安倍晋三首相は第２次政権初の内閣改造を９月３日に行う調整に入った。政権の要である菅義偉官房長官と麻生太郎副総理兼財務相は留任させ、環太平洋パートナーシップ協定（ＴＰＰ）の交渉に当たる甘利明経済再生担当相も留任する方向だ。新設する安全保障法制担当相への就任を打診した自民党の石破茂幹事長は難色を示しており、石破氏の処遇が焦点となる。

　首相は７月３１日、「９月第１週に内閣改造と党役員人事を行う」と表明した。来日するインドのモディ首相との会談が９月１日に予定され、モディ氏は３日午前までに帰国する見通し。首相は２日に自民党役員人事を行い、３日のモディ氏の帰国後に組閣本部を置く方針。副大臣・政務官人事は４〜５日に行う。

　自民党内には「入閣待機組」が５０人程度おり、１８閣僚中１０人超が交代する本格改造になる見通しだ。環境相兼復興相には、自民党東日本大震災復興加速化本部長を務める大島理森前副総裁の起用を求める声が自民党内で出ている。参院枠では、岩城光英参院議院運営委員長の入閣が濃厚。首相が女性登用を目玉にしていることから、小渕優子元少子化担当相らの起用を求める声もある。

　一方、９月の第２週以降には、北朝鮮が拉致問題再調査の１回目の報告をするとみられ、古屋圭司拉致問題担当相は留任の方向。公明党の意向を受け、太田昭宏国土交通相も引き続き起用する。

　党役員人事では、高村正彦副総裁は留任する見通し。幹事長や総務会長など党四役の人事は、石破氏の処遇が決まり次第、本格化させる。政府内には来年春の統一地方選をにらみ、選挙実務にたけたベテランの幹事長起用を求める声がある。しかし、「ポスト安倍」の有力候補である石破氏が入閣を拒んで無役となれば、政権運営の不安定要因になりかねず、石破氏の留任が望ましいとの考えもある。【木下訓明】

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　自民党の石破茂幹事長が７日、初の派閥研修会を開いた。だが、その表情はさえない。９月の内閣改造・党役員人事をめぐり、首相から新設の安全保障法制担当相を打診され、党内で「石破外し」との受け止めが広がっているからだ。入閣して首相を支えるか、無役になって「ポスト安倍」に名乗りを上げるか――決断の秋が近づく。

　「安倍政権を支えるということは、選挙に強くなり、政策を錬磨し、本当に信頼できる友をどれだけ作るかだ」。新潟県・湯沢温泉のリゾートホテルで、石破氏は「無派閥連絡会」の２８人に訴えた。同会は事実上の石破派で昨年１月に立ち上げた。側近議員の一人は「石破氏を首相にするための会だ。夏休みの割には、まあまあ集まった」と話す。

　９月の内閣改造・党役員人事で、石破氏は首相から安全保障担当相の就任を要請されている。党内には「幹事長外し」との見方が広がる中、回答はしていない。石破氏の選択肢は担当相の就任を受け入れる「入閣」か、幹事長の「続投」か、大臣にも党執行部にもならない「無役」の三つだが、気持ちは揺れている。

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