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ユーロと欧州、再び波乱の年に  木村 正人
http://www.asyura2.com/14/kokusai9/msg/740.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 1 月 03 日 08:10:10: igsppGRN/E9PQ
 

ユーロと欧州、再び波乱の年に
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20150102-00041980/
2015年1月2日 22時36分 木村 正人 | 在英国際ジャーナリスト


■リトアニアが19カ国目のユーロ参加国に

1月1日、バルト3国のリトアニアが欧州単一通貨ユーロを導入し、ユーロ圏はこれで19カ国になった。

グルジア紛争に続き、ウクライナ危機で牙を剥いたロシアのプーチン大統領。文字通り軽武装のバルト3国にとってはドイツやフランスと同じ通貨を持つことが北大西洋条約機構(NATO)加盟と同様、最大の安全保障となる。

エストニアは2011年1月、旧ソ連諸国では初めてユーロを導入、ラトビアも14年にユーロ圏に参加した。外資を呼びこむためユーロの傘に入ることで急激なインフレと為替変動を抑制する狙いもある。

世界金融危機に直撃されたバルト3国は国内総生産(GDP)比で、エストニアが08年に-5.3%、09年に-14.7%、ラトビアが08年に-3.2%、09年に-14.2%、10年に-2.9%、リトアニアが09年に-14.8%という深刻な景気後退を経験している。

バルト3国が賃下げや失業という艱難辛苦を乗り越えることができたのは、ひとえにロシアへの恐怖心のおかげだ。その意味で、欧州統合は「戦争と荒廃」を「平和と繁栄」に変える未完の政治プロジェクトということができる。

バルト3国と程度の差はあれ、ギリシャやキプロスがユーロにしがみつく大きな理由の一つにトルコの存在がある。ユーロは経済合理性より政治的な事情が優先される通貨なのだ。

地政学リスクが増せば増すほど、どんなにユーロを取り巻く環境が厳しくても参加国は拡大する。それが今の状況だ。

■ユーロの構造的欠陥

ユーロの牽引役であるドイツ経済について、独連邦銀行(中央銀行)は14年の成長率を1.9%から1.4%に下方修正し、15年は1%まで減速すると予測。

欧州中央銀行(ECB)も14年のユーロ圏の成長率を0.9%から0.8%に下方修正し、15年は1%成長を見込む。物価上昇率はわずか0.3%とユーロ圏は低成長とデフレの時代を迎えつつある。

世界金融危機と欧州債務危機を受けて、ユーロ圏と欧州は企業も、銀行も、個人も借金を減らす「デレバレッジ」の局面に入っている。日本語ではよく「バランスシート調整」と表現される。

世界金融危機の際、一気に金融機関のバランスシートから不良債権を取り除き、公的資金を注入して資本を増強した米国や英国は比較的早く景気回復した。

しかし、ユーロ圏の重債務国における金融機関の不良債権比率はまだまだ高い。景気が拡大する局面でユーロは非常に上手く機能する。しかし過剰な消費ブーム、不動産バブルを生んでしまった。

これに対し、デレバレッジの局面でユーロは真綿で首を絞めるように経済を壊死させていく。デレバレッジの局面を早く抜け出すためには中央銀行がお札を刷って資金供給量を拡大する必要がある。

なぜなら、金融機関は企業や個人から借金を取り立てる「貸し剥がし」や「貸し渋り」を進めるため、金利を下げるという通常の金融政策が働かなくなっているためだ。

中央銀行による資金供給で株や不動産を持つ富裕層は元気を取り戻しても、一般市民が使えるオカネを増やさないと消費は戻ってこない。そこで政府が、一般市民にオカネを配分する役割を担わなければならない。

デレバレッジの局面を脱出するためには中央銀行と政府の二人三脚が欠かせない。だから「中央銀行の独立性」という大原則は脇に押しやられることになる。

■政府と中銀の二人三脚できないユーロ

ユーロは悲しいかな、政府と中央銀行の二人三脚ができない致命的な欠陥を抱えている。欧州連合(EU)は加盟国の利害調整の場に過ぎず、欧州の共通利益を目指す仕組みは十分には確立されていない。

各国政府はあってもEU政府やユーロ政府は存在しない。方やECBはユーロ圏の金融政策を一手に任されているが、各国の中央銀行が必要に応じて独自にお札を刷ることはできない。

さらに大きな問題がある。

当たり前のことだが、ドイツはドイツの利益しか考えていない。フランスも同様だ。ギリシャが歳出削減や増税でどんなに財政赤字を減らしても、債務の一部を免除してやらなければ回らないことは誰にだって分かっている。

ギリシャの若者失業率は49.8%(季節調整済み、14年9月)。スペイン53.8%、イタリア43.3%、ポルトガル33.3%(同、14年10月)。「失われた10年」とはよく言ったもので、デレバレッジの局面を抜け出すのに約10年はかかると解説する著名トレーダーもいる。

