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風なきオバマ
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投稿者 あっしら 日時 2014 年 4 月 19 日 05:22:36: Mo7ApAlflbQ6s
 


日経新聞の連載記事:


[迫真]風なきオバマ

(1)友達はペンと電話

 米ホワイトハウス西棟にある大統領執務室。3月中旬、男女の笑い声がこだましていた。あるじのバラク・オバマ(52)と向き合っていたのは駐日米大使のキャロライン・ケネディ(56)。東京に赴任して以来初めてワシントンに戻り、日本政府がオバマを国賓待遇で迎えたがっていることをさりげなく伝えた。

 米政府は当初、オバマの訪日を1泊2日で調整していた。ケネディが面会すると、日本が国賓として最低限必要と求めていた2泊3日に変わった。信頼できる人物の進言なら素直に聞くのがオバマの変わらぬ流儀だ。しかしホワイトハウスを出れば肝胆相照らす友が見あたらなくなる。
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 2月25日、共和党のリーダーで下院議長のジョン・ベイナー(64)を1年2カ月ぶりに執務室に入れたこと自体が話題になった。議会は上下両院で多数派が異なるねじれ状態にある。民主出身の元大統領でオバマが敬うジョン・F・ケネディが定期的にホワイトハウスへ共和党幹部を招いたのとは対照的だ。
 「ベイナーとはゴルフに行ったこともあるさ」。オバマは付き合いが悪いとの批判にこう反論し、続ける。「私は楽しい時間を過ごしたつもりだが、彼らは議会に戻ると、私のことを『おカネを無駄遣いする社会主義者』と批判するんだ」。相互不信はなお渦巻く。
 政治家とうまく交われないオバマは議会と事前に調整する必要のない大統領令に署名し、あとは電話で個別に議員を説得する手法を多用する。オバマ政治を象徴する「ペン」と「電話」。その仕事をホワイトハウスの裏方が支える。
 オバマが昨年8月末にいったん決断したシリア攻撃の見送りを唯一、事前に打ち明けたのは大統領首席補佐官のデニス・マクドノー(44)。オバマが上院議員だったころ外交上級顧問に就いた。国連大使から転身した大統領補佐官(安全保障担当)のスーザン・ライス(49)とともに内政、外交の両輪をなす。
 半面、「側近政治」との批判は強い。彼らは2008年の大統領選を成功体験として共有する。身近な戦友に頼るあまり議会や国際社会とのパイプは細いままだ。
 「夕食の準備ができました」。3月28日のリヤド郊外。オバマとサウジアラビア国王、アブドラ(89)との会談が1時間に近づこうとしたとき、アブドラに1枚のメモが入った。
 夕食会で仕切り直すより、いま話したほうがいい――。オバマはそう判断したのか、メモを無視するかのように、サウジと対立するイランの核問題で対話も視野に入れる持論を述べ立てた。それをみたアブドラは「日程上の都合」を理由に、オバマとの夕食会をやめた。米国の友好国だったサウジの面影はない。
 オバマは米タイム誌に信頼できる世界の首脳として韓国前大統領の李明博(72)を挙げた。ビジネスライクなオバマらしく、李は実業界出身だ。マクドノーら側近は「彼なら一緒に仕事ができる」と満足げに語るオバマを記憶している。
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 ひとたび仕事をしにくいと感じれば、対応が粗くなる。ロシアがウクライナ南部クリミア半島に軍事介入した直後の3月1日、オバマはロシア大統領のプーチン(61)に電話で「クリミアから撤退すべきだ」と迫った。プーチンは即座に拒否したが、米国内で波紋を広げたのはプーチンの反応そのものではなく、ホワイトハウスが公表した写真だった。
 上はカジュアルなシャツに下はジーンズ。執務室で立ったままのオバマは右手を腰に当て受話器をとった。大事な協議なのに、ピザでも注文するかのようないでたちを見た保守派は「不謹慎だ」と批判した。それでもオバマは気に留める様子もなく仕事をこなす。
 4月24日、東京で首脳会談に臨む安倍晋三(59)へのオバマ評は李明博と同じ「一緒に仕事ができる」。一方で国賓では極めて異例なことに妻のミシェル・オバマ(50)が同行しない。3月に娘らを伴い1週間も中国に滞在したことを引き合いに日本側が食い下がっても答えは「娘の学校の都合」。オバマは追い風が吹こうと吹くまいと自己流を貫く。
(敬称略)

 熱狂は遠くなり、オバマ氏は約2年の残り時間と向き合う。訪日を前に政権の表情を追った。

[日経新聞4月15日朝刊P.2]
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(2)妥協案は出るのか

 「我々の政治力を侮ってもらっては困る。日本と妙な妥協をしたら居場所はないぞ」。3月下旬、全米豚肉生産者協議会の副会長でロビイストのニック・ジョルダーノは米通商代表部(USTR)代表のマイク・フロマン(51)を前にすごんだ。

