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プーチンはいつ再び武力を行使するか
http://www.asyura2.com/14/warb14/msg/869.html
投稿者 DOMOTO 日時 2015 年 2 月 03 日 21:01:14: VRQtq/0DZtRLQ
 

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DOMOTO
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735


相変わらずプーチンが強気な行動を続けています。

焦点:強気姿勢崩さぬプーチン大統領、ウクライナ情勢緊迫で思惑も (1/29-2015 ロイター)
http://jp.reuters.com/article/jpRussia/idJPKBN0L20S220150129?sp=true

1月22日の記事でお伝えしましたが、現在のプーチンはウクライナ問題と自国経済の悪化のなかで、中東地域と地中海への戦略・政策へも力を入れています。それが目立ち始めたのは昨年の11〜12月のようです。2014年のアジアシフトからの更なるシフトです。


【◆◆以下の記事は1月8日に発信した記事の一部です】


    【2】 プーチンはいつ再び武力を行使するか


※ この節は12月11の記事、『プーチンは経済成長を捨てて侵略する選択を』の続編にあたります。
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39183999.html


大幅な原油下落で経済的な苦境にたっているロシアのプーチンは、いったい何を考えて行動しているのでしょう。
海外のアナリストには、プーチンのいまの最悪な状態がこのまま続くと見る人もいれば、現状打破の手段として武力行使に出てくると見るアナリストもいます。私はプーチンという政治指導者の資質と性格から後者の見方をとっています。

後者のアナリストのなかには、ロシア経済の悪化が深まるなかで、プーチンが軍事力を行使して権力の延命を計るのはいつぐらいの時期かに言及している人もいます。

戦略国際問題研究所のアンドリュー・クチンス氏は、CNNへの寄稿記事でこう言います。

『プーチンより前のロシアの指導者ミハイル・ゴルバチョフとボリス・エリツィンが、主に国家経済の経済的困窮という結果で最後には不人気になったのと全く同じように、長期にわたる経済の下降は、クリミア併合の強い高揚感の後の現在の人気の高まりを深くむしばんで(侵食して)いくだろう』

Will economy be Putin's downfall? (12/07-2014 CNN)
http://edition.cnn.com/2014/12/07/opinion/kuchins-putin-economy-problems/

この指摘から、いまのプーチンの高い支持率は(伝えられるところでは80%)、<領土拡大の興奮>からまだ国民が覚めていない部分が大きいことがうかがえます。

クチンス氏は記事の最後の方でこう言います。

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プーチンが2012年に大統領に戻った時、ほとんどのロシア人と海外の観測筋は、彼の任期は少なくとももう12年続くことを(2024年まで)あきらめて観念したように見えた。しかし、現在の状況では、最近の出来事が2018年の彼の再選に疑問を投げかけるだけでなく、もし経済的下降が続くならば、2016年に予定されているロシアの国会議員選挙はそのシステムをぐらつかせるだろう(訳注:ロシア下院選挙)。

ロシアの歴史を学ぶ学生なら誰でも、ロシアの進路はしばしば非直線的な出来事によって妨害されるという事を知っている。そして現在、もうひとつの出来事が(訳注:侵略)この先数年後に起こるだろうという危険性が、ますますあるように見える。

When Putin returned to the presidency in 2012, most Russians and outside observers seemed resigned to at least another 12 years of his leadership, through 2024. But as things stand, not only do recent events call his re-election in 2018 into question, but if economic decline continues, the Duma elections scheduled for 2016 could shake the system.

Any student of Russian history knows that Russia's path is frequently disrupted by nonlinear events, and today it appears increasingly possible that another could happen even in the next few years.

