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英国の新聞紙上で日本と中国の駐英大使が靖国神社をめぐり、相手をヴォルデモートに準えて中傷(櫻井ジャーナル) 
http://www.asyura2.com/14/senkyo159/msg/176.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 1 月 08 日 00:02:01: igsppGRN/E9PQ
 

英国の新聞紙上で日本と中国の駐英大使が靖国神社をめぐり、相手をヴォルデモートに準えて中傷
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201401070000/
2014.01.07 櫻井ジャーナル


 イギリスのテレグラフ紙を舞台にして、日本と中国、ふたりの駐英大使が中傷合戦を演じて話題になっている。そのふたりとは劉曉明と林景一。J. K. ローリングが書いた小説『ハリー・ポッター』に登場する悪役の魔法使い、ヴォルデモートに相手の国を準えたのである。

 こうした中傷合戦の直接的な引き金は昨年12月26日に安倍晋三首相らが靖国神社を参拝したこと。この神社が日本の東アジア侵略を象徴する存在だということは否定しようのない事実であり、だからこそ、10月3日にジョン・ケリー国務長官とチャック・ヘーゲル国防長官が「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」を訪れて献花して事前に警告していたのだ。

 靖国神社は侵略の象徴であり、今でもその侵略戦争を肯定している。こうした神社に参拝したのだ。これを「非戦の誓い」のための参拝と表現することは不可能だ。そうした説得力のない主張を林大使は繰り返している。

 こうした日本の主張が通用しないことはアメリカ政府の反応を見ても明らか。安倍首相らが靖国神社を参拝して間もなく、アメリカ大使館は「日本の隣国との緊張を悪化させる行動を日本の指導者がとったことにアメリカは失望している」という声明を出し、続いて国務省のマリー・ハーフ副報道官も、日本の指導層による近隣諸国との緊張を高める行為をについて失望を表明している。

 新藤大臣の靖国神社訪問についてハーフ副報道官が「失望」を表明しなかったことを受け、「日米関係の悪化は中国や北朝鮮につけいる隙を与えかねないことから表立った批判は控える見込み」だと報じたマスコミもあるが、チャック・ヘーゲル国防長官は小野寺五典防衛相と電話で会談、アジアの近隣諸国との関係改善に向けた措置を講ずるように求めたと国防総省は1月4日に発表している。林大臣の「反論」が掲載されたのはその後。
http://www.defense.gov/releases/release.aspx?releaseid=16461

 日本政府側の発表では、小野寺防衛相は参拝について「二度と戦争を起こしてはならないという不戦の誓いを示したのが本意だ」と理解を求めたということになっている。それに対するヘーゲル氏の反応はマスコミによって違い、TBSは「コメントしなかった」、毎日新聞が掲載した「共同電」によると「説明は分かった」、NHKは「感謝した」。毎日新聞の場合、ヘーゲル長官からの「言及はなかった」と当初は書かれていたようだ。
http://peacephilosophy.blogspot.jp/

 そもそも、現在の東アジアにおける緊張を作り上げたのは日本にほかならない。田中角栄政権時代、日本と中国との関係改善を促進するために尖閣諸島/釣魚台列嶼の領有権問題は「棚上げ」にされた(これを否定することは無理だが、その無理を国内で言い合っているのが政治家やマスコミ)のだが、この合意を日本が破壊する。

 2010年9月、諸島の付近で操業していた中国の漁船を海上保安庁が「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、その際に漁船が巡視船に衝突してきたとして船長を逮捕したのだ。この海上保安庁は国土交通相の外局で、事件当時の国土交通大臣は前原誠司。事件の直後、外務大臣に就任している。

 漁業協定に従うなら、日本と中国は自国の漁船を取締り、相手国漁船の問題は外交ルートでの注意喚起を行うことになっていた。このことは事件直後に自民党の河野太郎議員が指摘している。
http://www.taro.org/2010/09/post-814.php

 ところが、こうした動きは翌年の3月11日に止まってしまう。東日本の太平洋岸を襲った大地震と東電福島第一原発の事故でそれどころではなくなったのだ。中国との関係を悪化させる動きが再開されるのは2012年4月。石原慎太郎都知事(当時)が「ヘリテージ財団」主催のシンポジウムで尖閣諸島の魚釣島、北小島、南児島を東京都が買い取る意向を示したのだ。http://www.heritage.org/events/2012/04/shintaro-ishiharaその後、領土問題は存在しないと称し、中国側の神経を逆なでする行為を日本側は続けてきた。それで「対話を呼びかけている」とはよく言えたものだ。

