http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201404130000/

　集団的自衛権を「放置すれば日本が侵攻される場合」に行使できるとする素案を内閣法制局をまとめたのだという。「放置すれば日本が侵攻される」と政府が「判断」すれば、実態に関係なく先制攻撃できるということであり、「集団」を形成するどこかの国が他国を侵略して反撃が予想される場合も含まれることになるのだろう。何しろ、日本はアメリカの「巨大空母」だ。集団的自衛権が「厳格に限定」されるとは到底言えない。

　日本の支配層はアメリカとの同盟関係を強調してきた。そのアメリカは第2次世界大戦後、イランやグアテマラをはじめ、民主的に選ばれた政権を潰している。CIAの破壊工作部門が黒幕になるが、手先に使う軍人、戦闘員、エージェントを訓練、支援する施設、組織もある。

　最近の例をあげると、ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、ウクライナ・・・いずれも偽情報を広めたうえで先制攻撃、施設を破壊し、住民を殺害、市街を火と血の海にしてきた。その攻撃主体はNATOだ。NATOの加盟国がロシアと戦争を始めた場合、自動的にアメリカも参戦することになり、集団的自衛権があれば、日本も戦争の当事者になってしまう。

　元々、NATOはソ連からの攻撃に備えるという名目で創設されたが、アメリカとイギリスはヨーロッパを支配するために使っている。イタリアのグラディオなどメンバー国には秘密部隊が組織され、1960年代から自国内の左翼勢力を潰す工作を実行したきた。（この辺の話は何度か書いているので、ここでは割愛する。）

　1991年にソ連が消滅すると、アメリカは「唯一の超大国」として世界を支配する体制を築こうとしはじめ、NATOを世界展開していく。その手始めがバルカン（旧ユーゴスラビア）。さらに、地中海沿岸（イスラエルや地中海に面したアラブ諸国）、ペルシャ湾岸諸国、中央アジア、南アジア、そして東アジア／太平洋といった具合だ。そうしたネットワークを使い、ロシア、中国、イランなど「潜在的ライバル」を締め上げようとする。第1次安倍晋三内閣がNATOと盛んに接触していた理由もこの辺にあるのだろう。

　東アジア／太平洋では、日本とオーストラリアが中心になると見られている。この両国がアメリカ支配層の主要な手先になるということだ。そのターゲットは言うまでもなく中国。「シーレーン防衛」も中国の石油／天然ガス輸送ルートを押さえるための計画だと見なければならない。

　日本はアメリカは経済的に中国と関係を深めているものの、軍事的には緊張が高まっている。中国も、かつてのような「アメリカ幻想」は持っていないようで、ロシアに接近しているわけだ。

　勿論、ロシアや中国をいきなり攻撃することは難しい。そこで、服ろわぬ国々の中でも比較的に小さな国々を潰していく計画ができあがった。ユーゴスラビアへの先制攻撃を指揮したウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、1991年の段階でポール・ウォルフォウィッツ米国防次官は、シリア、イラン、イラクを殲滅すると語っていたという。

　2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやアーリントンの国防総省本部庁舎ビル（ペンタゴン）が攻撃されて間もなく、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺では、イラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランを攻撃する計画を立てていたとクラーク元最高司令官は語っている。こうした国々を制圧し、最終的にロシアや中国を潰そうということだ。

　EUとロシア、日本と中国との経済的な交流が進み、ドル支配システムが崩れてくると、アメリカを中心とする現在の支配体制は崩壊する。そうした事態を避けるためにも、アメリカやイギリスは平和な時代が来ることを恐れる。EUとロシアの間に存在するウクライナを制圧する重要性はそこにある。

　ネオ・ナチを使ったクーデターで成立したキエフの暫定政権は「親EU」というより、「従米」だ。日本では中国と友好関係を結ぼうとする勢力が潰され、「尖閣問題」の封印が解かれた。朝鮮の言動もアメリカにとって好都合だ。

　こうしたアメリカの戦略は、安倍政権が強引に推進している「集団的自衛権」の問題と深く関係している。言うまでもなく「自衛」とは名ばかりで、きわめて攻撃的だ。外交力も経済力も衰えたアメリカは軍事力に頼るしかなく、ネオコンは核戦争も辞さない姿勢を維持している。日本の核武装もそうした流れの中で進められている。 　

