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本澤二郎の「日本の風景」(1720) <生きて8・15を迎えられなかった戦争遺児・影山友子の69年>
http://www.asyura2.com/14/senkyo169/msg/829.html
投稿者 笑坊 日時 2014 年 8 月 15 日 13:21:10: EaaOcpw/cGfrA
 

http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/52078164.html
2014年08月15日 「ジャーナリスト同盟」通信

<生きて8・15を迎えられなかった戦争遺児・影山友子の69年>

 8・15は厳粛に平和を祈る日でありたい。日本国民が天皇制国家主義の奴隷から、主権者の地位を事実上、獲得した希望の日でもある。長生きしているわけではないが、周囲に悲劇的最期を遂げる友人が目につき始めた。亡くなって4カ月近くになる戦争遺児・影山友子もそんな一人だ。直前まで元気だった彼女の69年の短すぎた生涯が、痛いほど胸に響く。母親の戦争未亡人の苦悩、そして戦場に消えた彼女の父親のことも、戦後69年目の8・15の思いは、それらを思うと、特に胸に突き刺さってくる。戦争の悲劇は果てしなく数世代に渡って、人の心をねじ曲げ、傷つけるものである。いわんや侵略戦争を強いられた隣人たちの無念は、推して知るべし、だ。それでいてなおかつ、侵略戦争を正当化する安倍晋三首相は、再び自公連立の多数派でもって、無条件降伏69周年に抵抗、日本を再び軍事国家へと押し上げようとしている2014・8・15にしている。この日も靖国に玉ぐし料を奉納、3閣僚が参拝した。

<靖国・国家神道復活に走る防衛省・自衛隊>

 戦争神社・靖国に、海上自衛艦の幹部が大挙して参拝している驚くべき事実が明らかになった。陸上自衛隊基地司令官室には、神社信仰の神棚も祀ってあることを承知している。靖国・神社・自衛隊の結びつきからは、戦前の国家神道の復活を裏付けている。
 神風は吹かない。吹かないのに「吹く」と信じ込ませる自衛隊が、既に存在、走り出している。明白なポツダム宣言と憲法に違反している自衛隊・防衛省であろう。こんなことにも気付かない国会と司法は、憲法の求める使命を果たしていない。既に旧軍そのものの体質に変身している。そこに、安倍が強要した、他国の戦争に加担する自衛隊(再生日本軍)がある。集団的自衛権の行使に向けた体制が、自公政権で組まれている。
 安倍をはじめとする右翼議員だけではなく、防衛省・自衛隊員が靖国参拝を公然化している。この恐ろしい事態を日本国民は知らなかった。

<目を覚ませ!恐ろしい日本に気付け!>

 平和の信仰に徹してきた戦争遺児・影山友子も、全然知らなかったことである。彼女が強く支持してきた公明党が、安倍・自民党と連携して「戦争する日本」改造へと突き進んでいることなど、全く想像出来ないことだった。
 彼女の魂など知る由もないが、もしも、こうした現実を知ったら?日本列島から消えて正解?であったのかもしれない。改めて、日本ジャーナリズムの無力に打ちのめされるばかりだ。同時に、国家神道復活へのテンポの速度に圧倒される。安倍が機会あるごとに神社詣でをする理由と、これらは関係していることを、愚か者でなければ分かるだろう。
 彼女は、夏や秋の神社の祭礼に足を運ぶ大馬鹿者どもと一線を画していた。戦争遺児としての矜持を死守して、悪しき天皇神社文化に抵抗していた。無知は犯罪なのである。

<靖国参拝を拒絶した戦争遺児>

 戦争遺児の父親に遺品はない。何もないのに立派なお墓はある。今そこに3人は眠っていることになっている。哀れを通り越している姿である。むろん、硫黄島海域で若い命を奪われた父親は、靖国に無理やり合祀されている。影山友子は、モノ心ついたころから悪魔の宗教にひとしい靖国には、1度も足を運んでいない。