 劉大使は中国とイギリスが第2次世界大戦で同じ連合国に属していた戦勝国だということを強調している。中国側は「ポツダム宣言」を意識している。日本はポツダム宣言を受け入れて降伏、戦争は終わって戦後が始まったわけだが、日本はポツダム宣言を否定していると言っているわけだ。

 ポツダム宣言の中に次のような記述がある。

「『カイロ』宣言ノ条項ハ履行セラルベク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」

 そしてカイロ宣言には「千九百十四年ノ第一次世界戦争ノ開始以後ニ於テ日本国ガ奪取シ又ハ占領シタル太平洋ニ於ケル一切ノ島嶼ヲ剥奪スルコト竝ニ満洲、台湾及膨湖島ノ如キ日本国ガ清国人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民国ニ返還スルコト」と書かれている。日本が清国(中国)人から盗んだ一切の地域を中国へ返還しろと言っているのだ。

 日本が中国を侵略するまでの経過を振り返ると、琉球処分に行き着く。明治政府を作った勢力は1871年7月に廃藩置県を実施するのだが、10月に宮古島の漁民が難破して台湾に漂着、そのうち何人かが殺されるという事件が起こった。

 これを利用して台湾を攻めようと考えた明治政府は宮古島を日本領だと主張するため、藩を廃止した後の1872年に琉球王国を制圧して琉球藩を設置、74年に台湾へ軍隊を送り込む。1875年には李氏朝鮮の首都を守る要衝の江華島へ軍艦を派遣して挑発、清国の宗主権を否定させ、94年に甲午農民戦争が起こると「邦人保護」を名目にして軍を派遣、日清戦争へとつながる。

 この戦争で勝利した日本は半年後の1895年10月、朝鮮国王高宗の王妃、閔妃を官憲や大陸浪人を使って暗殺、その際に性的な陵辱を加えたと言われている。計画の立案者は漢城公使の三浦梧楼。襲撃現場を多くの朝鮮人、そして宮廷の顧問だったロシア人やアメリカ人が目撃していたのだが、日本の裁判は三浦たちに対し、「証拠不十分」で無罪を言い渡した。のちに三浦は枢密院顧問や宮中顧問官という要職についている。

 下関で清との講和条約が締結される3カ月前、日本政府は尖閣諸島を日本の領土として編入すると閣議決定しているが、これは対外的に公表されていない。すでに琉球制圧から東アジア侵略は始まり、清との戦争に突入、勝利を確信する中での決定だった。この経緯を考えると、尖閣諸島がカイロ宣言に接触すると見ることも可能。ここを中国大使は突いてきたのだ。


 

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コメント
 
01. 2014年1月08日 00:07:59 : dVgfc26wMc
イギリスはもちろん、第三国でも日本に勝ち目は全くない。

02. 2014年1月08日 05:04:24 : fUkdX6JqwM
後出しジャンケンを確信しながら用いるのが、日本人の得意とする戦略なんすよ。え?卑怯?いやはやなんのことやら馬耳東風。
後出しジャンケンといわれようが、八百長といわれようが、判定勝ちにはちげえねぇんだから、より姑息なやり方した方が勝ちってことよ、
世界よ、文句あんのか。暴力、暴言で勝ったもんの勝ちだ。
これこそ世界共通の標準の普通よ?
人殺しもレイプも早いもん勝ちね。
これ常識。
だから、日本は、殺人でも略取でもレイプでも、世界一の早業師なんだ。
だからそれを持って尊敬しない世界中の犯罪者なんかいないわけよ。。

と言って勝利への確信を深めつつある日本人勝ったね!
人殺しもレイプも出来ない日本人なんて、出来損ないのアホばーかばーかばっか。のーたりん、ちょーせんじんしなじんあめこうゴキブリウジムシ以下くそ以下。
存在にも値しない。
とっとと死にやがれ、ヘタレうんこなぞこの美しき日本にはいらん。
これから世界に尊敬されるのは、神そのものとして敬われるべきなのは、いやがおうにも、今まで犯罪者として扱われてきた我々エリート兵士「だけ」じゃ。
必ずこの怨み、晴らしてくれよう。

阿倍神様。同胞として是非とも御奮闘いただきたく存じます。


03. 2014年1月08日 05:10:12 : fUkdX6JqwM
無知程力強く美しきものぞなかりけり
by
靖国屬族ざ・にぽんじん

いまんとこ。


04. 2014年1月08日 05:15:43 : fUkdX6JqwM
(これから晴れて、犯罪者スネ傷前科者の我々の天国がくるぞーヤタッ)

