転載する記事で触れられている３月ハーグで開催される「核安全保障サミット」では、４月下旬に予定されている日米首脳会談・米韓首脳会談に先行するかたちで「米中首脳会談」が行われる。

　安倍首相は、中国及び韓国の政権に対して常々「対話のドアは開かれている」と表明している。
　その意味を踏まえれば、安倍首相は日中首脳会談や日韓首脳会談を相手国政府に常時打診しているようなものである。

　今回の記事の面白いところは、誰が仕組んだかわからないが、米国国務省の記者会見でどこかの記者が「日韓首脳会談を日本政府が韓国政府に打診した」ことについての感想を質問するかたちで話が表に出ていることである。

　米国政権の自作もしくは安倍政権が繰り出した軽いジャブであろうが、“おみやげ”がない首脳会談の申し入れは、米国政権が仲介しているとしても、朴政権にとって受け容れられるものではない。

　米国政権の「オバマ米大統領の４月の日韓訪問までの関係改善」という要請が本気なら、日韓が関係改善の道を歩み始める絶好の機会は、どちらも相手国を訪問しないですむ「核安全保障サミット」ということになるだろう。

　米国の意向を受けた安倍首相がその機会をモノにしたいと考えるのなら、韓国側が明示している「独島問題、慰安婦問題、歴史教科書問題」のうち竹島を除くテーマについてなんらかの“おみやげ”を提示することになるはずだ。
　これまでのような袖の下（水面下）の“おみやげ”では韓国側は納得できない（国民の手前）から、安倍政権は、熱烈な支持者となっている「愛国保守主義」気取りの人たちを落胆させない（怒りを買わない）レベルの表現を必死に探さなければならない。

　「日中首脳会談」ならともかく、「米中首脳会談」が行われる場での「日韓首脳会談」は格落ちの感が強いが、米国の意向であればなんとかするほかはないのだろう。

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米高官「関係改善の動き支持」　３月の日韓首脳会談打診［日経新聞］
2014/2/15 20:24

　【ワシントン＝吉野直也】米国務省のハーフ副報道官は14日の記者会見で、日本政府が日韓首脳会談を３月に開くよう韓国側に打診する方針について「一般論として日韓関係の改善の動きは支持する」と表明した。同時に「日韓は米国に最も関係が近い同盟国であり、地域での協力を通じて連携を強化していきたい」と語った。

　ケリー米国務長官が13日の韓国の尹炳世（ユン・ビョンセ）外相との会談で、オバマ米大統領の４月の日韓訪問までの関係改善を要請した。これを踏まえ、日本政府が３月下旬にオランダ・ハーグで開く核安全保障サミットの機会を利用して日韓首脳会談を改めて呼び掛ける構想だ。

　安倍晋三首相は就任以降、韓国の朴槿恵（パク・クネ）大統領に会談を求めているが、朴氏が固辞する状況が続く。米側は従軍慰安婦問題など歴史認識での日韓の立場の違いは理解するものの、対話そのものを駆け引きの材料にする韓国側の対応には不満を募らす。

　米国務省高官は３月の日韓首脳会談構想について「もし実現するなら素晴らしいことだ。日韓関係改善の一歩になり、歓迎する」と語り、米側としても側面支援する考えを明らかにした。オバマ氏が４月のアジア訪問で、当初の予定になかった韓国を訪れるのも、日本との関係改善が事実上の条件とみられており、３月の首脳会談構想への韓国側の出方が注目される。

　佐々江賢一郎駐米大使は14日の記者会見で、日韓関係の改善に関して「ケリー氏が韓国側の努力を要請したのは適切だった。日韓それぞれの立場で関係改善をめざすことが重要だ」と述べた。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS15012_V10C14A2PE8000/

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記事入力 : 2014/02/16 15:29
日本との首脳会談可能性を否定＝韓国大統領府

【ソウル聯合ニュース】韓国の青瓦台（大統領府）関係者は１６日、記者団に対し、現政権発足後開かれていない日本との首脳会談について、「事前準備が足りない状態で、首脳会談と関連する何の議論も行われていない」と伝えた。その上で、「首脳会談が実現するためには独島問題、慰安婦問題、歴史教科書問題など（解決しなければならない）いろいろな部分がある」と述べた。

　来月、オランダ・ハーグで開催される核安全保障サミットに合わせて首脳会談を開くよう韓国に打診する方針との日本メディアの報道を否定した格好だ。同関係者は「（首脳会談を）要請するのは自由だが、実現の可能性は事実無根で、行き過ぎた報道」と強調した。日本側から首脳会談の提案があったかどうかについては、「確認できない」として回答を避けた。　

