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フランス ユダヤ人の名でガザ大虐殺を支持することは認められない ジュリアン・サリンゲ  第四インターナショナル
http://www.asyura2.com/14/warb13/msg/818.html
投稿者 ダイナモ 日時 2014 年 8 月 21 日 19:27:18: mY9T/8MdR98ug
 

 ブルジョア民主主義革命の国であり、現在は社会党政権の下にあるフランスは、欧州諸国の中で唯一、パレスチナ連帯デモに禁止命令を発した国となっている。にわかには信じがたい情勢だが、その背景には、今EU議会選挙での極右躍進にあらわになった既成政党への深い不信と政治的不安定化があり、そこで起きている支配階級の統治能力の低下の中で、反ユダヤ主義への警戒が政権によって異常に押し出されているのかもしれない。以下は、パレスチナ連帯イコール反ユダヤ主義とするフランスにおける議論を取り上げている。フランスにおけるデモ禁止の背景を考える一助として紹介する。(かけはし編集部)


 ガザに対するイスラエルの攻撃が始まって以来、フランスの親イスラエル陣営はパレスチナ連帯運動に対し、多かれ少なかれ直接的にこの運動を反ユダヤ主義と非難しつつ、途切れることなく攻撃してきた。しかしながら、一方でのイスラエルと他方でのユダヤ人の間の同一視に関し実際に最悪の犯罪者となり、それによって反ユダヤ主義的反応に油を注いでいるのはしばしば、そうした同一視を厳しく非難しているまさにその人びとだ。CRIF(フランスユダヤ人機構代表評議会、フランスの全ユダヤ人を代表して発言していると主張している)の代表であると共に世界ユダヤ人会議副代表のロジェール・キューキエルマンはその代表例だ。政治学研究者でありパレスチナ問題の専門家である筆者は、彼に以下のような公開状を送っている。以下は、フランス語から英訳された。


ユダヤ人とイスラエルの一体視

ムッシュ、クキエルマン、私はここ何日もの間、あなたの数々の言明に対し、イスラエルの現在の攻撃(この二週間でガザで六〇〇人以上が死亡した、七月二一日と二二日には平均で一時間毎に一人の子どもが殺された)に対するあなたの公然たる支持、またパレスチナとの連帯のために行われたいくつかのデモの周辺で起きた暴力行為と偶発事件に関するあなたの博識なコメントの双方に対し、深い注意を払ってきた。
この文書の目的はあなたの諸々の言明が提起した形態や内容にすべて応じるものではなく、単に以下のことをあなたに気づかせようとするにすぎない。それはすなわち、あなたの発言はしばしば軽率であり、あなたにとっては正気に返る方が賢明だと思われる、ということだ。とはいえこれがありそうかどうかという点では、私には疑問だが。
あなたはイスラエル、その諸政策、そしてその軍事的攻撃を防衛したいと願っているのですね? あなたにそうする権利は完全にある。しかしその場合、フランスのユダヤ人の名で発言していると主張することをやめるべきだ。また一方のユダヤ民衆と他方のイスラエルを同一視する危険な混同の維持をやめるべきだ。
したがって一つの例として、七月二一日のラジオ・フランス・アンテルナシオナール(RFI)でのあなたの言葉、つまり「われわれはフランスのユダヤ人を代表していると主張する。そしてわれわれはイスラエル国家に愛情を感じている。同じ形でイタリア出身のフランス市民はイタリアに共感を感じ、それは、フランスに居住するスペイン人や何らかの国籍をもつか二重国籍をもつすべての人にとって同じことだ」を思い起こそう。
ところであなたは、どのような「国籍」あるいは「二重国籍」について語っているのか? ユダヤ人の国籍は、イタリア人やスペイン人の国籍と同じ形で存在しているのか? これは実のところフランスにおける現実ではなく、イスラエルにおける現実のことだ。そうであればあなたが言及している「国籍」とは何なのか? 論理的に考えればそれは、イスラエル「国籍」か、フランス・イスラエル「二重国籍」かのどちらかにしか行きようがない。まったく論理的にこの「われわれ」(イスラエル国家に愛着を感じている)はそれゆえ、フランスにいるイスラエル人とフランス・イスラエル人を包含するわれわれだ。
しかしそうなるとあなたは、あなた自身を「フランスのイスラエル人代表」としてではなく「フランスのユダヤ人代表」として押し出すようなやり方で発言しているのか? あなたは、ユダヤ人であることとイスラエル人であることは同じことだ、と考えているのか?
あなたはこの混同を引き入れることによって、しかし自身がこの二、三日糾弾して止まなかった危険な一体化を支持し続けているのだ。一体化というまさにこの主題に関する、二〇一〇年六月のあなたの言葉を思い起こさせることが必要だろうか? あなたの記憶力が悪いように見える以上、それが必要だと私は考える。そしてその言葉とは、「ユダヤ人とイスラエル人の一体化は魅惑的なものだが、それは人びとがあちこちでユダヤ人に舌打ちするよう仕向けるものだ」との言葉だった。あなたには十分に、この意見を考慮に入れるよう……との助言が必要のようだ。