05. 2014年1月08日 07:40:08 : esmsVHFkrM

これは、本年1月1日付けのデイリー・メール紙に駐英中国大使による「安倍靖国参拝はあの敗れたはずの日本軍国主義が復活している現れで、これは戦後平和と国連体制への挑戦だ。この脅威に対して旧同盟国の中英は共同で対処するべきだ」という要旨の論文が掲載されたのに対し、駐英日本大使が1月5日に至って大要「日中は対立しているが、日本はこんなに善良なのに中国はこんなに悪質だ。そんな中国の言う靖国参拝と軍国主義復活は間違いだ。日本が対話を求めているのだから中国はそれに応じて和解に努めなければならない」と反論したものです。

もともとの中国側の意図どおり英国保守系主要紙を舞台にした英国人とそのオピニオンリーダーたちの支持を賭けた公開討論となりました。中国大使の論文がその論理、論拠、例示、レトリックにおいてほぼ完璧な出来で非常に説得力のあるものであったのに対し、日本大使の反論はかなり遅れて(4日後)時間をかけて出されたにもかかわらず、論理が錯綜して論拠に乏しくレトリックが貧弱でおまけに英語としてもおかしなものでした。この論争の勝敗は明らかです。

それぞれの論文のURLは以下のとおりですので、直接お確かめ下さい。

中国大使の論文
http://www.telegraph.co.uk/comment/10546442/Liu-Xiaoming-China-and-Britain-won-the-war-together.html

日本大使の反論
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/japan/10552351/China-risks-becoming-Asias-Voldemort.html

実際中国大使の論文は、英国人に極めて身近なハリー・ポッターの挿話のアナロジーから始まり、安倍の731と書かれたヘルメットを被ったパーフォーマンスに触れることで石井中将部隊の人体実験を想起させたり、近々英国で公開される''The Railway Man''という映画に言及することで泰緬鉄道建設における英国人捕虜虐待の事実を思い出させるなどレトリックが極めて巧妙でプロの仕事です。

それに対して、日本大使の論文はいかにも日本語原文を英訳したような''Japanese English''で内容も雑然としており、相手の論点にかかわらずとにかくこちらの言い分を並べておけば反論だというようなレベルのものです。中国大使の論文が出された時点で、ここ阿修羅でもネトウヨがとにかく一方的に言い分を並べ立てれば反論だと日ごろの自分たちのやり方をやるよう主張していましたが、駐英日本大使がまさにそれを地でいくとは大きな驚きでした。

私は本件について「で爺」さんと議論しており、その中で日本大使の極めて稚拙な反論についてすでに詳しく批判しましたので、日本大使の論文のどこがダメかについては、以下URLの他スレにおけるわたしのコメをご参照下さい。

http://www.asyura2.com/14/senkyo159/msg/112.html?c48#c39

本件は、靖国参拝問題について日中の外交官がそれぞれの言い分を英語圏主要紙で開陳すればそれが英語圏諸国民にはどう見えるかを示すもっとも良いケースですが、安倍靖国参拝とその正当化がまったく説得力を持たないのは明らかです。さらに本件は優秀とされる日本の官僚(外務官僚)の語学力やディベート能力が極めて貧しいことを白日の下に晒すものです。

共産党支配の中国への漠然たる反感というバイアスにもかかわらず英国世論が安倍自民党の日本に厳しくなることは確実です。

日本のメディアはこのような国際社会における日本の主張の無理、無茶やそれを行っている外務官僚の無能さを一切報道しませんが、実情はこの通りです。

それにしても、戦前日本もこういう風にして国際的孤立に陥りあの無謀な戦争に突き進んでいったのかと改めて思わされる一件でした。安倍は戦前日本への復帰を主張していますが、日本外交についてはすでにそれが最悪の形で実現されていると言えましょう。

極めて憂慮すべき状況です。


06. 2014年1月08日 08:07:31 : xxpM7jkFPI
『“比喩・暗喩”を“諧謔・皮肉・ヒューモア”で切り返せない奴は、外交官として無能だよ。』

ヘドロ官僚大半にも、無能・無策政治家大半にも言えることだがねぇ?
総体的に、思考力・想像力・言語表現能力の劣化は目を覆うばかりである。
その元凶が<バカテレビメディア>であることは明白である。


07. 2014年1月08日 09:32:35 : HDwovAiKsc
>>05さん

 明快・的確な分析と解説をいただき有難うございます。今後とも宜しくお願いします。


08. 2014年1月08日 12:14:56 : LmThAU4yiQ
ハリポタ引き合いに日中駐英大使が舌戦、中国外交部が日本を批判
サーチナ 1月8日(水)9時20分配信

