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TPP、食の安全に重大な脅威の懸念〜添加物、残留農薬、検疫の規制緩和の問題点  ビジネスジャーナル
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投稿者 初心に帰るお天道様に恥じない生き方 日時 2014 年 3 月 08 日 00:59:59: 4hA5hGpynEyZM
 

2月25日、シンガポールでのTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)閣僚会合が、昨年10月のバリ島(インドネシア)でのTPP首脳会合、同12月のシン ガポールでの閣僚会合に引き続いて大筋合意をすることなく終了した。共同声明では、次回会合の見通しさえ言及されなかった。
 翌日の各紙の1面見出しは、『TPP暗礁』(東京新聞)、『TPP長期化必至』(読売新聞)『日米、TPP平行線』(朝日新聞)、『TPP針路見えず』(毎日新聞)と、一様にTPP交渉が行き詰まっていることを表現した。
 TPPは、農林水産業だけではなく食の安全にも脅威を与えるものであり、多くの国民の議論が必要なものであるが、情報はほとんど国民に提供されていない。その脅威とは、輸入関税がゼロになることによる輸入食料の急増と非関税障壁の撤廃がもたらすものである。
(1)輸入食品の急増がもたらす食品検疫体制の機能低下
 TPPでゼロ関税となると、米をはじめとして多くの農産物が輸入農産物に置き換わり、国内生産が減少する。
 農林水産省の試算で明らかになった生産減少率は、米が90%、小麦99%、大麦79%、インゲン23%、小豆71%、落花生40%、甘味資源作物 100%、でんぷん原料作物100%、コンニャクイモ90%、茶25%、加工用トマト100%、柑橘類9%、リンゴ9%、パイナップル80%、牛乳乳製品 56%、牛肉75%、豚肉70%、鶏肉20%、鶏卵17.5%となっている。需要が変わらなければ、この生産減少分は輸入に置き換わる。
 この試算に基づき生産減少で置き換わる農産物の輸入量を計算すると、1628万2000トンになる。2011年の食品輸入量が3340万7000トンであるから、TPP加入で食品の輸入量は、4968万9000トンに急増し、現在の輸入量の1.48倍になる。
 これにより輸入食品の検査体制はどうなるか。
 現在、輸入食品の検査は399人の食品衛生監視員によって担われている。この食品衛生監視員による検査は行政検査といわれているが、検査率は、 2011年はわずか2.8%であった。また、行政検査はモニタリング検査であり、検査結果が出るまで輸入を認めない検疫検査でなく、検査結果が出るのは私 たちの食卓に輸入食品が届いてしまった後になる。
 11年は、民間の検査機関(登録検査機関)による検査が8.6%を占めていたため、全体の検査率は11.1%になった。それでも検査率は1割強で、約9割弱の輸入食品は無検査で輸入されていることになる。
 このような現在の検査体制でTPP加入により食品の輸入量が1.48倍になれば、全体の検査率は7.5%に落ち込み、行政検査率は1.89%と過去最低の検査率に落ち込むことになる。とても国民の食の安全を守れるような検査率ではない。
 本来、日本のような世界一の食料輸入大国では、食の安全の確保のためには水際の輸入食品の検査体制の強化が不可欠である。少なくとも輸入食品の検 査率を5割に上げるとともに、食品衛生監視員による行政検査を、「輸入食品の検査結果が出た時点ですでに食卓の上」というモニタリング検査でなく、検査結 果が出るまでは輸入を認めないという本来の検疫検査にする必要がある。
 このためには、食品衛生監視員を現在の399人から約3000人体制に抜本強化しなければ対応できない。しかし、政府は、このような強化の方向性は持っていない。
(2)危機に直面する残留農薬問題-ポストハーベスト農薬が増加
 11年2月1日に外務省は、「TPP交渉の24作業部会において議論されている個別分野」を公表したが、その冒頭に次のような記述がある。
「今後の交渉次第で複数の作業部会の成果が一つの章に統合され、または、『分野横断的事項』作業部会のように作業部会の成果が複数の章に盛り込まれる可能性もある」
 ここでは「分野横断的事項」がクローズアップされているが、同事項で検討されているのは、食の安全基準であり、外務省発表文では次のようになっている。
「同一物品に対して適用される基準(例えば食品安全基準)が国によって異なったり、重複する規制が国内規制当局によって適用されたりすることから生 じる企業負担を減らすために、今後新たな規制を導入する前に当事国の規制当局同士の対話や協力を確保するメカニズムの構築を目指す」
