反EU派の態度を硬化させ、意思が決まっていない有権者を反EU陣営に引っ張り込む可能性もある。

今回は理由があって本気で怒っているキャメロン首相

 追加分担金の根拠は、計量経済的な方法論の淀んだ空気の中にある。だが、UKIPは難なくこれを捻じ曲げて、追加金を繁栄に対する税金として、そして狂信者によって考案された破滅的な単一通貨に加わらなかったことに対する罰金として喧伝できる。

 英国人が目にするのは物事を公平に扱う手ではない。彼らが見て取るのは、侮辱的な中指だ。

 これまで、キャメロン氏が自身の欧州政策の主導権を握っているように見えたことは、めったになかった。キャメロン政権はその日暮らしをしており、バックベンチャーと安全な距離を保っておくために、周期的に彼らのご機嫌をとるような材料を探し回る。だが、今回の追加分担金については、キャメロン氏は本気で怒っている。それには理由がある。

 イデオロギー上のEU憎悪と正当な不満を区別するのは容易だ。こんな思考実験をしてみればいい。キャメロン首相が仮に、野党党首のエド・ミリバンド氏のような労働党の親EU派だったと想像してみてほしい。

 ミリバンド首相の下では、英国は欧州逮捕令状に参加すべきか否かを巡る物議は、そんな議論にならない。ミリバンド氏はそこそこ楽に事を進めるだろう。右派は抵抗するだろうが、クリティカルマスは得られない。

 分担金の追加請求は別問題だ。もし労働党の首相が、折しも自国の財政が困窮している時にほぼ即座に支払い期限が来る21億ユーロの請求書を送りつけられたら、ただ律儀にお金を払うことはできない。時間を稼ぎ、割引を求めるだろう。自分自身の考えはともかく、有権者と一定数の自党議員がそれだけは求める。

EUは妥協せよ

 だからこれは、キャメロン氏が何もないところから作り上げた論争ではない。英国首相を務める人なら誰もが苦しめられる問題だ。

 その永遠の平和の概念がEUに影響を与えたとされる啓蒙主義の哲学者イマニュエル・カントは、「人間性のねじ曲がった木材から真直ぐなものが作られたことは一度としてない」と言った。偉大な啓蒙主義者でさえ、世俗的な妥協の必要性を理解していた。EUはキャメロン氏と妥協すべきだ。

By Janan Ganesh

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/42101


 
共和、民主両党から見放されたオバマ大統領
米中間選挙を前に漂流し始めた米国、世界の行方は
2014年10月31日(Fri) 堀田 佳男
 「米国はいま漂流し始めている」

 首都ワシントンのシンクタンクに勤務する知人はこう電話で告げてきた。

イスラム国への対応で民主党からも反発強まる

オバマ大統領、イラクでの米軍戦闘任務を否定
バラク・オバマ米大統領〔AFPBB News〕

 11月4日の中間選挙を前に、オバマ政権の評価と民主・共和両党の攻防を聞くと知人は「漂流」という言葉を使った。

 その意味は、バラク・オバマ大統領が内政と外交の両面で国をリードし切れず、国家の行き先が定まらないということだった。知人はイスラム国への対応を例に挙げた。

 「オバマ大統領が9月にイスラム国の空爆に踏み切ったことで、民主・共和両党から反発を招いてしまいました。民主党リベラル派からは、『空爆したところでイスラム国を壊滅できるわけではないし、米国への反発が強まるだけ。軍事介入は間違いだった』という声が聞かれます。テロとの戦いで、米国はすでに約6800人もの命を失っています。戦争はもうたくさんという切実な思いがあります」

 「一方、共和党保守派からは、『イスラム国を叩くには空爆だけでは不十分。地上部隊を投入しない限り勝算は見えてこない』との意見が出ています。中途半端が一番いけないというのです。今のオバマ政権は行き場を失った漂流者になったかに見えます。民主党は連邦上下両院で敗退するでしょう」

 政治家が1つの事案で政治決断をした場合、有権者の意見は賛否両論に分かれることが多い。だがイスラム国への空爆問題でオバマ大統領は、両党のコアの支持層からそっぽを向かれているというのだ。

 オバマ大統領自身は再選の心配がもうないが、中間選挙で選挙に望む民主党議員(候補)たちは負の遺産を引きずりながら戦わざるを得ない。

 国内問題に目を向けても同じだ。オバマ大統領が力を入れてきた移民制度改革は、連邦上院でこそ法案が通過したが、共和党が過半数を占める下院では却下されてしまった。

 医療保険制度改革も議会を通過して法律になったものの、混乱が相次いだ。当初ウエブサイトでの申請ができなかったり、予算案をティーパーティ(茶会党)の下院議員から反対され、連邦政府機関が一部閉鎖されたりする事態を経験した。

 問題はそれだけではない、中間選挙を前に、オバマ大統領と距離を置く民主党議員たちが現れたのだ。それは優柔不断で確固たる指導力を発揮できず、理念的な政治を行おうとしている現職大統領への反抗として捉えられる。

反オバマを掲げたアラスカ州の民主党上院議員

 代表格がいる。アラスカ州選出のマーク・ベゲッチ上院議員だ。日本ではほとんど馴染みがないが、前アンカレッジ市長で2008年のオバマ・フィーバーの波に乗って民主党から上院議員に初当選し、今年改選を迎えている。

 同議員がいま苦戦を強いられている。というのも、アラスカ州は保守王国として共和党の地盤が強いところで、2008年の「オバマ・チルドレン」の1人として初当選した事実は、すでにプラスどころかマイナスに働き始めているのだ。

 ベゲッチ議員は共和党のライバル、ダン・サリバン氏に世論調査でリードされている。そこでベゲッチ議員が劣勢を跳ね返すために採った戦術は、民主党でありながらオバマ大統領と距離を置くことだった。

 日本であれば、自民党議員が安倍晋三首相を支持せずに国政選挙をするようなものである。党内からの反発と制裁が予想されるし、自民党議員という理由で1票を入れた有権者の気持ちに背くことにもなる。

 ただ米政界では党議拘束が緩いため、法案の採決時に党の決定に従わなくても構わない。議員自らの意思で投票できる。

 それでもあえてオバマ氏と距離を置く戦術は、何がなんでも自分だけは再選を果たしたいという我欲に映る。本当に民主党有権者から多くの支持が得られるかは疑問だ。まして共和党有権者からは「心変わりをした民主議員」とレッテルを貼られてしまう。

 唯一期待できるのが無党派層からの票だが、有権者の心を動かせるかどうかは分からない。ただ今週行われた世論調査では、ベゲッチ議員の支持が少し伸びており、サリバン氏とつばぜり合いを繰り広げている。

 ベゲッチ議員の選挙前の行動は、いまの米国が漂流し始めている一端を表しているかもしれない。

 さらに、オバマ大統領が2008年の選挙戦から繰り返し述べてきた人種や階層、性別などを乗り越えた「1つのアメリカ」という野望は、6年経っても実現できていない。「1つのアメリカ」どころか、米国を分断させてしまったとの見方さえある。

 それが大統領の支持率42%という数字に示されている。次の世論調査を見て頂きたい。CNNとORCインターナショナルという団体が行った調査結果だ。

オバマ施政に不満な国民が68%

 米国の現状に「大変怒っている」(30%)と「やや怒っている」(38%)と答えた人を合わせると68%になる。世論調査は質問の文章で結果が変わってくるが、現状に怒るということはオバマ政権の施政に不満であるということにつながる。

 米経済はリーマンショックから立ち直り、実質GDP(国内総生産)成長率も4-6月期で前年比年率4%のプラスを示すと同時に株価も伸張している。失業率は5.9%(9月)まで下がっており、数値の上では悪くはない。

 しかし有権者の現状への怒りは治まらない。経済指標には個人の生活が反映されないからだ。

 むしろハーバード大学経済学部ローレンス・カッツ教授が指摘する、24歳の若者の6人に1人(16%)は学業にも仕事にも従事していない米版「プー太郎」状態という事実の方が説得力を持つ。

 こうした社会状況を眺めると、オバマ大統領が率いる民主党が、中間選挙で躍進するとは考えにくい。共和党が下院で過半数を維持することはほぼ確実で、上院でも過半数を奪うことになりそうだ。

 というのも、中間選挙は歴史的に投票率が30%台であることが多く、若者が投票所に足を運びにくい。投票するのは中高年の有権者が多く、おのずと保守系の共和党議員に票が流れることになる。

 しかも中間選挙は、時の大統領と敵対する政党の有権者が「不満票」の意味合いで一票を入れる傾向があり、政権党は負けるのが常である。過去100年を見ても、政権党が勝ったのは3回(1934年、1998年、2002年)だけだ。

 ホワイトハウスと議会が違う政党であることの方がワシントンでは普通であるが、共和党の「打倒オバマ」の姿勢が緩むようには見えず、与野党間の対立は激化していくだろう。

 「漂流」という言葉はいまの米社会を的確に表現しているのかもしれない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42099


02. 2014年11月05日 07:42:37 : jXbiWWJBCA

大きすぎるユーロ圏
2014年11月05日(Wed) 浜田 宏一
「祝!定年生活」、通行人に1ユーロ配る ドイツ
成長が停滞し、デフレの脅威が迫るユーロ圏〔AFPBB News〕

 ユーロ圏が暗い経済展望に直面している。成長は依然停滞しており、デフレの脅威が迫ってきている。当初から単一通貨構想に懐疑的だった経済学者のマーティン・フェルドシュタインは、今やこれを「失敗」と呼んでいる。

 フェルドシュタインは正しいのか? それとも、ユーロ圏はその創設者たちが信じたような「最適通貨圏」になれるのだろうか?