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ロシア大統領の任期についてウィキペディアの説明を引用しておきます(大統領の連続3期の任期は法律で禁じられています)。

「2008年の憲法改正により、今任期から連邦大統領職の任期が6年となったため、任期満了は2018年となる。また、仮に次期大統領選挙に出馬・再選された場合には、2024年まで在任することになる」

ウラジーミル・プーチン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%9F%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3

CNN記事の上記の箇所のように、クチンス氏は2018年の次期大統領選挙の前にプーチンが武力行使にでてくるだろうと予測しています。
これに対してアメリカン・エンタープライズ研究所のマイケル・オースリン氏は、ロシア経済の悪化が深まれば、それにより2015年がプーチン政権にとって危険な年になるので、そうすれば今年中にも軍事力行使を行うだろうと示唆しています。

Russian Caveat (12/23-2014 アメリカン・エンタープライズ研究所)
http://www.aei.org/publication/russian-caveat/

そしてオースリン氏は、経済悪化につれて起こる反政府的騒乱や暴動に対しては、厳重な取り締まりを強化するだろうとも言っています。


■ 関連リンク

プーチンは経済成長を捨てて侵略する選択を (12/11-2014 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39183999.html

プーチンは停戦を遵守するかー「ノヴォロシア」の復興ー (10/09-2014 拙稿 )
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735/39109236.html


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コメント
 
01. 2015年2月03日 22:55:08 : XnRSQ5mvqk
ダメリカ、イスラエルが何を考えているかなあ アジア人の人口が多いと考えているらしい

02. 2015年2月03日 23:37:38 : Ygg5mgPWkA
まあ、戦争がしたいのは
プーチンよりネオコンイスラエルの方だろう

ウクライナでも中東でも
戦争を煽って実行してるのは
ネオコンイスラエルじゃないか


03. 2015年2月04日 13:13:50 : RTWWw8j8P6
どうもウクライナ軍は1月に攻勢をかけてまた負けたらしいな。

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続きを読む: http://japanese.ruvr.ru/news/2015_02_03/282670473/

キエフのウクライナ大統領府に数百人の抗議市民が雪崩込んだ。抗議市民はすでに国家親衛隊の第1の警戒線を突破し、会議室まで達している。

抗議市民は公式の声明を行なうため、テレビの生放送への出演を要求している。タス通信が伝えた。
抗議市民らはこれより前、自分たちの要求を直接、ポロシェンコ大統領に手渡す意向を表していた。
抗議市民は国内に戒厳令を敷くことを要求しており、そうした上で、ポルトラク国防相からヤレマ検事総長まで治安維持陣営の全ての指導部の退陣を強要している。
要求項目のひとつにはデバリツェヴォ近郊からのウクライナ軍第25大隊「キエフ・ルーシ」の撤退が掲げられている。この大隊は武器弾薬は最低一昼夜分の武器弾薬を抱えている。
「母親連盟」の代表らは、デバリツェヴォ近郊の大隊に従軍する自分らの息子たちはすでに数日間にわたって連絡を絶っていると指摘した。
抗議行動は2015年2月3日午前からキエフの最高議会の建物脇で開始された。抗議行動の発案グループには議会の建物内部に入ることまで許可され、議会のプレス・ロビーで自分たちの要求を読み上げた。この後、抗議市民らは銀行通りにある大統領府へと場所を移した。


04. 2015年2月04日 21:03:26 : jXbiWWJBCA

【第4回】 2015年2月4日 宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]

ロシア国債の格下げは、新たな経済危機を引き起こすのでしょうか?宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

“米国”の大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が1月26日、ロシアの長期債務(国債)格付けを“投機的”等級の「ダブルBプラス」に1段階引き下げたと発表しました。同国経済の成長見通しが悪化していることが格下げの理由です。

?これを聞いて筆者は、S&Pが2010年4月にギリシャを同じように投機的等級に格下げした「ギリシャ危機」を思い出します。投機的とは、投資不適格と同義であり、一般的な機関投資家は、保有している当該国の国債を問答無用で売却をしなければなりません。当該国からすると、国債がさらに売られるということになります。さらに言えば、当該国は国債を買い入れて通貨を発行するなどしていることから、国債と通貨は表裏であり、結果として通貨も売られることになります。今回も当然、ルーブルは下落しています。

