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『IWJブログ・特別寄稿』国家戦略特区と都知事選 (安部芳裕 プロジェクト99%代表)←「壊国」「貧困化」も止めよう
http://www.asyura2.com/14/senkyo160/msg/380.html
投稿者 小さい象さん 日時 2014 年 1 月 29 日 20:32:31: awvfTcnqMZovg
 

【IWJブログ・特別寄稿】国家戦略特区と都知事選 (安部芳裕 プロジェクト99%代表)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/122428
IWJの記事です。是非視聴ください。脱原発だけではなく、日本の政治を変える切っ掛けに都知事選はあります。国家戦略特区、TPPなど日本の「壊国」、国民の貧困化、安倍ちゃん政権の軍国化、特定秘密保護法などの政策に対して、都民がそのNOの意志を表す有効な場です。

以下、安部芳裕氏のIWJ記事の本文のコピーです。

◆暗礁に乗り上げるTPP◆

 1月24日、安倍首相は衆参両院本会議で施政方針演説を行い、今国会を「好循環実現国会」と位置づけた。

 企業の収益を、雇用の拡大や所得の上昇につなげる。それが、消費の増加を通じて、さらなる景気回復につながる。この「経済の好循環」で、デフレを脱却しようと言うのである。

 TPP(環太平洋パートナーシップ協定)については、国家百年の計と位置づけ、同盟国でもある米国と共に交渉をリードし、アジア・太平洋に一つの経済圏を創るとした。

 菅直人元首相が「開国」と叫んでTPPへの参加検討を表明して以来、一貫して反対運動を続けてきた一人として、今年はまさに正念場である。

 一つの経済圏を創るとは、ルールを同じにしてヒト・モノ・カネが自由に移動出来るようにするということである。実質的に国境がなくなり、日本は超大国アメリカに飲み込まれる。

 安い輸入品が入ってくれば、デフレ圧力は強くなる。安い労働力が入ってくれば、低い方へ賃金は収斂していく。ルールが同じならば、製造業は最も安く作れる場所に拠点を移す。

 海外から資本を呼び込むとは、外資に日本企業を売ると同義である。「愛国」「保守」を掲げる安倍首相が目指す「国家百年の計」とは、「売国」であり「壊国」でしかない。言っていることとやっていることが真逆ではないか。

 自民党は「TPP断固反対」を掲げて2012年末の衆議院選挙で大勝したものの、その公約をわずか三ヶ月で反故にして交渉に参加した。だが、国内の反発は強まり、極端な譲歩はできなくなった。

 昨年12月7日~9日に開催されたシンガポールにおけるTPP閣僚会合で、年内妥結を目指した米国は、ここでグリーンルーム方式を持ち出してきた。

 グリーンルーム方式とは、1999年に大暴動と大弾圧が起きたWTOシアトル会議から使用されるようになった国際会議の方式で、WTO事務局長室の壁が緑色であることに由来する。先進国と一部の途上国が参加し、グリーンルームで秘密会合が行われ、そこで練られた案が本会議に提出されて採択されるというやり方である。

 シンガポールでのTPP閣僚会合では、賛成派と反対派を分断し、賛成派多数、反対派少数にして小部屋で会議が開かれた。官僚も補佐官それに通訳まで外され、孤立した閣僚は賛成派に屈するはずだった。土俵際に追い詰められた米国が、強引な力技を繰り出したので、警戒感を強めた各国の閣僚は妥結を先送りした。

 TPPはデモクラシー(民主主義)を破壊し、コーポレートクラシー(企業統治)を実現する。国民主権を放棄させられる協定など、主権国家が簡単に妥結できるものではない。だからこそ秘密交渉を続けてきたわけだが、情報は水より漏れやすいと言われる。完璧に守れる秘密などないし、秘密が漏れるほど反対者が増えて、ますます妥結しづらくなる。実際、TPPは頓挫しかけているのである。

◆TPA法案で議会の権限が強まる◆

 1月9日、米国議会でTPA法案が提出された。

 TPAは貿易促進権限(Trade Promotion Authority)と呼ばれ、もともとは議会にある通商権限を大統領に一任し、議会への事前通告や交渉内容の限定等の条件を課す代わりに、議会は個々の内容の修正を求めずに一括してイエスかノーで投票するものである。