聯合ニュース

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/16/2014021601196.html

コメント
01. 2014年2月17日 05:34:18 : G4jH7GRqJ1 韓国が日本たたきを止めるまでは、関係改善をやってはイカン、当然だ。 一歩でも譲れば、世界から馬鹿にされるだろう。
02. 2014年2月17日 05:48:21 : W2KODMxWXk 日本側から仕掛けた可能性が高いのでは？ とりあえず安倍政権は、日韓首脳会談の実施云々よりも間近に迫った竹島の日（2月22日）を外交的にも内政的にもうまく切り抜けなければならない。 「竹島の日」式典に政務官を派遣するかしないかを「見せかけだけの」外交カードとして使っているのではないか。韓国側が日韓首脳会談に応ずることを内諾すれば、政務官の派遣を見合わせるという条件だ。 韓国側からすれば、式典中止と政務官派遣取り止めは取り引きの材料とはなり得ない絶対的要求であって、政務官派遣の中止と首脳会談の実施とでは全然釣り合わないと考えるはずだ。 しかし、韓国側が重視する「独島、慰安婦、教科書」のいわゆる歴史認識問題は、ケリー長官が「棚上げ」するということを先日言明したので、この問題を理由に韓国が首脳会談を拒否するといっても、アメリカが韓国の肩を持つのは難しい。 かといって、韓国が「独島、慰安婦、教科書」を棚上げにして首脳会談に応ずることにすれば、朴政権にとって大きなダメージとなってしまう。朴政権にとって首脳会談の受け入れはやはり難しい。 一方、安倍政権からすれば、日本側から首脳会談を切り出したにもかかわらず韓国側が従来どおり頑に会談を拒否してくれれば、「どうせ会ってくれないのだから」とばかりに政務官を派遣する口実ができる。政務官を派遣できれば安倍総理のナショナリストとしての立場を守れる。外交的に良策かどうかは別にして少なくとも内政的には良策と安倍政権は考えているはずだ。 この日本のやり方をアメリカは面白く思わないだろうが、日本が譲歩を見せたにもかかわらず韓国がゼロ回答なのだから、アメリカは日本だけを一方的に責めるわけにはいかない。 結論として、日本側が仕掛けた首脳会談の呼びかけを韓国側は拒否する。これに応じて日本側は、竹島の日の式典および政務官派遣を滞りなく実施する。 報道のとおり韓国がオバマ訪韓と引き換えに日本との関係改善を約束したのであれば、韓国側は政務官派遣を大きく騒ぎたくても騒げない。いわば、オバマ訪韓実現のために切った手形である日本との関係改善の約束を、政務官派遣の実施を大きく騒がないという形でさっそく支払いを請求されることになる。オバマの日本滞在を短くさせられた安倍政権としては、そこそこの痛快な切り返しかもしれない。 これで、今度の「竹島の日」をめぐって起こるであろう波乱については、日韓両政権とも非協力的連係プレーで互いの立場を守りつつ乗り切れる。ケリー長官が「水面下で」と述べた関係改善に向けての交渉がオバマ大統領アジア歴訪前に妥結すべく続けられていくものと思われる。 上の見立ての表裏の関係にある見立てとして、政務官派遣がにわかに取りやめになったら、日本側からは歴史認識問題についての何らかの譲歩があり、それを引き換えにしての韓国側からの首脳会談の応諾があったと考えてよいのではないか。この場合には、アメリカは日韓両政権に有無を言わせないほどの強力な「仲介」を行っているものと考えられる。
03. 2014年2月17日 06:42:44 : 1geRdsjJSg 何で関係改善が必要だと思うのだ？ 日本を半島の戦争に巻き込むためにか？ 北朝鮮との国交回復の可能性を引き下げるためにか？ 無数にあるオプションを投げ捨て既存の選択肢に拘泥するなど痴れのようじゃ。
04. 2014年2月17日 10:00:44 : HnMBOBD5r0 朝鮮日報が、米国が日韓会談をオバマの韓国訪問の条件にしている・・・と社説で抗議していたね。 ま、これは、オバマ訪日前の実現は無理なんじゃないの。日本政府としては、日本側が積極的に、会談を働きかけていることを、アピールできればそれでいいというスタンスだと思うけどね。 で爺

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