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スティーヴン・ウォルトの論文をご紹介します(酔生夢死日記)バラク・オバマ大統領のアジア歴訪に関して
http://www.asyura2.com/14/senkyo164/msg/909.html
投稿者 五月晴郎 日時 2014 年 5 月 03 日 23:17:21: ulZUCBWYQe7Lk
 

http://suinikki.blog.jp/archives/6019082.html

古村治彦です。

 今回は、バラク・オバマ大統領のアジア歴訪に関して、ハーヴァード大学教授のスティーヴン・ウォルトの論稿をご紹介します。

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カーテンの裏側にいるあのパンダには注意を払わない(Pay No Attention to that Panda Behind the Curtain )

オバマ大統領が何を発言するかは重要ではない。彼のアジアツアーは中国に関するものでしかないのだ。(It doesn't matter what Obama says -- his Asia trip is all about China. )

フォーリン・ポリシー誌(Foreign Policy)

2014年4月23日

スティーヴン・ウォルト(Stephen Walt)筆

http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/04/23/obama_asia_trip_pivot_china_japan_south_korea

 バラク・オバマ大統領は現在アジアにいる。そして、アメリカの同盟諸国に対して、オバマ大統領が「“アジアへ軸足を移す(pivoting to Asia)”、もしくは“勢力均衡の再構築(rebalancing)”」と言う表現を使ったことの真の意味を再確認させようとしている。しかし、オバマ大統領がアジアに軸足を移そうとしているこの時期にも、世界で起きている出来事は、「アメリカのアジア関与は本物なのか」という疑いを起こさせるものばかりだ。オバマ大統領はそうした疑いを払拭したいだろう。私はオバマ大統領がアジア歴訪中に、同盟諸国から何らかの協力と自助努力を引き出すのではなく、数々の妥協や約束、更には希望を振りまく演説ばかりをするのではないかと心配している。

 今回の歴訪は、他の訪問と同じく、アメリカの信頼性に関する疑いが渦巻く中で行われている。アメリカとNATOがウクライナをこれ以上支援できないようであれば、南シナ海と東シナ海で現在領土の構成を維持するためにアメリカは何が出来ると言えるだろうか?(この疑問の答え:多くの人々がアメリカは何かをしてくれると考えているようだ)しかし、アメリカがウクライナ(もしくはシリア)に関してこれまで以上のことをしたとしても、アジアの同盟諸国に対して、「アメリカはアジアをより重視し、世界中で危機が起きても、アジア重視の姿勢は変えない」ということを示すことになるだろうか? アメリカが何をするにしても、アジアの同盟諸国は、アメリカのアジアにおける存在と戦略的判断に関して疑問を持つことになるだろう。

 率直に言って、アメリカの信頼性についての循環する議論は、馬鹿げたものだと私は考えている。この議論には、アメリカのアジア回帰は真剣なものか、そして、勢力均衡の再構築に関するものが含まれている。アメリカは現在もまだ、アジアでそして世界で最も強力な軍事力を持っている。この状態はこれからもしばらく続くだろう。将来のアジア地域の勢力均衡について疑問を持つのは可能だが、現在の状況がすぐに大きく変わるということはない。そして、増強が続く中国の軍事力が脅威になると言うのなら、日本、韓国、オーストラリアといった国々が自国の軍事力をほとんど増強していないのはどうしてだろうか?彼らは見せかけ程には中国の軍事力増強を懸念していないか、もしくは何が起きてもアメリカが何とかしてくれると信じているかのどちらかだ。軍事力を増強するよりもアメリカの信頼性に関して不満を言う方がより簡単なようである。

 軸足変更・勢力均衡の再構築が本物なのかどうか疑問を持つ必要はない。なぜなら、アメリカの国益にとってアジアはより重要な地域となっていくからである。オバマ政権で国務次官補を務めたカート・キャンベル(Kurt Campbell)とエレイ・ラトナー(Ely Ratner)は最近の論文の中で、アジアの経済成長と中国の台頭に対してアメリカは対応しなくてはならないと指摘している。アジアに対するアメリカの関与の信頼性は、大統領の発言やどれほど頻繁にアジアを訪れるかにかかっているのではない。究極的には、「アジアに関与することがアメリカの利益になる」と他国が確信を持つことにかかっている。もしアジアにおいて主要な戦略的アクターであることがアメリカの利益にならないなら、いくら大統領が演説をし、握手をしてもアジアの同盟諸国を納得させ、安心させることはできない。

 オバマ大統領はアジア歴訪中、何はなくともとりあえず、多くの時間を使って、訪問国の指導者たちに、アメリカがアジアで軍事力を維持することがアメリカに利益になることの理由を説明する必要がある。アメリカのアジア関与は戦略的な慈善事業ではないと言う必要がある。そして、アメリカのアジア関与は、アメリカの利益、地政学、そして、世界で唯一のアジアにおける覇権国であり続けたいという熱望に基づいている。中国が台頭し続け、軍事力を増強し続けるなら、中国はアジア地域における覇権国の地位に就くことになるだろう。アメリカはこれを阻止したい。それは現在のアジアにおける勢力均衡の構造によって、中国はアジア地域の問題に多くの注意を振り向けねばならず、世界の他の地域(それには西半球が含まれている)に関心を持つことがないからだ。このことを声高に述べることは得策ではない。しかし、アジアの「勢力再均衡」政策の長期にわたる目標は、これから台頭してくる強力な中国を封じ込めることである。中国の指導者たちはこのように考えるし、彼らの考えは正しい。