 このTPAは時限立法であり、2007年7月に失効している。オバマ大統領はTPP交渉を加速するためTPAを求めてきたが、議会の影響力を相対的に低下させるため、賛否が割れてTPAを与えられずに交渉を続けてきた。

 提出された新しいTPA法案は、英語ではTrade Priorities Actであり、略称は同じTPAでも日本語訳では通商優先事項法である。単に大統領へ交渉を一任するための法律ではなく、米国の利益を最大化するために、交渉の目的を明確に設定し、議会が憲法で保証された権能を求めるための法律となっている。

 通商優先事項法案では、米国の通商協定が世界最高のものとなるようにし、米国の物品、サービス、投資に対して市場開放が確実に行われるように求めているのだ。

 以下、主要な内容を箇条書きにする。

・通貨操作に対処する:通商相手国の為替レートの操作防止を求める。
・強力な実効性を追求する:通商協定の中で大統領が強力な紛争処理の仕組み担保する。
・米国の主権を保護する:連邦議会によらずして、通商協定により米国の法律を変更することはできないと明記。
・協定条文の閲覧を確保する:法令によって、全ての連邦議員が交渉中の条文を閲覧できることを確保。
・議会との協議を強化する:USTRに対して、関心ある連邦議員とは誰でも、いかなる時も、面会し協議することを義務づける。交渉開始以前、交渉中、および終了後のいずれにおいても協議すべき範囲を拡大。
・国民及び各助言委員会との間の透明性および協力を促進する:国民参加と各助言委員会との情報共有に関する指針を書面にし、透明性、および国民の関与と協力の措置を求める。
・これらに合致しない場合、TPAは不許可になることもある。

 この新たなTPA法案は、下院歳入委員長のキャンプ議員(共和党)と上院金融委員長のボーカス議員(民主党)により提出されたので、キャンプ=ボーカス法案と呼ばれている。

 キャンプ=ボーカス法案の共同提出者であるボーカス委員長は中国大使になることが内定し、近いうちに上院金融委員長の職を解れる。後任はワイデン議員(民主党)になると見られているが、ワイデン議員はキャンプ=ボーカス法案に反対の立場を表明している。ワイデン議員が上院金融委員長の立場を利用してキャンプ=ボーカス法案の審議を行わず放置することも考えられる。

 連邦議会に提出された法案が行き詰まることは決して珍しくない。例えば、前回の連邦議会(第112議会。会期は2年)では10,445本の法案が上程され、成立したのはわずか272本である。現議会(2013年1月から2015年1月)では、これまでに5,713本の法案が上程され、64本しか成立していない。法案が提出されても通らない場合がほとんどなのだ。

 一度提出した法案が通らなければ、その後、数年間は同じような法案を再提出することができなくなる。TPAがなければ、TPP締結はさらに困難になるだろう。

 4月にはオバマ大統領がアジアを歴訪する予定になっている。それまでにTPPが妥結できなければ、長期停滞するだろうと予測されている。11月には中間選挙があるので、TPPどころではなくなる。頓挫まではあと一歩なのだ。

◆国家戦略特区で進む「壊国」◆

 しかし、TPPが頓挫しそうだからと言って安心はできない。昨年12月6日、世の中が特定秘密保護法の可決で大騒ぎしているとき、深夜にこっそりと国家戦略特区法も可決された。審議時間は衆議院で22時間、参議院ではわずか8時間だった。

 国家戦略特区は、地域を限って規制改革や特例措置を講じ、「世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出する」ことを目的としている。この法案も読んでも、何か問題なのか正直とてもわかりづらい。なぜなら、これから規制改革や特例措置ができるようにする枠組みをつくるための法律であり、どんな規制改革をするのか、どんな特例措置を設けるのか、まだ漠然としていて、はっきりしないからである。現在のところ、教育、雇用、医療、農業、まちづくり、歴史的建築物の活用という6つのジャンルに適用され、成果が上がれば全国での展開が検討されるものもある。

 この国家戦略特区で大きな権限を持つのは、国家戦略特区諮問会議である。メンバーは、安倍首相を議長に、麻生副総理、菅官房長官、新藤国家戦略特区担当大臣、甘利経済財政政策担当大臣、稲田規制改革担当大臣。民間議員として、八田達夫大阪大招聘教授、坂根正弘コマツ相談役、坂村健東大大学院教授、秋池玲子ボストンコンサルティンググループ・パートナー&マネージングディレクター、そして小泉構造改革を主導した竹中平蔵慶大教授の11名。

