４月１７日の衆院総務委員会で、日本維新の会の上西小百合衆院議員（３１）＝比例近畿＝が「早く結婚して子供を産まないと駄目だぞ」とヤジを浴びた問題で、大西英男衆院議員（６７）＝東京１６区＝が４日、ヤジは自分が飛ばしたと認め、上西氏に電話で謝罪した。

　大西氏は４日夕、毎日新聞の取材に応じ、ヤジについて「私の信念。セクハラや女性蔑視ではない」と語った。

　「結婚して子供を産まないと駄目」という内容について、「政治家として少子化対策を発言するなら、自ら社会的責任を果たさないといけない、という思いがある。（自分の）子供にも『結婚しろ、子供もどんどん作りなさい』と言っている」と釈明。その上で「それを他人に強要してはいけない。子供のできない方もいる。そういう方に不快感を与えたなら反省し、慎まないといけない」と語り、「私の生きがいの源泉は家庭の力。ぜひ結婚しようと、言ってるだけだ」と付け加えた。

　都議時代の大西氏について、現役の女性都議の一人は「当時から『ヤジ将軍』として有名だった。都議会では昔から品のないヤジが許容され、国会でも同じことをやったのではないか」と話す。

　都議会で先月１８日、塩村文夏（あやか）議員（３５）に「早く結婚した方がいいんじゃないか」とヤジを浴びせた鈴木章浩議員（５１）は、ヤジの意図について「少子化、晩婚化の中で早く結婚をしていただきたいという思いがあった」「誹謗（ひぼう）するためではなかった」などと説明していた。【本多健、和田浩幸】

http://mainichi.jp/select/news/20140705k0000m040133000c.html

　４月の衆院総務委員会で、総務相らに質問していた日本維新の会の上西小百合衆院議員（３１＝比例近畿）が「早く結婚して子どもを産まないと」とセクハラやじを受けた問題で４日、発言主が自民党の大西英男衆院議員（６７＝東京１６区）だったことが分かった。

　ヤジ発言者だったことが分かった大西氏の地元、東京都江戸川区松島の事務所周辺では冷静な声が多かった。和菓子店を経営する女性（７５）は「発言自体は問題だけど、マスコミが騒ぎ過ぎよ。女性がもっと強くならないと」。区議を夫に持つ女性（４１）は「子供に関することはデリケート、産めない人にとってはショックが大きい」とした上で、「報道で知る限り、都議会の方（塩村文夏都議）に比べて、受け答えはオトナだったと思う」と指摘した。

　［2014年7月5日9時27分　紙面から］

http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20140705-1329000.html

　日本維新の会の上西（うえにし）小百合議員（３１）＝比例近畿ブロック＝が４月の衆院総務委員会で「まず自分が子どもを産まないとダメだぞ」とヤジを受けた問題で、自民党の大西英男議員（６７）＝東京１６区＝が４日、自身の発言だったと認めた。相次いで発覚した議会での女性蔑視発言。問題の裾野は広く、根は深い。

■女性蔑視を否定

　大西議員は４日午前、上西議員に「ご迷惑をおかけして申し訳ない」と電話で謝罪。朝日新聞の取材に対して「女性だけでなく、男性の若手にも『日本のためにも、早く結婚して子どもをつくった方がいい』と言っている。女性蔑視とは考えていない」と話した。

　３日は「記憶は鮮明でなく、（発言したか）覚えていない」と主張。「真実を語る人間をセクハラだとか言って『魔女裁判』にするような風潮が、少子化・晩婚化を進めている一因にもなっている」などと答えたが、その後、総務委員会の映像を見直して自身の発言と確認できたため、謝罪することにしたという。

　上西議員は４日午後、報道陣に経緯を説明。ヤジに追随して、自民党席から拍手や笑い声が起こったと振り返った。総務委員会は、委員４０人中２４人が自民議員。「非常に残念で情けない。ヤジを発言した方、周囲の皆さんは襟を正してほしい」と語った。

　大西議員は東京都江戸川区議長などを経て、１９９３年から都議を４期つとめた。１２年の衆院選で初当選した。上西議員は保険会社などを経て、１２年の衆院選で初当選。総務委員会では、新藤義孝総務相に人口減の状況や過疎化の解消策を質問していた。

■自民党内から「これは体質」

　看板政策に「女性の活躍」を掲げる安倍政権。４日も外務、法務、経済産業、厚生労働の各省で一気に４人の女性局長を誕生させたが、足元の自民党で女性の尊厳を傷つけるヤジが相次いで表面化する事態になった。

　大西氏のヤジが報じられた４日朝の閣議後の記者会見では、政権内からも批判が飛び出した。森雅子少子化担当相が「妊娠、出産する女性に対するマタハラ（マタニティー・ハラスメント）だ。断じて許されない」。稲田朋美行革担当相は「女性の活躍を阻害するヤジはまったく好ましくない」と批判した。

　集団的自衛権の行使容認などもあり、報道各社の世論調査で安倍内閣の支持率は下落傾向。女性の反発を受けるヤジの相次ぐ発覚に自民党は火消しに躍起だ。

　石破茂幹事長はこの日、大西氏に厳重注意したことを明らかにし、「党を預かる者として大変申し訳ない」と陳謝。週明けに幹事長名で党所属の国会議員、地方議員に対し、女性蔑視のヤジ発言を慎むことを求める通達を出す。

　都議会でも先月、晩婚化対策を質問した女性都議に自民会派の男性都議が「早く結婚した方がいい」とヤジを飛ばし、会派を離脱する問題があったばかり。党内には「これは自民党の体質だ。ちょっとやそっとでは直らない」（男性の中堅議員）との声もある。

■女性議連、実態を調査へ

　東京都港区の柳沢亜紀区議（３３）＝民主＝は委員会の副委員長だった２０１２年、委員会室で「誰だ、副委員長を女性にしたのは？」というヤジを飛ばされた。スカートをめくられそうになったこともあるという。柳沢区議は民間企業出身。「この問題を機に、民間のようにセクハラを相談できる態勢を議会に作りたい」

　千葉県我孫子市議会の水野友貴市議（３１）＝無所属＝は今年３月、議員と市幹部らとの懇談会で自民系の男性議員に手で頭を押さえつけられ、「そんなんだから結婚できないんだよ」と言われたという。議決での対応への仕返しと感じた。

　議員２３人のうち女性は４人という「男社会」。男性議員が居並ぶ前で、先輩の女性議員から「下着のラインが見えているよ。生理なの？」と言われたことも。「謝罪させて終わりではなく、議員は議会の実態を外に発信すべきだ」。問題をブログで発信する。

　全国の女性議員ら約２００人で作る全国フェミニスト議員連盟は明らかになったヤジは「氷山の一角」とみて、今後、被害実態を調査する方針だ。事務局の小磯妙子・神奈川県茅ケ崎市議（６３）は「女性議員に対する差別は根強い。セクハラヤジに対して議長は注意すべきだし、議員は抗議の意思を表明することが大事だ。市民と共に今後も性差別に厳しく目を光らせていく」と話す。

http://www.asahi.com/articles/ASG746RQ1G74UTIL04H.html