★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK172 > 218.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
朝日問題を新聞の役割を考える契機に  江川 紹子
http://www.asyura2.com/14/senkyo172/msg/218.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 10 月 01 日 00:03:05: igsppGRN/E9PQ
 

朝日問題を新聞の役割を考える契機に
http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20140930-00039557/
2014年9月30日 19時25分 江川 紹子 | ジャーナリスト


朝日新聞が、激しい非難を浴びている。誤報そのものの重大さに加え、訂正も読者への謝罪も遅れ、池上彰さんのコラム掲載を取りやめるなど、同社の対応は何から何まで拙かった。厳しい批判は当然だろう。



今回の問題の端緒となった朝日新聞の慰安婦問題検証記事


同社は、原発事故調査委員会による吉田昌郎・元福島第一原発所長の聞き取り調書(吉田調書)についての誤報は同社第三者機関「報道と人権委員会」に、慰安婦問題に関しては別に第三者委員会を立ち上げて検証すると発表した。


■問題の原因はつながっているのでは?


だが、2つの問題を切り離して別々に検証するというのはいかがか。時期もテーマも別の記事だが、原因は共通しているように思える。慰安婦問題に関しては「戦争責任及び戦後責任の追及」、吉田調書については「反原発」という、朝日にとっての「正義」が、報道の背景に見える。記事作成に関わる人がみな、事実を「正義」の眼鏡を通して見ていたのではないか。そのうえ、「正義」を担う自信とプライド、それに間違いを認められると「正義」そのものが傷ついたり後退したりするという懸念もあって、間違いを素直に認められずにいたのではないか。同紙にとっての「正義」は、「戦争責任及び戦後責任の追及」と「反原発」だけではないだろう。この2つのテーマで、問題の根が共通するとすれば、他のジャンルにおける「正義」が関わる報道でも、同じような間違いをしたり、する可能性がある、ということになりはしないか。


しかも、この2つのジャンルにおいても、問題が指摘されているのは、誤報を認めた慰安婦の強制連行証言と吉田調書を巡る報道だけではない。慰安婦問題については、官民挙げての償い事業を展開したアジア女性基金を、ことさらに「民間基金」と報じるなど、朝日新聞などの日本メディアの報道が、同事業を正しく伝えなかったとも指摘されている。また、原発に関する長期連載「プロメテウスの罠」は、新聞協会賞も受賞した看板企画だが、科学的知見や事実を無視して、過剰に低線量被ばくの影響を煽ったり、福島の危険性を印象づけている、といった批判がかねてからある。


朝日新聞が本当に問題の原因を究明し、それを克服しようとするなら、こういう看板企画も俎上に上げて、きっちり検証をし、その結果を糧として欲しい。


■朝日だけでいいのか


ただ、「正義」の眼鏡ゆえに報道が歪んだり、誤報を招いたりするのは、何も朝日新聞だけではない。間違いを指摘されても、なかなか正さない、謝罪しないのも、朝日に限ったことではない。いちいち固有名詞は挙げないが、今、激しく朝日叩きをしている新聞や雑誌で、すねに傷を持たないメディアはほとんどないだろう。


今回、池上コラムの不掲載に関して、朝日の記者たちは実名で批判の声を挙げた。朝日叩きをしているメディアの中には、そうした社内言論の自由が見られないところもある。朝日批判を行うのはいいが、同時に、自らを振り返る謙虚さが必要だ。


ところが、そうした自省がないどころか、調子に乗って「廃刊しろ」「不買運動を起こせ」と煽る言説を垂れ流すメディアもある。間違いを訂正したら潰されるなら、メディアはますます間違いを正しにくくなってしまうのではないか。



販売店に置かれた朝日批判のパンフ


新聞の中にも、朝日批判を連日紙面で展開しそれをチラシにしてばらまいていたり、パンフレットを作ったところがある。朝日批判の本まで作り、新たな購読者にはプレゼントするそうだ。そういう新聞は、営業戦略のために、朝日叩きの紙面作りをしているように見える。


新聞が、さらにはジャーナリズムが信頼されるためには、いかにあるべきか、という根源的な問題が投げかけられているのに、読者争奪戦というこんな醜い争いを演じていては、新聞に嫌気が差す読者もいるだろう。


■進む人々の新聞離れ


はっきり言って、そんなことをしている場合か、と思う。


このところ、新聞を取らない、読まない人が増えている。日本新聞協会の調査では、新聞の発行部数は年々減っている。1世帯当たりの購読部数(世帯普及率)は、2008年には1を切った。昨年は世帯普及率0・86にまで落ち込んだ。職場などで購読している分も含まれるだろうから、純粋に新聞を取っている家庭となると、さらに数字は下がるはずだ。人口減に伴って、部数が下がるのは仕方がないとしても、世帯普及率の減少は、新聞を読む習慣のない人が増えていることを意味しているので、新聞業界にとっては深刻だ。