環太平洋経済連携協定(TPP)の日米交渉で牛肉業界と組み「何年かかっても日本の関税をゼロにする」と叫ぶ米豚肉業界。米下院歳入委員長で共和党の重鎮、デイブ・キャンプ(60)も4月2日、議会でフロマンに詰め寄った。「本気で市場を開放しないなら、日本を交渉から外すべきだ」。米中部ミシガン州選出のキャンプは自動車産業の声も吸い上げ、フロマンとは24時間連絡を取り合える。

 法律家のフロマンは大統領のバラク・オバマ(52)とハーバード大で長い歴史を持つ学内雑誌の編集をともに手掛けた。全幅の信頼を寄せるオバマから交渉を任される半面、国内では強硬論に日々さらされている。

 「TPPは高い野心で原則としてすべての関税撤廃を掲げている」。9日午前、内閣府5階。日米協議のために来日したフロマンはテーブルをはさんで経済財政・再生相の甘利明(64)に原則論を繰り返した。「何も変わっていないじゃないか」。関税ゼロの一点張りで迫るフロマンに甘利は厳しく反論。周囲には「わかり合えないほどではないが、相当頑固な人だと思う」と漏らす。

 よどんだ流れを変えるカギはオバマ自身が握る。ワシントンでの今週後半の甘利、フロマンの再協議を控え先週、オバマの肉声が交渉関係者に伝わった。「中国に高度な自由化で合意したTPPを突きつける」。日本側は「早期妥結の指示か」と色めき立った。

 「すべての道はアジア太平洋経済協力会議(APEC)に通ず、だ」と米政府高官は語る。オバマの視線の先にあるのは11月10〜11日に中国で開くAPEC首脳会議。直前の11月4日に米中間選挙がある。内外に成果を示すためAPECを最後の締め切りにしたいオバマはTPPの「年内合意」を掲げ続ける。

 妥協案は出るのか。「オバマは話したいことがあるときは回りくどく言わなくて、冗談も言わないビジネスライクな人だ」。首相の安倍晋三(59)は3月下旬にオランダのハーグで会った印象を周囲に語った。安倍は24日の日米首脳会談で、オバマの直言を受け止める。(敬称略)

[日経新聞4月16日朝刊P.2]
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(3)一人ではできない

 3月21日、珍しくスーツとネクタイを身につけたフェイスブック最高経営責任者(CEO)、マーク・ザッカーバーグ(29)が硬い表情でワシントンのホワイトハウスに入った。同行したのはグーグル会長のエリック・シュミット(58)らネット・IT(情報技術)業界の大物経営者。個人情報をひそかに収集していた米国家安全保障局(NSA)の改革案を巡り大統領のバラク・オバマ(52)に不満をぶつけた。「端的に言えば、政府の取り組みは不十分です」

 2011年2月にシリコンバレーで、今は亡きスティーブ・ジョブズ、オバマとテーブルを囲み乾杯したザッカーバーグ。3年たって蜜月は一変し「政府はネットの脅威であってはならない」と批判を強める。グーグルのシュミットも3月中旬、業界の会合で「10年に中国人が当社をハッキングし、13年にはNSAがハッキングした」と皮肉たっぷりに語った。

 2月14日、米南部テネシー州にある独フォルクスワーゲンの工場で、全米自動車労組(UAW)への加入が従業員の投票で否決された。「UAWやオバマには何も期待していないよ」。工場で働くクリント・バーチ(27)は吐き捨てた。

 外国車メーカーの組合をつくることは100万人の組合員を束ねるUAW委員長、ボブ・キング(67)の悲願だった。だが秋の中間選挙をにらむ野党、共和党は猛然と切り崩しに出た。テネシー州選出の上院議員、ボブ・コーカー(61)は「州の経済、雇用にとって害でしかない」と訴え、州議員らも脅しをかけた。「UAWに入るなら工場への補助金を打ち切る」。保守的な南部に切り込もうとしたオバマは「共和党は労働者の方向を向いていない」といさめたが、逆風はやまなかった。

 企業や労働者との距離が広がる背景には、景気回復でオバマが頼られなくなった面もある。旧知でゼネラル・エレクトリック(GE)CEOのジェフ・イメルト(58)を座長にした産業競争力の強化をめざす諮問会議は休眠状態が続く。
 3月11日夜、米大手投資会社ブラックストーン・グループがニューヨークの5番街で開いた政治資金パーティー。出席するのに1人330万円もする会合に顔を出したオバマは待ち構えたヘッジファンドの創業者らを前にこぼした。「議会は力を持っている。私ひとりではできないこともある」
(敬称略)

[日経新聞4月17日朝刊P.2]

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(4)危機頼みの結束

 3月21日夕。北京を訪問中の米大統領夫人、ミシェル・オバマ(50)に予定外の会談が入った。相手は中国の国家主席、習近平(60)。場所に指定された釣魚台迎賓館「養源斎(ようげんさい)」は中国側がここぞという時に使う特別な部屋だ。

