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自民党の重点政策について(在野のアナリスト)
http://www.asyura2.com/14/senkyo175/msg/234.html
投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 11 月 26 日 00:00:05: igsppGRN/E9PQ
 

自民党の重点政策について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52667475.html
2014年11月25日 在野のアナリスト


10月の日銀金融政策決定会合の議事録が出てきました。しかし賛成派が「ここで追加緩和しなければ日銀の信任が…」と述べるなど、現状認識が明らかにおかしい、奇妙な言説がまかり通っていたことが判明しています。市場では多くが追加緩和する、とは考えておらず、信任が失われることもない。増税サポートのため、賛成派が押し切った、それが追加緩和の実態でした。

自民が『重点政策』として、公約をだしました。ちなみに『自民党では、実現できる約束こそが公約』だそうです。自民は以前から数値目標、達成時期を明記せず、また達成までのプロセスが不明確です。つまり5W1Hでいうところの、Whatしか書かずに公約とする癖があります。維新の公約ではHowとWhenがない、と記しましたが、自民にはそれすら見当たらないのが実状です。

まず経済再生、財政再建を謳いますが、驚くほど中身がありません。『物価安定目標2%の早期達成にむけ、大胆な金融政策を…』とは、首を傾げます。あえて中央銀行の独立性を無視し、自民の公約に『金融政策』を掲げてしまう厚顔。民需主導の経済成長としながら、その具体的な部分は『法人税減税』というだけ。すでに実施されているものを『強化』、もしくは『引き続き講じる』といった記載はあれど、景気後退に陥った現状を変える提案は何もありません。

驚くのはインフラ整備に関して17頁のうち約1頁を割きます。同じことが農林水産にも言え、もう決まったことだから丁寧に書いた、ということになる。つまりこの分野で、今後期待できる提案はない一方、これらを達成するためには、巨額なバラマキを強いられる。それを請け負うのが、自民の利権の構図に組みこまれた建設業、ということで決定も早く、具体的になるようです。

最も危惧するのが、社会主義体制か? と見間違うばかりの項目があることです。農山漁村の地域マネジメント法人、非営利で公務員でもない、そんな組織をつくるといいます。日銀の金融政策に口をだすのもそうですし、企業のあり方すら政府が決めるような書き方です。

原発は再稼動を明記する一方、地球儀俯瞰外交、政治・行政改革は単なる決意表明であって、政権を担当する2年の実績がない。そもそも行政のムダ撲滅のため、『行政事業レビューシート』を、としますが、それ自体がムダです。2年でできなかったことを、次の任期で達成する、というほどの強い意志は感じられません。同じことは女性活躍や、地方創生にも当てはまり、お題目を掲げて実施します、とされても2年で手すらつけなかったものをどうやって達成するか? この重点政策ではまったく達成に向けての具体性、現実感は得られない内容となっています。

民主の公約はバラマキ、と思いましたが、自民の方がバラマキ度合いは酷い。むしろ記載したことをすべて行えば、財政破綻すら意識するレベルです。特にムダ削減の項目が乏しいのですし、社会保障制度改革も抜本策ではありません。選挙にむけた国民向けに品揃えを増やし、『支援』や『目指す』と書かれても、もうすでに安倍政権は約束破りをくり返しており、国民がこれをみて期待値を高める、ということもないのでしょう。それほど中身の薄い内容なのです。

公約として、パンフレットにすればもう少し面白みが出るのかもしれませんが、文字ばかりの17頁は、国民はみる必要がなく、利権団体がこれをみて固定票をかためてくれればいい、とでも言いたげなほどつまらないものです。安倍氏は朝日新聞のインタビューを受けない、という対応をとり、スポーツ紙や右よりのメディアに積極的にでる、といった戦略をとります。この重点政策も、まさにそうした色のついた、利権団体などを喜ばすためのものなのです。安倍政権では、政権による意図的な優勝劣敗がおきる、それが安倍氏の望む国家への転換、ということでもあるなら、株高で騙されているうちに、国民は不幸へと導かれる、ということでもあるのでしょうね。