 3月中には具体的な地域を指定し、その特区ごとに国家戦略特区統合推進本部が設置され、国家戦略特区担当大臣、関係地方公共団体の長、首相が選定した民間事業者がメンバーとなる。

 この諮問会議には、関係大臣は「必要に応じ参加」としか書かれていない。つまり必要と判断されなければ、労働や医療等の規制緩和に厚生労働大臣が加われないことがある。同様に農業の規制緩和に農林水産大臣が、教育の規制緩和に文科大臣が、建築物の規制緩和に国交大臣が加われないことが起こりうる。会議に参加できたとしても、意思決定には加われない。

 安倍首相は1月22日、日本の首相として初めて世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で基調講演を行った。

 そこで各国首脳や企業トップらを前に、自らが「ドリルの刃」となって既得権益の岩盤を打破し、日本経済の成長を阻む障害を破壊すると明言した。講演では「いかなる既得権益も私のドリルから無傷ではいられない」と述べ、医療、貿易、年金投資、税制、女性の労働参加、移民など幅広い分野で規制緩和を早期に実施する方針を明らかにし、「2020年までに対内直接投資を倍増させる」「外国企業が最も仕事をしやすい国」を目指すと宣言した。

 TPPが頓挫したとしても、同じような規制・制度改革は構造改革派ばかりの諮問会議で決定され、国会の審議を経ることもなく実施されるであろう。

 TPPと同時平行で行われている日米並行協議で要求された事項を、国家戦略特区で実行することができる。日本の「壊国」を止めようがないのだ。

 国家戦略特区で規制緩和したあとに、もしTPPに参加するようなことがあれば、規制緩和が失敗したとしても、ラチェット条項があるので、一度自由化したものは元に戻せない。強引に戻せばISD条項で訴えられるのだ。

 ただ、方法はある。特区ごとに設置される国家戦略特区統合推進本部、ここには関係地方公共団体の長が入ることになっている。国家戦略特区統合推進本部が全会一致で賛成しないと規制改革や特例措置は実施できないのだ。つまり、誰が知事になるかはとても重要である。

◆未来を左右する重要な都知事選◆

 報道各社による東京都知事選の世論調査では、舛添氏が先行し、続いて細川氏と宇都宮氏が追走、そのあとに田母神氏が続く展開だそうだ。マスコミ報道はこの4人のみにスポットを当てている。

 今回の都知事選は、脱原発が主要な争点となっている。告示日に細川氏の弁士として登場した小泉純一郎氏は、「原発のリスクの深刻さは、福島やチェルノブイリを見るまでもなく、ひとたび事故が起こったら国の存亡にかかわる大事故になる可能性をはらんでいます。もう2年間、原発は止まったままではありませんか。都知事の第一の任務は都民の生命と財産を守ることです。東京から100キロ、200キロのところにある浜岡とか、東海第二とか、あるいは柏崎刈羽などで、もし事故が起こったら、都民の生活、安全、財産というものは壊滅的な被害を受ける。オリンピックや消費税やTPPどころではないんです。すべてのものが吹き飛んでしまうわけですから。原発問題こそ、今度の選挙の最大の争点、東京の最重要テーマであることは疑う余地がありません」と発言。

 これはまさにその通りだろう。生存基盤そのものを脅かす原発は、即時ゼロにすべきだ。エネルギーは十分足りているにも関わらず、地震の活性期で、いつ地震が起こるかわからない日本で原発を続けることは正気の沙汰ではない。脱原発・脱被爆を訴えてきた私としては、期限を切らず段階的に脱原発という舛添氏や原発推進の田母神氏は、国民の生命や健康を軽視しているとしか思えないし、学習能力があるとも思えない。

 細川氏は、小泉氏が応援についたことで、さまざまな憶測が駆け巡っている。しかし、福島第一原発の事故を機に、原発を推進してきた過去の自分を反省し、改心したと素直に信じたい。引退して悠々自適な生活を送っていたのに、わざわざ魑魅魍魎の跋扈する政界に戻ってきて苦労する理由が見当たらない。

 TPP交渉参加や集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法制定に対しても批判的というニュースを見て少し安心した。

※細川氏、安倍政権への懸念強調 都知事選で政見(共同通信、2014年1月18日)

