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パキスタン 宗教的過激派グループ:形成途上にあるファシスト  第四インターナショナル
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投稿者 ダイナモ 日時 2015 年 1 月 07 日 16:12:38: mY9T/8MdR98ug
 

子どもたちの虐殺を糾弾する

ファルーク・タリク


宗教的過激派集団による殺りく

それは、宗教的ファナティック集団が行ったどれよりも殺人的な襲撃だった。一〇歳から一七歳までの一三六人の子どもたちをふくむ一四六人が、ペシャワール陸軍小中学校で殺された。襲撃者たちは子どもたちにカルマ(訳注:仏教やヒンドゥーの教義)を暗誦するよう命じ、それから子どもたちに発砲した。それはムスリム過激派によるムスリムの子どもたちへの攻撃だった。
テフリーク・タリバン・パキスタン(パキスタンのタリバン運動)は、犯行声明を出し、この「作戦」に加わった七人の戦士が銃と爆弾を抱えている写真を送りつけた。それは、反撃に出た軍によって殺害された七人の死体の顔写真――かれらが致命的被害を引き起こす以前のものではなく――がネットに投稿されたことへの反応だった。
この犯罪を行った者たちは、自分たちは子どもを殺してはいないと主張した。一二歳以下の「敵」の子どもを殺すことは、かれらの「イスラム」の教えによって許されてはいない、というのだ。学校に在籍している子どもたち全体の約一一%が、かれらが学校を占拠してから一五分以内に殺害された。
校長の死体は判別不可能なまでに焼かれた。彼女(校長)の過ちは、攻撃の最中に子どもたちを導いて学校から脱出させようとしたことだった。子どもたちは整列するよう指示を受け、その後で撃たれた。敢えて逃げようとした者たちも追跡され、そして撃たれた。
こうした事態はパキスタン全土の子どもたちに恐るべき影響を与えている。一四歳になる私の息子は母親に、やつらが学校に来た時はどうすべきか質問した。「整列するの、それとも逃げるの」と。


共犯者たちの無駄で無益な会合

この事件が起きた日、パキスタンと全世界に衝撃が走った。罪のない子どもたちの殺害のニュースは、この日のメインの話題として世界中に速報された。それは大きな怒りと衝撃を与えた。
翌日の一二月一七日、パキスタンのすべての地域で自然発生的なゼネストが見られた。それはどの政党によっても呼びかけられたものではなかった。すべての金持ちたちの政党の夢は、自分たち自身の狭い政治的利益のためにパキスタンを閉じ込めることができる位置に座ることである。道路での輸送が途絶え、ほとんどの店や施設が閉鎖されたこの日の状況は、最も成功したストの一つと言いうるものだった。それは、パキスタン全土が悲しみと怒りに閉ざされた二〇〇七年一二月のベナジール・ブット(訳注:元首相、パキスタン人民党[PPP]の指導者)殺害後の状況を思い起こさせるものだった。
パキスタンの大敵と呼ばれるインドのすべての学校で二分間の黙祷が行われ、インド議会はこの攻撃を非難する決議を採択した。
その日、議席を持つパキスタンのすべての政党の代表がペシャワールで会合し、過激派をどう扱うかに関して意見の変化もなく、具体的提案もないまま「共に活動する」ことに同意するという無駄な一日を過ごした。実際、かれらに何ができるというのか。
この会合にイムラン・カーンがいた。彼の党は、事件が起きたカイバル・パククントゥワ州(訳注:ペシャワールをふくむアフガニスタンとの国境地帯の州)の政権についている。また彼は、連邦政府を打倒するために国の別の場所で座り込みや集会を行う一方、自分たちの州の住民の生命を守るという任務を完全に無視している。
イムラン・カーンの「良いタリバンと悪いタリバン」という哲学は、トライバル(部族)地域で「安全地帯」を建設している過激派には何の措置もとらない、という意味だ。良いタリバンも悪いタリバンも存在しない。かれらはすべて同じネオ・ファシズム家族の中にいる。
政権党であるムスリム連盟は、長期にわたって宗教的過激派とコンタクトを取っており、二〇一三年の総選挙で勝利するためにかれらを利用した。過激派はPMLN(ムスリム連盟ナワーズ・シャリフ派)、PTI(パキスタン正義運動)など、ほとんどの野党に対して自爆攻撃を行い、かれら野党が効果的な選挙運動を行うのを妨害している。
この会合にはジャミアート・イスラムもいた。同組織の前党首は死んだタリバンをシャヒード(殉教者)、過激派に殺された軍人をたんなる「死者」と宣言している。この会議にはジャミアート・ウラマー・イスラムも出席していた。この党は宗教的過激派の一派の政治部門として知られている。さらに幾つかの別の政党もいた。かれらは狭い政治的利益のために宗教的過激派との定期的接触、連携を維持し、同じジハード(聖戦)派の千年王国イデオロギーを支持している。
この会議は、国家の治安政策を定式化する委員会を一週間以内につくることに同意した。まるで一週間のうちに、どんな魔法の定式でも考えつくことができるかのようだ。


