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キューバ政策の転換に関する共和党内の論争に関する記事をご紹介します  古村治彦の酔生夢死日記
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/716.html
投稿者 五月晴郎 日時 2014 年 12 月 27 日 13:01:19: ulZUCBWYQe7Lk
 

http://suinikki.blog.jp/archives/19103060.html

2014年12月27日

古村治彦です。

 オバマ大統領のキューバとの国交正常化交渉の発表を受けて、共和党内部では論争が起きているようです。2016年の大統領選挙の有力候補者同士であるマルコ・ルビオ連邦上院議員とランド・ポール上院議員の間で批判合戦が起きているとのことです。

 2人の批判合戦は、共和党内部にある外交政策に関する2つの大きな考え方を代表していると記事では書かれています。アメリカ政治を理解する上で重要な記事であると思います。

 記事の中に出てくるリバータリアン、アイソレーショニストという言葉については、副島隆彦先生の主著『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社、1993年)をお読みください。

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キューバを巡るポール・ルビオ論争は、2016年の米大統領選挙の共和党予備選の外交政策の前哨戦だ

フィリップ・ラッカー筆

2014年12月19日

ワシントン・ポスト紙

http://www.washingtonpost.com/politics/in-paul-rubio-feud-over-cuba-a-preview-of-gops-2016-foreign-policy-debate/2014/12/19/41218766-87ab-11e4-a702-fa31ff4ae98e_story.html?tid=sm_fb

共和党の大統領有力候補2人が2014年12月19日の金曜日に激しくぶつかった。彼らは、バラク・オバマ大統領が発表した新しい対キューバ政策について論争を行った。このことは共和党内部の外交政策を巡る意見対立を明確にし、2016年の米大統領選挙の前に行われる共和党内の予備選挙にも影響を与えることになる。

 ランド・ポール連邦上院議員(ケンタッキー州選出)は、オバマ大統領の共産党が支配するキューバとの国交正常化に向けた動きを支持している。ポール議員は、同僚のマルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出)を激しく非難した。ポール議員はルビオ議員をキューバとの貿易と外交関係を再開することに対して強硬に反対する「孤立主義者(アイソレーショニスト)」だと批判した。ポール議員はルビオ議員は、「アメリカが国境線の内側まで後退し、濠をめぐらし世界との関係を絶ちたいと考えている」と述べた。

 ルビオ議員はキューバ難民の息子として生まれ、オバマ大統領の対キューバ政策に対しては先頭に立って反対を表明している。ルビオ議員はフォックス・ニュースの取材に対して、「オバマ大統領を支持するポール議員は、キューバに関して、自分で何を言っているのか全く分かっていないのだ」と述べた。ポール議員のコメントはルビオ議員の発言を受けて出されたものだ。

 2人の論争は、2016年の米大統領選挙の共和党側の有力候補同士が表舞台で行っている論争となり、共和党内に、伝統的なタカ派(ルビオ議員はこちらに含まれるし、これまでの共和党出身の大統領や大統領候補たちもこちらのグループだ)と、党内に出現しつつある、若いリバータリアン・グループ(ポール議員はその代表格である)との間で、世界観が大きく異なることを明確に示している。

 長年にわたり、ルビオが取る立場が共和党にとって当然のものであった。しかし、ポールはそうしたこれまでの常識に挑戦している。

 共和党のストラティジストであるジョン・フィーフェリーは次のように述べている。「私たちはいまだに冷戦の闘士のままでいるべきでしょうか?それとも外交に関して全く新しい立場を取るべきでしょうか?ルビオ議員の世界観はこうです。私たちの目の前には、キューバがあり、北朝鮮がある。私たちに必要なのは、大胆な、国際主義的な、アメリカが主導する世界なのだ。私たちは悪い奴と戦わねばならない。ランド・ポール議員は父のロン・ポール元下院議員の外交政策を継承し、それを新たな段階に進めようとしています。彼はアメリカが世界に関与するように主張していますが、アメリカが世界の警察官であるべきだという立場を取りません」

共和党内のタカ派は、長年にわたり、ランド・ポール議員の求める外交政策は「孤立主義的」だと批判してきた。ポール議員はこうしたレッテル貼りを拒絶している。今週になって始まったキューバ政策を巡る論争の中で、ポール議員は、この「孤立主義」という言葉をルビオ議員に当てはめた。

 ポール議員のコメントは個人のサイトによる発信から始まっている。これは異例なことだ。ポール議員はルビオを批判する内容のメッセージをツイッターに複数書いた。その後、彼は自身のフェイスブックのページで、2段にわたりコメントを書いた。ポール議員は次のように書いている。「ルビオ議員は孤立主義者のように行動しています。そして、キューバ系アメリカ人の過半数を代弁しているのではないのです」。

 ポール議員は金曜日の午後に『ニューヨーク・タイムズ』紙の論説ページに論稿を発表した。この論稿の中で、ポール議員は自身が共産主義を嫌う環境の中で育ってきたが、「キューバに対する孤立主義政策は間違っており、有効に機能してこなかった」という結論に達したと主張した。彼は、世論は「友好関係の復活(ラプローチメント)」の方向へと変化していて、特に若い人々、その中には若いキューバ系アメリカ人たちも含まれているのだが、彼らは国交正常化を支持しており、アメリカの産業界にとっても製品をキューバで売ることができるので利益になるとも書いている。

 ポール議員は次のように書いている。「共産主義は資本主義の魅力の前に生き残ることなどできない。カストロ政権をアイフォン、アイパッド、アメリカの自動車、そしてアメリカの発明によって圧倒しようではないか」