ロシア国債の格下げは
致命的な打撃にはならない

?しかし、今回のロシアの格下げは、同じS&Pが行ったギリシャの格下げと比べると影響は、致命的というほど大きくはありません。なぜなら、ギリシャの格下げは予想されていなかったタイミングで、かつ、3段階もの格下げだったのに対し、今回のロシアの格下げは予想されており、その度合いも1段階であったことです。

?さらにロシア国債特有の状況があります。

?ロシアは1998年にも債務不履行(デフォルト)を起こしており、国際金融市場から一度撤退していました。その関係もあって、海外諸国のロシア国債保有率が約一割強と少ない。そのため破滅的な状況にはなっていないのです。

原油安が引き起こした
通貨ルーブルと株価の急落

?ロシアは新興大国群BRICSの構成国で、資源の輸出で国の経済を支える資源国です。特に石油・ガスが主たる資源で、ロシアの輸出の約7割を占めています。財政に関しても歳入の約4割を石油・ガスの企業からの税収に頼っています。基本的に石油とガスの価格は連動性があります。そのため、ロシアの場合は、石油・ガスの価格が、通貨(為替レート)や株価と連動します。もっと言えば、石油・ガスの価格が国の経済と連動します。

?原油価格(WTI)は2008年7月にサブプライム危機の影響で、1(トロイ)オンス=約150ドルまで上がりました。その後、落ち着いてきて2014年半ばまで約100ドルで取引されていました。それが、年末には、半額の50ドルを割り込みました。ロシア経済を考えると、売上高が半分になってしまったわけです。

?これに連動するように、通貨ルーブル(ルーブルの語源は天秤の意味のライブラ:Libra)と株価は原油と連動し約半額まで下落しました。これは大きな打撃です。一般的に、通貨危機等の経済危機で、そのショックを吸収できるのは約2割までで、それ以上は国家財政に大きな打撃を与えます。

ルーブル売りの圧力に耐えかね
変動相場制へ移行

?ロシアルーブルの通貨制度は、米国をはじめとした世界各国とさらに欧州との貿易を考えて、基軸通貨ドルと欧州のユーロの5割ずつの平均値(バスケット)に固定する通貨制度(管理変動相場)を採用していました。一般的にはルーブルが高くなるとルーブル売り・ドルとユーロ買いの介入をして、ルーブルが安くなるとルーブル買い・ドルとユーロ売りの介入をしてきたのです。

?今回、原油の急落と同時に為替も急落し、ロシア中央銀行はそれを止めるべくルーブル買い・ドルとユーロ売りの介入を継続的に行いました。さらにルーブルの下落を止める=投資の魅力を高めるべく、景気が悪いにもかかわらず利上げも行いました。

?ユーロとドルの外貨を売るわけですが、その原資は公的な外貨準備(通貨当局の金融資産)です。つまり、残高に限りがあるのです。ロシアはその時、外貨準備はGDPの約2割保有していました。日本もGDP対比約2割5分なので、結構な量でした。これはそれまでの原油等の貿易黒字によるものです。

?しかし、非常に強烈なルーブル売り圧力の前に、外貨準備を使い切ることなく、買い支えをやめて、なんと変動相場制に移行してしまった。固定的な通貨制度の場合、外貨準備を使って為替介入により通貨の買い支えを行いますが、外貨準備の残高や経済の状況を見て、判断したと考えられます。これにより、為替レートはドルや円と同様に市場原理で動くことになります。通貨政策などの経済政策は、治療と一緒で副作用があり、この場合、輸入品の値段が上昇し、海外債務の支払い負担が大きくなります。しかし、通貨危機の分析をすると、水を貯めたダムが崩壊すると水の被害が大きく、早めに放水したほうが被害は少ないように、固定相場制を踏ん張って買い支えをするよりも、早く変動相場制に移行した方が下落率は少なく被害も少ないのです。