  日本と中国の駐英大使がハリーポッターシリーズに登場する悪役の魔法使いを引き合いに舌戦を繰り広げた。中国外交部の華春瑩報道官は7日、林景一駐英大使の発言は「筋の通らない常軌を逸した発言だ」と批判したうえで、「話をしたくもない」と述べた。(写真は「CNSPHOTO」提供)

  日中の駐英大使による舌戦は、中国の劉暁明駐英大使による英紙デーリー・テレグラフへの寄稿が始まりだ。劉駐英大使は日本の軍国主義復活は世界平和にとって重大な脅威であると主張し、日本について人気小説「ハリーポッター」シリーズに登場する悪役の「ヴォルデモート卿」になぞらえ、「日本はまるでヴォルデモート卿のようだ」と評した。

  劉駐英大使の主張に対し、林景一駐英大使もデーリー・テレグラフへ寄稿、軍備拡張を続ける中国こそヴォルデモート卿だと反論した。

  日中の駐英大使による非難合戦について、中国外交部の華春瑩報道官は「日本による侵略戦争によって中国では3500万人が死傷した。日本が歴史上、隣国に対して犯した罪は否定できるものではない」とし、A級戦犯が合祀されている靖国神社への参拝は軍国主義を正当化しようとする行為だと批判した。

  さらに、林景一駐英大使が「中国こそ軍備拡張を続けている」と批判したことに対し、華春瑩報道官は「わが国の人口は日本の10倍以上に達し、国土面積は日本の約26倍だ。人口1人あたりの軍事費は日本の5分の1に過ぎず、日中のどちらが軍備を拡張しているのか、どちらが地域の安全を脅かしているのかは明白だ」と反論した。(編集担当:村山健二)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140108-00000011-scn-cn


09. 2014年1月08日 15:27:16 : JtW399YiA2
ハリポタの次回作って二人のヴォルデモートが戦うって筋書きなのか?
ハリポタに倒されるのが結末なんだが・・・。

10. 2014年1月08日 16:11:26 : esmsVHFkrM

どうも日本のメディアは、日中双方が相手をヴォルデモートだと中傷し合ったとして、この論争が英国内でどっちもどっちだと受け止められるかのように報道するが、話はそんなに単純ではない。

英国大使は「日本はまるでヴォルデモート卿のようだ」とは言っていない。「軍国主義が日本に憑依するヴォルデモートだとしたら」とその導入部のハリー・ポッターの挿話において「日本」ではなく「軍国主義」を仮定の中で例えたのだ。

それに対して、日本大使は「中国はヴォルデモートの役を演じるのか」と「中国」そのものを例えている。

したがって、双方相手を単純にヴォルデモートに例えたわけではないが、疑問形とは言え直接相手国を名指しで「ヴォルデモートになるつもりか」と問うた日本大使の単純さに対し、「軍国主義」という政治思想を「日本に憑依するヴォルデモートだとしたら」と仮定の中で例えた中国大使の慎重さと熟練振りの差は大きい。英国のインテリはしっかりこの差を読み取ったはずだ。

しかも、日本のメディアは「ヴォルデモート」ばかりに注目するが、実は中国大使のハリー・ポッターの例え話の主眼は「ヴォルデモート」ではなく「分霊箱」(「ホークラックス」)にあるのだ。中国大使は靖国神社を「ヴォルデモートの分霊箱」に例えたのだ。

わたしはまったくハリー・ポッターに興味がなく最初この部分が良く分からなかった(''horcrux''なんて英単語はないからね)。しかし、それが何を意味するかネットで調べて(ネットは偉大だ)、中国大使のこの導入部の雄弁ぶりのすごさに改めて驚愕した。英国人相手にこの例え話はうまい、うま過ぎる。

「分霊箱」(ホークラックス)とはこうだ(ウィキの説明)

「ホークラックスは、「分割した霊魂を隠した物」を指す。

分霊箱に納められた魂の断片は、魂をこの世に繋ぎとめる役割を持ち、「完全な死」を防ぐ効果を持つ。本来の肉体と肉体に宿る魂が破壊されても、他の魂の断片を納めた分霊箱が存在する限り、その者が本当の意味で死んだことにはならない。ただし分割された魂が全て滅ぼされた状態で本体が肉体的な死を迎えると、魔法を講じた者は死滅する」。

これを踏まえ中国大使論文導入部を読めば、

(原文)
''In the Harry Potter story, the dark wizard Voldemort dies hard because the seven horcruxes, which contain parts of his soul, have been destroyed. If militarism is like the haunting Voldemort of Japan, the Yasukuni Shrine in Tokyo is a kind of horcrux, representing the darkest parts of that nation’s soul.''