新聞離れは、大都会の若い世代に顕著な傾向だと思っていたが、必ずしもそうではない。地方でも、読者減は深刻。昨年の県別世帯普及率を低い順に見ると、鹿児島0.56、沖縄0.62、熊本0.65、高知0.68、長崎0.72、宮城0.72となっている。


新聞好きな私は、この数字を見ると、もう心配で心配でたまらなくなる。新聞だけではない。日本雑誌協会が公表している印刷部数の過去と現在を比べると、軒並み発行部数を減らしている。しかも、読者の高齢化が著しい。最近の週刊誌が、やたらと「高齢者の性」を特集するのは、その現れだ。このまま推移すれば、次々に消滅していくことになる。これもまた、自分の仕事の場がなくなるということも含めて、心配で心配でしようがない。


■新聞がなくなったらどうなる?


そうなったとしても、全然平気、という人はいるだろう。昨今は、インターネットがあるから、新聞なんて潰れてもいい、雑誌などいらないよ、と。だが、ネットで流れるニュースは、主に新聞や通信社の配信だ。週刊誌のスクープがネットで流れることも多くなった。新聞が次々に潰れ、あるいは経営状態が悪化して、記者を抱えきれなくなったら、どうなるだろうか。


個人で動き、マスメディアの流儀に縛られないフリーランスならではの報道は大事だが、組織されないフリーランスが、新聞がカバーしている情報の量と質をすべて請け負えるわけではない。ネットメディアでは、フリーランスの記者がレポートしたり、様々な分野の専門家が分析を行ったりもしていて、貴重な情報も多いが、マスメディアの報道が、そのきっかけや分析の参考になっていることも実にしばしばある。


インフラ老朽化の全国的実態調査など、広域にまたがる取材のように、組織ジャーナリズムだからこそ、迅速に展開できる領域もある。過去の裁判例や裁判員のコメントなど、長年にわたって素材を蓄積する点においても、組織ジャーナリズムの強みが発揮されることが多い。


また、フリーランス記者の中にも、新聞や雑誌の記者として、基本的訓練を積んだ者が少なくない(私もその1人だ)。若い頃に週刊誌の取材記者として働き、その後フリーランスの書き手や編集者になった、という人もいる。テレビ局出身の、ビデオジャーナリストもいる。マスメディアの仕事に飽き足らず、あるいはそのやり方に反発を覚えて飛び出した人もいるが、駆け出し時代の基本をそこで(教わったかどうかはともかくとして)学んだとは言えるだろう。つまりマスメディアは、フリーランスの記者の育て、輩出する場としての役割も果たしてきた。


そうしたマスメディアが衰退していけば、人々に提供される情報の質や量が低下することが懸念される。とって代わる媒体が十分育っていけばいいが、日本ではネットメディアが既存マスメディアの役割をすべて果たせる状況では、まだない。民主主義国家を樹木にたとえるなら、メディアは水分や養分を吸収する根っこのようなもの。その根が細ったり朽ちてしまっては、樹木は立ち枯れていくばかりではないか。


■いま、考えるべきこと


それを考えると、新聞は、読者の奪い合いなど展開している場合ではない、と思う。批判は大事だが、自省も必要。今回の問題を機に、各メディア、特に新聞には自らの役割とあるべき姿を、もう一度考えてもらいたい。そして、人々に必要とされ、信頼される今後の新聞作りを目指して欲しい(もちろん、「紙」媒体の維持にこだわる必要はない)。


同時に、人が質量ともに十分な情報を得るためには、市民の側の役割も大きいと思う。ツイッターなどを見ていると、気に入らないメディアやジャーナリストを非難するのに、「売国奴」「国賊」さらには「非国民」などという、まるで戦時中のような物言いが平然と飛び交っている。そこまで極端ではなくても、「マスゴミ」というレッテル貼りはしばしば目にする。そうやって非難したり突き放したりすれば、日本のジャーナリズムはよくなる、というものではない。それに、情報の流れ方は、もはや大メディアから読者・視聴者へという一方向ではなく、多様化している。情報の受け手は、また情報の発信者でもある。情報をいかに伝えるかは、マスメディアのみならずネット時代を生きる誰もが考えたい課題だ。


だからこそ、できるだけ多くの人が、厳しい目で見、注文をつけながら、新聞を、そしてジャーナリストを支えて欲しい、と思う。自分自身のために。そして、日本が健全な民主主義社会であるために…。


(9月27日付熊本日日新聞掲載のコラム「視界良好」に加筆しました)


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2014年10月01日 00:44:56 : 8ExyEH3glg

政府広報のような今の新聞に存在意義はない。自業自得だな。

新聞を読まない人が多くなってきたことは、日本国民、特に若年層が今のマスメデイアの虚構に気づき始めていることの裏返しであり、真の民主化のためには良い兆候である。

早く記者クラブ制度やクロスオーナーシップの軛から逃れて真のジャーナリズムが育ってくることを期待したい。そのためには各社の発行部数は急速に減ることは却って望ましい。