 この疑問に答えるためには、何よりもまず、さまざまな為替相場制度の費用と効果を理解する必要がある。

ユーロが誕生した通貨体制の背景

 国際通貨基金(IMF)は70年前に、「アジャスタブル・ペッグ」制度を管理するために創設された。これは、為替レートが通常は米ドルに固定されているが、輸出市場における国の競争力を向上させるために時として調整することのできるハイブリッド制度である。

 導入から最初の数十年間は、米ドルと金の直接兌換性のために、この制度は大きく「ペッグ」制に傾いていた。一部のエコノミストが有害だったと見なす1930年代の競争的な通貨切り下げの後、ドルペッグは世界の通貨秩序に大きな安定性をもたらした。

 だが、固定為替制度は、国際収支を管理する米国の能力を損なうことにもなった。そのために、リチャード・ニクソン大統領が1971年に一方的にドルの金兌換性を停止し、主要通貨が変動相場制に移行することになったのだ。

 このような制度には、重要な利点がある。最も顕著なのは、米連邦準備理事会(FRB)が景気後退を防いだり食い止めたりするために経済に資金をつぎ込めるようになったことだ。だが、一方では重大なリスクもある。その典型例が1980年代に生じた貿易不均衡だ。

 1980年から1985年にかけて、米ドルは日本、西ドイツ、フランス、英国の通貨に対して50%上昇した。米国の経常赤字は国内総生産(GDP)比3%に迫っていた。一方、米国にとって最大の競争相手である4カ国は莫大な黒字を計上しており、GDP成長率が鈍かった。

 こうした不均衡を是正するために、5カ国はプラザ合意に調印し、ドルを切り下げるために為替市場に介入することに合意した。

 ユーロが誕生したのは、こうした背景の下でのことだった。その目標は、「ローカル」市場を拡大し、決済コストを削減し、情報の流れを円滑にすることにより欧州諸国の経済を押し上げることだった。

 1991年当時には、金融政策の独立性を失うことは、欧州の経済国にとって価値のあるトレードオフに思えた。今では、これが間違いだったようにも見える。

 実際、1960年代の米国の経験はユーロ圏の創設者たちに、国の通貨・金融当局の手を縛ることはそれほどいい考えではないかもしれないと警告していたはずだ。もしユーロ圏がロバート・マンデルの最適通貨圏のビジョンに沿って運営され、労働と資本の調整が為替レートの調整に取って代わり、ショックが(非対称ではなく)一様だったとすれば、そうではなかった。

 さらに言えば、ドイツの東西再統一の経験は、そのような同盟の成功には政治同盟が欠かせないことを示唆している。

 ユーロ圏のパフォーマンスは、こうした基準を何一つ満たしていない。特に顕著なのは、ユーロ圏諸国は非対称の強烈なショックに見舞われ、各国は独立した金融政策の手段を持たないためにショックに対応することが事実上不可能だったことだ。その結果、ユーロ圏は繰り返し起きる経済危機に苦しむことになった。

選択の結果として大胆な政策措置を講じなかった日本と違う理由

日銀、追加緩和策を決定 新型オペ30兆円に拡大
日本は黒田東彦総裁の下でようやく大胆な金融緩和に動き始めた(写真は都内の日銀本店)〔AFPBB News〕

 金融政策が持つ矯正力を理解するためには、数十年にわたるスタグフレーションからの脱却に向けた日本の最近の進展を見るだけでいい。

 金融の拡張は、安倍晋三首相の経済戦略の3本柱の1つだった。これは本来、急激な円高を食い止めるために何年も前に実施することができたアプローチだ。

 問題は、日銀の黒田東彦総裁の代々の前任者が、あたかも固定相場制に縛られているかのように振る舞ったことだ。

 日本と異なり、ユーロ圏が大胆な金融政策措置を講じられなかったのは、選択の結果ではない。ユーロ圏が使える唯一の金融政策の手段は、集合として他通貨に対するユーロの価値を変えることだ。だが、この手段の利用は、上昇や下落など個々の国が望む物価水準の大きな相違によって制約される。

 確かに、欧州の経済統合――このプロセスはユーロ圏の創設で完結したと言えるかもしれない――は、明白な政治的恩恵ももたらした。欧州共同体の構想を描いたときにロバート・シューマンが約束した通り、統合はドイツとフランスの間で再び戦争が起きるのを防いだ。

 だが、その目的を達成するために、これほど大規模な通貨同盟が必要だったのかどうかは疑わしい。

最適通貨圏への移行

 いずれにせよ、ユーロ圏は存在している。それに現時点では、ユーロ圏を完全に解体するのは、あまりにも難しすぎる。そうである以上、今の目標は最適通貨圏へ移行することであるべきだ。

 第1に、欧州の指導者たちは、現在の形のユーロ圏が欧州の最適通貨圏よりも大きいことを認めなければならない。いくつかの加盟国には独立した金融政策が必要だ。

 間違いなくギリシャはそれを必要としているし、恐らくイタリアとスペインも必要としている。独立した金融政策がなければ、これらの国では今後も危機が繰り返され、例えばドイツやフランスなど最適通貨圏の範囲内に収まる国々がその報いを受けることになる。

 ユーロ圏の加盟国がひとたび最適化されたら、次のステップは、政治統合に向けた継続的な進展が見られるようにすることだ。その結果生まれるのは今より強く、より効率的なユーロ圏、恩恵が本当に費用を上回る通貨圏だ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42122


03. 2014年11月05日 11:33:20 : nJF6kGWndY

>EU離脱問う国民投票、英首相の賭けと誤算

デメリットも多いが、EU離脱は、現状では、そう悪い選択ではないだろう

特にユーロ圏諸国ではw


http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0IO21620141104
ユーロ上昇、ECB内対立報道で追加緩和観測後退
2014年 11月 5日 08:09 JST
[ニューヨーク 4日 ロイター] - 4日のニューヨーク外為市場では、ユーロが主に対ドルで上昇した。ユーロ域内の一部の中銀総裁からドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の運営方針に異議を申し立てる計画があるとの報道を受け、ECBによる追加緩和観測が後退し、ユーロ買いが勢いを増した。

ロイターの報道によれば、ECBのバランスシートの規模について公表はしないとの理事会での合意にもかかわらず、ドラギECB総裁が事実上の具体的目標を設定したことについて、不満を持っている各国中銀総裁が今週の理事会に向けて異議を唱える計画だ。

ユーロ/ドルEUR=は終盤の取引では0.60%高の1.2557ドル。欧州委員会が来年のユーロ圏経済成長率見通しを下方修正したことを受けて、ユーロは重たく推移していたが、前述の報道で1.2577ドルに大きく上昇した。

ユーロは円に対しても強含み、ユーロ/円EURJPY=は直近142.45円。

ドルはユーロ高で重たく推移。ドル/円JPY=は終盤0.55%安の113.40円で取引されている。ドルの主要6通貨に対するドル指数.DXYも0.40%安の86.96.

