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この国の未来をどう考えるのか。(日々雑感)
http://www.asyura2.com/14/senkyo169/msg/407.html
投稿者 笑坊 日時 2014 年 8 月 04 日 07:55:29: EaaOcpw/cGfrA
 

http://okitahidehito.blog.fc2.com/blog-entry-4251.html
2014/08/03 10:30

 人口減に現政権がアタフタし始めた。ことに地方の衰退が目に余るからと「地方の再生」を目玉にした成長戦略を打ち立てるという。しかし同時に衰退する地方の重みがスッシリとのしかかる記事が8/3付の読売新聞一面に掲載されている。「老朽水道管 更新1兆円」というものだ。

 水道管の耐用年数は40年とされているが、敷設以来耐用年数を超えても更新されていない水道管が全国各地に存在し、漏水や道路陥没の原因になっている。それらを更新するのに必要な費用が1兆円で、それを地方自治体が負担するのは困難だから水道料金値上げで利用者に負担させるしかないというのだ。

 ご存知のように、上水には下水のような強制力はない。何が何でも上水供用地域では上水を引かなければならない、という決まりはない。実際に湧水や地下水の豊富な地域では水道管が通っていても家に引き込まず、湧水や井戸水で生活している地域もある。

 水道料金が天井知らずに高くなれば、井戸を掘る人たちが増えるのは当然のことだ。そうすると水道料金に上乗せする更新費用や水道施設の個々人への割り勘が割高になるのは避けられない。つまり大規模施設は人口減社会では成りたた難くなる、というのがいろんな事業で起こってくると思わなければならない。

 電力事業もそうだ。送電線を全国各地に引いて電気を供給するには膨大なインフラ設備を維持・管理しなければならない。それよりも各地で小発電装置を設置して、各地域内で電気を賄う方が安くつくようになる。

 自然再生エネルギーを高止まりさせるべく官僚と産業界はタッグを組んで操作しているようだが、すでに日本の太陽光パネルが国際相場と比較して異常に高価なことは国民に浸透しつつある。しかも売電する際の電気変換機・レギュレーターの国内価格が異常に高額なのも国民は知りつつある。一体いつまで官僚と産業界は国民を『自然再生エネルギーは高くて不安定だ」という嘘を信じ込ませられると思っているのだろうか。

 この国のダウンサイジング化を進めなければ、やがて来る少子社会で数が少なくなった国民で巨大インフラの維持・管理が出来なくなるのは確実だ。

 安倍政権が目指しているのは国家の弱体化だ。まず女性参画を強力に推進すると称して、家庭から専業主婦を剥ぎ取ろうとしている。子供を産んで育てることよりも、女性はまずは働け、というのが安倍政権の考え方だ。だから配偶者控除も必要ないし、民主党が掲げた『子育て出来る子ども手当』も必要ない。それで人口減になれば『外国人労働移民』を受け入れれば良い、というのだ。若者が安定的な職に就いて家庭を営もうにも『限定正社員』や『残業第ゼロ法案』などで、国民の結婚しやすい環境を徹底的に破壊しようとしている。

 ただ安倍氏の米国ポチぶりだけは健在で、自衛隊を米軍の弾除けに使うべく『集団的自衛権の限定容認』などと安倍流の解釈改憲を『閣議決定』で押し切ろうとしている。中国の日本への軍事的脅威を感じているのは安倍氏の専売特許ではない。

 ただ、米軍が日本の国内に大量駐留している状態で中国が日本へ圧力をかけている現状をどのように分析するかだ。つまり米国は中国に『日本に軍事的圧力をかけても米国は容認する』とのシグナルを送っているのではないかと思わざるを得ない。

 日本が隣国の軍事的脅威に曝されれば曝されるほど、現状では日本は米国に依存しなければならない。それは日本にとって困った状況でも、米国にとっては有難い状況ではないだろうか。それで何らかの中国との取引の材料に使えるなら、願ったり叶ったりだ。

 日本が少子化により弱体化するなら、ますます日本は米国から離れるわけにはいかなくなる。外国人労働者が大量移民してくれば、その大半が中国人ならば、日本の治安は確実に悪化するだろう。それも長い先の話ではない。安倍氏は来年からでも毎年20万人ほど受け入れようとしているのだ。