02. 2014年10月01日 00:58:35 : gIuGiesdOo
俺にとっては新聞なんてどうでもいいんだが

そもそも新聞が真実をあるいは百歩譲って事実を
伝えなけりゃならないなんて言う宗教にも似た
信心自体がおかしいだろう。

社会の木鐸やら社会の公器なんてなのが
お笑い文化勲章だと気付かないから狂信化
が始まるのじゃないかね。

新聞購買という行為は素朴に考えれば情報を
カネ払って買っているということだし
新聞社は情報の信用を売ってるわけで
そこで商売してるわけだろう。

仮に誤報があったとしても許せると思えば購読を続けるし
許せんと思えば購読をやめればいいだけの話。
だから朝日の記事が日本の信用を落としたみたいな
馬鹿騒ぎが何で起こるのかと考えてみるとまったく
おかしな事だと思えるんだがね。

もし朝日の記事が日本の信用を落としたと言うなら
朝日が政府の準公認広報紙としての役割を担っている
ということだろう。それなら安倍が朝日に文句を言う
のも納得するがその認識でいいのかね。
広報誌なら謝罪でもなんでもすればいい。

江川紹子の持って回った御託にもうんざりするが
もし仮に新聞離れが起こっているということが
事実とすれば新聞社の発する情報の信用が落ちて
きたってことだろう。

> 新聞を、そしてジャーナリストを支えて欲しい、と思う

信用されなきゃ誰も支えんよ。
塞がらない口をいつまでも開けてりゃいいのさ。



03. 北の零年 2014年10月01日 01:39:34 : pi7eKAjFENWsU : O5KRxcOhdg

江川紹子の毎度お馴染みの便乗商法にはほとほとウンザリさせられる。
他を批評する前にするべきことがあるだろう。キミが人ならば。



04. 2014年10月01日 01:58:34 : KzvqvqZdMU
江川紹子、良い論考だな。
新聞人の心すべきことだ。


[32削除理由]:削除人:アラシ
05. 2014年10月01日 03:55:36 : yy7D5jhcis
01. 2014年10月01日 00:44:56 : 8ExyEH3glg

政府広報のような今の新聞に存在意義はない。自業自得だな

全くその通り

TPPや消費増税や移民など国民の利益とまるで度真逆の政策を後押しする新聞など、全く存在価値なし。慰安婦ねつ造報道も、民団・総連の何百億という利権に絡んだ謀略だった可能性も濃厚だ。植村記者の場合は義母が慰安婦問題で億単位の金を稼ぐ立場にあったわけで、個人的にも利権が絡んでいたとしか判断しようがない。もう問題外だ。朝日は早く消えてなくなれ。少しも困らない。困るのは韓国・中国政府と売国奴の竹中くらいだろう。


06. 2014年10月01日 09:42:07 : Ysu54hhN7E
>>05さん

 お言葉ですが、私は朝日よりも先に「読売・産経」(プラス日経)に早く消えてほしい。

 3.11地震の「福一同時4基原発過酷事故」で東日本壊滅の直前という、日本国終了(政治経済的に)寸前のところまで経験しながら、未だに原発再稼働や推進を主張して、日本国を滅亡に導こうと日夜画策するそれら2紙(プラス1紙)は、死神に取りつかれたキチガイ集団が経営する悪魔の新聞である。よって真っ先に日本から消えてほしいのである。

 (少々本文記事から離れましたが、05さんのコメントへの感想です)

 また、「慰安婦捏造報道」と05さんは書いていますがこれは慰安婦強制連行に関する吉田氏の虚偽の証言を報道した」ということであり、「慰安婦捏造報道では断じてない」ということであります。「慰安婦制度は現実に存在した」というのは世界の共通認識」でそれを理解できない人が「日本にな未だに存在する」という、はなはだ未熟で恥ずかしいというのが日本の現状です。(かの安倍首相でさえ、河野談話を継承すると明確に述べております。

 


07. 2014年10月01日 11:49:08 : WiZleQE1sk
江川さんがいくら良いこと言っても
一水会繋がりってとこでゲッチョリですわ。
あそこ、笹川マネーで運営でしたっけ?
笹川さん、上九一色と無関係じゃないとかいいますね。

オウム村井刺殺犯が顔出したり、上祐さんがいたり、ベンフルさんの親友・大覚さんもでしたか。
そうそう、あろうことか、松本サリン犠牲者家族の河野さんが関係したり
何が何だか皆目見当がつかない集まりではありませんか。
「なにかある」と思うのが正常な神経だと思いますよ。



  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。) ★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

▲上へ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK172掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
政治・選挙・NHK172掲示板  
次へ