08年の世界金融危機から6年半足らず。こんな状態があと3〜5年も続いたら、南欧諸国の若者はみんなユーロやEUというシステムが大嫌いになる。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで講演した欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当、フランス、当時)に筆者が「若者たちの志を奪うことは欧州の未来を失うことだ」と質問した際、「若者の失業率が高いのはユーロとは別の問題で、構造改革が必要だ」と受け流した。

ドイツの外交官に「日本は安倍晋三首相の経済政策アベノミクスでほぼ完全雇用の状態。一方、南欧諸国の若者失業率は50%前後だ。ドイツのメルケル首相の緊縮策は間違っているのではないか」と質問した時も、「ギリシャや南欧諸国はドイツとは別の問題を抱えている」という答えだった。

■欧州は一つではない

欧州は一つ、ユーロは欧州統合の象徴というのは建前であって、ドイツもフランスも、ギリシャなど重債務国は自分たちとは違うと考えているということだ。経済が失速し、それぞれが自分のことしか考えられなくなっている。

欧州は一つではない。そうした空気の中で欧州は2015年を迎えた。

3回に及ぶ投票でも大統領が選出できず、議会が解散されたギリシャでは1月下旬に総選挙が行われる。5月の英総選挙では、伝統的な二大政党制が終わりを告げ、1930年代以来の挙国一致内閣が誕生するとの予測すら飛び交っている。

南欧諸国ではメルケル首相に緊縮策の撤回を求める声が強まり、英国や北欧諸国では移民規制を訴える極右政党が伸長している

メルケル首相の戦略は、構造改革を優先していれば、いずれ欧州は景気拡大局面に戻るというものだ。

しかし、今年から、フランス大統領選、ドイツ総選挙が行われる17年にかけて、メルケル首相が緊縮策を大幅に緩め、ECBが大胆な量的緩和に踏み切らなければ、欧州プロジェクトは完全に人心を失い、瓦解しかねないと筆者は懸念する。

■EU域内の主な選挙日程

1月25日、ギリシャ総選挙
4月19日、フィンランド総選挙
5月7日、英国総選挙
9月、デンマーク総選挙
10月、ポーランド総選挙
その他
ポーランド大統領選
ポルトガル総選挙
スペイン総選挙

(おわり)


 

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コメント
 
01. 2015年1月07日 13:11:27 : nJF6kGWndY

大量に売りに出される欧州の教会―信者の減少で
By NAFTALI BENDAVID
2015 年 1 月 5 日 14:24 JST

使われなくなった聖ヨゼフ教会を利用したスケボーホール(オランダ・アーネム) Merlijn Doomernik for The Wall Street Journal
 【アーネム(オランダ)】ある日の夜、オランダのアーネムにそびえ立つ古い教会で、二十数人のだらしない格好をしたスケートボーダーたちが危険なジャンプを始めた。イエス・キリストの肖像画と聖人の石像に見守られながら。

 ここは「アーネム・スケートホール」だ。「聖ヨゼフ教会」から不本意ながらも「リインカーネーション(再生)」した。この教会にはかつて1000人近い礼拝者の祈りの声がこだましていた。

 何百もの教会が、信徒の減少により閉鎖されたり閉鎖の危機にさらされている。キリスト教の信者の減少は西欧全域で、地元のコミュニティ(地域社会)のみならず、各国政府に対しても問題を突き付けている。かつては神聖だったが、今は空っぽになってしまった教会の建物をどうすべきかという問題だ。それは、英国からデンマークに至るまで、さまざまな国の地方で目立ち始めている。

 このスケート場は長続きしないかもしれない。かつて厳かな雰囲気を持っていたこの教会には水漏れがある。このため修復がぜひとも必要だ。市はスケーターたち(ないしスケート場の運営者)に税金を請求している。一方で、今もなおこの建物を保有しているローマカトリック教会は、スケーターたちが出すのは到底無理な金額で建物を売ろうとしている。

 スケート場を運営するCollin Versteeghさん(46)は、地元の政治家を批判しながら、「にっちもさっちもいかない状態だ」と述べ、「われわれにはどうしようもない」と付け加えた。

 このスケート場のような窮状は、西欧各地で見られる。長年キリスト教が信仰されてきた西欧が、どんどん非宗教的になりつつあるからだ。これは信者のみならず、多様な社会を団結させる要素として宗教をみている人々にとっても、つらい現象だ。


特定の宗教を信仰していない人口の比率
 この教会を救う活動をしてきた住民のLilian Grootswagersさんは、「こういった小さな町では、カフェ1軒、教会一つと少数の住宅があり、それが村を構成している」と述べ、「教会が放棄されれば、この国は一変するだろう」と話した。

 他の宗教もキリスト教と同じ傾向をたどっているわけではない。欧州で優勢な正統派ユダヤ教は、比較的安定を維持している。イスラム教は、アフリカや中東のイスラム国家からの移民が増えていることを背景に、信者を増やしている。

 ワシントンのピュー・リサーチ・センターによると、2010年時点でイスラム教信者が欧州全体の人口に占める比率は6%と、1990年の4.1%から増えた。そして2030年には8%、5800万人に達すると予想されている。