 1%による支配は安倍政権のブレーンを通して確実に日本国内で進行している。その結果は日本の衰退と米国の完全ポチ化だ。この国の社会インフラの維持すらままならない状況に陥っているにも拘らず、戦後体制の継続死かやっていない官僚と自公政権に危機感は皆無だ。是が非でも99%の国民の側に立つ野党勢力が結集して日本の再生を目指さなければならない。


 

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コメント
 
01. 2014年8月04日 12:12:40 : nJF6kGWndY

地方の貧困化を止めるには、かなり抜本的な社会システムの変革が必要だろうな

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140731/269503/?ST=print 
人類の7割が都市部に住む未来 ポートランドと富山が映す世界最新の街作り
2014年8月4日(月)  馬場 燃


 8月4日号の特集「限界都市 東京」では、冒頭で米北西部ポートランドの都市開発の歴史について紹介した。現在は「米国で最も住みたい街の1つ」に選ばれ、若者を中心に400〜500人の移住者を毎週迎え入れている。不況に喘いだ1980年代に一次産業から半導体を軸とするハイテク産業を集積すると同時に、市内中心部をコンパクトに再開発することで街に活気が戻った。

 約30年かけて街作りを地道に進めたことが功を奏した格好だ。人口減少社会に突入した日本も、各地域が長期的な視点に基づいて都市開発の戦略を練る必要性がある。特集の終章では、右肩上がりの成長という幻想を約10年前から打ち捨て、日本でも長期ビジョンに沿って街作りを進めている富山市に触れた。
世界5都市がコンパクトシティの先行事例
 米国のポートランドと北陸の富山。何らつながりもなさそうな両都市だが、実は共通点が存在する。郊外の開発を極力控える一方で、街の中心部にヒト、モノ、カネの機能を集約する「コンパクトシティ」の先行事例として世界で注目されているのだ。OECD(経済協力開発機構)は両都市に加え、パリ、メルボルン、バンクーバーの5都市について、2年前に分厚い研究書を公表した。
 そもそも、コンパクトシティとは何か。
 OECDは「定義が曖昧で論争の的になることも多いが、近年、都市戦略にとり入れられることが増えている概念。高密度で近接した開発形態、公共交通機関でつながった市街地、地域のサービスや職場までの移動の容易さが主な特徴。健全で理に適った都市開発モデル」と指摘する。経済発展と環境保全――。世界規模で持続可能な街作りが課題になる中、都市の空間をいかに有効利用するかが問われているとの問題意識を示す。
 その上で、OECDはこう予測する。「2050年までに世界人口の70%は都市部で生活するようになる」と。
 なぜか。その一因は高齢者人口の増加だ。過去60年の間に、高齢者人口はOECD諸国(34カ国)で2倍、世界全体では3倍に増えており、この傾向は少なくとも今後40年続くという。人口動態が劇的に変化する中、なるべく都市の中心部に人を集めて生活した方が、効率的な公共サービスを引き続き提供できるほか良好なコミュニティ形成などにつながると見ている。
 最初に、米ポートランドのコンパクトシティ政策について言及したい。ポートランドはオレゴン州の最大都市で、人口は60万人弱。中心部から車を約1時間走らせば、海や山の壮大な自然にたどり着く。

 戦後、堅苦しい東海岸のライフスタイルに嫌気をさした人々が移住し始め、もともと自由を尊ぶ文化が根付く。過去にゲイを公言しながら市長に当選した人物がいることが、この街の自由な気質の一面を物語る。
1979年に「都市成長境界線」を設定
 転機は1979年。林業を主力産業にしていたが不景気で住宅市場が低迷。経済活性化と自然保護が喫緊の課題となり、米国でも画期的な「都市成長境界線」と呼ばれる概念を導入した。これは人口予測を基に、開発できる領域を明確に線引きする政策。現在、境界線の総距離は320キロに及び、市民は基本的にその領域内で生活することが義務付けられる。

 住む領域をなかば強制的に定めれば、郊外で生活する市民が減り、中心部に公共サービスや都市機能を集められるという発想である。ポートランドは境界線を設けるとともに、中心部に路面電車を中心とする公共交通網を整備し、倉庫街を再開発することで高層マンションをはじめとする住宅地を新設した。