 

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01. 2014年11月26日 00:37:46 : 1i0t12PjXA
衆院選:自民党が政権公約 経済重点に施策296項目
毎日新聞 2014年11月25日 21時59分(最終更新 11月25日 23時34分)

 自民党は25日、衆院選に向けた政権公約を発表した。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の実績と継続性を訴える内容で、「景気回復、この道しかない。」をキーワードに、円安、燃油高対策や地方経済てこ入れ策など296項目の施策を列挙。政権に返り咲いた2012年衆院選、13年参院選に続き経済政策を最大の争点に据えた。【宮島寛】

 公約は安倍晋三総裁(首相)のメッセージや過去2年のアベノミクスの成果を統計的に説明する1部と、個別政策集から成る。1部で22年ぶり高水準の有効求人倍率、24年ぶりの低水準にある企業倒産件数などを取り上げ、「ようやく掴(つか)んだデフレ脱却のチャンスを手放す訳にはいかない」(首相)と消費税率10%への引き上げを1年半先送りした判断に理解を求めた。

 個別政策集は、経済再生・財政再建▽地方創生・女性活躍推進▽暮らしの安全・安心、教育再生▽地球儀を俯瞰(ふかん)した積極的平和外交▽政治・行政改革▽憲法改正−−の6章で構成。

 経済再生と財政再建を両立する基本方針を強調し、消費増税を先送りしても、増税分を充てるとしていた子育て支援策を予定通り行う方針を明示。財政健全化目標も堅持するとし、来年夏までに20年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化に向けた具体的な計画を策定するとした。法人実効税率の引き下げは来年度から着手。軽減税率については与党の共通公約通り、消費税10%への引き上げに合わせて「導入を目指す」とした。

 今年度の補正予算案に盛り込む経済対策として、地域商品券の発行など消費喚起に取り組む自治体への支援を明記。ハウス農家などに燃油価格高騰時に補てん金を支払うことも盛り込んだ。

 大型公共事業では、北海道、北陸などの整備新幹線計画について「工期全体の大幅短縮」を打ち出し、JR東海が全額自己負担で東京−名古屋間の先行開業を目指すリニア中央新幹線計画についても大阪延伸前倒しを視野に「早期全線開通を目指す」とした。

 原発再稼働については「原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原発の再稼働を進める」と4月改定のエネルギー基本計画を踏襲。農協改革についても、党内族議員からの反発に配慮して「議論を深め、着実に推進」との表現にとどめた。

 外交・安全保障分野では、日米同盟を強化しつつ中国、韓国、ロシアとの関係改善を図るとし、集団的自衛権の行使容認について「平時から切れ目のない対応を可能とする安全保障法制を速やかに整備」とした。北朝鮮による拉致問題では、進展がない限り更なる制裁緩和や支援は「一切行わない」とした。憲法改正は「国民の理解を得つつ憲法改正原案を国会に提出」とし、国民的な議論を経た上での課題と位置づけた。

http://mainichi.jp/select/news/20141126k0000m010100000c.html


02. 2014年11月26日 06:39:14 : jXbiWWJBCA

シリーズ・日本のアジェンダ 消費増税先送りYES or NO
【第1回】 2014年11月26日 ダイヤモンド・オンライン編集部

消費増税先送り“YES”or“NO”
主要な対立点を整理する

 11月18日、安倍首相は消費再増税の延期を表明、21日にはアベノミクスの「信」を国民に問うとして、衆議院を解散した。衆議院総選挙の結果がどうあれ、再増税延期に反対している政党がないため、来年10月に予定されていた8%から10%への消費税率の再引き上げは、18ヵ月間延期され2017年4月からとなる見込みだ。

 だが、消費税率引き上げ先送りは、日本の将来を大きく左右するかもしれないという意味で極めて大きな決断だ。そこでDOLでは、この決断が日本の将来にどのような意味と影響を持つのかについて、専門家にご登場いただき議論を進めていく。第1回は消費増税延期を巡る論点を整理する。

「経済再生が先」か、
「財政再建が先」か?