パキスタン国家が保護と支援

 パキスタン国家は、宗教的原理主義の高揚を抑え込むことに悲劇的なまでに失敗した。かれらのソフトスポット(特別に有利な場所)はつねに存在している。長い間、かれらは国家によって治安の第二線として支援されてきた。インドへの敵意を意味する安全保障パラダイムは、国家による保護の中核的目的だった。イスラム化のプロセスは、アメリカ帝国主義に全面的に支援されたジアウル・ハク軍事独裁によって促進された
ジハード集団の創設と支援を別にして、国家と軍部は帝国主義諸国の数十年間におよぶ財政的・政治的支援を受けて、その戦略的利益を守るために、幾百万人もの人びとに保守的イスラムのイデオロギーを吹き込んだ。
一九八〇年以後の三〇年は、マドラサ(イスラムの宗教学校)の時代として見られており、現在二万以上のマドラサが自爆攻撃の要員を募るホームグラウンドを提供している。主にサウジアラビア、そして数百万人のムスリム移民に支援されたマドラサは、通例の学校制度へのオルタナティブとなった。パキスタンやそれ以外の場所で行われているテロリスト活動のほとんどは、こうしたマドラサの組織的・政治的支援と結びついたものである。


教育・医療・保健に深刻な打撃

九・一一(二〇〇一年)の後、国家と原理主義者の密接な関係はある程度変化したが、実際のところ崩れ去ったわけではなかった。禁止されたテロリスト集団は名前を変え、定期的な基盤で活動を実行した。かれらは会合を行い、公的集会を開催し、資金を集め、国家からのいかなる介入も受けずに文書を発行した。
パキスタンは保守的になり、いっそうイスラム的で右翼的になり、その結果、極端な「イスラム主義」の思想がはびこることとなった。個人的・イデオロギー的問題に片をつけるために冒涜禁止法がしばしば使われた。宗教的少数派、女性と子どもたちは、容易にターゲットになった。こうしたソフトなターゲットは、この決定的な右翼転換によって最大の代価を支払うことになった。
宗教的原理主義の勃興は、進歩的勢力のみにとどまらず、現代社会の基礎そのものにとっても最も深刻な挑戦として現れた。教育と医療・保健活動は、過激派の現実的ターゲットになった。
おもに女性であるポリオ対策(訳注:ワクチン配布など)の労働者が、過激派によって殺された。ポリオ根絶のために行動しているチームが、オサマ・ビンラディンの発見、そして彼の殺害に導いたという憶測にもとづいてである。その最終結果は、世界保健機構(WHO)がポリオワクチン証明書を持たないパキスタン人に外国渡航禁止を勧告する、という事態になってしまった。
パンジャブ州とカイバル・パククントゥワ州の小・中学校教育は、宗教の名において、より非科学的でジハードを支持する考え方の余地を与えられるように修正された。ほとんどの学校教育では、戦争をうながすような哲学がばらまかれている。


新版ファシズムへの対決を

宗教的過激派グループは、新版のファシズムである。かれらは形成途上のファシストだ。かれらはファシズムの歴史的特徴のすべてを身につけている。かれらは反対勢力をひとまとめにして殺害する。かれらは中流階級、とりわけ教育を受けた層の中にかなりの活動スペースを有している。かれらは労働組合や社会運動に敵対している。かれらは女性が男性より劣っていると主張し、女性を家庭にとどめようとしている。宗教的少数派への攻撃が行動の規準になった。
宗教的過激派集団は国際主義者である。かれらはイスラムの世界を望んでいる。かれらは民主主義に反対し、統治の方法としてカリフ制(王制)を奨励している。「イスラム国」やタリバンという形をとったかれらは、最近の歴史のなかで最も反文明的な勢力である。かれらのイデオロギーには進歩的なものは何一つとしてない。かれらは反帝国主義ではなく、反米・反西洋である。かれらは、自爆攻撃、爆弾破裂、大量殺害、無差別銃撃という形で最も残忍なテロリスト活動を作り出し、それを遂行している。
かれらに反撃しなければならない。「テロとの戦い」という形をとった米国式の反撃の仕方は、無残な失敗に終わった。占領、戦争、民主主義的オルタナティブ創造のすべてにおける米国のイニシアティブにもかかわらず、宗教的原理主義者は、より一層の力をもって成長した。
アフガニスタン占領にもかかわらず、原理主義者は、「九・一一」の時よりも強力になっている。
包括的対策パッケージが必要だ。国家は、ファナティック集団とのあらゆるつながりを断たなければならない。宗教的原理主義は「われわれ自身の兄弟、ヒンズーの奴らに対するわれわれの治安の前線であり保障だ。一部は悪だが一部は善だ」などといった考え方は、変えなければならない。陰謀論は、宗教右派の間で最も好まれている主張だ。かれらは現実に向き合うことを望んでいない。
宗教的原理主義を終わらせる近道はない。軍事的解決の道もない。ほとんどのムスリム諸国で教育、保健、労働の現実における劇的なまでの改革を伴う政治的闘争が行われなければならない。マドラサの国有化を皮切りに、原理主義に対決する最も効果的方法として無料の教育、医療、交通を提供し続けなければならない。
右翼的思想が極右イデオロギーを促進する。社会運動と結びついた労働組合という形をとった大衆的な労働者階級のオルタナティブが、宗教的原理主義と対決する最も効果的な方法なのである。

(「インターナショナルビューポイント」二〇一四年一二月号)


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