日本人はこの前半の
「慰安婦として連行されたのは事実だから‥」の意味を、まるで分っていない。
分っていないから、すれ違いが続くのだ。戦争は狂気だなどと達観するのはまだ早い。

そこにあるのは宗教感情なのだよ。

日本を非難しているのは、全てキリスト教系の者達だ。
慰安婦像の建立を許す米国、日本軍の監督責任を問う韓国、国連の人権委員会もだ。
彼らとの温度差に気付いていないから、それこそ「果てしなく続く‥」となる。

日本を非難する者の内面で、燃えさかる感情は‥
「神と相対する個人がもつ、神聖なる自由。その自由を奪い、あろうことか原罪と同質の罪を犯させるという、その不道徳性、おぞましさ」だ。
それは、彼ら聖書の風土に生きる者達にとっては、それはそれは大きな事件なのだよ。

だからこそ、朝日新聞の撤回によって、日本の強制連行の咎は消えたとしても、なお糾弾の声は止まないのだ。
そこに組織的に関与した日本軍の立ち位置が、彼らにとっては、どうしても許せない。

これが、日本人にはさっぱり解らない。
「ねつ造と判明したのだから、強制連行の罪はもう帳消しになった！」と、簡単に喜んでしまう。

そうではない。
彼らは、いまだ矛を収めてはいない、いまも日本を付け狙っているのだよ。

その先鋒が、いわゆる進歩的知識人と呼ばれるようなお方達。
彼らは、戦後の「一億層懺悔」とか「自虐史観」の空気の中で、大喜びでその宗教感情を追体験した、言わば隠れ改宗者だ。彼らが謂う「世界スタンダード」とか「人道」はそれ。

彼らは言うだろう。
「確かに強制連行の証拠は見つからない。だが、日本は組織的に関与したという時点で罪なのだ‥」と。
これは、朝日新聞のあの言い訳記事と同質なのが分るだろうか。

困ったことに、
これを言う側も、それを聞く日本人の方も、それが宗教感情だと言うことに、さっぱり気付いていない。

それはそのとおり、どうも出典に誤りがある。
朝日新聞が撤回したのは吉田証言。今話題沸騰中だから、それを間違う者はいない。（笑）

だが、そんな些末な違いよりも、世界スタンダードと対峙して泥沼にはまってゆく日本が、この記事に透けて見える。それが、どうも情けなくてならないのだよ。

　そうかなぁ？ 泥沼にはまっていたのが、必死になって浮きあがろうとしているようなイメージをわたしは感じているんだが…

そう願いたいのは同じ。
産經新聞は、この件に関してはよくやっているとも思う。

だが、公娼に対して惹起する感情の、吾と彼との違いにさえも気付けないなら、その浮き上がる水面はまだ遠い。
逆に言えば、世界スタンダードな論理の中で議論している限り、公娼を管理していた日本軍への糾弾は止まないだろう。
なぜなら、世界スタンダードでは、いかな合法な公娼でさえもアプリオリに不道徳だからだ。

この認識以前の不道徳さを指摘しない限り、
おそらく、「従軍慰安婦」を糾弾する者達とは、対峙したまま歩み寄れない状態が、恒常化するだろう。

そう、この先ずっと。
韓国紙の反応等を見ても、いま既に、そうなりつつある。それでは日本が負うた汚名は濯がれない。

　“世界スタンダード”を公娼に限定しないで、もうちょっとおおきく、国連憲章が内包している歴史認識だと、わたしは考える。どうして、あの歴史認識ができたのかをふりかえってみると、どうもあれは日本製だ。メイドインジャパンだった歴史認識を敗戦のときに連合軍に盗みとられてしまって、主語が日本から連合国におきかえられて、日本はが悪者にされてしまった。
　従軍慰安婦問題もその結果、おきた事件だと思う。事件はレイプ事件なんだが、議論すべきは人類史の書き変えなんだな。

>もうちょっとおおきく、国連憲章が内包している歴史認識だと、わたしは考える。
>（中略）・・・連合軍に盗みとられてしまって、主語が日本から連合国におきかえられて、日本はが悪者にされてしまった。

はてよく分らない。
かりに、その主語が日本のままで、日本の声明として出ていたなら、果たして悪者にされなかったのかどうか。
その“人類史の書き変え”とは何か？

百歩譲って、国連憲章、日本の声明文？とどちらで出たにしても、そこに記されているコトバ、たとえば「人権」とか「男女同権」とかの語彙は、翻訳される国での精神性、文化的背景によって微妙に違う。
特にそれが「娼婦」、それも公認されたものであるなら尚更に、その国の文化的、宗教的背景によって、受ける印象と、考える方向性が大きく異なる。それを問題にしているつもりだ。

>レイプはまた違う。占領軍の兵士が占領地で住民の女性を強姦したのだ。これをやると住民が占領軍に敵対するようになるから、日本軍は防ごうとした。

それは単なる犯罪行為。日本軍が防ごうとしたのなら、当然にそうした性犯罪を取り締まっただろう。

記事が言うような “戦争はまさに狂気” という論点に立つなら、まず気付くべきは「日本は反省すべき」という朝日新聞がしむけた前提観念を、一度リセットすべきだと思う。

この記事のみならず、「朝日の撤回があろうと、問題の本質は何も変わらない」と論ずる方はどれも、過ちを悔いて反省するのは止める必要はない‥という「日本は反省すべき」論から一歩も踏み出ていない。

もちろん、過ちを悔いて反省するのは、偉大なことだ。これからも自発的にしたらいい。

だが、反省とは個の内面から立ち上がる極めて聖なるもの。本質的な意味で他者が強要できぬ、高度な自己変革を伴うものだ。
問題は、そうした反省が、他者の要求によって成しうると勇んだこと。そして、その反省材料が隣国の復讐劇に利用されたこと、なのだよ。

その「反省すべき」の美名に隠れた復讐劇の勢いが目に余るゆえに、朝日新聞の為した罪が問われているのだ。