 これは、TPPで企業負担を減らすために、食品安全基準の規制緩和を進めようというものであり、特に輸出国の残留農薬基準を輸入国に適用させよう という狙いが明らかである。ここで注目されるのが、米国通商代表部の「2010年外国貿易障壁報告書」である。この報告書は、「米国の貿易に対する重大な 障壁となるこれら特定の種類の措置及び慣行を確認し、撤廃しようとする本政権の努力を明示している」(出典:衆議院農林水産調査室仮訳。以下同)文書だ が、米国政府として、自国にとって「重大な障壁となる措置」を貿易相手国に撤廃させようとしているものである。
 この報告書では、「日本は、ポストハーベスト(収穫後)に使用される防カビ剤を食品添加物として分類し、これに対して完全に独立したリスク評価を 受けるよう要求している。(略)さらに、日本の食品表示法は、ポストハーベスト防カビ剤を含むすべての食品添加物の販売の小売時点における告知を要求して いる。(略)このような要求事項は、日本の消費者が米国産品を購入することを不必要に妨げている」と、ポストハーベスト防カビ剤の食品添加物扱いをやめる よう要求している。
 さらに、農薬の最大残留基準値についても「日本がコーデックスの国際基準に合致した基準値の実施措置を導入するよう、米国は日本に対して強く求め 続ける」としている。コーデックスとは、FAO(国際連合食糧農業機関)・WHO(世界保健機関)の世界食品規格を策定する国際機関で、WTO協定で国際 基準と位置づけられている。
 ポストハーベスト防カビ剤は、柑橘類に使われているOPPとTBZ、OPPナトリウム、ジフェニール、さらに柑橘類とバナナに使われているイマザ リルの5品目である。これらが食品添加物から外され残留農薬扱いになれば、食品添加物表示から外れることになり、輸入柑橘類やバナナにおけるポストハーベ スト防カビ剤の存在がわからなくなる。
 また、残留農薬として使用量が増える可能性があるのに加えて、農薬の最大残留基準値についてコーデックスの国際基準に合致した基準値を導入したら どうなるか。ちなみにコーデックスの残留農薬基準は、ポストハーベスト農薬の使用を前提としたものである。収穫後の農薬使用であるから、農薬残留水準は高 い。このコーデックス残留農薬基準がすべての農産物に導入されれば、ポストハーベスト農薬をいくら使ってもなんの問題もなくなる。
 TPPに加入すれば、このような米国政府が要求している食品安全基準の緩和やポストハーベスト農薬の使用規制緩和が、TPPによる企業負担を減らすメカニズムによって否応なく迫られることになる。
(3)非関税障壁の撤廃で食品添加物の急増が不可避となる
 TTPは、食品安全基準のような非関税障壁による企業負担を減らす規制緩和メカニズムを導入しようとしていが、実はTPPを主導している米国政府 は、食品添加物問題でも日本に対して身勝手な要求をしている。米国通商代表部の「2010年外国貿易障壁報告書」の該当箇所を見てみよう。
「日本の食品添加物の規制は、いくつもの米国食品、特に加工食品の輸入を制限している。米国及び世界中で広く使用されている数多くの添加物が、古い 代替品よりは安全と考えられている新しい添加物を含め、日本では認可されていない。(略)2002年、日本は迅速な審査に関する46品目の食品添加物のリ ストを作成したが、25品目の添加物は、安全に関する広範囲にわたるデータが利用可能であるにもかかわらず、未だ審査及び認可がなされていない。米国政府 は、食品添加物のリストの審査を完了して、食品添加物に関する審査のプロセスを迅速にするよう、日米規制改革イニシアティブを通じて日本に強く要請してい る」
 米国で認められている食品添加物で、日本で認められていない食品添加物を使った加工食品は、食品衛生法違反として現在、日本への輸入は認められて いない。そのため米国政府は日本政府に対して、米国で使われていて日本で使用が認められていない食品添加物の審査・認可を一刻も早くするように躍起になっ ている。
 では、米国で使われている食品添加物は、どれくらいあるのか。
 米国では、約3000品目の食品添加物が使用を認められているとされている。それに対して日本は、指定添加物で413品目、既存添加物で419品目と、米国と比べても2000品目以上も少ない状況である。この差を一気に縮めたいのが米国政府の立場である。
(4)遺伝子組み換え表示の撤廃が交渉目的-TPA法案
 遺伝子組み換え表示が守られるかどうかは、消費者の関心事項である。昨年も米国オレゴン州で安全性の確認されていない未承認の遺伝子組み換えの小 麦が作付け地帯で自生していたということで、大問題になった。これを受け、日本もアメリカ産小麦の入札売り渡しをストップした。安全性の確認されていない 遺伝子組み換え小麦が日本でも流通しかねない事態であった。それだけに、日本の消費者は、遺伝子組み換え表示がTPP交渉で非関税障壁として撤廃されるの ではないかと不安に思っていた。