 第一の論点は「経済再生が先」か、「財政再建が先」かである。アベノミクスは周知のように(1)大胆な金融緩和政策、(2)機動的な財政政策、(3)成長戦略の3本の矢から成り立っている。

 中でもその柱となっているのが、(1)によるデフレ脱却。黒田日銀が昨年4月に「量的・質的金融緩和政策」を開始した。その狙いはこうだ。

 日銀が金融機関から大量に国債を購入して市中におカネを供給することによって、予想インフレ率が上昇→実際のインフレ率も上昇→企業の売上・利益の増加→賃金の上昇→消費支出の増加・設備投資の増加→企業の売上・利益の増加という経済好循環である。しかし、4月からの消費税率の5%→8%の引き上げで、景気は大きな落ち込みを示した。このため黒田日銀は10月末に追加緩和を実施し、デフレ脱却へ向け再度バズーカ砲をぶっ放すことになった。

 増税先送り派の主張は、日銀がアクセルを踏んでいるのに、ブレーキをかけると車がまたスピンする。消費需要が落ち込んだままでは予想インフレ率が下がり、景気が後退して、デフレに逆戻りする危険がある。そうなれば消費税率を引き上げて、消費税収だけが増えても、税収全体ではマイナスとなり、かえって財政再建が遠のく、というものだ。

 これに対して増税実施派は、財政赤字の幅が余りにも大きく、経済成長による税の増加だけでは全く足りない。しかも、財政再建への取り組みは早ければ早いほど、借金増加のスピードが落ちるので効果がある。しかも、長期的に見れば、財政再建が進むと、金利が安定し、人々の将来不安がなくなるため、経済成長にもプラスになる、という。

 では、実際の財政赤字はどうなっているのか。プライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PBについて見てみよう。

 PBとは、社会保障費や地方交付税などの政策的な経費を税収などで、どれだけ賄えているかを示す指標だ。家計に例えるとPBが均衡した状態とは、年間の支出を給料だけで賄える状態といえる。政府の中期財政計画では、15年度に10年度比でPBの赤字を半減し、20年度には黒字化することを目標に掲げている。PBの赤字は12年度で約25兆円、13年度で23兆円、14年度で約18兆円(いずれも当初予算)である。

 この場合、問題となるのが、GDPが1%増えたときに、税収が何%伸びるかを示す「税収弾性値」。この弾性値、財務省は「バブル期以前の平均的な税収弾性値は1.1」とする一方、3以上あるとする学者もいて幅がある。例えば、弾性値が3で政府の前提通り名目GDPが3%増えれば、税収は50兆円(14年度当初予算額)×9%(3%×3)で4.5兆円増えるものの、PB赤字の半減目標には及ばない。弾性値が1.1なら税の増収は1.65兆円にとどまる。

 一方、消費税率1%が約2.5兆円として、2%引き上げれば消費税は5兆円増える。ただし、増税でデフレに逆戻りして、名目GDPが横ばいやマイナスになれば、消費税以外の税収は落ちるから、丸々5兆円税収が増えるわけではなく、税収全体ではそれほど増えないことも予想される。

 結局、経済成長だけでも増税だけでも、財政再建は難しそうだ。

国債価格は暴落するか

 二番目の論点が、財政つまり日本政府への「信認」が低下するかどうかだ。消費増税の先送りによって、財政再建が難しくなったと市場が判断すれば、国債が売られて長期金利が急騰しかねない。金利が上がれば、約800兆円にも達する国債の利払いが増え、財政再建はさらに難しくなる。加えて、金利の上昇は景気にも悪影響を与える。

 増税の先送り派は、増税だけで財政再建は無理。デフレから脱却し名目GDPの成長率を高めて税収を増やし、財政再建を容易にするためにこそ先送りする。しかも財政再建の旗を降ろしたわけではなく、1年半程度の先送りで国債価格が暴落するようなことはあり得ない、という。