ECB内の対立についてソシエテ・ジェネラル(ニューヨーク)のシニア通貨ストラテジストのセバッシャン・ゲーリー氏は「ロイター報道が(ECB)理事たちの内部対立でECBが量的緩和策(QE)を採用する可能性が低下していると示唆しているが、それはユーロ/ドルの上昇を支援している」とし、「それはドルの買い持ちポジションを整理するよい言い訳になる。ただ市場の動きは緩慢だ」と述べた。

関連市場では北海ブレント原油が3%超の値下がりを見せ、資源国通貨のカナダドルやノルウェークローナが直撃を受けた。

米ドル/カナダドルCAD=は一時5年ぶり高値の1.1426カナダドルに上げ幅を拡大。その後終盤の取引で0.30%高の1.1397カナダドル。ユーロ/ノルウェークローナEURNOK=は、1.35%高の8.6084ノルウェークローナに上伸した。

ドル/円    終値   113.60/62

始値   113.47/48

前営業日終値   114.05/07  

ユーロ/ドル  終値   1.2545/47

始値   1.2519/23

前営業日終値   1.2481/82
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0IO29O20141104


ユーロ圏中銀総裁、ECB総裁の運営方法に不満=関係筋
2014年 11月 5日 08:02 JST
[フランクフルト/パリ 4日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのユーロ圏各国中銀総裁の間でドラギ総裁の運営スタイルに対する不満が高まっており、一部加盟国中銀総裁は6日の理事会の前夜に開かれる非公式の晩さん会でこの問題を取り上げる見通しであることが4日、ロイターの取材で明らかになった。

ECB関係者によると、各国中銀総裁の間では、ECBのバランスシートの規模について理事会が具体的な数値は公表しないことをで合意した直後に、ドラギ総裁が規模の目標を事実上設定したことに特に不満が募っている。

あるECB関係者はロイターの取材に対し、「トリシェ前総裁はよく助言を求め、意見の一致に向け努力していた」と指摘。別の関係者は、「ドラギ氏は秘密主義的で、合議的でない」としている。

理事会の過半数を占める各国中銀総裁の間で不満が高まっていることで、ECBが今後量的緩和(QE)実施の是非などの重要な決定を行う際、ドラギ総裁の裁量が限定される可能性もある。

ECB理事会内では現在、ユーロ圏の低インフレ状況への対応策をめぐり意見が対立。関係筋によると、24人の理事会メンバーのうち7─10人が米連邦準備理事会(FRB)型のQE実施に反対しているとされる。

反対しているのはメルシュ専務理事、ラウテンシュレーガー専務理事のほか、ドイツ、オランダ、ルクセンブルク、エストニア、ラトビアの中銀総裁。スロバキア、スロベニア、オーストリアの中銀総裁も反対の可能性があるという。

関係筋は、日本のような単一国家では、日銀はわずかな過半数でも金融政策の変更を決定できるが、複数の国から成るユーロ圏でドラギ総裁がQE実施を僅差で決定すれば、政治的な自爆行為となりかねないと指摘。

ユーロ圏でQE実施を実現に近づけるためには、ドラギ総裁は各国中銀総裁とよりよく協議し、より広範なコンセンサス構築に向け努力する必要があると述べた。

ドラギ総裁は8月の米ワイオミング州ジャクソンホールでの講演で、ユーロ圏のインフレ期待の低下に言及し、対応する用意があると表明した。さらに、9月4日の理事会後の記者会見では、ECBのバランスシートを2012年初めの規模に向けて拡大するのが狙いだ、と語った。

関係筋によると、専任役員会メンバーでさえ、この2つの重要な政策表明について知らされていなかったという。

9月の理事会では、資産担保証券(ABS)とカバードボンドの購入を決定したが、具体的な購入規模は決めないことで合意した。ただその直後に総裁が記者会見で、目標を事実上設定したことに不満が高まっている。

ある中銀総裁は、2012年のバランスシート規模に関するドラギ総裁の発言は多くのメンバーを不快にさせた、と語った。

また、関係筋によると、ドラギ総裁は、理事会前の政策文書の配布を中止した。これは、ドイツ連銀などの反対者が、決定を阻止するため情報を事前に流し根回しすることを防ぐためという。

バイトマン独連銀総裁とドラギ総裁の関係は、ドイツが10月にECBの政策を公然と批判した時、悪化した。

関係筋によると、メルケル独首相は、ドラギ総裁とバイトマン独連銀総裁に関係を改善するよう促した。首相の仲介を受け両者は先週協議したが、政策に関する見解の相違は解消されていないという。

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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0IO1ZY20141104
欧州株続落、ECB内部対立を不安視
2014年 11月 5日 04:25 JST
[ロンドン 4日 ロイター] - 4日の欧州株式市場は、続落して取引を終えた。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁の政策運営が秘密主義だとしてユーロ圏諸国の中央銀行総裁らが異議を唱える計画だとする報道が不安視された。ECBの内部対立は追加緩和導入を妨げかねない。

FTSEユーロファースト300種指数.FTEU3は、13.79ポイント(1.03%)安の1326.59で取引を終えた。

DJユーロSTOXX50種指数.STOXX50Eは48.08ポイント(1.56%)安の3034.24だった。

欧州委員会がユーロ圏の成長率見通しを下方修正したことも相場を押し下げた。

北海ブレント原油価格LCOc1が4年以上ぶりの安値となる1バレル=82ドルに近づいたことでエネルギー関連株が売られた。最大の原油輸出国サウジアラビアが米国向けの販売価格を引き下げたことが背景にある。STOXX欧州600石油・ガス株指数.SXEPは3.77%低下した。

一方、第3・四半期のコア収益が市場予想を上回ったスウェーデンの総合保険会社セキュリタス(SECUb.ST)は9.2%値を上げた。スペインの製薬会社グリフォルス(GRLS.MC)も業績が市場予想を上回り、株価が5.2%上昇した。



04. 2014年11月05日 19:16:02 : jXbiWWJBCA

10月のユーロ圏総合PMIは52.1、速報値から下方修正
2014年 11月 5日 18:39 JST
[ロンドン 5日 ロイター] - マークイットが発表した10月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)改定値は、製造業とサービス部門をあわせた総合が52.1、サービス部門は52.3となった。

総合PMIは10カ月ぶりの低水準だった前月(52.0)からわずかに改善したものの、速報値から下方修正された。

サービス部門PMIも速報値から下方修正され7カ月ぶり低水準となった。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0IP12I20141105

10月ユーロ圏製造・サービス業の活動拡大ペース、見積もり以下

  11月5日(ブルームバーグ):ユーロ圏の10月の製造業とサービス業活動は当初見積もりほど拡大しなかった。
英マークイット・エコノミクスが5日発表したサービス業と製造業を合わせた10月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI )改定値は52.1と、同月23日発表の速報値(52.2)から下方修正された。9月の52.0は上回った。
同時に発表された10月のサービス業PMI改定値は52.3と、これも速報値(52.4)を下回った。前月は52.4。両指数は50が活動拡大・縮小の分かれ目。 
原題:Euro Area Limping Toward Deflation Fuels QE Calls as ECBMeets(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Alessandro Speciale aspeciale@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Fergal O’Brien fobrien@bloomberg.net;Jana Randow jrandow@bloomberg.net
更新日時: 2014/11/05 18:13 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NEK6RF6JIJV401.html

ギリシャ、支援脱却後は銀行救済基金の柔軟活用が可能=中銀総裁
2014年 11月 5日 18:33 JST
[アテネ 5日 ロイター] - ギリシャ中銀のストゥルナラス総裁は、国際金融支援からの脱却後は、残りの銀行救済基金115億ユーロ(144億ドル)を予備的信用枠として利用することが可能との認識を示した。

現地紙Ta Neaが5日報じた。

ギリシャ政府は、欧州連合(EU)による支援が12月31日に期限を迎えることを踏まえ、EU関係機関・国際通貨基金(IMF)と協議を行っている。IMFによる支援は2016年初めまで続く予定だが、ギリシャはユーロ圏による資金供与が期限を迎える時点での現行の支援プログラム終了を希望している。

政府は、数年にわたり緊縮政策を強いられた苦い経験から、新たな支援に厳しい条件が付けられることを避けたい考え。ただ債券市場は、支援プログラムの先行きをめぐる不透明感に神経質になっている。

ストゥルナラス総裁は同紙に「信用システムリスクに備える一部の資金を除き、支援資金の多くは予備的信用枠として使用し欧州安定メカニズム(ESM)に返済することが可能」との考えを示した。

ギリシャの銀行の資本増強支援のために設立された救済基金は500億ユーロ。このうち、これまでに約380億ユーロが利用された。

総裁は、欧州銀行ストレステストでシステミックリスクが懸念されるギリシャの銀行に資本不足がなかったことを指摘。救済基金の残りの115億ユーロはより柔軟に使うことが可能との認識を示した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0IP11K20141105