 戦争する愚かな若者を軍人に仕立て上げ、戦場に駆り立てる、いわば単なる宗教的装置に過ぎないことを悟っていたのである。そこへと安倍が首相として参拝する、その政治的野心は彼女にはミエミエだった。明らかに国粋主義者としての戦争への準備なのだ。
 再び若い青年を、戦場に送り出す装置(靖国)に息を吹きかえらせようとしている。既に防衛省・自衛隊で、それを具体化させている。なんと悪辣な安倍・自公政権であろうか。立憲主義を冒涜する売国奴政府に相異ない。

<神社の祭礼も拒絶した戦争遺児>

 国家神道のすそ野は広い。戦前の強権主義で強行したものだから、過去を知らない日本の家々にはいまだ神棚が鎮座している、はては無数の神社が列島にひしめいている。祭礼時期になると、其の地方の有力者が愚かな人々を束ねて、暗黙のうちに戦争への予行演習をしているようなものである。無知な大衆にはそれが分からない。
 戦争遺児・影山友子は、父を奪った神社信仰を厳然と拒絶、神社の祭礼には自宅にこもっていた。これは平和を願う人間の当然の行為だった。

<顔も知らない父親を背に69年・戦争後遺症の恐怖>

 彼女は父親の生きている顔を知らない。生まれた時には海の藻屑となって、この世にいなかったのだから。この壮絶すぎる運命に対して、平和の宗教と政党にかけて生きるしかなかったのであろう。だが、いまや平和宗教と政党が、あろうことか国粋主義の支援勢力として、本性丸出しである。
 子どもとの衝突を回避、無事に生きていても、この恐ろしい政党と宗教にどう立ち向かうのか?恐らくいい知恵など浮かぶことはなかったであろう。
 戦争遺児にとって8・15は、父親への祈りの日でもある。重すぎる父の無念を背負っての生きることの厳しさを、人々は忘れてしまっている。彼女は69回目の祈りの日を生きて祈ることが出来なかった。

<再婚を拒絶した戦争未亡人>

 助産婦だった彼女の母親は、1度流産をしている。過酷な24時間労働が、その原因だった。正しくは2度目に、戦争未亡人となって一人娘・友子を出産した。芸術家志望の夫の遺児を、それこそ宝、生きる支えとして生きるのである。
 再婚話の全てを断ちきった、これも厳しい生き方である。戦場で散った夫への執着、約束を果たすのであるが、これも痛々しい。
 筆者も兄弟も彼女の手によって、この世に生まれてきた。大恩ある方である。もし、未亡人が再婚、多少豊かな生活を手にしていれば、友子の人生は変わっていた。差別する秋田県で過ごすことはなかった。差別する、思いやりのない子供を産む必要もなかった、とあえて断言したい。

<父親が生還していれば幸福人生>

 むろん、我が家のように父親が生還していれば、全く別の明るい幸福人生が約束されていたろう。間違いない。
 戦後の平和な日本で、未亡人は本来の希望であった医師になったかもしれない。兄弟も次々生まれて、孤独という人生の恐怖からも縁を切っていた友子のはずだった。
 しかし、戦争が未亡人と遺児の運命をズタズタにした、その元凶が国家神道・靖国であったのだ。信仰で乗り越えようとした、それしか道はなかったのだ。

<空し過ぎた信仰生活>

 彼女が信頼・尊敬した池田大作氏は、いま生きているのかどうか?彼女はこれに反発するのが常だった。
 友人の元大臣秘書官は「池田氏が元気ならば、公明党の暴走はなかった」と断言している。そうかもしれない。中国との友好にかけてきた創価学会を、友子も共有していた。中国の思い出の掛け軸が、彼女の心の癒しだった。
 池田氏は、中国と敵対する政権与党の公明党を拒絶したろう。結果は、安倍に擦り寄るだけの公明党と創価学会に、信者の離反は続出しているようだ。
 生きて69年目の8・15を迎えることができたとすれば、それは打ちひしがれる友子ではなかったろうか。

<思いやりのない子供に裏切られ>

 秋田県の風土から逃れることに成功、自立への道を歩み始めた友子に、ようやく春が訪れてきた。だが、あろうことか子供らが前に立ちはだかって激突、その精神的衝撃の中で倒れてしまった69年。その最期は表現できない激痛を伴うものだった。
 人生はかくも短く、はかないものであろうか。戦争遺児・影山友子が教えてくれている。8・15は、日本人に重すぎる過去を投影している。

2014年8月15日記

 

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