(拙訳)
「ハリー・ポッター物語において、闇の魔法使いヴォルデモート卿はなかなか死なないが最後には死に絶える。それは彼の魂の断片をを納めた7つの分霊箱が破壊し尽くされてしまったからだ。軍国主義が日本に憑依するヴォルデモート卿であるとすれば、東京の靖国神社は一種の分霊箱だ。国家としての「魂」のもっとも暗い「断片」を納めている」。

訳していてその技巧に舌を巻くが、特に''die hard''をこう使ううまさは絶品だ。

わたしは、靖国神社が戦前の日本軍国主義において果たした宗教的役割を知っているから、戦後も残って今や右翼保守がその戦前日本善玉論の拠り所とする靖国神社の危険性をよく理解するが、この危険感を外国人に伝えるのは難しい。「靖国で再会しよう」という召集兵を死へ駆り立てる魂の救いを装った「魔法の呪文」の威力は日本で育ったものにしかわからないと思えるからだ。

だが、この例え話はそんな困難さをすいっと飛び越えてこの伝わらない感じを生き生きと見せてしまう。中国大使のこの例え話を冒頭で読んだ英国人は「そうか、靖国神社は日本軍国主義の分霊箱なのか、なるほど、これが残っている限り日本軍国主義は死んでいないし、またいつでも復活できるわけか」と納得しただろう。

英国大使の論文は、冒頭のこの例え話のトーンで貫かれている。すべての議論は文例箱の文脈で説明される。

まことに見事な文章だ。

では、日本大使はこれに対抗してヴォルデモートをどう例えているのだろうか。

こちらは終結部で、以下が原文だ。

''East Asia is now at a crossroads. There are two paths open to China. One is to seek dialogue, and abide by the rule of law. The other is to play the role of Voldemort in the region by letting loose the evil of an arms race and escalation of tensions, although Japan will not escalate the situation from its side. The answer seems obvious. Although China has so far refused to enable dialogue between our leaders, I sincerely hope that it will come forward, rather than keep invoking the ghost of “militarism” of seven decades ago, which no longer exists.

あえて訳さない(あまり訳そうという意欲をかきたてられない駄文だ)。例によって「することによって」を''by .....ing''にしたり''although''でつなげて言い足りないことを補って一文を不必要に長くしたり、日本人英語のくせが頻出するし、''although''が連続するぶざまさにも無頓着だ。

肝心のヴォルデモートは「軍拡の「邪悪」を解き放つヴォルデモートの役割」と、ヴォルデモートでなくても「邪悪」を解き放つことが出来る「魔法系の悪役」なら誰でもいいような例えだから、ここは「そっちがヴォルデモートって言ったんだからこっちも言い返してやる」感が強く。ネトウヨみたいだ。

そもそも二つの道のどちらを選ぶかの問いかけは、中国大使の「戦争を始めた挙句に負けた国の採ることができる二つの選択肢」の焼き直しだし、末尾の''the ghost of “militarism” of seven decades ago, which no longer exists.''など''seven decades ago''と中国側の''the seven horcruxes''の7と呼応して最後が決まったとほくそえんだ英語達者を自負する担当者のしたり顔まで浮かぶようだ。

要するに子供っぽい。生意気盛りの高校生の作文のようで、およそ高等教育を受けて英国大使を務めるインテリが書く類の英文ではない。外国人が書く英文だからこんなものという「別枠扱い」も中国大使があれを書いているんだから不可能だ。むしろ「日本人が書く英文だから」と日本だけが「別枠扱い」される恐れすらあって、そっちが怖い。

しかし、致命的なのは日本大使が中国という国自体をヴォルデモートに例えてしまったことだ。国そのものをヴォルデモートと呼ぶことは極めて重い。中国政府ばかりでなくその国民まで含めて敵に回すことだ。

この重みは中国大使が軍国主義をヴォルデモートと呼び、現在の日本政府も国民もそのヴォルデモートにとりつかれる恐れのある存在としてその共通の被害者としたことと著しい対照をなす。

英国のインテリは本当にインテリだ。彼らはこの日英両大使の論争をこう読む。とてもけんか両成敗などという感想など抱かない。

これがこの正月にデイリー・テレグラフを舞台に英国で演じられた舞台劇だ。シェイクスピア悲劇だ。

主役の二人は、一人は老練な名優であったがもう一人は大根の大部屋俳優だった。見ていた英国人の観客にはその落差がかえって悲劇の情趣を増したことだろう。


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