05. 2014年11月07日 04:42:40 : jXbiWWJBCA

野中郁次郎のリーダーシップ論 ― 史上最大の決断
【第14回】 2014年11月7日 野中郁次郎 [一橋大学名誉教授]
歴史は繰り返すのか
〜22年ぶりのノルマンディー再訪記
この夏、ノルマンディーを再訪し、人工港の残骸やボカージュ、レジスタンスの功績を強調する博物館を見学して、アイゼンハワーや多くの兵士たちがつくった歴史の重みに接し、あらためて多くのことを感じた。また、フランス滞在中にフランス経済の凋落ぶりを目の当たりにして、歴史は繰り返す、という言葉を思い浮かべずにはいられなかった。

激しい艦砲射撃を物語る無数の巨大な穴

 実に22年ぶりのノルマンディー訪問であった。

 2014年の8月の末、フィンランドのヘルシンキで地域活性をテーマにしたコンファレンスに出席した後、かの地に立ち寄ったのだ。


一橋大学名誉教授 野中郁次郎
 22年前と同じく、まずパリに入り、そこから鉄路、カーンまで移動した。

 カーンはパリから北西に約200キロ、かつてノルマンディー公ウィリアムが治めた古都であり、カルヴァドス県の県都でもある。ノルマンディー上陸作戦においては、連合軍とドイツ軍が交通の要地であるこの地を巡って激しい戦いを繰り広げ、実に町の70%が破壊されたという不幸な歴史を持つ。

 パリからTGVに乗ってカーンには午前中に着き、町の中心部から30分ほどの距離にあるメモリアル博物館に移動した。博物館を起点とした戦跡ツアーが催されていることを知り、現場好きの私は、早速、参加を決めた。カーンには翌日の昼まで滞在する予定だったので、博物館内部の展示は翌日の午前中にじっくり見ればいいと考えたのだ。

 英語ガイド付きのマイクロバスで回るという。所用時間は4時間ほど、ツアー参加者はわれわれ夫婦の他は米国人とカナダ人の夫婦や子ども連れの十数人だった。もしかしたら、この地で戦い、尊い命を落とした兵士の子孫なのかもしれなかったが、尋ねるのはためらわれた。


OMAHAビーチ
 Dデイ当日の最大の激戦地、オマハ海岸の西端に位置するオック岬の頂上から見た景色には度肝を抜かれた。断崖絶壁の海岸線に沿って、艦砲射撃の跡である砲弾の穴が無数にあいていたのだ。緑に覆われてはいるがはっきりと見える。隕石によって生じた巨大なクレーターのようだった。

 艦砲射撃の援護を受けて、米国軍のレンジャー部隊は、この高さ30メートルの断崖をよじ登ったのである。彼らのミッションは崖の上にあるとみられていた6基の155ミリ砲の破壊だった。ロープや梯子や使い、敵の銃弾をよけながら必死に頂上に登った225名のうち、実に135名が命を落としたという。

人工港の残骸、今もあるボカージュ


人工港・マルベリー(当時)
 英国軍の上陸地点であったゴールド海岸に近いアロマンシュ=レ=バンにも立ち寄った。そこから海を眺めると、港湾のないノルマンディー海岸での陸揚げを容易にするためにつくられた人工港「マルベリー」の残骸が点在しているのが見えた。そうと言われなければわからない、小さな小島のようだった。

 緑の芝生に人間の腰の高さほどの十字架が整然と並ぶアメリカ人兵士の墓地にも足を踏み入れた。セオドア・ルーズベルト大統領の長男、ルーズベルト・ジュニア准将の墓があった。


ボカージュ(2014年8月撮影)
 道中、見たかったボカージュを目にすることができた。ノルマンディー地方独特の、土手の上に丈の高い樹木が生い茂った生垣のことで、これが連合軍の戦車を苦しめた。乗り越えられず、腹を見せてひっくり返ってしまう戦車が続出したのだ。上空から精密な航空写真がいくらでも撮れる現在とは違い、当時は出たとこ勝負、戦ってみなければわからないことが山ほどあったのだ。

 市街地はともかく、郊外は果樹畑や牧草地が多く、おそらく70年前と変わらないのどかな風景が広がっており、たった4時間ではあったが、タイムトラベルともいうべき貴重な時間を過ごすことができた。

レジスタンスの功績を強調する博物館

 翌日の午前中にメモリアル博物館を再び訪れ、今度は内部を見学した。入り口近くには、ロケット弾を装備し近接航空支援に活躍したホーカー・タイフーンが上空からつり下げられていた。

 私がカーンを訪れた22年前にはまだこの博物館は存在しなかった。ノルマンディー上陸作戦に関するこの地域最大の博物館であるが、展示は第二次大戦全般にわたり、勃発から終結までの歴史をパネルや動画、写真、文字、音声で分かりやすく解説していた。

 非常に質の高い展示であったが、全体的にドイツ、日本、そして同じ連合国でありながらソ連のことを悪者視する内容が多く、反面、フランスのレジスタンスの功績を必要以上に強調している感じがした。われわれ海外からの観光客だけではなく、自国の若者に対して歴史を教え込むための施設という意味合いもあるだろうから、当然といえば当然だが。語るものによって内容が変わる、それが歴史なのだと改めて思った。


メモリアル博物館と展示物
(左上はアイゼンハワーからフランス市民への激励文)
目的地に2時間遅れ
説明も謝罪もなし

 ウィリアム征服王が築いた古城や男子修道院、王妃が築かせた女子修道院など、カーンには他に見るべきものがたくさんあり、多少後ろ髪を引かれる思いがあったが、その日の午後にカーンを離れた。カーンから東に100キロ強ほど離れた、セーヌ川河口にあるこれまた古い町、ルーアンに行くためだ。


フランスのローカル線
 今度も鉄道を使ったのだが、ここでトラブルに巻き込まれた。カーンを発車した列車が動き出して5分も経つと、突然止まってしまった。日本のように停車の理由を告げる社内放送もない。車掌が説明に走るわけでもない。たまたま一番前の車両に乗り合わせていたものだから、運転手に理由を尋ねると機関車が故障したらしく、カーンの駅までまた戻るという。

 結局、バックで戻って機関車を取り換えて走り出し、ルーアンに着いたのは当初の予定を2時間も過ぎた頃。繰り返すが、その間、車内放送があるわけでもないし、乗り合わせた乗客も文句ひとつ言わず、黙って座っているだけだった。

 日本では考えられないことだ。

オランドはメルケルの部下だ

 実はカーンのホテルでも、トラブルがあった。しかし、説明も謝罪もないのは同じだった。そこに、日本やアメリカのサービスとは大きな差を感じた。顧客をもてなすホスピタリティが大きく欠けている。22年前と比べても明らかにサービスの劣化が起きていた。町中の商店に入っても、店員が不愛想で買い物が楽しくない。

 最終日、パリのホテルから空港までタクシーに乗ったところ、気がつくとメーターが倒れていない。倒すように運転手に言ったら、「わかるからいい。空港までは80ユーロと決まっている」と言う。そこで、「俺のガイドブックによると空港までは55ユーロとある」と言ってやったら、「じゃあ60でいい」と答え、実際その通り支払った。これが日本やアメリカだったらどうだろう。東京都内のホテルから羽田空港まで、まっ昼間、外国人相手に騙して金を取ろうとするタクシー運転手がいるなんて考えられない。でもどうやらフランスではそれがまかり通っているらしいのだ。これでは世界一の観光大国の名が泣くというものだ。

 フランス経済はいま調子がよろしくない。いや、EU全体が沈んでいる。唯一元気なのがドイツだ。現地の口さがない連中が言うには、フランスのオランドはドイツのメルケルの部下、つまりドイツの副首相なのだそうだ。フランス経済の状況を肌で感じて、そういう嫌味を言われても仕方がないのではないかと思えてしまった。

 第2次世界大戦が勃発すると、フランスはたった6週間でドイツの軍門に下った。政治家の堕落や民主主義国家の脆弱性が理由だったと『フランス敗れたり』でモーロワは分析している。今のフランス経済の凋落ぶり、それに呼応したサービスの劣化ぶりに接してみると、歴史は繰り返す、という言葉を思い浮かべずにはいられなかった。
http://diamond.jp/articles/-/61730


06. 2014年11月07日 05:56:09 : jXbiWWJBCA

ECB新本部ビルの暗い過去
ユダヤ人を抑留した地下室、記念館として一般公開
2014年11月07日(Fri) Financial Times
(2014年11月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

欧州中央銀行の新しい本部ビル、工事着工へ
欧州中央銀行(ECB)の新本部ビルの完成予想図。低階層の茶色い建物が旧グロスマルクトハレで、内部構造は新しくしながら外観は残される〔AFPBB News〕

