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消費税(付加価値税)の税率アップ実施日に価格が一斉に改定されるのは日本特有
http://www.asyura2.com/14/senkyo163/msg/773.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 4 月 05 日 16:20:24: Mo7ApAlflbQ6s
 


 消費税増税の“必要性”をウソとデタラメな説明で煽るだけで、消費税制度の内実をきちんと説明するという肝心な努力をしてこなかった大蔵省(財務省)官僚の一人が、消費税(付加価値税)の税率アップが実施される日に販売価格が一斉に改定されるのは日本特有の現象と語り、その是正を求めている姿に苦笑してしまう。

 転載する元財務省官僚森信中央大学教授の論考を読めば、昨日投稿した「「税込み」を「税抜き」に 日本の店が消費増税を利用して巧妙な値上げ」( http://www.asyura2.com/14/hasan86/msg/720.html )で紹介した中国人記者による“不可思議な”記事がよく理解できると思う。


 日本国民の多くは、消費税という名称そのものが詐欺だから仕方ないとしても、消費税が消費に課されている税だと錯誤しているようだ。
 消費税を消費に課されている税と錯誤している人は、販売価格が消費税税率アップ実施日に一斉に上がることに不自然さを感じることはないだろう。

 転載する論考の著者である森信中央大学教授は、欧州の事業者には「消費税は価格を構成する様々なコストのうちの一つ」との認識が確立していると書いているが、消費税(付加価値税)の性格や内実に照らせばもっともな話である。

 しかし、日本では、今回の増税に備えるためわざわざ外税表示も可としたように、政府とメディアが一体となって、“事業者が負担する消費税はコストとは別の要素”であり、最終消費者が“負担”するものという考えを刷り込んできた。

 事業者は汗水垂らして稼いだ付加価値(荒利)に赤字でも税金が掛けられることを忌み嫌うが、そのような事業者に消費税導入の理解を得るため、旧大蔵省は消費税についてデタラメな説明を繰り返してきたのである。

 森信氏は、欧州諸国は「インボイス(送り状)」があるから転嫁がスムーズにでき、日本は帳簿+伝票保存方式だから「事業者は粗利に課税される直接税という認識になりがち」のため事業者間での転嫁がしにくいといった説明をしている。
 しかし、インボイスは、買い手が買ってもいいと考える総額価格から付加価値税を逆算して求めて書くこともできる“形式的”なものであり、転嫁の容易性を担保するものではない。

 来年10月の消費税10%への増税時に導入が画策されている軽減税率制度に関わる次のような面白い話が載っている。

「消費税率と価格の関係を考える興味深い事実がある。ドイツやフランスのファストフード店で販売されるハンバーガーは、購入の際にテークアウト(持ち帰り)なら「食料品」扱いで軽減税率、その場で食べると「外食」扱いで標準税率が課せられる(英国は商品の温度で異なる)。だが、多くのファストフード店はどちらの場合も同じ税込み価格に設定している。テークアウトといって軽減税率で購入しその場でたべる「租税回避」を避けるためだが、同じもので異なる税率でも価格は同じ、という事実は、値付けは店側の裁量にあることを示している。」

 ある割合の日本国民は、食品などに軽減税率が適用されると(税込)価格が下がると錯誤している。
 森信氏が取り上げたファストフードの価格現象を知れば、そんなことはないことがわかるだろう。

 軽減税率は、購入価格に課される税率を引き下げるわけではなく、適用を受ける商品を扱う事業者の消費税(付加価値税)の負担を軽減(あるケースでは利益を提供)する制度なのである。


※ 転載する論考は、少し古いもので、今年2月24日の日経新聞朝刊に掲載されたものである。

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価格の一斉改定、日本特有


森信茂樹 中央大学教授

〈ポイント〉
○消費税率引き上げでも値付けの裁量は店側
○事業者間の価格転嫁はインボイスで容易に
○低所得者対策に給付付き税額控除の検討を


 4月1日からの消費税率8%への引き上げを控えて、消費者の駆け込み購入や価格表示変更のニュースが連日報道されている。1997年の消費税率5%への引き上げ時には駆け込み需要と反動減が経済変動を起こしたことから、今回の増税後の経済情勢が大きな関心事となっている。また、事業者にとっては増税分をいかに販売価格へ転嫁するかが課題といわれる。

 しかし、消費税(付加価値税=VAT)率を最近引き上げたドイツ(2007年に16%から19%へ引き上げ)と英国(10年に15%から17.5%へ、11年に20%へ引き上げ)の経済指標を丹念に見ると、増税の前後で駆け込み需要や反動減は見られない。両国とも食料品などに適用される軽減税率は据え置いた要因があるにしても、わが国との違いはどこからくるのであろうか。

 筆者は長年消費税を研究しているが、この違いの要因として「消費税と価格の認識の違い」と「インボイス(送り状)の存在」があるのではないかと考えている。

 かつてフランの税制当局者と会談した際、税率引き上げ前日に小売業者が徹夜して値札を一斉に張り替えるのは、日本特有の現象だと知り驚いた経験がある。彼の言では、フランスの小売業者の多くは次のような認識だという。税率引き上げが決まると、実施前から、商売を取り巻く様々な状況を考慮に入れ、徐々に価格(税込みの総額表示)を改定していく。その際、売れ筋の商品は多めに価格を引き上げ、そうでないものは価格を据え置く。一律に引き上げるのではなく、全体としての売り上げとマージンの確保を念頭に消費税の負担増を消費者に求めていくのである。