コメント
01. 2014年4月13日 19:30:49 : gAtsOTyWZU コメントしたと思ったのが、どこに行ったか分からないのでもう一回ここに書くけど 天木も指摘していたけど 一昨日くらいに、「ＣＳＩＳ工作員の長島昭久」が しかも分かりやすい、アメリカで、解釈改憲容認をぶち上げたそうで これでハッキリしたのは すべてネオコンの要求どおり事が運んでるってこと ネオコンの要求というだけで、物事が進んでいるよ 他の要因は、無いと言っても過言じゃないね で、ここで提案したいのは 石原慎太郎みたいなこと言うけれど 「戦争の出来る国」とか、そういう感傷的なアピールだけをしていたら これは阻止できないということ いかにも共産党風 この投稿のように、もっと踏み込まないといけない これはイデオロギーの問題ではないから、なるべく避けたいんだ、そういうの 新保守主義（ネオコン）はイデオロギーではない 非人間性の象徴。人類の敵
02. 2014年4月13日 20:20:53 : pHyX7ac0Bw 米国の影響力が減少する中で、日本が同盟を何処とも組まずに独立を保てるのか？ 南シナ海には、今まで米国がサービスで守ってきた日本のシーレーンがある。そこをマトモな空母を持たない日本がアメリカ抜きで守るとすれば、その周辺国と強く連携しなければならないのは明白だ。 もちろん見返りを求めず一方的に助太刀してくれるであろう国なんて、米国以外にはいないだろうさ。もし日本がどこかしらと同盟を組むとなれば、日本が相手国を共に守ることは避けられない。そのとき集団的自衛権が必要とされる。 そりゃ核保有国かつ安保理常任理事国の中国と組めば安心・安全かもしれねえ が、他でもなくそれは戦後70年続いた日米関係の繰り返し、或いはさらに酷いことになりかねない。 けどアベシがさ、「米国抜きの防衛の用意をしなきゃ〜」なんて言えるわけないだろ。あいつビビりだし。 でもよう考えりゃ、アベシがすすめる水陸機動団や敵地攻撃能力の整備は沖縄のアメリカ海兵隊や、三沢の空軍珠玉のワイルドウィーゼル部隊のお株を奪うもんだよな？ あんなことされたら本当は米国は困る筈なんだけど……まあアベシは中国脅 威論を盾にうまくやってると言える。
03. 2014年4月13日 20:55:18 : D5gqEFhwoc 別にアメリカは見返りを求めずに一方的に助けてくれるわけではない。 日米地位協定にあるような、米兵が駐留国の法律で裁かれないというような 条件を必要とするし、間接的には米国企業への市場開放なども求められる。 むしろ直接金銭による対価を払うより高くつくことが多い。 同盟を組んだからと言って相手国を共に守るかどうかはケースバイケース ということになるし、必ずしも同盟とは集団的自衛権の行使を必要としていない。 まぁアメリカの下につくのが一番マシというのは単なる洗脳に過ぎないと言うことは 南米や中東、アフリカの状況を見ればわかる。 最近では韓国も経済的搾取を受けて社会の存続そのものが危うくなってる。 アメリカか中国かという二元論ではなく、柔軟な思考で選択肢は多くあると言うことに 気づかなければいつまでもどこかの属国を続けていくことになるだろうよ。
04. 2014年4月13日 23:00:53 : rPsrPIvK36 ＞０３ その通りです。投稿ではNATOと言っていますが全てはアメリカ。良く考えれば原爆2発も落とされた上日本国中を焼かれ東京では原爆並みに人が死んでいるのを全て忘れて神様仏様アメリカ様は無いでしょう。それでアメリカは戦争をしなくなったどころか戦後も相変わらず人殺しを続けている唯一の国だということも忘れてアメリカに付いて行くのは日本人は考える能力を喪失しているのです。それに忘れてはいけないのはアメリカは戦争を造り出しているのです。止むを得ずの戦争ではありません。日本はもうハマっています。今回は石原がその役目を果たしています。あとは不測の事態が起こるだけです。呆れて物が言えません。
05. 2014年4月14日 01:21:54 : WWoOBHkKak 日本は　官僚等権力機構を守るため 日米安保体制にしがみつき 米軍の沖縄駐留をできるでけ引き延ばし、尖閣で日中関係を煽り敵対関係をできるだけ長く保とうとしているが、長期的な視点からみると、米国覇権から中国中心の世界にいずれはなっていくのだろう。 いくら日本が軍備増強しても、いずれ中国には勝てなくなるのは明らかである。 日本が対米従属から少しづつ緩やかに離れ、東アジアで中国や韓国と良好な関係を保つには長期的な戦略が必要であるが、どうも今の首相には疑問符でいっぱいになってしまう。 原発輸出も武器輸出も いやはや集団的自衛権で自衛隊も輸出するのですか？
06. 2014年4月14日 01:44:19 : pHyX7ac0Bw >>04 だからこそ、アメリカに付いて行かずとも、ましてや中国に従わずとも、他国との対等な同盟によって日本は主従関係を強要するような大国から独立しなければならない。 そこまでして独立する必要がないならそれでも良いかもしれない。そう判断し、平和憲法と非核三原則を掲げてきたのがこれまでの日本の外交ではあるが。
07. 2014年4月16日 00:45:22 : FfzzRIbxkp 集団的自衛権の話の前に、日本はジェノサイド禁止条約に加盟しないとまずいよね。 そうじゃないと、日本政府がまたもや海外でジェノサイドしまくりそう。 それから、この集団的自衛権についてですが、 戦地に赴いている方々のほうが反対していて、　戦地には絶対に行かなそうな人たちの方が賛成している感じ。 投票権を18歳にしようとする話は、経済政策だというし、その経済政策というのは徴兵制と関係しているなんていうと、 集団的自衛権も軍事産業のための経済政策なんじゃないの！と疑う。 米国が防衛費を減らしたつけを日本が支払い中みたいな感じ。

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