反ユダヤ主義と闘う別の道を

 あなたはその上、いくつかのデモの周辺で起きた暴力行為や偶発事件にコメントする中で、おそらく印象的と思われるとはいえ、まさしくうさんくさく、もっと言えば恥ずべき平行関係を持ち出すことがふさわしいと考えてきた。あなたはそのようにして、七月一三日パリのロケッテ通りで起きた衝突にかこつけて、「それは幾分水晶の夜に似ていた。そしてわれわれはすんでのところで紛れもないポグロムを回避した」などと語ったのだった。
「水晶の夜」。ポグロム。そんなものはまったくなかった。記憶を確かめるために、百科事典を参照することで、水晶の夜とは何であったのかを思い起こそう。 すなわちそれは以下のように書かれている。
――一一月九日〔一九三八年〕午前〇時直前、ゲシュタポ司令官のハインリッヒ・ミューラーは、全警察部隊に一つの電報を送った。それは「ドイツ全土でユダヤ人と特にシナゴーグに対する行動がすぐ起きる予定である。これらの作戦を何ものも妨げてはならない」と警察部隊に伝えるものだった。逆に警察は犠牲者たちを逮捕するものとされた。消防隊は、建物を燃えるに任せるようにとの明白な命令を受け、燃え上がるシナゴーグの傍らで待機した。彼らは、隣接する「アーリア人」の財産が火に脅かされる場合にのみ介入することになっていた。
二日と二晩の間で、一〇〇〇個所以上のシナゴーグが放火され損傷を受けた。暴徒たちは約五七〇〇個所のユダヤ人の事業所を漁り回り略奪し、少なくても九一人のユダヤ人を虐殺し、ユダヤ人の病院、家屋、学校、共同墓地を破壊した。一六歳から六〇歳までのおよそ三万人のユダヤ人の男が逮捕された。それほどに大量の新参者を投獄するために、ザクセンハウゼンやブッヘンヴァルトなどの強制収容所はさらに拡張された――
あなたは本当に、この悲劇的な歴史的できごとを引き合いに出しているのか? あなたはロケッテ通りの偶発事件を大胆にも、国家それ自身が組織した巨大で殺人的な暴力と憎悪の解き放ちに、多くの歴史家がユダヤ人の追放とジェノサイドに向かう序曲と考えているものに比べるのか? あなたの言明はそう見えるだろう。
ここでは、ロケッテ通りでの暴力に関する最初の報告はシナゴーグの代表自身……によって誤りを明らかにされたといった事実は忘れておこう。彼はテレニュースチャンネル@のインタビューに答えて「われわれはいかなる点でも肉体的な危険状態にはなかった」と述べていたのだ。
あなたの誇張した言い回しとそれがどこに行き着くのかに戻ろう。つまりあなたは、七月一三日のできごとを水晶の夜と比べることで、水晶の夜の実体を穏当化する形で相対化しているのだ。あなたは事実上、今回のできごとを露骨に誇張しようと願うばかりに、水晶の夜とは結局はたちの悪い退歩的な暴力に変じたデモと考えられる、と理解するよう人を導いているのだ。あなたは、あなたの言明はたやすく歴史修正主義と描き得る、などと述べる余地を私に与えるのだろうか?
同じことは、「ポグロム」に関するあなたの言及に対しても、水晶の夜への言及のように、ひどすぎるとは言わないまでもまさに誤用として、適用可能だ。
再度百科事典を引用しよう。
――ポグロム:住民の一部による他者に対する殺人や略奪を伴った攻撃を表すロシアの用語。それはロシアでのユダヤ人虐殺を表すための国際的用語になった。(……)それらは政治的かつ経済的危機の中で発生し、ロシアの当局と軍の中立に助けられて(時としてまた暗黙の支援にも力を得て)遂行された。(……)ポグロムの数を確定することは簡単ではない。大規模なものでは八八七内外、「小規模な」三四九のポグロムが数えられている。そしてそれらは六万人以上の死者を生み出した可能性がある――
あなたは「ポグロム」という用語を使うことで、ロシアの当局と軍によって容認された、実際は鼓舞された虐殺の、真に歴史的な悲劇をまたも陳腐なものにしている。そしてあなたは、この場合は一九世紀末と二〇世紀始めのロシアとその近隣諸国で、何十万人というユダヤ人が犠牲者となった暴力を、またも相対化しているのだ。


反ユダヤちんぴらに自分の責任で奉仕している

フランスに反ユダヤ主義は存在しているか? 明らかに存在し、そしてそれと非妥協的に闘うことがわれわれの義務だ。それが「古典的」極右の反ユダヤ主義であろうと、他のものであろうと、あるいはまた、不幸なことに時として姿を現しているのだが、汚名を倍化した反ユダヤ論をたくらむためにパレスチナ問題を利用しようと試みる、憎悪をたぎらせている人びとの反ユダヤ主義であろうと、先の義務に変わりはない。
しかしあなたの繰り返し行われた諸々の言明は、パレスチナ民衆の正統な(そして国際的に認知された)諸権利に対する支持を捨てることなく反ユダヤ主義と闘うことを目標としている人びとにとって、助けにはならない。
なぜならばあなたはユダヤ人とイスラエル人を同一視し続けているからだ。
なぜならばあなたは、ユダヤ人がその犠牲者となってきた悲劇のいくつかを陳腐化しているからだ。
そうすることであなたは、あなたの目的がたとえ違うとしても、反ユダヤ主義の下品な最悪表現のいくつかの要点を繰り返す形で、反ユダヤちんぴらに自分の責任で奉仕している。
思うにあなたはイスラエルを防衛したいと思っている。あなたにはそうする権利がある。私は実際、デモ禁止を支持したあなたとは異なり、表現と見解の自由を確信している者だ。
しかしながらあなたには、反ユダヤ主義との闘争に関し誰かに教えるものは何もない。そしてあなたがユダヤ民衆に提供できる最良のサービスは、彼らの名前で発言していると主張することをやめることだと思われる。

▼筆者は、パリ第八大学で政治学の教鞭をとっている。フランス反資本主義新党(NPA)並びに第四インターナショナルのメンバーであり、二〇〇一年以来占領地を定期的に訪れてきた。(「インターナショナルビューポイント」二〇一四年八月号)


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