 過去30年、衣食住が「20分圏内」で完結できるよう都市開発を進めた結果、都会と自然が共存する住みやすい街として全米から移住者が相次ぐようになった。一般的に米国の中間層は車を利用して郊外に住むことが多いが、クルマ社会から公共交通機関を軸とする歩きやすい街作りに転換したのだ。
境界線外は井戸水の生活も
 ただ、強制力が伴う境界線を定めたことに、市民の反発はないのか。何しろ線外であれば、そこに住みたくても、かなり住みにくい暮らしを強いられる。例えば、水道という基本的な公共サービスが提供されず、井戸水をくみ上げて生活するしかないという具合だ。住民主導の議会が5年ごとに境界線を見直すが、そもそも郊外の暮らしを愛好していた市民にとっては有難迷惑な話だろう。
 実際に境界線を訪ねた。奇妙な感覚だった。

 1本の道路を境に、左は住める地域、右は住めない地域に区分されている。住める地域には住宅、工場、スーパーなど生活インフラがなんでも揃うが、住めない地域は手つかずの自然や農地が広がるばかり。ただ、住めない地域でも、はるか遠くに住宅らしきものが目に付くことがあった。

 この線内ぎりぎりでワイナリーを営むバーバラ・グロスさんに話を聞いた。オーガニックワインを売り物にしており、日本にも一部輸出している。

 バーバラさんは「私の同級生でも、10人に1人は自然が好きだという理由から線外で暮らしている。私自身も、自分の事業が5年ごとに変化する境界線の影響を受けないか常に気にかかる」と話す。
 コンパクトシティ戦略は、市民にとって最大公約数となる「効率化」を追い求める一方、一部の人の生活する「権利」を奪い取る非情さも内包する。ただ、こうした痛烈な措置を講じなければ、都市は無駄な拡散を続け、将来の人口動態に見合う街作りを進められないのかもしれない。
 次に、富山市を見てみよう。
 人口は40万人強で、富山県全体の市民の約4割が住んでいる。ただ、人口は2040年に10万人ほど減るとみられ、高齢化率も4割を超える公算が大きい。従来は「郊外に家を建て、車で移動する」というのが市民の一般的なスタイル。ところが、車を運転できない高齢者が今後増えると、どこにも出歩けなくなる市民が急増する恐れがある。
4割強の市民を中心地に集約へ
 そこで、富山市の森雅志市長は約10年前に「30年先を見据え、将来の世代に責任が持てる持続的な都市に転じなければいけない」と提唱し、公共交通機関を軸としたコンパクトな街作りを目指し始めた。

 街の中心となる富山駅から公共交通機関を延伸し、電車やバスで移動できる環境を整えた。高齢者には「おでかけ定期券」を支給し、1回あたり100円で移動できるようにした。郊外から街の中心地に人を住まわせるため、マンションであれば1戸あたり100万円を助成するなど補助金も用意。街中に子供から高齢者までが交流できるイベント施設を設け、良好なコミュニティ形成にも気を配る。
 構想から約10年。居住推進地域では人口が転入超過に転じ、中心市街地の歩行者数も以前に比べ2割ほど増えた。今後2025年までに中心部に住む市民を現在の32%から42%に引き上げる意欲的な目標を掲げている。
 郊外から都市部へ――。コンパクトシティ政策で先行する両都市が示すように、この流れは世界の様々な街で課題を抱えつつも止まらない可能性が高い。



限界都市・東京〜一極モデル打ち破る新未来図
人口減少で2040年までに半数の自治体が消滅する可能性がある――。増田寛也・元総務相らが警鐘を鳴らした「増田ショック」の余震が続いている。この問題を語る際、抜け落ちがちな重要な視点がある。ヒト、モノ、カネ、情報が一極集中し、人口減の影響とは無縁の存在と受け止められていた東京。これこそが、この問題の本質だということだ。東京圏では今後、高齢者数の激増が確実だ。介護や行政サービスに支障を来す懸念が強まり、これ以上の一極集中は災害リスクを拡大する。限界都市・東京。危機を回避するには、息の長い多様な手立てがいる。東京と多様な地域が共存する。処方箋はここにある。