?ちなみに、通貨経済学における重要な検討ポイントの一つに、外貨準備の適正な額というものがあります。過去から言われているのは、(1)貿易(輸入)額の3ヵ月分、(2)短期債務の1年分、そして、ロシア中央銀行の当初の説明では、今回の場合(外貨準備が)(3)GDPの2割あるから大丈夫、というものでした。この移り変わりは、まさに国際金融・経済の変革を示しています。世界経済は当初、貿易が中心でしたが、国際的な資金のやり取り(貸借)が始まり、最近では量的金融緩和もあり、巨額なグローバルマネーがその中心となってきたのです。

プーチン大統領を揺さぶる
米国の原油戦略

?そもそも、今回の原油の下落については需要と供給、そして投資マネーの条件が重なっています。需要面では中国をはじめとした新興国の経済成長率(景気)が落ちてきたのでそもそも原油をあまり使わなくなったこと、供給面では、なんといっても米国がシェール革命で原油とガスの産出を急拡大していることと、米国と親しいサウジアラビアを中心としてOPECがこれもまた増産していることです。さらに、米国の金融政策の正常化によって、量的金融緩和の引締めが予定されていますが、早くもその動きの先取りで、原油市場から資金の引き上げが起こっている可能性も高いのです。

?この中で特に注目すべきは米国の動きです。米国は国策として国内の原油は輸出していませんでしたが、シェールオイル・ガスは輸出します。ちなみに、このシェールオイル・ガスによって、米国は近未来には貿易黒字国になる可能性が高いのです。

?増産を続けているため、値崩れが激しくなっていますが、原油の製造コストが高い国は窮地に陥っています。たとえば、ベネズエラ、イラン、ロシアなどがそうです。それらの国に共通しているのは、反米であるということです。特にベネズエラはキューバに原油を供給していましたが、最近の動きでそれも困難になってきたようです。そうなると両者の関係も弱くなりがちで、そこで米国はキューバに声をかけたのかもしれません。

?ロシアについていえば、米国の動きがプーチン政権への大きな揺さぶりになっているのは間違いがありません。

中国と接近するロシアと
揺さぶりを強化する米国

?実は、最近、ロシアと中国の間に2本のパイプラインが引かれています。このパイプラインによって、そうはいっても経済成長した中国の4割のエネルギーを確保することができるのです。この関係はいろいろな意味で非常に強まることになり、新たな冷戦の可能性も否定できません。

?商売的な言い方をすると、このような東側の新しい大きいお客様ができたため、西側で、大胆な動きができるのかもしれません。

?ロシアは東ウクライナの作戦を展開し戦火が拡大しているようです。欧米は追加制裁を計画しています。プーチン大統領はテレビ放送で「2年間の辛抱」ということ訴えましたが、基本的には、普段と変わらないように振る舞っているようです。この状況は、プーチンが退陣まで続く可能性もあります。しかし、メドベージェフも表舞台から姿を消し、経済の専門家ではないプーチン大統領に権力が集中していることは、ロシアの経済運営は大丈夫かと不安もよぎります。その一例が、1月30日には主要政策金利を“逆に”17%から15%に引き下げたことで、当然、火に油を注ぐが如く、ルーブルは大きく売られており、さらに不安が高まっています。

?米国などは追加制裁とは明言しないでしょうが、さらに原油価格を下げてくる可能性は否定できません。さらにS&Pの格付けにしても、引き続き格付け見通しは「ネガティブ」とし、まだ下がる可能性があります。

?つまり、原油価格の面でも、格付けの面でも、ロシアの通貨ルーブルや他の金融商品は今後も継続的に売られる可能性があります。1998年と同様に、原油価格が持ち直さないと、どうしようもない、といった状況です。『ロシアより愛をこめて』のようにハッピーエンドとは行かないようです。

