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連続ドラマW「トクソウ」の原作者・郷原信郎が明かす「特捜検察に「事実の徹底究明」を求めることの限界」(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/839.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 5 月 02 日 08:30:22: igsppGRN/E9PQ
 

連続ドラマW「トクソウ」の原作者・郷原信郎が明かす「特捜検察に「事実の徹底究明」を求めることの限界」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39145
2014年05月02日(金) 郷原信郎 現代ビジネス


 WOWOW×現代ビジネス特別連載第3回


文:郷原信郎(弁護士、元東京地検特捜部検事)

■昔のような乱暴な捜査はできなくなった

昨年秋から今年にかけて、政治家とカネを巡る大きな問題が二つ浮上しました。一つは当時の猪瀬直樹・東京都知事が医療法人徳洲会から都知事選直前に5000万円の資金提供を受けていた問題。もう一つが、みんなの党・渡辺喜美代表(当時)が化粧品メーカー大手・DHCの吉田嘉明会長から、2010年の参議院選直前と2012年の衆議院選直前に合計8億円もの資金提供を受けていた問題です。

猪瀬氏も渡辺氏も、これらの資金提供について選挙運動費用収支報告書や政治資金収支報告書に記載がありませんでした。そして口をそろえたように「個人的借り入れ」とし、法的な問題はないと主張しました。

しかし国民の目に触れないところで、このような巨額の資金のやり取りがあったことに当然ながら世論は大きく反発しました。その反発の強さに抗しきれず、猪瀬氏は都知事を辞職、渡辺氏は党の代表を辞任しました。

政治的、道義的責任から言って、二人の辞任は避けられませんでしたが、世論の中にはそれだけにとどまらず、資金授受の意図やその実態を解明し、法的責任の追及を求める声も上がりました。実際、市民団体などが二人を刑事告発しました。

マスコミの中には「かつての特捜部だったら、絶対に逮捕・起訴している案件だ」という人もいます。

確かに、主任検事が思い描いたストーリーに沿った供述が得られるよう被疑者や参考人を対象に強引な取り調べを行っていた時代の特捜部なら、狙いを定めたターゲットを贈収賄や公選法違反で逮捕できたかもしれません。しかし、大阪地検特捜部の郵便不正事件をめぐる証拠改ざんなどの不祥事や東京地検特捜部の陸山会事件をめぐる虚偽捜査報告書作成などの不祥事で、検察に対する信頼は地に堕ち、昔のような、乱暴な捜査はできなくなっています。

現在の裁判所はそうした取調べがなされていないか丹念にチェックするようになりました。そういう意味で、「政治とカネ」問題についての検察の捜査・起訴のハードルは高くなっています。特捜部には、慎重かつ緻密な捜査が求められています。

■政治資金規正法違反にあたるかどうか

猪瀬氏の件と渡辺氏の件とを、多額の「選挙資金」の提供の刑事事件のように同列に扱い、5000万円の猪瀬氏の事件が公選法違反で略式請求され罰金刑になったのだから、渡辺氏の事件は公選法違反で公判請求されるのが当然、というような論調も見受けられました。

渡辺氏のケースでは、資金を提供したDHCの吉田会長が「選挙に関する資金だった」と認めているので、それが選挙運動費用収支報告書に記載されていなければ、「借入金が選挙資金だったのなら、公選法違反に当たる」と言っている人もいました。

しかし、公選法が選挙運動費用収支報告書の提出を義務付けているのは、「公職の候補者」「候補者届出政党」「参院名簿届出政党等」「推薦届出者」です。

猪瀬氏の件は、自らが都知事選挙に立候補するに当たって、徳洲会の理事長に挨拶に赴き、その後に、徳洲会側から5000万円のお金を受け取ったというのですから、猪瀬氏の都知事選挙に関する資金提供が強く疑われます。立候補した猪瀬氏は、5000万円が「選挙に関する収入」であれば、収入欄に記載しなければならない。それが記載されていなかったことが公選法違反に問われたのです。

しかし、渡辺氏の方は、2010年の参議院選挙と2012年の衆議院選挙の選挙資金の趣旨で8億円を受け取ったとしても、それがどの「公職の候補者」の選挙運動資金として、いくら提供されたが具体的に特定されていないと、選挙運動費用収支報告書の記載の問題にならないのです。

むしろ、この8億円は、政党である「みんなの党」が選挙運動を行うための「政治資金」と捉えた方が実態に合っていると思います。では、政治資金の収支の公開を義務付けた政治資金規正法違反にあたるかどうか。

問題は、この多額の資金提供が誰に対するものなのか、ということです。もし、みんなの党やその支部に宛てられたものであれば、寄附であっても、貸付であっても、政治資金の収入として政治資金収支報告書に記載しなければならないので、それを記載していなければ、不記載罪か虚偽記入罪が成立します。

また、「吉田氏から渡辺氏個人への寄附」だったとすれば、政治家個人への寄附を禁止する規定に違反することになります。しかし、この8億円については、DHC・吉田会長も渡辺喜美氏も借入金だった説明しており、金利の約束も借用書もあります。しかも、資金提供は、渡辺氏の個人口座への振り込みという形で行われています。「みんなの党の選挙資金として」渡辺氏個人に貸し付けたということであれば、政治資金規正法違反を問うことも難しくなってしまうのです。

■摘発のために恣意的な法適用は許されない

特捜検察の大きな使命は、政治家や官僚の腐敗・汚職を摘発することにあります。かつては贈収賄での立件がメインでしたが、職務権限の問題もあり、また、政治家にダイレクトに賄賂が渡るようなやり方はとられなくなったので、贈収賄という武器はほとんど使えなくなっています。

そこで特捜検察が武器にしてきたのが政治資金規正法です。また、公選法も、武器として使う余地があります。

しかし、政治資金規正法は、政治資金の収支を公開して、政治の透明性を高めることを基本的な理念としている法律であり、政治資金そのものを「不浄の金」である賄賂と同視しているわけではありません。政治資金規正法の罰則を贈収賄の代わりに使っていこうとすることにはもともと無理があります。

公選法も、選挙に関するルールであり、本来、あらゆる候補者に公平に適用されなければならないものです。特捜部の摘発のために恣意的な法適用をすることは許されません。

政治とカネに絡む事件は国民の側から「事実の徹底究明」を求める要望が高い事件になりますが、いまの特捜検察に、それを求めることには限界があります。無謀に逮捕・起訴に突っ込んでいく「特捜検察」の暴走が、どれだけ恐ろしいものか、私が「由良秀之」のペンネームで書いた推理小説『司法記者』を原作とするWOWOWドラマ『トクソウ』でも描かれています。

特捜検察に何を期待するのか、改めて考え直さなければならない時期を迎えているのです。


連続ドラマW「トクソウ」(全5話)
2014年5月11日 夜10:00スタート(毎週日曜放送)
※第1話は無料放送です。
http://www.youtube.com/watch?v=2zSm5GzZK2Q


 

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