 英国では消費税率が10年と11年のそれぞれ1月に2.5%ずつ引き上げられた。その際、小売業者は、引き上げ実施前に始まるクリスマス商戦に大きな価格改定をして、1月には小さな価格改定ですませマージンを確保したという話が、五十嵐文彦・財務副大臣(当時)の英国出張報告に記されている(「ファイナンス」12年11月号)。

 もう一つ、消費税率と価格の関係を考える興味深い事実がある。ドイツやフランスのファストフード店で販売されるハンバーガーは、購入の際にテークアウト(持ち帰り)なら「食料品」扱いで軽減税率、その場で食べると「外食」扱いで標準税率が課せられる(英国は商品の温度で異なる)。だが、多くのファストフード店はどちらの場合も同じ税込み価格に設定している。テークアウトといって軽減税率で購入しその場でたべる「租税回避」を避けるためだが、同じもので異なる税率でも価格は同じ、という事実は、値付けは店側の裁量にあることを示している。

 このように欧州の小売事業者には「消費税は価格を構成する様々なコストのうちの一つ」との認識が確立している。わが国では、円安などから電気代、ガソリン価格、小麦粉などの価格が上昇している。そのような中、消費税の転嫁について転嫁対策特別法を作り、価格表示も外税(税抜き表示)を認める特例まで作って対応することが、実体経済の中でどの程度効果があるのか疑問である。価格は、消費者の需要と事業者の供給で決まるわけで、重要なことは小売業者のマージン確保であり、価格表示の問題ではない。

 一方、卸売業者と小売業者など、事業者間での消費税の価格転嫁はどうだろうか。欧州では、消費税率引き上げ時に事業者間の価格転嫁ができないという話は基本的に存在しない。それはインボイス(正確にはVATインボイス)の存在が大きい。

 欧州の消費税は、転々流通する取引の各段階で、売り手(納入側)が買い手(仕入れ側)に、取引価格(税抜き価格)に係る消費税額をインボイスで請求し、買い手はそこに記載された消費税額を売り手に支払い(図(1))、売り手はそれを国に納税(図(2))、買い手はインボイスによりそれを仕入れ税額控除する(図(3))仕組みをとっている。インボイスにより、売り手(納入側)と買い手(仕入れ側)の税額がクロスチェックされ、買い手はそこに記載された税額を控除することにより、その取引についての税負担が排除される(負担しない)。この制度の下では事業者間の転嫁は確実にできる。

 国家(税務当局)もインボイスによって、売り手から納税される消費税額と、買い手からの控除消費税額の一致を確認できる仕組みになっている。インボイスには取引される財・サービスに係る消費税額の記載が義務づけられ、その信ぴょう性をチェックするための統一番号が付されている。消費税が、脱税が生じにくい優れた税制といわれ、先進国だけでなく発展途上国も含め全世界で普及しているのは、この機能によるところが大きい。
 一方わが国の消費税は、インボイスの代わりに請求書など取引の事実を証明する書類を用いて消費税額を計算し、売り上げに係る消費税額から仕入れにかかる消費税額を控除する方式(請求書等保存方式)を採用している。単一税率であることや、インボイスの発給ができない免税事業者が取引から排除されないようにという配慮からの簡素な仕組みである。この制度では、売り上げから仕入れを差し引いた差額(つまり粗利)に105分の5を乗じた額が消費税の納付税額になる。そのため、事業者は粗利に課税される直接税という認識になりがちで、事業者間での転嫁がしにくい理由と考えられる。

 インボイスは事務コストがかかると敬遠されがちだが、コストがかかるのは軽減税率であり、インボイスはそのコストを軽減させ、転嫁を容易にする役割を持つのである。また、消費税を負担しない免税事業者からの仕入れも消費税相当額を控除できるわが国特有の制度も「益税」批判を招いており、きちんと対応すべき課題であろう。

 最後に低所得者対策について触れる。14年度税制改正大綱では、軽減税率を「必要な財源を確保しつつ、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する」こととされ、導入の是非、タイミング、税率などはすべて先送りされた。軽減税率は、大規模な減収の可能性や、高所得者の恩恵が大きいこと、事業者・消費者のコストがかかることなどの問題がある。

 消費税増税法は低所得者対策として、給付付き税額控除と軽減税率の2つの検討を明記し、その間の暫定的・臨時的な措置として「簡素な給付措置」を実施すると規定している。今回8%の引き上げ時には、住民税非課税世帯への1万円の給付という簡素な給付措置が実施されるが、軽減税率と並んで検討されるべき給付付き税額控除の制度設計は全く進んでいない。民主党がこの制度を主張したという事情はあるにせよ、政治的な恩讐(おんしゅう)を乗り越えて検討を始めるべきだ。

 その際参考になるのはカナダの給付付き税額控除(GST控除)である。この制度は、低所得者(おおむね世帯所得300万円以下)について単身者に年間2万円程度、夫婦2人世帯4万円程度などを定額で給付するものである。申請により当局の審査を経て口座に振り込まれるので不正も少ないといわれている。

 これは「簡素な給付付き税額控除」とも言うべきものである。16年1月から始まる社会保障・税の共通番号制度(マイナンバー)の導入が前提となるが、具体的内容の検討を早急に始める必要がある。

 もりのぶ・しげき 50年生まれ。京大法卒、旧大蔵省へ。阪大博士(法学)。専門は租税法

[日経新聞2月24日朝刊P.23]

 

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コメント
 
01. 2014年4月06日 00:36:08 : eigcf0QzOY
おまえはなんで引き篭もり部屋にいて、偉そうに世界を見てきた気になれるんだ?

阿修羅再デビューの東電2号機に関するとんだご所見もそうだったが。

[12削除理由]:アラシ


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