ロシアとトルコ シリア巡る隔たり埋まらず〜プーチン大統領＆エルドアン大統領／NHK　12月2日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141202/k10013646831000.html

　ロシアのプーチン大統領は、トルコのエルドアン大統領とシリア情勢について協議し、イスラム過激派組織「イスラム国」への対応で協力を確認しましたが、アサド政権を擁護するロシアと、退陣を求めるトルコとの立場の隔たりは埋まりませんでした。

　ロシアのプーチン大統領は１日、トルコを訪れてエルドアン大統領と会談し、トルコの隣国で、ロシアと強いつながりがあるシリアの情勢について協議しました。
　このあと両大統領は共同で会見を行い、シリアで勢力を広げる「イスラム国」について、「テロ組織の拡大は受け入れられない」として引き続き協力して対応に当たることを明らかにしました。
　その一方で、エルドアン大統領は「シリアの危機を解決するための道筋を巡って合意できなかった」と述べ、「シリアからアサド大統領を排除しなければ、内戦を終わらせることはできない」と強調しました。
　これに対して、プーチン大統領は「シリアでは大統領選挙が行われ、多くの国民がアサド大統領を支持したことが示された」と述べ、アサド大統領を擁護する姿勢を示しました。
　プーチン大統領は、先月２６日にロシアを訪れたシリアのムアレム外相との会談でも「イスラム国」への対応でアサド政権との関係強化を確認したとされており、アサド大統領の退陣を求めるトルコとの立場の隔たりは埋まりませんでした。

　イスラム過激派組織「イスラム国」を抑え込むための対策について６０か国の閣僚級が話し合う初めての会議がベルギーで開かれ、各国は、現在、イスラム国の勢力拡大は「止まりつつある」という認識で一致し、引き続き軍事作戦や資金源根絶などで協力していくことを確認しました。

　この会議はアメリカの呼びかけでＮＡＴＯ＝北大西洋条約機構の加盟国やアラブ諸国、それに日本など合わせて６０か国が参加して３日、ブリュッセルで開かれました。
　各国は空爆やイラク軍への支援など「イスラム国」に対する、さまざまな行動の成果が現れているという認識で一致したということで会議のあと、「『イスラム国』の勢力拡大は止まりつつある」とする共同声明を発表しました。
　そして、各国は軍事作戦に加え、外国からの戦闘員流入を防ぐことや、「イスラム国」の資金源を絶つことなどを柱に、「イスラム国」を壊滅させるために長期的に協力を続けることを確認しました。
　アメリカのケリー国務長官は記者会見で、「空爆が注目を浴びているが、われわれは軍事面の対策だけでは成功しないという考えで一致した」と述べ、幅広い分野での協力を訴えました。
　また、会議では日本の石井正文駐ベルギー大使が日本としてもイラクなどへの人道支援や「イスラム国」の資金源根絶などで協力を続ける考えを示しました。

　アメリカのオバマ大統領はヨルダンのアブドラ国王と会談しイスラム過激派組織「イスラム国」への対応について、「着実に前進している」と評価し、壊滅を目指して両国で引き続き協力して取り組んでいく考えを強調しました。

　アメリカのオバマ大統領は５日、ホワイトハウスでシリアの隣国ヨルダンのアブドラ国王と会談しました。
このあと、オバマ大統領は記者団に対し、ヨルダン軍がイスラム過激派組織「イスラム国」に対してアメリカ軍と共に空爆などを行っていることについて、「ゆっくりではあるが、着実に前進している」と評価しました。
そのうえで、「長期間にわたる極めて複雑な課題だが、成功できると楽観している」と述べ、「イスラム国」の壊滅を目指して取り組んでいく考えを強調しました。
　これに対しアブドラ国王も、「シリア危機の包括的な解決には時間がかかるが、正しい方向に進んでいると確信している」と述べ、引き続き協力していく考えを示しました。
　また、オバマ大統領はイランの核開発問題の交渉期限が来年６月末まで延長されたことに関連して、「イランが国際社会に復帰する機会をつかむのかどうかは分からないが、数か月間努力していく」と述べ、粘り強く協議を続ける考えを示しました。