 これに対して日本政府は、TPP交渉でも日米二国間でも、遺伝子組み換え表示の撤廃問題は議題になっていないと説明してきた。
 しかし、事実と異なる。米国のTPA大統領貿易促進権限法案は、大統領にTPP貿易交渉権を与える代わりに、詳細にTPP貿易交渉の目的を記載 し、それを大統領に実行させることを求めているが、この法案を見れば、米国政府がTPPで何を実現させようとしているかが明らかになる。内容は広範囲にわ たり、物品の貿易、サービス貿易、農産物貿易、外国投資、知的財産、国有企業及び国家管理企業、労働及び環境、通貨などである。
 この中に「合衆国を不利にするような諸手法を撤廃させる」として「バイオテクノロジーを含む新科学技術に影響を与えるような、表示といった不当な 貿易諸制限ないし商業上の諸義務」を撤廃することが明記されている。要するに米国政府のTPP交渉目的に、遺伝子組み換え表示の撤廃が明記されているであ る。それが米国政府の交渉目的であり、日本政府にそれを求めないということはあり得ないのである。
(5)48時間通関の義務化で検疫の規制緩和
 従来TPPは、ニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイの4カ国で開始されてきた。この4カ国のTPP協定(P4協定)が、米国政府が今 進めている12カ国によるTPPの有力なたたき台の一つになっている。そこに盛り込まれている協定内容は、ほぼTPP協定に盛り込まれると見られている。
 このP4協定では、通関手続きが独立の章として取り扱われ、ペーパーレス貿易、至急貨物通関などとともに、加盟国は貨物が到着後48時間以内に通関させることを義務づけている。このような規定を定めているFTA(自由貿易協定)は、日本が締結しているFTAにはない。
 日本がTPPに加入すれば、48時間以内通関が義務づけられることになるが、これでいったいどのような事態が生じるのか。
 09年の財務省調査によると、日本における一般貨物(海上貨物)の輸入手続き平均所要時間は、62.4時間となっている。これだけでも、48時間 にはだいぶ隔たりがあるが、中でも他法令該当貨物すなわち動植物検疫や食品検疫の対象となる貨物についてみると、48時間の倍近い同92.5時間となる。 なぜ、このような時間になるかといえば、畜産物では動物検疫の検査対象になり、農産物では植物検疫の対象になり、食品では食品検疫の対象になるため、その 届け出や検査に時間がかかるからである。
 では、48時間以内通関にするために、輸入手続きはどうなるのか。
 財務省は、予備審査制と特例輸入申告制度(AEO制度)で時間短縮をするとしている。予備審査制とは、貨物が日本に到着する前に、あらかじめ税関 に予備的な申告を行い、税関の審査を受けておくことができる制度である。AEO制度とは、貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された貿易関連業 者を税関が認定し、迅速で簡素な通関手続きを提供する制度である。要は、AEO認定業者が輸入申告した場合は、税関による現物確認検査等はなしで書類審査 だけで通関されるというものである。AEO貨物の通関所要時間はわずか0.1時間とされており、現物確認なしで通関するため、時間が短縮されるのは当然で ある。
 しかし、これはきわめて危険な規制緩和といえる。米国は、輸入されるコンテナ貨物は100%検査をしている。それは、テロの脅威を防ぐためであ る。日本がテロの脅威の例外となる根拠はない。さらに、麻薬等の薬物の密輸も横行している中で、このような規制緩和は、日本のリスクを高めるものといえ る。
 さらに問題なのは、税関の手続き時間を短縮しても、他法令該当貨物、すなわち動植物検疫や食品検疫の時間がどうしてもかかるため、その短縮がなければ48時間をクリアできないことである。
 ここで出てくるのが、動植物検疫や食品検疫の規制緩和である。
 09年7月6日、日本政府は、「日米間の『規制改革および競争政策イニシアティブ』に関する日米両首脳への第8回報告書」で米国政府に対して「厚 生労働省は、関係業界の意見も踏まえ、検疫所における輸入手続きがより効率的に行えるよう引き続きつとめる」ことを約束している。現に、厚生労働省は米国 政府に対して、残留農薬検査で残留農薬基準違反があっても、米国の残留農薬基準が日本と同等の基準の場合は、業界全体の輸入を差し止めないと約束をしてい る。
 以上みてきたように、TPP加入は、日本の農林水産業と食の安全を大きく脅かす可能性をはらんでいるといえよう。
(文=小倉正行/国会議員政策秘書、ライター)