 ユーロ圏の金融政策を司る欧州中央銀行(ECB)の新本部の下に、独フランクフルトの歴史上、極めて陰惨な出来事の舞台となった湿っぽい地下室がある。

 完成が目前に迫った新本部ビルは、フランクフルト市オステンド地区の巨大な「グロスマルクトハレ」の跡地に建つ。長年にわたり、活気あふれる果物・野菜市場だった場所だ。

 11月初め、2600人以上の中央銀行職員が新本部である45階建てのガラス張り高層ビルに引っ越し始めた。

 1941年から1945年にかけて、その4倍近いフランクフルトのユダヤ人がこの建物の地下室に詰め込まれた。地下室は隠れた待合室としてゲシュタポに借り上げられており、ユダヤ人は到着後数時間で、電車に乗せられ死に向かって連れて行かれた。

ユダヤ人強制移送の歴史の舞台

 グロスマルクトハレの東棟の地下にあるこれらの部屋は、ここに抑留された1万人のユダヤ人を追悼する記念館の一部となる。彼らはその後、故郷から収容所へ送り込まれることになり、その特権のために50ライヒスマルク払って、通常は数百人、時として数千人単位で強制移送された。

 地下室は事実上、手つかずのままで、犠牲者の証言を刻んだ銅板を別にすれば、壁には何の飾りもない。ある銅板には「私の行く手に何が待ち受けているのか分からない。もしかしたら、それは良いことかもしれない」と刻まれている。また、別の銅板には「地獄だった。一晩中検査があり、金切り声と嫌がらせがいつまでも続く」とある。

 犠牲者たちが通った通路や線路も併設された記念館のがらんとしたデザインは、地元のユダヤ人たちに、この場で起きた悲惨な出来事にふさわしい造りだと見なされている。

 フランクフルトのユダヤ人社会を代表するザロモン・コーン氏は、コンペで受賞したデザインは「最も簡潔な方法で、この強制移送の場において、いかにしてフランクフルトのユダヤ人の絶滅に向けた針路が決まったかをまざまざと甦らせた」と言う。

 歴史学者でフランクフルトのユダヤ博物館の副館長を務めるフリッツ・バックハオス氏は、記念館は「市の日常生活の一部である(グロスマルクトハレのような)建物が犯罪の現場だったことをはっきりさせる」と言う。さらに、「フランクフルトのユダヤ人の迫害と殺害を忘れないことは市の基本的な仕事だ。記念館はこれに貢献するものだ」と付け加える。

新本部建設で細心の注意を払いユダヤ人社会や市当局と協力

 多くの組織は過去の最も恐ろしい側面を記録に残す際に、これほど細心の注意を払わなかった。関係する社会からお墨付きを得るどころか、むしろ最も重要な利害関係者の一部から攻撃されることになった。

 480万ユーロの記念館建設費用に100万ユーロを支払ったECBは、13年がかりのプロジェクトとなったグロスマルクトハレでの新本部建設に着手するや否や、ユダヤ人社会とフランクフルト市と接触することにした。

世界最高齢のホロコースト生存者が死去、110歳
フランクフルトのユダヤ人の多くが送り込まれたテレージエンシュタット(現チェコ・テレジン)のナチスドイツ強制収容所跡〔AFPBB News〕

 国家社会主義を記念するために市内で100の仕事を委託・発注したフランクフルト市文化局の報道官アンティエ・ルンガ氏は言う。

 「ナチ時代のフランクフルトの物語、そしてその結末を一般市民にとって身近なものにするためには、ネットワークが重要だ。公共機関、学界、地元の団体が一緒に取り組むべきだ」

 ウィム・ドイセンベルクECB総裁(当時)とコーン氏の初会合は、今からほぼ13年前の2001年12月に行われた。両氏は、記念館の設計を委託するためにECBが世界的な建築コンペを実施することで合意した。

 ドイセンベルク氏の後任のジャン・クロード・トリシェ氏は2004年11月、新本部の用地がECBに引き渡される前に市長とコーン氏に会った。彼らは会合で、記念館は一般市民が利用できるようにし、情報を提供するスペースを設けるべきだということに同意した。

 同時に、ユダヤ博物館の専門家が作業部会の一部を形成し、そこで発見された事実は、記念館を設計するための建築家のコンペを策定するために利用された。

過去のナチとの関係を公開してきたドイツ企業

 多くのドイツ企業が似たようなやり方を採用してきた。ドレスナー銀行は2006年に、過去のナチとの関係を分析した全2374ページ、4巻の文書を発表した。分析はドレスナーが委託し、第三者の歴史学者が執筆したもので、同銀と絶滅収容所向けのガスを生産したIGファルベンとの間に密接な関係があったことを明らかにした。

 今年は自動車メーカーのアウディが第2次世界大戦中の同社の活動の歴史を公表した。その記録はアウディの前身企業がヒトラー体制下で奴隷労働者を利用したことを示していた。「健全な記憶の文化の基礎を築くためには専門家が不可欠だ」とルンガ氏は言う。

 また、バックハオス氏は「ホロコーストの研究にとっては、歴史の知識が非常に重要だ。組織がそれを持たない場合には、外部の専門家に相談するのが正しい」と指摘する。

 2005年にフランクフルトからのユダヤ人追放に関する展示会に取り組んだユダヤ博物館の専門家グループは、ユダヤ人を抑留するために使われたグロスマルクトハレの一部施設に関する情報を発見した。併せて、彼らが建物に来るまでに通った経路と、東棟の地下室から去った後に通った経路も発見した。

 地下室の壁に掲げられた言葉も、歴史学者によって発見されたものだ。バックハオス氏は、「心を動かす言葉」を選ぶことで、このプロジェクトは当時3万人いたフランクフルトのユダヤ人のあれほど多くが故郷に最後の別れを告げた場所に関する「本質的な議論」を可能にすると言う。現在、同市に住むユダヤ人は7000人強しかいない。

 コンペの審査員は2011年に、ドイツの建築事務所カッツカイザーが考案した設計を受賞作に選んだ。記念館はユダヤ人の強制移送をしのぶために、地下室に加えて傾斜面や通路、線路、信号所も併設している。

 「記念館のデザインは、グロスマルクトハレの歴史のこの側面を、ECBの職員や訪問者だけでなく、通りすがりの人たちが見て、触れることができるようにすることで施設の価値を高める」とECBは言う。記念館は来年から一般公開される。

By Claire Jones
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42158


07. 2014年11月08日 14:52:28 : jXbiWWJBCA
EU、英国とオランダの追加分担金支払い延期で基本合意
原文(英語)
2014 年 11 月 8 日 04:40 JST
 【ブリュッセル】欧州連合(EU)は7日、英国とオランダの追加分担金支払いを2015年9月1日まで猶予する政治的合意に達した。

 欧州委員会は先月、英国に21億ユーロ(約3000億円)、オランダに6億4300億ユーロの追加負担を求め、支払期限を今年12月1日に設定していた。

 オズボーン財務相は英国にとってEUの譲歩が「実のある成果」だと強調。支払いを遅らせただけでなく、支払額を大幅に減らすことができたと主張した。

 「ただ請求に応じるのではなく、金額を半分とし、支払いを遅らせた」と述べた。

 オズボーン財務相によると、英国の追加分担金は8億5000万ポンド(約1500億円)に減額された。

 ただオズボーン財務相の言う額は、EU向けの拠出額に対し英国が受け取ることになっている払戻金(リベート)を踏まえた額で、英国はどのみちこの払戻金を2015年と16年に受け取る予定だった。

 英国政府の複数の高官によると、追加分担金は7月1日と9月1日に分割して支払う計画。いずれも最もずれ込んだ場合の次回総選挙の日程よりも後となる。

 今回の政治的合意は、早ければ来週にも正式に承認される見通しだ。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB12377912224764574491004580262932423449438


英国、EU追加分担金の期限過ぎれば利息発生=欧州委報道官
原文(英語)
2014 年 11 月 4 日 04:13 JST
 【ブリュッセル】欧州連合(EU)の報道官は3日、英国が12月1日までに21億ユーロ(約3000億円)の追加分担金を支払わなければ、遅延利息が発生すると述べた。

 欧州委員会は先月、新たに算出した経済規模に基づき、英国に従来の年間拠出額の2割近くに上る追加負担を求めた。だが英国のキャメロン首相は期限の12月1日までの支払いを拒み、追加負担額の根拠を説明するよう欧州委員会に求めている。

 欧州委員会の報道官は3日の記者会見で、12月1日の期限に法的拘束力があるか尋ねる質問に対し「その通りだ」と答えた。

 期限までに支払われなければ、遅延利息が発生し始めるという。

 あるEU高官はこの日、追加負担に関して交渉の余地があるかもしれないと話していた。

 この高官は「(EU負担額の)見直しが財政への影響という点で、これまでにない結果をもたらしたのは極めて明白だ」とし、「解決策を見いだす意思は幅広く存在する」と述べた。