 更に言えば、アメリカにとって、アジア地域における核拡散を抑えることが利益となる。中国は国境地帯(ロシア、パキスタン、インド、北朝鮮)に核武装した部隊を配備している。また、いくつかの国々は、アメリカの安全保障の保証に依存できないとなり、核武装へ舵を切る決心をしている。核不拡散がアメリカの外交政策の核心的な目標である限り、アメリカがアジア地域に留まることが戦力的な利益となるだろう。

 これらの理由のために、アジアにあるアメリカの同盟諸国は、アジアにおいてアメリカが軍事力を維持し続けるのか、アジアの同盟諸国の安全保障に関与し続けるのかについて疑問に思う必要はない。アメリカのアジア関与は地政学的理由から発生したものであり、アメリカ独自の戦略的利益に基づいたものである。オバマ大統領がこうしたことを簡潔に、明確に、そして力強い言葉でアジアの同盟諸国の指導者たちに説明したら彼らを喜ばすことができるだろう。そして、アメリカの存在がアジア地域の安定にとって、長年にわたり防御壁となって来たことを彼らに思い出させることになるだろう。

 しかし、不幸なことに、オバマ大統領がアメリカの関与を保証してもそれだけで、アジアの同盟諸国のリーダーたちを安心させるには不十分であろう。私が以前にも述べたが、アジアの同盟諸国は移り気であり、彼らとの関係を維持することは、これから難しい仕事となっていくだろう。アメリカのアジアにおける同盟諸国同士が争いを続けている。日本と韓国の争いが顕著だ。それだけでなく、彼らはアメリカ政府がやることは何事も気に入らないと不満を持っている。アメリカが世界中に目配りをして、結果としてアジアに対して多くの愛と関心を寄せないと感じると、彼らは自分たちが無視されていると不満を言う。インドに関してはそうした不満は一部で正しい。ブッシュ前大統領時代、インドは本当に無視されていた。しかし、アメリカが再びアジアに関与し、これまで以上のことをやろうとすると、アジア地域の同盟諸国は、アメリカがアジア地域の「再軍事化」を行い、新しい冷戦を始めようとしていると批判するだろう。彼らはまた、アメリカのアジアへの関与を使って、自分たちのこれまで以上の「アメリカへのタダ乗り」を正当化する。

 私はオバマ大統領のアジア歴訪がうまくいくかどうか疑いを持っている。オバマ大統領は訪問国の指導者たちに対して、アメリカはアジアに対して今まで以上の時間とエネルギーを傾注することを真剣に考えているが、それは中国を標的としたものではないと語るだろう。オバマ大統領はまた、アジアの全ての国々がより豊かになることができる、平和なそして安定したアジア地域の存在を望むと明確に述べるだろう。そして、オバマ大統領は、深刻な地政学は「20世紀の遺物」であるという姿勢を示すだろう。結局のところ、オバマ大統領は、アジア地域のアメリカの同盟諸国に対して、アメリカ政府は彼らを支援するが、アジア地域の緊張を高めるような方法で支援することはないということを明確に述べるだろう。

 しかし、今がこれまでとは少し内容が違う会話をするべき時期なのかどうか私は疑問を持っている。オバマ大統領は、これまで述べた理由で、「アメリカはアジアの勢力均衡を維持し、中国の覇権拡大を阻止するために努力する」ということを述べるべきだろう。しかし、恐らく、オバマ大統領は、アメリカはアジア地域の勢力均衡と同盟諸国の安全保障について留意はするが、同盟諸国が自力でやれること以上のことをアメリカはできないし、やるべきでもないということを同盟諸国の指導者たちに気付かせる方法を見つけねばならない。オバマ大統領は、アジア諸国の指導者たちに対して丁寧に次のように述べるべきだ。「アメリカは強力で信頼に足るアジアの同盟諸国とのネットワークをこれからもリードしたいと望んでいるが、自分たちの問題を自分たちで対処するという決意がなければそれも難しい」

 言い換えるなら、アジア地域における同盟諸国との同盟の信頼性は、私たちの問題と言うよりも、彼ら自身の問題と言えるのだ。

アジアにおける現在の勢力均衡を維持することに貢献することは、アメリカの国益につながることではあろうが、それを安く(低コストで)済ませることはできないだろう。それでも、必要な支援や援助を多くのアジアの同盟諸国に与えることはそれだけの価値があることであろう。私がオバマ大統領に希望するのは、ただアジアに飛んで行って、同盟諸国の指導者たちと握手をするだけでなく、彼らに対して、私たちアメリカのために何をしてくれるのか、そして、自分たちのために何をするのかを是非質問してみて欲しいというものだ。

(終わり)  

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