 夫人の彭麗媛(51)と出迎えた習は「ご主人とは電話などでよく連絡を取っているのですよ」と笑顔で語りかけた。ミシェルはジョークを交えて応じた。「夫とハーグで面会するそうですね。ずっと会っていないのでよろしくお伝えください」

 ミシェルをもてなして3日後の24日、習はオランダのハーグで米大統領のバラク・オバマ(52)に切り出した。「あなたが最近送って下さった書簡を熟読しました。『新しい大国関係』を築きたいと改めて表明されたことをありがたく思います」。オバマは直接答えず、ウクライナ情勢に話題を切り替えた。「我々と一緒に行動することが中国の利益になります」

 「新しい大国関係」は習が2012年2月に国家副主席として訪米した際に初めて唱えた。オバマは米国と対等をめざす印象も含む「中国製の理念」(米高官)を受け入れたくないが、言葉に違和感はない。あえて明確に応じなかったオバマにお返しするかのように、習はウクライナ問題で連携を促す呼び掛けに「客観的な立場を堅持します」と素っ気なく答えた。

 ロシア大統領のプーチン(61)は自制を促すオバマに耳を貸さず、中国の習は巧みに間合いを測る。悩めるオバマはドイツ首相、メルケル(59)を頼る。
 「どうやってロシアに対抗するべきだろう」。この1カ月、ほぼ週1回のペースで電話をかけるオバマは10日もメルケルの意見に耳を傾けた。メルケルは通訳を介さずにプーチンとじっくり話せる数少ない西側首脳。メルケルの右腕である財務相のショイブレ(71)は「プーチンと語った内容を欧米首脳に伝えている」と証言する。

 半年前の昨年10月、オバマとメルケルの関係は最悪だった。米当局がメルケルの携帯電話を盗聴していた疑いが発覚。激怒したメルケルは電話で「事実なら絶対に許せない」と抗議し、オバマをあわてさせた。
 ドイツでは盗聴疑惑への追及が鈍る半面、メルケルが5月に訪米する日程が急浮上している。米独間の変化は、危機対応でしか結束できないオバマ外交の弱さも映し出す。
(敬称略)

[日経新聞4月18日朝刊P.2]
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(5)見据える2016年

 「彼のことはよく知っています。侮辱に過敏ないじめっ子ね」。8日、米サンフランシスコ。マーケティング会社が開いた会合で、ヒラリー・クリントン(66)は前国務長官の経験を披露しながらロシア大統領のプーチン(61)を非難した。

 4月初旬の1週間でクリントンは西海岸の3州を駆け回り、5つの会合で講演した。「まるで選挙遊説ですね」。司会者が2016年大統領選に水を向けると、「思案中です」と余裕たっぷりに笑みを浮かべて回答。「大統領になりたいか、勝てるかは難しい問いではない。難しいのはなぜ出馬したいのか、自分がどう貢献できるかです」。聴衆は一気に沸く。

 決戦はまだ2年以上も先だ。本人は思わせぶりな言い方にとどめても、米政界は民主党の本命のクリントンが歩を進めたと受け止める。ロシアやイランに強硬な発言を続けているのは、外交で弱腰批判を受けるバラク・オバマ(52)と距離を置く戦略と映る。
 期待だけでなく集金マシンの準備もフライング気味に進む。1月末、無制限に政治献金を受けられる「スーパーPAC」と呼ばれる政治団体で、12年のオバマ再選を支えた「プライオリティーズUSAアクション」がクリントン支持を鮮明にした。オバマ陣営の選対本部長だったジム・メッシーナ(44)とクリントン支持者の大物、前ミシガン州知事のジェニファー・グランホルム(55)が共同委員長に就任。民主党の二枚看板を支えてきた2人が「12年の成功を16年に再現する」と手を携えた。

 大統領夫人としてクリントンの後輩、ミシェル・オバマ(50)は16年を静かに見据える。「数年後どこにいようとも、この取り組みを続けます」。11日、負傷兵の介護にあたる家族への支援策を発表した際、自らの人生設計の一端に触れた。
 ミシェルが掲げる健康増進や家族愛は争点化しにくい。「2人目の大統領」といわれ夫のビル(67)より強く医療保険改革の旗を振り、議会の反発で挫折したクリントンとは好対照だ。
 ミシェルは14日、ワシントン郊外の病院で負傷兵の子供らにクッキーを配って回った。「あなたのお父さんを誇りに思う」。生き生きと慈善活動に打ち込む姿は政治の駆け引きになじめない夫が望む余生を先取りしているようでもある。
(敬称略)

 吉野直也、矢沢俊樹、芦塚智子、森安健、赤川省吾、杉本貴司、坂口幸裕が担当しました。

[日経新聞4月19日朝刊P.2]

 

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