 最も多額の追加負担に直面しているのは英国だが、オランダ、イタリア、ギリシャも新たな計算に基づいたさらなる支払いを求められている。

 EUの規定では、分担金の支払いが遅れた場合に2%強の利息が科される。利率は1カ月遅れるごとに0.25%上昇する。

 EU加盟国の財務相は7日にブリュッセルでこの問題について話し合う予定だ。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB12377912224764574491004580254851000646686?mod=rss_Japan_Europe


08. 2014年11月24日 06:48:17 : jXbiWWJBCA

英補選、EU離脱訴える政党 また議席獲得


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 EU=ヨーロッパ連合からの離脱を訴えるイギリス独立党が補欠選挙の結果、イギリス議会で2つ目となる議席を獲得しました。来年の総選挙を前に、キャメロン政権は危機感を強めています。

 イギリス南東部の選挙区で20日、補選が行われ、UKIP=イギリス独立党から出馬したレックレス氏が43%の票を獲得。得票率34%だった与党、保守党の候補を破りました。独立党はEUからの離脱や、移民の抑制を訴える右派政党です。

 これまでイギリス議会に議席は持っていませんでしたが、先月の補選と今回の選挙で相次いで下院の議席を獲得したことで、来年5月に予定されている総選挙での躍進が現実味を帯び始めています。

 「独立党がうまくやるたびに、プロテスト票だと言われます。しかし、有権者と話してみてください。これはプロテスト票ではなく、独立党を信じる積極的な票です」(イギリス独立党 ナイジェル・ファラージ党首)

 レックレス氏は、もともとはキャメロン首相率いる保守党の議員でしたが、独立党に鞍替えしたことに伴い、今回の補選が実施されました。

 選挙中、保守党の議席を守るため5度も選挙区入りしたキャメロン首相は・・・

 「来年の総選挙で必ず議席を奪還します。保守党が政権の座を追われれば、経済の回復も危機にさらされます」(キャメロン首相)

 EU加盟各国の間には、独立党に押され、キャメロン政権がさらにEUへの懐疑的な姿勢を強めることに懸念が高まっています。(22日05:17)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2355200.html

イギリス人の反移民感情が高まっている
2014年01月08日

2014年1月より、ブルガリアとルーマニアからの移民を対象としたイギリスの臨時制限措置は
本格的に解除されことにより、移民問題はイギリス国内で話題を呼んでいる。イギリス貿易産業省から
委託を受けた社会調査全国センター(NatCen Social Research)の発表した
調査では、イギリス人の反移民感情が日増しに高まっていることが分かった。中国新聞社が伝えた。

調査では、77%の調査対象者は、移民流入数の減少を支持している。さらに、56%の人は、
移民流入数の大幅減を望み、また21%の人は、小幅に削減することを願っている。

類似した調査では、1995年には移民流入数の大幅減を支持したイギリス人は39%を占めるに
すぎなかった。また10年前の同じデータでも49%にとどまった。

社会調査全国センターのPenny Young氏は、「英政府は複雑な移民問題に直面している
。イギリス総選挙まであと18ヵ月である。もし、英政府が欧州からの移民流入を制御しようとしたら、
その選択肢は限られてくる」としている。

このほど、英国保守党のメンバー90人がキャメロン首相に公開状を出し、ブルガリアとルーマニア
からの移民に対し、制限措置を実施し続けるよう求めている。

移民流入ブームへの懸念に対応するため、キャメロン首相は一連の措置を発表した。具体的には
不就労のEU移民は英入国から3ヵ月間は失業手当などの社会保障支給対象とならないことなどだ。
だが、この措置に対し、欧州委員会は「排外政策でイギリスはEU域内で孤立的な窮地に陥る」と不満を示した。

(翻訳 劉英)
http://www.xinhuaxia.jp/1131334626
http://military38.com/archives/35596990.html


 


イギリス財政は移民に対する課税を収入源に 過去11年間の額とは
2014年11月9日 12時12分

ざっくり言うと
イギリス紙は5日、移民はイギリス財政の収入源であると報じた
移民に対する課税により、00〜11年の間に税金200億ポンドを得ている
150億ポンドは15カ国の欧州各国からの移民から得たものである

英国 過去11年間に移民から税金200億ポンドを徴収

2014年11月9日 12時12分 新華ニュース
英国国内で、排外感情の高まりにともない、英国国民は移民が国の財政に負担をもたらすと見ている。英紙「ガーディアン」の5日付の報道によると、事実はそれと正反対だ。移民は英国財政の収入源である。移民に対する課税により、英国は2000年-2011年の間に税金200億ポンドを得ている。

中でも、150億ポンドはフランスやドイツ、イタリアなど15ヶ国の欧州各国からの移民から得たもので、50億ポンドは東欧移民から得たものである。欧州移民の大半は良好な教育を受けた若者である。しかし、現地英国人と比べて欧州移民の福利待遇は悪い。移民の43%は過去10年間に英国の福祉を与えられず、7%は格安賃貸住宅を利用することができない。

専門家はこの状況を懸念している。欧州移民の就業率が高いとは言え、給仕やカフェスタッフなどの底辺の仕事が多数を占める。英政府は社会福祉体制にメスを入れ、英国に貢献する合法な移民を公平に扱う方針である。

(翻訳 李継東)
http://news.livedoor.com/article/detail/9448131/

記事
木村正人2014年04月15日 22:00人口減に対する移民受け入れの難しさ【デモクラシーのゆくえ:欧州編】


総務省の人口推計(2013 年10月1日現在)が15日発表されました。総人口は1億2729万8千人で、前年に比べ21万7千人(0.17%)の減少。3年連続で大きく減少しています。生産年齢人口(15〜64歳)は7901万人で、32年ぶりに8千万人を下回りました。

総務省の人口推移によるとこんな感じで人口はどんどん減っていきます。2050年の生産年齢人口割合は51.5%と世界最低です。国連の世界人口見通しではアメリカ60%、中国61%、インド67.6%。筆者が暮らすイギリスは59.2%です。

日本の人口推移
日本の人口推移(筆者作成)

フランスの生産年齢人口割合は57.5%、ドイツ54.6%、イタリア53%、お隣の韓国は54%です。総務省は、日本の合計特殊出生率も1.35あたりで収束していくと予測しています。これでは「成長」どころか「持続可能」な社会を実現することも難しそうです。

ロンドンに来られている日本の官僚の方々とお話する機会があると、イギリスと比べて日本人の方が勤勉だし、生産性も高いのに、どうしてイギリス経済はこんなに上手く行っているのかと議論になることがあります。

確かに日本は長時間労働を厭わず、会社への忠誠心も非常に高いという長所があります。

イギリスは超金融緩和策で不動産バブルを起こしているだけという批判も聞こえてきます。実際、小売店が店仕舞いし、新しい不動産業者が雨後の筍のように開店する有り様を見ると、他国のことながら心配になります。

しかし、人口政策、不動産政策を上手に回せば、経済はこんなに元気になるんだと痛感します。

日本の長時間労働や単身赴任の長期化が家庭不在と出生率の低下の大きな原因になっていると考えるのは筆者だけでしょうか。イギリスで友人カップルの赤ちゃんの洗礼式に招かれると、あまりにたくさんの子供たちが走り回っているのでびっくりしました。

3世帯が暮らす筆者のフラット棟には5人も子供がいます。

イギリスの2011年国勢調査で総人口は6300万人。これが2037年には7300万人に増えると予想されています。国民1人当たりの国内総生産(GDP)がそのままでも今後25年間に合計で16%近い成長が期待できます。

イギリスの人口推移グラフ
イギリスの人口推移(筆者作成)

イギリスの人口増の原因は何でしょうか。国家統計局(ONS)によると、2037年までの25年間で約960万人の人口が増えます。540万人(57%)は自然増。43%は移民増と分析されています。自然増のうち29%は移民家族の出生によるものだそうです。

人口政策の柱は(1)移民(2)女性の社会進出(3)子育て支援です。

同質性が極めて高い日本では移民アレルギーがかなり強いですが、安倍晋三首相も2月の衆議院予算委員会で、移民の受け入れについて「国民的議論を経たうえで多様な角度から検討していく必要がある」との認識を示しました。

黒田東彦日銀総裁の「異次元の金融緩和」で経済成長を演出できたとしても、生産年齢人口が減少しているため、建設現場などで人手不足が拡大しています。安倍首相は「人口減少は、労働力人口の減少や消費者の減少を通じ、日本の成長力に影を落とす」と指摘しましたが、少々、泥縄式ではないでしょうか。