?我々はいま国際金融の今後、教科書に載るような事件を目の前で見ているのです。まさに大変に勉強になります。

※本連載は宿輪ゼミや大学講義、そして自身の研究に基づく個人的なものであり、所属する組織とは全く関係はありません。


しゅくわ・じゅんいち
経済学博士・エコノミスト。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年に富士銀行に入行。国際資金為替部、海外勤務などを経て、98年に三和銀行企画部に移籍。合併でUFJ銀行、UFJホールディングス経営企画部等に勤務。兼務で、東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)、慶應義塾大学経済学部等で非常勤講師として教鞭。財務省・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会に参加。2006年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、開催数は170回を、会員は7000人を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書に『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか』(共著、東洋経済新報社)、『通貨経済学入門』『アジア金融システムの経済学』(日本経済新聞社)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』(東洋経済新報社)がある。

http://diamond.jp/articles/-/66180


05. 2015年2月06日 09:29:35 : jXbiWWJBCA

ロシアとウクライナ:プーチンの計画を読み解く
2015年02月06日(Fri) The Economist
(英エコノミスト誌 2015年1月31日号)

ロシア大統領はウクライナでの戦闘と、NATOおよび西側諸国に対する敵対的な発言の双方を激化させている。

 ウラジーミル・プーチン氏が最初にロシア大統領に就任した際に出版されたインタビューから成る書籍で、同氏は子供の頃に経験した恐怖について語っている。自分が隅に追い込んだネズミが行き場を失い、飛びかかってきたという話だ。自身を窮地に追い込んだプーチン氏は今、子供の頃の悪夢を演じている。

ウクライナ東部、9日に停戦へ 9月のミンスク協定で合意
ウクライナ東部ドネツクの空港近くでカノン砲に装弾するウクライナ軍の兵士〔AFPBB News〕

 ウクライナとロシア国内で数カ月、比較的落ち着いた時期が続いた後、プーチン氏は掛け金を吊り上げた。

 ウクライナでは、昨年9月のミンスク和平協定もろとも脆い停戦状態をぶち壊した。反政府軍勢力が前進しており、プーチン氏はウクライナ政府軍を北大西洋条約機構(NATO)の外国人部隊と呼んだ。

 同時に、潜在的なマイダン流デモ*1と戦うために準軍事的組織を動員して、ロシア国内での防衛態勢を築いている。ウクライナでの直近の戦闘は、多くの意味で、プーチン氏が必至になっている兆候だ。

 5カ月前、ロシア軍の部隊は、ウクライナ軍がドンバス地方の反政府勢力を一掃するのを食い止めるためにウクライナ東部に侵攻した。すぐにウクライナの敗北が明らかになった。ウクライナと欧州連合(EU)との貿易協定は棚上げされ、ウクライナ議会は分離主義勢力が支配するドンバス地方の一部に大きな自治権を与える法案を可決した。

 ウクライナがNATOに加盟するという話題は消えた。米国は、ロシア、ウクライナ、欧州の間の協議から外された。ウクライナ国内に分離主義勢力の支配する地帯を作るというプーチン氏の目標は、手の届くところにあるかに見えた。

「ハイブリッド戦争」の曖昧な結果

 だが、ハイブリッド戦争はハイブリッドな結果を生むことがある。ロシアは軍事的な関与を決して認めなかったため、勝利宣言し、兵士を現場にとどめることでロシアの意向を強要することができなかった。

 ロシア軍の部隊がひとたびウクライナ東部から撤収すると、プーチン氏の勝利が危うく見えるようになった。反政府勢力は武器を置くことを拒み、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は敗北を認めない。ウクライナは、今のところ、ドネツク、ルガンスク両州を国家として承認していないし、NATO加盟の願望も捨てていない。