 これに対して実施派は、ギリシャ危機にみられるように、国債の暴落は何らかのきっかけで突然に起こるもの。そのリスクは避けるべきだ。さらに、デフレから脱却した場合に市場金利は上がるから、財政再建のために金利を抑えようとすれば、日銀が国債を買い続けなければならない。そうなればさらにマネーが市場に溢れかえり、結果として貨幣の価値が下がり、中長期で見ればいずれインフレーションになる、と見る。

 第三の論点は、消費税の再引き上げを前提としていた政策が影響受けるという点だ。12年8月に成立した消費増税関連法は、社会保障と税の一体改革を目的としたもので、消費税率の引き上げが前提となっている政策も多い。

 例えば、子育て世帯臨時給付金、年金支援援給付金、公的年金受給資格期間の短縮などが代表的なものだ。それだけでなくおカネ色はついていないので、当てにしていた消費税が入ってこないとなれば、法人税の減税などにも影響を与えるかもしれない。予定通り実施するとすれば、財源は国債の発行で賄うことになるだろう。

 自然科学と違い、経済政策は実験ができない。消費増税の延期が市場や消費者の予想・心理にどのような影響を与えるのか、正確には予想できない。だからこそ、安倍首相は消費増税の先送りが経済成長財政にどのような変化をももたらすと予想して決断したのか、数字を踏まえたシミュレーションを提示すべきだろう。そうでなければ有権者には、判断の手掛かりがない。

(ダイヤモンド・オンライン編集長 原 英次郎)

http://diamond.jp/articles/-/62727


03. 2014年11月26日 06:40:44 : jXbiWWJBCA

山崎元のマルチスコープ
【第356回】 2014年11月26日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
アベノミクスと日本の「中間層」の行方を考える
アベノミクスを「評価しない」派も多い
実質賃金マイナスで選挙に勝てるのか?

 安倍首相が「アベノミクス解散」を発表し、投票日は12月14日だが、事実上の選挙戦がスタートした。争点が経済政策であることは間違いないのだが、この点で気になる世論調査データがあった。

 日本経済新聞とテレビ東京によるものだが(11月21日〜23日に実施。記事は『日本経済新聞』11月24日朝刊)、アベノミクスについて「評価しない」が51%で、「評価する」の33%を上回っているという。

 雇用は改善したし、株価も上がった。アベノミクスは評価されていて当然だと安倍首相は思っているだろう。仮に、筆者が調査のサンプルに選ばれていたなら、「評価する」と答えたであろう。

 しかし、考えてみると、金融緩和による物価の上昇に加えて、消費税率が5%から8%に引き上げられており、多くの勤労者の賃金の伸びはこれらの合計に追いついていない。多数の有権者の実質所得が低下しているときに選挙に持ち込んで、果たして与党が勝てるものなのだろうか。

 自民党が予想外に大きく議席を減らすことがあるとすれば、この問題を過小評価して解散を決めたことに原因が求められるかもしれない。「アベノミクスに対する信認が揺らいだ」と評価されるような結果が出た場合、経済政策が再び混乱するリスクがある。現段階でその確率が大きいとは思わないが、経済的には気にしておくべき「下方リスク」の1つだ。

 いわゆるタラ・レバの議論になるが、4月の消費税率引き上げを見送った上での総選挙であれば、こうした心配はなかった。しかし、官僚集団と安倍政権との力関係から考えて、これは無理だったのだろう。

 現時点で選挙は公示されていないから、予想を述べることが許されよう。総選挙に関して筆者は、安倍政権に対する批判と、まだ有権者の記憶に残る民主党政権の不出来とがお互いに引っ張り合うが、野党の選挙準備が不十分であるぶん、与党が優勢だと考えている。

 その他の政策も全て含めて安倍政権を支持するわけではないが、アベノミクスはその路線が継続されるべきだと考えている。

実は割を食うアベノミクス
中間層の生活は改善するか?