イギリスの歴史を見てみましょう。かつて大英帝国は7つの海を支配していました。第二次大戦で多くの若者が亡くなり、労働力不足を補うため、第一陣として15万7千人のポーランド人がイギリスに移住しました。西インド諸島からも多くの移民がやって来ました。

1948年に制定された国籍法では、なんと英連邦市民約8億人に、イギリス市民として居住し、働く権利が認められました。戦後復興を支えるため、1950年代になっても大量の移民流入が続きます。しかし、その反動で移民が多いバッキンガムやノッティンガム、西ロンドンで暴動が起き、偏見が広がります。

日本でも「在日特権を許さない市民の会」のヘイトスピーチや「特定アジア」などの言葉が象徴する近隣諸国への嫌悪が目立ってきています。人間の心の奥底には偏見、侮辱、憎悪が渦巻いているのかもしれません。第二次大戦戦後、移民の大量流入はイギリス社会を変容させ、人種暴動が起きます。

西ロンドンのノッティング・ヒルを舞台に、冴えない書店主とハリウッド女優の恋愛を描いた1999年のアメリカ映画『ノッティングヒルの恋人』はご覧になられたでしょうか。女優アナ役はジュリア・ロバーツでした。このトレンディーな街で昔、人種暴動が吹き荒れたのです。

参考に『ノッティングヒルの恋人』のビデオクリップのリンクをはっておきます。
ow.ly/vNVcJ

時は1958年8月にさかのぼります。白人の若者9人がノッティング・ヒルを徘徊し、そのうちの1人が「黒人狩りの冒険だ」と叫んでいます。通りは薄汚れていて、老朽化し、混み合っていました。彼らは鉄の棒や角材、空気銃やナイフで「武装」していました。 

彼らが恐ろしい「冒険」を終えた時、5人の黒人が病院送りになっていました。うち3人は重体でした。ヘイトクライム(嫌悪犯罪)に対する黒人移民のフラストレーションはもう爆発寸前でした。

そんな時、若いスウェーデン人の妻と、ジャマイカ人の夫が地下鉄駅の外で口げんかを始めました。

白人の群衆が集まってきて、白人の妻の肩を持ちます。そして、ジャマイカ人の夫の友人ともみ合いになりました。ささいな夫婦げんかが導火線となり、棒や肉切り包丁を手にした白人200人が集まり、口々に「ニガー(黒人の蔑称)をやっつけろ」「黒人野郎は自分の国に帰れ」と叫び始めます。

「テディ・ボーイズ」を名乗る白人暴徒は「イギリスを白人の国に保とう」というスローガンを掲げていました。ノッティング・ヒルで暮らす西インド諸島の黒人移民も反撃します。暴動は数夜続き、警察は140人以上を逮捕、108人を起訴しました。白人72人、黒人36人でした。

イギリスの保守系大衆紙デーリー・メールは当時、「イギリスは移民をこのまま受け入れ続けるべきなのか」という見出しを掲げました。デーリー・メール紙の「移民嫌い」は筋金入りで、21世紀も反移民報道を続けています。

大戦前「イギリス・ファシスト同盟」をつくったオズワルド・モズレー率いる極右政党「ユニオン・ムーブメント」や、「白人防衛同盟」が活動を活発化させていました。外国人労働者への反発が広がり、保守党政権下の1962年に制定された英連邦移民法で、ついに英連邦からの移民も制限されることになりました。

労働力が不足するから移民を受け入れると言ったって一筋縄ではいきません。移民問題の難しさは、イギリスの例を見るまでもなく、日本の在日韓国・朝鮮人の歴史を振り返ればわかることです。

今年5月の欧州議会選では、移民問題をはじめ、人・モノ・サービス・資本の自由異動を認めた欧州統合が大きなテーマになります。イギリスでも、欧州連合(EU)脱退を唱える英国独立党(UKIP)が人気を博しています。

しばらく、欧州のデモクラシーがどこに向かうのか、ロンドンから報告していきたいと思います。

(つづく)


09. 2014年11月25日 07:03:33 : jXbiWWJBCA


ドイツでも拡大し始めた反ユーロ政党
2014年11月25日(火)  熊谷 徹


 ドイツ首相のアンゲラ・メルケルは現在、EU(欧州連合)域内のデフレ傾向やウクライナ危機、テロ組織「イスラム国」の拡大など、国外に様々な懸念を抱えている。これに対し、彼女にとって国内で最も大きな懸念は、AfD(アー・エフ・デー)という言葉に集約される。反ユーロの旗を掲げるポピュリスト政党「Alternative für Deutschland(ドイツのための選択肢)」の略称である。
初の州議会選挙で2桁の得票率
 今年の夏、メルケルが率いる保守政党・キリスト教民主同盟(CDU)は、青天の霹靂のような「AfDショック」に襲われた。この党は去年創設されたばかりであるにもかかわらず、最初の州議会選挙で大躍進を果たしたのだ。
 このポピュリスト政党の路線は、やや右寄りの保守。保守中道路線をゆくCDUにとって、強力なライバルとなる。
 AfDは、まず今年8月31日にザクセン州議会選挙で9.7%の票を獲得し、CDU、左派政党のリンケ、社会民主党(SPD)に次ぐ第4の政党となった。
 さらに9月14日のブランデンブルク州議会選挙では12.2%、テューリンゲン州議会選挙でも10.6%を確保。これらの州でも、第4の政党となった。AfDの得票率は、これらの3つの州で自由民主党(FDP)と緑の党を上回っている。CDUはAfDが初の州議会選挙で2桁の得票率を記録し、一気に3つの州議会で議席を確保したことに、強いショックを受けている。
ブランデンブルク州議会選挙の結果