02. 2014年8月05日 17:31:06 : nJF6kGWndY
 一極集中の弊害ピークに 目前に迫る「東京の限界」  

 人口減少で2040年までに半数の自治体が消滅する可能性がある──。増田寛也・元総務相らが警鐘を鳴らした「増田ショック」の余震が続いている。慢性疾患のように進行してきた人口減と疲弊する地域。政府や自治体はやっとこの「不都合な真実」に向き合おうとしている。だが、この問題を語る際、抜け落ちがちな重要な視点がある。
 地方から人、モノ、企業をかき集め、高度成長を果たし、人口減の影響とは無縁の存在と受け止められていた首都・東京。これこそが、この問題の本質だということだ。行き過ぎた一極集中が地方の活力を奪い、首都の肥大化を招いた。崩れた成長モデルの跡地には、いびつな人口構成に伴う弊害だけが残る。
 東京五輪も決まり、東京圏には今後も若者の流入が続くだろう。だが東京圏の結婚・子育ての環境は地方に比べはるかに劣る。生まれる子供がさらに減り、全国的な人口減に拍車がかかる。しかも東京圏では今後高齢者数の激増が確実だ。介護や行政サービスに支障を来す懸念が強まり、これ以上の一極集中は災害リスクを拡大する。
 高齢者が過半を占める限界集落の危機が喧伝(けんでん)されている。しかし東京が直面する危機はこう呼ぶのにふさわしい。
 限界都市・東京──。

■危機1:2035年には6〜7世帯に1つ…100万の独居高齢世帯
 日本有数の繁華街・池袋を有する東京都豊島区。ここでは65歳以上の高齢者の71%を独居世帯が占めている。民間の日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)が、23区の中で唯一「消滅する可能性がある自治体」の一つに挙げたことでも話題を呼んだ。
 同区では1990年から独居高齢者向けに、安否確認を兼ねた昼食の宅配サービスを展開している。利用者は約1100人。民間業者に宅配を委託し、1食あたり350円分を税金から補助しているが、ここ数年は毎年100人単位で利用者が増加。「今の仕組みのままでは制度が崩壊する」(同区高齢者福祉課)と、危機的な状況に陥っている。
 東京都によると、都内の独居高齢者の世帯数は2035年に10年比1.6倍の100万に達する見通し。実に6〜7世帯に1つに相当する。死後数日〜数カ月たって発見される「孤独死」は2013年に東京23区で約7400件あったが、今後、飛躍的に増えるのは間違いない。

 東京の独居高齢者問題に対し、動き出す企業もある。ヤマト運輸はまず地方で独居高齢者の安否を確認するサービスを開始。今後、東京圏で展開することを視野に入れている。
 青森県黒石市で2013年4月から始めた「見守りサービス」。受託したヤマトのドライバーが市内に住む約1000人の独居高齢者宅を訪ね、配布物を渡すとともに、様子や体調を確認する。万が一、異常があれば市や民生委員に報告するシステムだ。地方では過疎化とともに、これまで高齢者の安否確認を任されていた民生委員自身の高齢化が進み、黒石市のように、民間企業に安全確認サービスを委託せざるを得ない自治体が増えている。
 2014年2月にはヤマトの女性ドライバーが60代の女性の異変に気付いたというケースもあった。このドライバーはドア越しに聞いた女性の声がいつもと違う点に違和感を覚え、近所の親戚に連絡。軽い脳梗塞に襲われた女性はすぐに救急搬送され、事なきを得た。
 「地域を熟知しているドライバーだからこそ対応できた」。ヤマトの越田充・青森南支店長はこう胸を張る。
 荷物を自宅まで届ける輸送網は、今や電気や水道と並ぶ社会インフラに育っている。全国に4000近い集配所を持つ強みが、東京の課題解決の一助になる日が来るかもしれない。
 だが、民間企業であるヤマトに過大な期待はできない。営業戦略部地域・生活支援推進課の引地芳博課長は「東京ではドライバーの負荷が大きく、今は事業展開できる段階ではない」と話す。
 ヤマトは見守りサービスを手掛ける営業所に、単独で採算を取るよう指示を出しているが、年間数百万円の予算投入がある黒石市のケースで、ようやく「トントンから少し黒字の状況」(越田支店長)。大きくもうけられるビジネスとは言い難い。
 100万にも達する東京の独居高齢者世帯に対応するサービス整備には相当な準備期間が必要になる。東京の高齢者はマンションなど集合住宅に住む比率が高く、玄関先にまで行って安否を確認するのが困難なケースもある。こうした都心ならではの問題が事業化の壁になりかねない。