 本欄でも過去に書いたが、アベノミクスは政策の波及順序として、はじめの段階では、資産を保有する富裕層と、雇用が得られたり時給が上がったりすることで労働市場の弱者層とがメリットを得る一方で、中間層の実質賃金が低下する、「中間層が割を食う」政策パッケージだ。

 ここで「中間層」とは、主として「雇用と給料が安定している勤労者」のイメージだ。年齢や家族構成、居住地域などによって中間層と感じられる所得は異なるだろうが、世帯主が正社員で年収400万円以上、というくらいのサラリーマン世帯を想定している。

 年収が高くても、管理職でも、ストックオプションを含む株式や不動産を億円単位で持っていない方は、経済構造的には中間層の仲間と考えてよかろう。

 アベノミクスにあっては中間層は、経済がほぼ完全雇用になるまで、いったん実質賃金が下がった後に経済の生産性が改善して、これが実質賃金に反映して来ない限り報われることのない仕組みになっている。

 そのための政策的な手当が「第三の矢」であるという触れ込みだったのだが、今のところ、政府の成長戦略にあっては目覚ましい成果が上がっているとは言い難い。

 さらに言うと、仮に大胆な規制緩和が決まっても、これが経済全体に好影響を及ぼすようになるためには、どの施策も年単位の時間がかかる。

 政治的な文脈で考えると、「中間層の反乱」によってアベノミクスが頓挫する可能性は、無視できるほど小さくない(だから異例の「首相の賃上げ要請」に及ぶのだろう)。

 とはいえ、生産性の改善以上の実質賃金の向上を企業に強要すると、雇用はかえって減ってしまい、今度はデフレ脱却が頓挫しかねない。経済の生産性を高める方策を加速する以外に、中間層をも満足させる成果を得る方策はない。

 安倍政権は、こうした事情を国民に正確に説明すると共に、今回の総選挙を成長戦略のための施策を実現するための起爆剤として使うべく、「政権がいつまでに何をするか」(いつまでにどうなることを目指す、といった曖昧な目標でなく)といった具体的な約束を、公約に仕込んで戦うべきだろう(もちろん、野党が有益で具体的な施策を提案するのでも構わないが)。

 残念ながら、現実にはほとんどあり得ないと思うが、仮に成長戦略会議が考えるような方向の施策と規制緩和が、続々と実現するような世界を考えてみよう。

 法人税率は速やかに20%程度まで下がり、TPPが締結され、農業は関税が撤廃され、さらに農地や病院の株式会社による保有と活用が広範囲に認められ、混合診療が完全に解禁され、介護の料金・報酬などが自由化され……、といった具合に「第三の矢」が文字通り矢継ぎ早に飛ぶとしよう。「中間層」の生活も改善するはずだ。

 既得権者の損得はさておき、経済全体として、これらは経済活動の自由度を拡大し、調整コストを低下させることによって、生産性を高める方向に作用するはずだ。これらは、富裕層・貧困層にもプラスに作用するが、中間層の実質所得にもプラスに影響する公算は大きい。

 これらの規制緩和は、経済全体にとってないよりもある方がいい。

成長戦略に含まれない解雇規制緩和
規制が強力だと中間層は分厚くならない

 ところで、お気づきの読者がおられようが、先の諸施策には、正社員の解雇規制の緩和が含まれていない。この場合に、企業はどう行動するか。

 当面、経済が好調で人手不足である状態を想定するとしても、企業は将来の調整に備えて、正社員は抑制的に雇うであろう。雇用が不安定層を一時的に正社員に取り込むとしても、長期的に企業経営者は、正社員労働者を非正規労働者に置き換えるか、あるいは機械に置き換えるかのいずれかを指向するだろう。

 正社員に現在のように強力な解雇規制がある限り、景気が良くなっても「中間層」はなかなか分厚くなりにくい構造にある。これは、アベノミクスのせいではなく、現在の規制のせいだ。

 他方、解雇規制が緩和されて、正社員と非正社員の権利上の区別がなくなり、企業と被用者とが自由に契約でき、あらかじめ定められたルールによる金銭補償などで解雇が可能になると、どうなるだろうか。