 ブランデンブルク州議会選挙の投票動向を分析してみた。有権者の関心は低く、投票率は2009年に行われた前回の選挙(67%)に比べて19ポイントも下がり、47.9%にとどまった。投票した市民の数が、42万人も減ったことになる。投票率が低い選挙は、伝統的な政党にとってのマイナス効果が大きく、新しい政党、小規模な政党にとって有利に働く。
FDPの票を奪いつくす
 AfDはブランデンブルク州で挑んだ初の選挙でいきなり12万人もの有権者をひきつけることに成功した。AfDに最も票を多く奪われたのは、路線が似ていた中道保守政党のFDPだった。5年前の選挙では約10万票を取っていたが、今回はわずか1万4000票に激減した。FDPに背を向けた約8万6000人の有権者の大半が、AfDに流れたと見られている。SPDは前回の選挙に比べて得票数を14万票、メルケルが率いるCDUも4万7000票減らした。左派政党リンケの得票数も、前回に比べて半分以下になった。同党は社会主義時代の政権党の流れをくみ、旧東ドイツではこれまで人気が高かった。
 ドイツでは、小政党の乱立を防ぐために、得票率が5%に達しない政党は議席を得ることができない。FDPはこれらの3つの州で5%のハードルを越えることができず、州議会から姿を消した。かつてゲンシャー、ラムスドルフなど大物政治家を擁し、中央政界でも活躍したFDPの激しい凋落は、見ていて痛ましいほどだ。
 同党は、ヴェスターヴェレ、レスラー両党首の時代に指導力の欠如を露にし、多くの支持者、特に重要な票田だった中規模企業の経営者らの支持を失った。FDPが政治の表舞台から消滅した後の空白は、AfDが埋めるのだ。
 これまでCDUやSPDなどの伝統的な政党は、AfDを「取るに足らぬ泡沫政党」と見下していたが、今回の選挙結果を見て、そうした見方を修正せざるを得なくなった。
 AfDは、ハンブルク大学の経済学者ベアント・ルッケが、フランクフルター・アルゲマイネ紙(FAZ)の元記者コンラート・アーダムらとともに2013年2月に創設した。
 AfDは3人の党首による集団指導制を取っている。そのうちの1人であるルッケは、選挙後の記者会見で、満面に笑みをたたえて「もはや誰も我々を政治の舞台から追い払うことはできない。有権者たちは、政治の変化を求めて票を投じた。既成政党は、これまで快適な地位に安住するばかりで、市民の利益を守ろうとしなかったために、今回しっぺ返しを受けたのだ」と述べ、高らかに勝利を宣言した。
勝因は「ユーロ圏脱退」の主張
 同党の人気の高まりは、地方政界にとどまらない。世論調査機関インフラテスト・ディマップが11月6日に行った全国規模のアンケートによると、AfDの支持率は7%。つまり今総選挙が行われれば、同党が連邦議会入りすることは、ほぼ確実なのだ。
 AfDは今年5月に行われた欧州議会選挙でも、7%の票を確保し、欧州議会に議席を得ている。
 なぜAfDは、結党から1年半しか経っていないのに、大躍進したのか。その最大の理由は、同党がEUを争点としたことだ。党首のルッケは、ユーロ圏を段階的に廃止してマルクを再導入することを求めている。さらに、ギリシャやスペインなど南欧諸国への支援措置を連邦議会が阻止できるようにすることを要求している。
 彼は「各国の予算編成権は、それぞれの議会が持つべきであり、欧州中央銀行(ECB)や欧州委員会が議会の権限を制約することは許されない」と主張してきた。そしてAfDは、加盟国がユーロ圏から脱退することを可能にするべく、EU法を改正することも求めている。
 ルッケの主張は、「EUがドイツの政治や経済に干渉しすぎて、議会の権限が侵されている」と日ごろ不満を抱いていた保守派市民の琴線に触れたのだ。
 首相のメルケルは、「ユーロが破綻したら、欧州が破綻する」として、ギリシャの債務不履行やユーロ圏からの脱退を是が非でも防ごうとしてきた。またECB総裁のマリオ・ドラギは「どのような手段を講じてもユーロを防衛する」と主張してきた。AfDの政策は、これらの路線に真っ向から対立するものだ。
 さらにルッケは「南欧の過重債務国への支援措置がドイツの財政にどれだけの負担をかけているかが、不透明である。政府は市民の負担がどの程度になっているかを明示するべきだ」と訴えてきた。彼は2013年5月のFAZ紙とのインタビューの中で「ギリシャの財政はすでに事実上破綻している。もしもギリシャが債務の50%を返せなくなるとすると、ドイツの納税者は250億〜300億ユーロ(3兆7000億円〜4兆4000億円)の負担を迫られる」と述べている。
 ドイツ人の中には、「なぜドイツが、杜撰な財政運営を行ったギリシャやスペインのために多額の支援をさせられるのか。ギリシャのような国は、ユーロ圏から脱退させるべきだ」という意見を持つ人が少なくない。AfDはこうした人々のハートをつかみ、大躍進したのだ。
 さらに旧東ドイツの失業率は、ベルリンの壁崩壊から25年経った今も旧西ドイツを上回っており、若者を中心として人口の西側への流出が続いている。旧東ドイツの一部の地域では、過疎化現象が起きつつある。このため旧東ドイツの市民の間では、旧西ドイツに比べて現状に不満を持つ人が多い。彼らがAfDに「メルケル政権に対する抗議票」を投じたことも、同党の勝利につながった。
CDUの強力なライバル
 ドレスデン工科大学教授のヴェルナー・パッツェルトは、公共放送ARDとのインタビューの中で、「ドイツの全ての主要政党はメルケル政権のユーロ救済策を支持しているが、AfDは納税者に負担を強いる救済策を批判することで、現状に不満を持つ有権者を惹きつけた」と分析。実際、AfDは「伝統的な政党がタブー視している問題について、歯に衣を着せずに発言する」ことをセールス・ポイントの一つにしている。
 パッツェルトは、「AfDはメルケルが率いるCDUにとって重大な脅威になりうる」と考える。同教授は、「AfDの票田は、保守的な思想を持つ市民なので、CDUとの間で今後軋轢が生じるだろう。かつてSPDが環境政党である緑の党や、リンケに票を食われたのと同じ運命が待っているかもしれない」と分析する。
 AfDが結党した当初、ドイツの一部メディアは同党について「右派ポピュリズム的傾向がある」と指摘した。しかしルッケは、「わが党は右派政党ではない」と述べ、こうした指摘に対して真っ向から反発している。
 AfDは、外国人をあからさまに差別するスローガンを避けている。たとえば同党の政策綱領は移民政策について、「ドイツはカナダのような移民法を導入して、スキルを持ち、国に溶け込もうとする外国人を移民として受け入れるべきだ。社会保障サービスを食い物にする移民は、お断りだ。外国で本当に政治的迫害を受けている外国人には、政治亡命を認めるべきだ」と書かれている。
 これは、ドイツの企業経営者らの「我が国では今後高齢化と少子化によって労働人口が減るのだから、有能で勤勉な移民は積極的に受け入れるべきだ」という主張と重なる。AfDがドイツ企業の9割を占める中規模企業の経営者や社員らのハートをとらえようとしていることが表れている。
 1990年代には、「共和党」という極右政党への支持率が約7%に高まり、一時バーデン・ヴュルテンベルク州議会に議席を獲得したことがあった。しかし現在では、各州議会選挙での得票率が1%にも満たない泡沫政党に転落している。現在ドイツの政治記者たちの間では、「CDUにとって、AfDとの戦いは共和党との戦いよりも難しいものになるだろう」という意見が強い。共和党は外国人の排斥を求める事実上のネオナチ政党であり、穏健派の市民が眉をひそめるような主張を堂々と行っていた。これに対し、AfDの路線は一見ソフトであり、排外主義を前面に押し出してはいない。ギリシャやスペインなど南欧諸国に対して深い不信感を抱いているが、穏健派の市民でも受け入れやすいように、右寄りの保守主義をオブラートに包んでいる。
ドイツ人の不安感に訴えかけた
 またAfDは、共和党と異なり著名な財界人や経済学者の強力な支援を受けている。たとえば、日本経団連に相当する経営者団体であるドイツ産業連盟(BDI)の会長を務めたハンス・オラフ・ヘンケルが副党首を務めている。またテュービンゲン大学教授のヨアヒム・スターバッティもAfDの政策顧問団に名を連ねている。同教授は、ドイツの経済学者の中で、ユーロ救済について最も批判的な人物の1人だ。彼は、ドイツ政府のユーロ救済策をめぐり、連邦憲法裁判所に違憲訴訟を提起した原告になっている。
 かつてCDUやFDPを支持していた企業経営者の中にも、AfDの主張に共感を抱く者が現れ始めている。
 私は1990年以降、欧州統合をめぐるドイツでの議論をフォローしてきた。当初マルクの廃止とユーロの導入について、ドイツの経済学者や財界には慎重論が強かった。ドイツには全国レベルで行われる国民投票の制度は存在しないが、もしも1990年代にユーロ導入をめぐる投票を行っていたら、過半数が反対していたに違いない。それほどまでに、ドイツ人のマルクに対する信頼感は強かった。
 EU最大の貿易国家であるドイツが、ユーロ圏創設によって大きな利益を得ていることは間違いない。それにもかかわらず、この国の保守層の間では「ユーロ圏がもたらす利益よりも、ユーロ救済のために納税者が求められる経済的な負担の方がはるかに大きい」という懸念が根強く残っている。
 この国で最も人気が高い経済学者の1人であるIFO経済研究所所長のハンス・ヴェルナー・ズィンも、その1人である。彼も、EUのユーロ救済策について、事あるごとに批判的な発言を繰り返している。ズィンは、現在のギリシャ支援は「倒産するとわかっている企業に、どんどん融資するようなもの」であると訴える。
 ドイツ人が抱くこうした不安感こそが、AfD躍進の起爆剤である。「ドイツの政治と経済は、おかしな方向に進んでいる。この動きを食い止めるために、我々はAfDを作った」というルッケの言葉は、漠然とした不安感を抱いている一部の保守層の耳に快く響くのだ。それだけに、メルケル政権にとってAfDの伸張を食い止めるのは容易なことではない。
 メルケルは、AfDが州議会選挙で躍進した後「AfDに対抗する上で最も有効な手段は、政府が良い仕事をすることだ」という、覇気のないコメントを発表した。私は、この発言には現政権の当惑が浮き彫りになっていると思う。「ビジネス・アズ・ユージャル(これまで通りのやり方)」では、AfDがCDU支持層に侵食するのを食い止めることはできないだろう。
 ここ数年、隣国フランスでも、反ユーロ政党「フロン・ナショナール」が選挙のたびに得票率を高めつつある。英国やオランダでもEUに批判的な政党の躍進が目立つ。欧州で最も経済状態が良いドイツですら、反ユーロ政党が支持率を高めつつある事実は、エリートのプロジェクトである「欧州統合」に対する一般市民の反発が、想像以上に強いことを浮き彫りにしている。
 欧州の特徴は、国家の垣根を取り除く求心力と、国家や地域の独自性を維持しようとする遠心力が常にせめぎあっていることだ。AfDの伸張は、欧州の指導層がこの遠心力を軽視することの危険を、如実に示している。(文中敬称略)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20141120/274092/?ST=print 


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