ヤマト運輸は地方で始めた高齢者の見守りサービスを東京で展開することを視野に入れる
 独居世帯の増加は住宅メーカーにビジネスモデルの変革を迫る。30年前に「二世帯住宅」を初めて提唱した旭化成ホームズ。当時は人口が増加していたため、狭小な土地に2〜3階建ての住宅を建てるアイデアがヒットした。だが同居の子供らが家を離れ、残された独居の高齢者には階段の昇降は難しい。「都市部で親子2代で住むモデルは役割を終えたのかもしれない」(シニアライフ研究所の岡田義弘・主席研究員)。
 同社は2014年4月にシニア事業推進部を立ち上げ、自立生活を送れる60〜70代の高齢者を対象にした、見回りサービス付き住宅の建築構想を進めている。
■危機2:未整備の法律、インフラ…医療・介護崩壊
 高齢者が急増するとともに医療や介護の需要も増える。しかし、それを支える東京の基盤は心もとない。国内法が障壁になっている事例もある。
 商社では珍しく医療関連ビジネスを進める三井物産。3年前にマレーシアの政府系投資会社が保有していたアジア最大の病院グループの株式を取得し経営に参画した。
 シンガポール、インド、中国など10カ国で40近い病院(約6000床)を運営するほか、米国では医師など医療人材の派遣業も手掛ける。「チャンスがあれば日本の医療向上に貢献したい」(鷲北健一郎メディカル・ヘルスケア事業第一部長)。アジアなどでノウハウを蓄積する先に、老いる東京を中心とする日本市場を見据えている。しかし、営利企業は病院を開設できないという法律が事業化を阻む。
 亀田総合病院(千葉県鴨川市)の亀田信介院長は「東京は世界で最も高齢化が進む都市になるが、法整備を含めたインフラが整っていない。地方ではなく、東京で近い将来、医療崩壊が起きるだろう」と警鐘を鳴らす。
 「東京での事業展開は経営的にかなり厳しい。保育園やショートステイ、小規模多機能施設などの併設による補助を使って、何とか回している状態だ」
 特別養護老人ホームを中心に、東京都内で6カ所の施設を運営する社会福祉法人、こうほうえん(鳥取県境港市)の廣江研理事長はため息をつく。
 全国屈指の過疎地である鳥取での成長に限界を感じ、東京進出を果たしたのが8年前。だが手始めに東京都北区の浮間に建設した特養(115床)は昨年度、1800万円の赤字を計上した。
 急速に高齢化が進んだ地方では、早くも高齢者の人数が減少に転じている自治体が相次いでいる。地元の介護需要の先細りに危機感を抱いた地方の社会福祉法人などの東京進出ラッシュが起きている。東京都内では地方発の特養が2012年に9件、2013年には7件建設された。しかし、もくろみ通りに成功している事例は多くないという。
 その理由の一つが特養を巡る細かな規制。例えば、個室の面積基準は13.2平方メートルと決まっているため、間取りを自由に設計でき、立地や部屋の面積に応じて柔軟に賃料が決められるサービス付き高齢者向け住宅と比べ、収益を上げにくい仕組みになっている。
 だが最大の難題は都心の地代の高さだ。「坪単価95万円を超えると採算が合わない」(廣江理事長)という現実に阻まれ、実質的に東京23区の多くの場所で、特養を黒字運営できないことになる。
 東京で増え続ける高齢者と、それを受け入れる介護施設の不足。大都市の高齢化問題に警鐘を鳴らす小峰隆夫・法政大学教授は「介護を受けられない高齢者が東京から出ていくことも想定される」と語る。高齢者の受け皿を巡って、3年前に杉並区の田中良区長が掲げた計画が波紋を呼んだ。
 計画は杉並区が静岡県南伊豆町に持つ児童向け施設を特養に転用するという内容。杉並区から電車などを乗り継いでも4時間かかる遠隔地に高齢者を移住させることになる。家族が面会に行きにくいことから、「現代のうば捨て山ではないか」との批判が噴出した。