 業績に対する貢献が非生産的な正社員で、現在の規制のみによって雇用が守られているワーカーは、雇用機会を失うことになるだろう。既存の「中間層」から脱落するメンバーは出て来よう。

 他方、同時に仕事自体の必要性はあるので、新たなメンバーが、たとえばかつての非正規層の中から雇用されることになるだろう。雇用される労働者が減るとは限らない。ただ、正規・非正規の区別が消滅する。

 一方企業は、将来の人員削減が制度的に容易になるのと同時に、コストが透明化しかつ節約できるので、人員の採用に対してより積極的になるだろう。

 解雇規制の緩和は、「中間層」を「全体として厚く」する効果を持つのではないだろうか。メンバー個々にあっては、既得権を持っていた時代の中間層ほどの雇用の安定感はないが、解雇が行われやすい状況は、自分の雇用を不安定にする一方で、「空席」が生じやすく、大きく条件を下げなくても自分の雇用を見つけることが容易になる条件でもある。

 正社員の解雇規制は緩和することのメリットが大きいし、長期的には、日本がその方向に動くのではないかと予想する。

拡大するか、消滅するか?
中間層の多様化と希薄化

 現在の「中間層」と、特に「貧困層」との区分けは、今後曖昧になるだろうし、場合によっては消滅するだろう。また、雇用契約はより自由にかつ個々人単位で異なるものになるだろう。

 こうした変化は、中間層が拡大すると取ることもできるし、消滅すると見ることもできる。あえて言葉を探すなら、長期的には中間層が「希薄化」すると考えて良さそうに思える。その状況にあっては、もはや自分が中間層であるか否かを意識することが無意味になりそうだ。

 加えて、まず運輸・情報・通信関係の技術発達によって対人的な競争がグローバル化してきた。この傾向は止まるまい。

 さらに、コンピュータによる各種制御の発達で、これまで「機械を使う人」や「判断をする人」の労働を機械自身が代替する場面が増えて、人と機械との競争が本格化する時代を迎えており、ほどほどの付加価値の担い手になることがますます難しくなり、機械の使い方をデザインできる人と、機械に代替される人との間の所得の格差が大きく開くようになりそうだ。前者は、新しく富裕層に加わる人の典型だろう。

 もっとも、生産の現場での付加価値の発生形態が変化しても、マネジメント、営業といった生産に付随し、機械で代替しにくいサービスに付加価値は残りそうだし、栄えている生産現場の近くに立地して富裕者を相手にする対人サービス業などは、機械に置き換えられにくい価値を持ち、富裕層への別の登坂ルートになるかもしれない。

アベノミクスは分配論を欠いた政策
効率的なセーフティネットは必要

 一方、長期と言わず短期的にも、早急に整備が必要なのは、フェアで効率の良いセーフティネットだ。かつてケインズは、自分の孫の世代の生活として、生活のための生産活動は週に数時間で十分になり、残りの時間は余裕のあるクリエイティブな生活ができる様子を想像した。

 しかし、物質的生産性はケインズの頃の何倍にもなっているはずなのに、こうした余裕のある生活は生まれていない。だが、「労働の数時間分」を適切に再配分することで、我々の生活には、もっと余裕をつくることができるのではないか。

 あえて欠点を挙げるなら、アベノミクスは「分配論」を欠いた政策パッケージだ。安倍首相が「バラマキ」と批判する再分配政策の中にも、フェアで効率的な「良いバラマキ」もあれば、アンフェアで非効率的な「悪いバラマキ」もあるはずだ。

 最後に総選挙の話に戻るが、与党であれ野党であれ、年金制度と生活保護を含めて、セーフティネットの根本的な再構築を提案する政党が出て来たら、ぜひ応援したいものだと思う。
http://diamond.jp/articles/-/62678


04. 2014年11月26日 06:51:59 : jXbiWWJBCA

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橘玲の日々刻々
2014年11月25日 橘玲
「非正規」という差別的な身分制を禁止し、
同一労働同一賃金を実現すればよい
[橘玲の日々刻々]