 ただ、国家戦略特区には賛成という立場を取ることを知り、不思議に思った。TPPに反対なら国家戦略特区にも反対でなければ整合性が取れない。

 小泉氏が応援していることで、新自由主義者というレッテルも一部で貼られているようである。

 しかし、細川氏自身が「小泉さんとは脱原発の一点のみで共闘。他は話しても合わない」と言っているように、全面的に影響を受けているわけでもなさそうだ。

 もう20年以上も前の話なので、若い人にはわからない話かもしれないが、当時の自民党は既得権益との癒着が酷く(現在もだが)、既得権益に囚われず、腐敗・金権政治の打倒を掲げて旗揚げしたのが日本新党である。地方主権・生活主権を標榜してリベラルで穏健な保守政党に国民の期待と関心が集まり、55年体制の崩壊をもたらした「新党ブーム」の火付け役となった。

 20年前に政界の第一線を退き、隠居生活を送っていた細川氏の感覚は、その頃のままなのではないか。当時はまだグローバルな資本の横暴は問題になっていなかった。

 規制改革が必ずしもすべて悪というわけではない。例えば東電の地域独占体制を改革して、電力を自由化することは国民の利益となる。細川氏は、特区を活用して同一労働同一賃金を打ち出した。これは国際労働機関(ILO)では原則であり、基本的人権と捉えられている。男・女や正規・非正規、人種などで差別は禁止となるので、一概に悪いとは言えない。ただ、かつては高い方へ同一化した賃金が、グルーバル化が進んだ現在では安い方へ同一化する懸念がある。

 細川氏に心配な点があるとすれば、この時代感覚のズレである。1%vs99%の対立に象徴されるようなグローバリゼーションや新自由主義の問題に対して疎いのではないだろうか。しかし、それも致し方ない気がする。そもそも政治の世界に戻るになど更々なかったのだから。このままでは日本が滅びる。その危機感が細川氏を突き動かしているのだろう。

 余談ではあるが、細川氏が立候補するとすぐ佐川急便からの1億円借り入れ問題が再燃した。この問題を当時国会で追求していた自民党の白川勝彦氏や村上正邦氏が「あれは細川氏を政権から引きずり下ろすためのデッチ上げ」だったと告白している。小沢一郎氏が政治資金報告書の期ズレを闇献金のように情報操作されて引きずり下ろされた手口と同じだ。

※白川勝彦氏ブログ「佐川1億円は、完全時効。」

※細川氏佐川問題追及の張本人 あれは「デッチ上げ、無茶苦茶」(NEWSポストセブン)

 宇都宮氏は、政策的には申し分ない。日本弁護士連合会の元会長であり、年越し派遣村の名誉村長、地下鉄サリン事件に対する弁護団の団長、サラ金の高利を大幅に引き下げるグレーゾーン金利を撤廃させる貸金融法を成立させた宇都宮けんじ氏は、まさに弱者の味方であろう。

 TPPや国家戦略特区にも明確に反対の立場を表明し、働きやすい職場環境をつくるブラック企業規制条例や長時間労働やサービス残業を止めさせる過労死防止条例など、規制緩和とは真逆の弱者を救うための具体的な規制強化を打ち出している。

 ただ、心配な面もある。それは知名度の低さで、当選する確率が低い。いくら素晴らしい政策でも当選できなければ絵に書いた餅である。そして、仮に当選できたとして自民・公明が多数を占める都議会の中で自らの政策を実行できるだけの政治力があるかどうかは未知数だ。

 2月9日の東京都知事選は、日本の将来がかかる重大な選挙である。下馬評では舛添氏が有利だが、投票率が60%を超えれば、誰が勝つかわからない。

 ダボス会議に先駆け、国際NGOのオックスファムが、世界の経済格差は制御できる範囲を超えており、世界で最も裕福な85人の資産は、世界人口の半分の資産合計に匹敵すると指摘する報告書を発表した。多国籍企業や最富裕層が、自らの利益に資するように政治に働きかけ、経済ルールを操り、民主主義を損なうようなやり方で富を蓄積、他のすべての人々を犠牲にしていると報告している。安倍首相が目指す世界そのものではないか。原発も重要な争点だか、TPPや国家戦略特区も破滅的な影響が出る大問題であることを認識した上で都民の皆さんには、大事な選挙に臨んでいただきたい。

(安部芳裕 プロジェクト99%代表)
 

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コメント
 
01. 2014年1月30日 00:17:12 : c8uYroBnUM
× 好循環実現国会
○ ヒロポンドーピング国会

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