 杉並区で特養に入所できていない希望者、いわゆる「待機高齢者」は2014年6月時点で約1900人に上る。特にこのうちの1000人はすぐにでも入所が必要な高齢者だという。この問題を解消するため、2021年までに1000床分の特養新設を計画しているが、区内の土地だけではとても対応できない。田中区長は「南伊豆の地代は杉並の20分の1以下。浮いたお金を建物やサービスの拡充に回せば、高齢者に素晴らしい環境を提供できる。現実と理想を斟酌(しんしゃく)した上で、最善の方法だと思う」と利点を強調する。
 特養の一部を地元に開放することから、南伊豆町は待機高齢者の解消と雇用創出効果を見込み、建設に前向きの姿勢を見せている。当初は反対していた静岡県もここにきて賛成に回ったことから、混迷の末に2014年秋にも3者間で特養建設の基本合意書が交わされる運びになった。
 政府は“杉並モデル”を広げようと、移住元の自治体が介護保険料を負担する「住所地特例」の適用拡大へ動き出している。一方、東京都やほかの区などは静観の姿勢を見せる。現時点ですら都内全域の待機高齢者は4万3000人に達しており、早急な対策が必要だが、先行きは不透明な状況だ。
■危機3:中小企業が育たない…消失する企業
 高齢者がひしめく東京は、若者にとっては息苦しさが増すばかりだ。岩手県の郡部出身の矢上真鈴さん(仮名、21歳)は介護関係の専門学校を卒業後、上京した。東京で就職する志を持っていたが、説明を聞くうちに気が変わった。
 「介護士で正社員になっても手取り月収は15万円。東京だとマンションに住んで食事するだけで消えてしまう。好きな洋服すら自由に買えないのは嫌だ」。現在は東京都新宿区の飲食店で週5日働いている。
 介護施設などでの働く場を求めて地方の若い女性が東京に引き寄せられる。だが、満足のいく職を得られず、非正規雇用に甘んじるケースも増えている。10〜20代の独身女性の3分の1が年収114万円未満の貧困層だというデータもある。カツカツの生活を送る環境が婚期を遅らせ、少子化に拍車がかかる──。この負のスパイラルが東京の人口構成をひずませている。

 正規雇用の受け皿となるべき中堅、中小企業が東京で育たない状況がこれに追い打ちをかける。上のグラフが示すように、東京都の企業数は2012年までの3年間で8.7%減少した。リーマン・ショックによる倒産や、過当競争で淘汰された影響もあるが、全国平均の7.9%減と比べても高い数字だ。市場縮小を受け、東京の地銀ですら統合の道を歩み始めた。
 「世界企業となったソニーも当行の取引先から巣立った会社。今は当時のように中小企業を育てられているかというと、そうではない」と東京都民銀行の柿ア昭裕頭取は語る。同行は昨年、同じ東京に地盤を置く八千代銀行との統合を発表した。2行は過疎化が進む地方に比べて取引先企業も多く、地銀の中では恵まれているようにも見える。だが、両行は東京という市場の行方に強烈な危機感を持っていた。

東京を地盤とする八千代銀行と東京都民銀行が統合を決意。東京の企業育成に向けて、攻めの姿勢を貫く
 預金量は都民が2.4兆円、八千代が2.1兆円。中堅企業に強い都民と中小・零細企業に強い八千代と得意分野が異なり、支店の重複も少ない。柿ア頭取は「攻める時期だからこその統合だ」と語るが、余力があるうちに統合し、成長が鈍化するまでに体力をつけておきたいという本音が透けて見える。
 八千代銀の酒井勲頭取が「最近、東京で活躍する大企業は地方でビジネスモデルを作り上げて進出してくるものばかり」と語るように、企業を育む東京の力は衰えている。ライバルがひしめき合って過当競争に陥るだけでなく、企業の系列に組み込まれて斬新なビジネスモデルが生まれにくい。
 東京の隣にある神奈川県でも企業数は7.1%減少している。黒岩祐治知事は特区を申請し、医療や介護、ロボットなど成長産業の研究開発拠点の新設を狙う。「最先端の英知が世界から集まる拠点にしなければ、神奈川県の未来はない」。黒岩知事は強い懸念を示す。
 成長のエンジン役が期待される東京圏の産業基盤が弱くなることは、日本の将来に暗い影を落とす。人口動態の変化は市場としての東京の魅力も失わせかねない。
 下に示した日本政策投資銀行の試算を見てほしい。多くの過疎地を抱え、高齢化と人口減少の渦に一足早く巻き込まれた東北や中国地方では、2035年にかけて食料品や洋服、外食といった身の回りの消費が軒並み急減する。都市圏を抱える関西や東海地方も食料品以外は大きな減少が避けられない。