 キリスト教徒にとって、教会の閉鎖は感傷的な出来事だ。多くの教会は町の広場の中心にあり、人々はここで祈りをささげ、悲しみや喜びを感じ、神との関係を構築してきた。無宗教で世俗的な住民の中にも、こういった場所が使えなくなったり、撤去されたりするとなると、動揺する人々がいる。

 実際に教会を閉鎖する時、町はコミュニティの意識を再構築しようと努力する。これらの歴史的建造物の有意義な使い道を探すのだ。しかし、建物の維持費は高額なほか、一つの町が財政的に支援できる図書館やコンサートホールの数は限られている。このため、商業プロジェクトがその建物の空間を利用するケースが多い。

 欧州全体で見ると閉鎖された教会の数は極めて少ないものの、国によってかなり差がある。

 英国国教会は、年に約20カ所の教会を閉鎖している。デンマークでは、およそ200の教会が存続不可能ないし十分に利用されていないとみられている。ドイツのローマカトリック教会は過去10年間で約515カ所の教会を閉鎖した。

 ただし、この傾向が最も進んでいるように見えるのはオランダだ。同国のローマカトリック教会の指導者たちは、1600あるカトリック教会の3分の2が10年以内にその活動を停止するとみている。このほか、同国のプロテスタント教会700カ所が4年以内に閉鎖されるとみられている。

 教会保存活動団体「宗教的財産のための未来」のメンバーで前出のGrootswagersさんは「その数はあまりにも多いため、社会全体で対応しなければならない問題だ」と述べ、「誰もが地元の大きな空っぽの建物への対応に手を焼くことになるだろう」と話した。

 米国は今のところ、教会閉鎖の波を回避できている。米国のキリスト教徒は依然として欧州の人々より宗教的な戒律を順守しているからだ。しかし、宗教研究家たちは、米国で教会に通う人が減っていることは、米国も将来同じ問題に直面する可能性があることの表れだと指摘する。


 欧州の多くの教会は、それぞれの地域で何世紀にもわたり中心的な役割を担ってきた。住民たちは教会に深い愛着を感じていることが多く、教会を店舗やオフィスに変えようとする実用的な提案には反対する。

 スケート場運営者のVersteeghさんはスケートホールが町に恩恵をもたらしていると考えている。建物の保護に役立っているほか、若者たちがスケートボーディングという建設的な方法で楽しんでいると言うのだ。しかし、彼によれば、地元のカトリック教徒と市のリーダーたちはその支援を拒んでいる。彼はスケートが持つ反抗的な雰囲気が原因だとみており、「(支援を求めて)どの扉をノックすれば良いのか分からない」と話す。

 教会と市のリーダーたちはそれを否定する。自分たちはスケートホールが好きだが、その資金繰りが不安定だと言うのだ。アーネムのGerrie Elfrink副市長は「彼(主催者のVersteeghさん)はスウィートラブ(甘い恋)を求めているが、われわれはタフラブ(愛のムチ)を与えざるを得ない。彼は安易な方法を求め、『カネをくれれば、問題はなくなる』と主張するが、それは持続不可能だ」と述べる。

 古い教会の再生方法に頭を悩ませ、いささか厳かさに欠ける解決法に行き着いたコミュニティもある。オランダでは、教会がスーパーマーケットや生花店、書店やスポーツジムなどに姿を変えている。アーネムでは、1889年創設の教会の建物にヒューマノイドというファッショナブルな店舗が入居している。そこでは、ステンドガラスの窓の下におしゃれな女性用の衣服が並べられている。

 英イングランド地方のブリストルでは、セントポール教会がサーコメディアというサーカス訓練学校に変わった。運営者によると、天井が高いため、空中ブランコなどの技能を身に付けるのに最適なのだという。

 またスコットランド地方のエディンバラでは、あるルター派教会がフランケンシュタインをテーマにしたバーに変わった。そこには泡立つ試験管などが飾られ、真夜中には等身大のフランケンシュタインをかたどったモンスターが天井から下りてくる仕掛けがある。


このエディンバラのフランケンシュタインをテーマにしたバーはルター派教会だった FRANKENSTEIN PUB
 このバーの責任者であるジェーソン・マクドナルド氏によると、この再利用への苦情を受けたことはないという。同氏は「理由は簡単だ。古い教会は何百もあるが、誰もそこに行かない。新たに目的が見つからなければ、空っぽのままそこに残るだけだからだ」と話した。

 多くの教会、とりわけ中小の教会は、住宅として再利用され、それが購入希望者と古い教会とを結び付ける仲介業界の誕生につながった。 

 イングランドとスコットランドの教会は、入手可能な建物をオンラインでリストアップしている。その説明の仕方は不動産仲介業者そのものだ。例えばイングランドのベイカップにあるセントジョン教会は「高いネーブ(身廊)と地下室があり、石でできたアーチ形の天井になっている」とされ、約16万ドル(約1920万円)で購入可能としている。
 


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