 労働者派遣法の改正案が国会で審議入りしたことで、派遣労働のあり方をめぐる議論が再燃しています。法案を提出した安倍政権は「身分の不安定な派遣社員の待遇改善や正社員化につながる」と力説しますが、野党は逆に「派遣を増やすだけだ」と反発しています。

 とはいえ、この法案が世論を二分する論争になっているわけではありません。当の派遣社員も、「どうでもいい」「関心がない」と突き放しています。

 この徒労感はどこから来るのでしょうか。それは政治家やメディアが、問題の本質から目を背けているからです。

「派遣」という働き方が悪いわけではありません。それが政治問題になるのは、日本の社会では派遣が「非正規」とされ、同じ仕事をしていても「正規」の社員と待遇が異なるからです。

 ILO(国際労働機関)は同一労働同一賃金を基本的人権としており、「正規」「非正規」の区別は現代の身分制と見なされます。「日本は前近代的な差別社会だ」という批判を避けようと政府は四苦八苦しているのですが、この問題を解決するのはものすごく簡単です。非正規という身分を法で禁止し、すべての労働者を「正社員」にしてしまえばいいのです。

なぜこれができないかは、「A=BはB=Aに等しい」という単純な論理で説明できます。非正規と正社員の区別をなくすことは、「すべての正社員が非正規になる」ことでもあるからです。

 しかし、これのどこがいけないのでしょうか?

 日本では働き方をフルタイムとパートタイムに分け、フルタイムの労働者を会社の正式なメンバーとしています。しかし考えてみれば、労働時間の多寡で身分を決めるのも同一労働同一賃金の原則に反します。パートやアルバイトであっても、正社員と同じ仕事をしていれば平等に扱われるべきです。

 こうしてオランダでは、1996年の「労働時間差別法」でフルタイムとパートタイムの区別をなくし、2000年の「労働時間調整法」で労働者に労働時間の短縮・延長を求める権利が認められました。

 自己決定権を最大限尊重する社会では、出産や介護、学位の取得などの人生のステージに合わせ、「正社員」の身分のままパートタイムで働くことや、それが一段落したらフルタイムに戻ることを、会社ではなく労働者が決めます。これが労働制度の最先端だとすれば、派遣社員の待遇改善などどうでもいい話で、さっさと差別を撤廃すればいいのです。

 しかしこうした世界標準の改革は、終身雇用・年功序列の日本型雇用の根幹を覆すので、経営側も労働組合も強く反対しています。民主党は同一労働同一賃金の法制化を主張しているようですが、政権党の時代は支持母体である連合の顔色を伺って放置していたのですから、「なにをいまさら」という感じです。野党になって実現可能性がなくなったから、また口にするようになったのでしょう。

「あらゆる差別に反対する」はずのリベラルなメディアも同罪で、「非正規は身分差別だ」と書くと「お前の会社にも派遣社員がいるじゃないか」と批判されるので、問題の所在を報じないようにしているのです。

 こうして派遣をめぐる議論は、どんどん下らないものになっていくのです。

『週刊プレイボーイ』2014年11月17日発売号に掲載

作家。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。「新世紀の資本論」と評された『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部の大ベストセラーに。著書に『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』(以上ダイヤモンド社)などがある。
●DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)にて
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「非正規」という差別的な身分制を禁止し、 同一労働同一賃金を実現すればよい [橘玲の日々刻々][2014.11.25]
成長戦略の目玉は 「カジノ」よりも「大麻特区」で [橘玲の日々刻々][2014.11.17]
日本ではなぜ女性大臣が相次いで不祥事を起こすのか? [橘玲の日々刻々][2014.11.10]
牛丼店「すき家」の"ワンオペ"モデルは 全共闘の革命思想から生まれた [橘玲の日々刻々][2014.11.04]
「中国食材」が日本産より安全かもしれない理由  [橘玲の日々刻々] [2014.10.27]
http://diamond.jp/articles/-/62738


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