 注目すべきは首都圏だ。高齢者ほど支出が多い食料品こそ伸びを続けるものの、若年層が市場の担い手である洋服や外食、教育などは2035 年には1割前後小さくなる。需要が縮めば、企業間の競争は激化し、やがて力のない企業は淘汰され、消えていく。「勝ち組」である東京に橋頭堡(きょうとうほ)を築けば、企業としての成長の足がかりをつかめる──。こんなモデルが通用しなくなる時代はもうそこまで来ている。
■針路:人材、企業、資源を呼び込め…東京圏は世界と競争
 戦後、一貫して国内の人材と資源を吸収し、膨張してきた東京圏。2020年の東京五輪開催は地方の若者をさらに引き寄せる強い磁力になりそうだが、少子化や首都直下型地震が起きた場合のリスク、介護や医療の持続可能性の観点からも、これ以上の一極集中に真剣に歯止めを掛ける段階を迎えている。
 東京圏で子育て支援拡充や介護・医療サービスの基盤整備を急ぐのは大前提だ。それと同時に、何十年もかけて形成されてきた東京圏への人の流れを逆流させるための支援策もポイントになる。既に見たような東京圏での介護や医療サービスの脆弱性を踏まえ、高齢者や「元気なシニア」世代などが地方への住み替えを検討するケースの増加が見込まれる。受け入れ自治体とのマッチング機能や情報提供の強化など、個人の意思決定を側面支援する制度整備が検討課題に挙がっている。
 その一方で、東京圏はグローバル経済に対峙する日本の成長エンジンとしての責務を負う。今後は世界の主要都市と同様に海外の高度人材や企業、資源を一層呼び込み、イノベーションや知の拠点としての魅力や競争力を高めることが欠かせない。法人実効税率の引き下げや国家戦略特区を利用した規制緩和など世界の都市間競争に向けた条件整備も必要になる。
 世界の都市と競争する東京圏と主に域内経済で食べていく地方との補完関係を構築することが日本全体の強さにつながる。
(日経ビジネス 安藤毅、馬場燃、白壁達久、林英樹) 


03. 2014年10月27日 07:38:14 : jXbiWWJBCA

「御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」」
コンパクトシティー化を前進させるために必要な視点

医療機能の配置・再構築の議論を急ごう

2014年10月27日(月)  御立 尚資

 前回に「コンパクトシティー作りが待ったなしだ」という話を書かせていただいた。出生率の向上、あるいは高度人材の海外からの呼び込み、といった手を打ったとしても、日本の人口が一定程度減少していくことは間違いない。その中で、より少ない生産年齢人口で社会インフラを支えていく上では、一定の機能集約が避けられないと考える。

 コンパクトシティーの例としてよく挙げられる富山市の場合、2005年の市町村合併前の人口はほぼ30万人だったが、合併後には40万人を超えている。このためか、コンパクトシティーというと30万人程度の中核都市に周辺自治体を集約させる、というイメージで語られることが多いように思える。

 ただ、コンパクトシティーのコンセプトを広く実行していこうとすると、このモデルだけでは立ちいかない。

 例えば、前回ご紹介した「海の京都」の場合、舞鶴市、京丹後市、など相当広域にわたる地域全体で30万人前後の総人口だ。今後の減少を考えても、風土・歴史・文化も少しずつ異なるこれらの地域をすべて1カ所にまとめるというのは、土台無理な話だろう。

 恐らくは、3〜4カ所程度の医療、教育、買い物を中心とした地域拠点を作り、各拠点から一定範囲内をオンデマンド・バスのようなローカル公共交通で結ぶ。一方、拠点間は、鉄道ないし路線バスでつなぐのが、効率的だろう。ミニコンパクトシティー群が一体となって存在するというイメージだ。

拠点ごとに「得意技」を持つことが必要に

 さて、こういったモデルの場合、各拠点がすべての機能を持つのだと、効率性が保てない。拠点ごとに、機能のうちどれかについて、高度なものを担う「得意技」を持つ、ということが必要となるだろうと思える。