TPP、食の安全に重大な脅威の懸念〜添加物、残留農薬、検疫の規制緩和の問題点  ビジネスジャーナル
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コメント
 
01. 日高見連邦共和国 2014年3月08日 01:10:09 : ZtjAE5Qu8buIw : l4hzFDsOaY

あの“狂牛病”でのアメリカの不遜な対応を見て、学べよ日本人・・・
(苦笑)

02. 日高見連邦共和国 2014年3月08日 07:10:19 : ZtjAE5Qu8buIw : mFuG9qQlTk

21世紀的視点で言えば“自国民のベースカロリー”を支える穀物の“責任自給”を語らない政治家は“偽者”である。

ごくごく簡単なリトマス試験紙でしょ!?
(笑)


03. 2014年3月08日 11:34:39 : MgUnHGgrZg
カロリーベースなんて固定されたものじゃなく、
JAか農林省の指導で作付を変更できれば操作自由自在ですね

04. 日高見連邦共和国 2014年3月09日 12:59:23 : ZtjAE5Qu8buIw : mFuG9qQlTk

わたしゃね、“コメ(稲作)”を神聖視する気はサラサラない。

イザ不作(飢餓)が生じたら、少ないイモを全国民が平等に分け合って飢えを凌ぐ“覚悟”があるのなら、なんも文句は言わない。

そうじゃ無いから、我々生きる糧を生む大地や水を徹底的に破壊しつくす“TPP”なんぞには大反対を表明しておる。

それに“稲作(水田)”という植物(産業)は、とても素晴らしい“システム”だ。
水田が持つ保水機能(特に水の災害の緩衝役)は言うに及ばず、水田が形造る生態系や景観は別格だ。
また、単位収量の多さ、連作障害の無さ、必須アミノ酸の含有、製粉を必要としないなど、稲の長所はほめても褒めきれないもん。
わたしゃ、日本人だからね・・・
(笑)


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