 ジェフ・フレイク連邦上院議員(共和党、アリゾナ州選出)は今週、アメリカの外交官たちとキューバを訪問し、キューバに拘留されていた建設業者アラン・グロスの釈放を求めていた。フレイク議員はポール議員の考えに賛成している。フレイク議員は、オバマ大統領の国交正常化に向けた動きを支持し、50年に渡る輸出禁止措置の後、今こそ「何か別のことを始める時期」だと述べている。

 金曜日の夜、ルビオ議員はポール議員のコメントに反応した。彼は、保守的なラジオDJであるマーク・レヴィンに対して次のように語った。「ランドがバラク・オバマの対キューバ政策に賛成するのは不幸なことだと思う」

 ポール、ルビオ両議員にとって、論争は短期的には彼らにとって利益となる。2016年の大統領選挙の共和党の候補者としてこれまでに10名以上の名前が挙がった。その中で2人はマスコミの関心を集め、政策について2人が先行しているという印象を与えた。こうした様子を大口の寄付者たちや支持者たちは見ているのだ。

 二人の論争は、ポール議員の常に戦う姿勢を示している。彼は民主党側の大統領選挙候補者となるであろう前国務長官のヒラリー・ロドハム・クリントンに対して最も攻撃的な人物である。そして金曜日に示したように、自分の同僚である共和党の議員に対しても攻撃することを厭わないことを示したのである。

 

アナ・ナヴァロはマイアミを拠点に活動している共和党のストラティジストであり、ルビオやジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事とも近い。彼女は、今回の論争について、「マスコミにネタがなかったので大きく取り上げられた」に過ぎないと述べている。

 「目の手術やケンタッキーのバーボンについては、ポール議員(彼は眼科医から政治家になった)も大変詳しいことでしょう。しかし、ルビオ議員をキューバ政策で圧倒しようというのはね、しかも1回で140文字しかかけないツイッターでそれをしようというのは生産的ではないし、立派な大人がやることでもないし、連邦上院議員らしくないですよ」

 ポール議員は、共和党の外交政策や人種間関係などについて新しい方向に向けようと努力している。彼は民主党側と協力して薬物犯罪の判決に関するガイドラインの法制化に向けて動いている。

ジョージ・W・ブッシュ前大統領の報道官を務めたアリ・フライシャーは次のように述べている。「ポール議員は許容すべき範囲を拡大しようとしています。そして、共和党がこれまでやってこなかった方向で党勢を拡大しようとしているのです。私は、ポール議員の唯一の味方は若い人々であると思います。若い人々以外に彼に味方はおらず、実際に何かをやろうとすると大変な苦労があると思います。共和党の歴史が示しているように、共和党の外交政策は介入主義的で、強硬で、ロナルド・レーガン大統領時代のものを基本的に踏襲しているのです」

 ポール議員のスタッフたちは、彼がキューバ政策を党派性に基づいて考えておらず、経済と外交の問題として考えていると語っている。

 しかし、共和党の支持者たちの多くはそう思わないだろう。保守派の指導者として長年活躍してきたリチャード・ヴィゲリーは次のように語っている。「保守派の人々の間で、キューバ政策について考え直そうという気運があるのは事実です。しかし、交渉がオバマ大統領によって行われるのです。私たちが信頼を持っていない大統領が交渉を行うのですから、疑念が起きるのは当然です。もしキューバとの交渉が信頼に足る保守的な共和党の政治家によって行われるならば、事態は全く違ったことになるでしょう」

 ルビオ議員は連邦上院外交関係委員会の委員であるが、国際問題に関して自分が第一人者であるという印象付けを行おうとしている。水曜日にキューバ政策の転換が発表された直後、ルビオ議員は、個人の経験を絡めながら、オバマ大統領を激しく非難した。ルビオ議員は1950年代にキューバから避難してきた難民の子として生まれ、マイアミで育った。彼は同じキューバ難民、キューバ系アメリカ人たちの中で育ち、彼らを代表してワシントンDCに乗り込んで来た。

 ルビオ議員は議事堂の中で木者たちに対して次のように語った。「オバマ政権は、我がアメリカがよって立つ基盤である普遍的なそして不可侵の個人の諸権利を守るのではなく、暴政を敷く体制と妥協を行いました。これはイランに続いて2度目のことです」

 2016年の米大統領選挙の共和党側の有力候補者たちのほとんど、ジェブ・ブッシュ、テキサス州知事のリック・ペリー、テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出)、ウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカーなどは、キューバ政策についてルビオ議員と似たような内容の声明を発表した。ニュージャージー州知事のクリス・クリスティはキューバについて何か語ってはいないが、ルビオ議員と同じような、いや彼よりもよりタカ派的な世界観を持っていることは既に有名である。

 ネオコンの有力者で雑誌『ウィークリー・スタンダード』誌の発行人であるウィリアム・クリストルは、「共和党の有力な大統領選挙候補者たちと議員たちは外交政策に関しては全く同じ考えを持っている」と述べている。

 そして、クリストルは次のように語っている。「ランド・ポール議員は共和党内で孤立した、うるさ型なのだ。ポール議員は共和党の支持者たちの気持ちを代弁してはいる。しかし、その割合はどうだろうか、10%?、15%?、20%?、まぁそれくらいのものだ。彼が共和党の外交政策の方向を決めるような人物になるとはとても考えられない」

(終わり)  

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