 特に、地域の方々にとって、コンパクトシティー化、すなわち都市機能の集約化に対する不安や反対要因の大きな部分を占める医療機能をどう再配置していくかが、このモデルを実現させる上で重要なポイントになる。

 医療の場合、近くにあると便利という類の話と、一定時間以内に適切な治療を受けることが生死を分けるという話を切り分けて考えることが大事だと思っている。

 前者については、税金という形でのコスト負担と利便性とのバランス、そして高齢者等の「足の確保」という議論を詰めていくことが可能だ。

 しかし、後者については、そうはいかない。(少なくとも、日本では)コンパクトシティー構想の場合でも、拠点から離れて住む選択をした人々を強制的に移住させるわけにはいかない。その中で、一定の拠点集約、さらにはミニコンパクトシティー間での機能分担、という議論を具体的に進めていくと、「離れた地域の人たちを見捨てるのか」という反論が必ず出てくる。

 生死に関わる医療の場合、「拠点から離れて住むのは、本人の選択だから」という理屈だけでは済まない部分があり、こういった反論に対しても正面から向き合って、より良い解決策を作る、および、解決策に対しての納得感を醸成する、という地道なプロセスが必要だろう。

 例えば、財政破綻した北海道夕張市の場合、市立総合病院も経営が破綻して、救急医療を担う病院が市内からなくなった。このため、救急車の配置増に加えて、高齢者に対して肺炎球菌ワクチンの予防接種を積極的に行うことにしたという。高齢者の肺炎が非常に危険であるため、救急対応に頼るのではなく、その発生を減らす手立てを打ったということだろう。

議論が必要な4つのポイント

 前出のミニコンパクトシティー群を作っていく上でも、次のような議論が重要になる。

(1)脳梗塞に対する血栓融解剤を用いた治療をできるだけ早く行うために、どういう機能をどこに配置するのが合理的か(あるいは、救急車同乗医師といった拠点病院での治療とは異なったやり方での対応策を図るのか)。
(2)心筋梗塞のような急性の心疾患への対応策として、病院機能の配置見直しに加えて、AED(自動体外式除細動器)の配置増、訓練の徹底といった打ち手をどう組み合わせていくのか。

 これと併せて、次のような議論を進めていくことで、初めて地域の方々からも一定の合意が得られるコンパクトシティー案が出来上がってくるだろう。

(1)各サブ拠点で、どこには脳神経外科と高額な検査機器を配置、どこには循環器に関わる外科・内科両方の高度機能を配置するのか、といった個別診療科についての議論。
(2)救急機能・高度治療機能に加えて、病床数や医療の基本機能をどこにどう配置するのか。

先送りにされ続けてきた「供給状態の適正化」

 話は変わるが、2015年度から2025年度の間に、日本の国民医療費は14.5兆円増加すると試算されている。財政健全化の最大のボトルネックが社会保障費であり、特にその中でも医療・介護分野の伸び抑制が最重要課題となっている。

 一方で、医療費の適正化の大きなドライバーである地域医療圏の中での病院機能や病床数の再配置といった「供給状態の適正化」の議論は、ずっと先送りにされている。このままだと、医療費の伸び抑制の阻害要因になるだけでなく、コンパクトシティー化という別の次元での国民的課題の解決も大きく遅らせる要因になってしまいかねない。

 社会保障費を考える上でも、人口減少に備える上でも、マクロな政策論は非常に重要だ。しかし、その実現を図る上では、地域の実態に根差した「地域医療機能の再構築・再配置」といったミクロの議論も進めていかないと、にっちもさっちもいかなくなる。

 いつまでも大上段に構えた神学論争だけを繰り広げるのではなく、具体的な、地道な議論のプロセスが進むように、政策の優先順位づけ、方向づけについてスピーディーな意思決定を望んでいきたい。もっと言うと、そのために、様々な場で、いろいろな立場の方々と声を上げていきたいと思っている。

このコラムについて
御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」

コンサルタントは様々な「レンズ」を通して経営を見つめています。レンズは使い方次第で、経営の現状や課題を思いもよらない姿で浮かび上がらせてくれます。いつもは仕事の中で、レンズを覗きながら、ぶつぶつとつぶやいているだけですが、ひょっとしたら、こうしたレンズを面白がってくれる人がいるかもしれません。
【「経営レンズ箱」】2006年6月29日〜2009年7月31日まで連載

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20141021/272847/?ST=print


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