 実際、ポロシェンコ大統領は12月29日、ウクライナの中立国としての立場を放棄する法案に署名した。

*1=「広場」を指す言葉で、ウクライナ反政府デモの舞台となった首都キエフの「独立広場」の呼称

 西側はロシアに対し、ウクライナの今後あり方についてさらなる協議を行う前に反政府勢力への武器の供与をやめるよう圧力をかけ続けた。明らかな不信感を示す形で、欧州の指導者たちは、カザフスタンの首都アスタナで予定されていたプーチン氏との首脳会議をキャンセルした。そこで、プーチン氏は自分の決意を見せつけることにした。

 ロシアの支援を受けたウクライナ分離主義勢力は、ウクライナの抵抗の象徴となったドネツク空港への攻撃を再開した。反政府勢力の指導者のアレクサンドル・ザハルチェンコ氏は、港湾都市のマリウポリも攻撃した。ミサイル攻撃は標的を外して住宅地に着弾し、30人の民間人が死んだ。

 この事実が明らかになるや否や、ザハルチェンコ氏はロシア政府から、話の筋書きを変え、事故をウクライナ人と西側の支援者たちの挑発のせいにするよう指示された。この筋書きはすぐさま、プーチン氏が裏付けた。

 ウクライナは内戦状態にある、とプーチン氏は断言した。だが、そのうえで、ウクライナ軍は「ウクライナの国益を追求するのではなく、ロシアを抑制したがっているNATO外国人部隊」だと付け加えた。

 この声明は、ウクライナ軍の制服を着て英語を話すナゾの兵士やキエフにいる米国人軍事司令官の映像を流すロシアのテレビ局によって入念に準備された。主要ニュース番組は「米軍によるこうした訪問の後に必ず、ウクライナでの戦闘が新たに始まる」と説明した。

ロシアの経済危機の影響

 この反欧米レトリックの強化は、部分的には、悪化する経済への対応だ。実際、格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がロシアの信用格付けをジャンク(投資不適格)に向けて引き下げるに従い、プーチン氏はウクライナ戦争をロシア対NATOの対立に格上げしていった。

 原油価格の下落と、引き続きルーブルにかかる下落圧力は物価高騰を招き、ロシアの一般市民の間で大きな不満を生んでいる。政府は慎重に危機という言葉を避けているが、危機対策について話し始めている。

 野党勢力も同様だ。野党指導者のアレクセイ・ナワリニー氏と、ベテランのリベラル派、ボリス・ネムツォフ氏は反危機集会の開催を呼びかけた。「プーチンは、危機であり、戦争だ。プーチンがいなければ、危機も戦争もない」とネムツォフ氏は書いた。

 一方、プーチン氏はロシア国内で新たな防衛策も講じた。

 ウクライナの反政府勢力がドネツク空港を攻撃した日、ロシアで「反マイダン」運動が開始された。この運動の構成メンバーは、強面のコサックや、アフガニスタン戦争、チェチェン戦争で戦ったロシア人退役軍人、「夜のオオカミ」と呼ばれる黒革ジャンパー姿のバイカー集団、そして、自由主義のあらゆる兆候と戦うよう訓練されたプロのスポーツマンなどだ。

 (そのほかにも、プーチン氏への個人的な忠誠を誓うチェチェン共和国のラムザン・カディロフ大統領に仕える数千人のチェチェン人戦闘員がいる)

 国営メディアで発足が宣伝されたこのグループは、法的に認められない暴力行為を実行する認可を得ているように見える。彼らが最初に取った行動は、モスクワのカフェに集まったナワリニー氏の支持者たちを攻撃することだった。

 クリミア併合とウクライナでの戦闘は、こうしてプーチン氏が国内で権力基盤を固める役に立った。だが、経済が悪化する中で、プーチン氏はウクライナ東部を手放す余裕はなく、対立をエスカレートさせる論理で身動きが取れなくなっているように見える。

 スウェーデン元外相で長年ロシアを観察してきたカール・ビルト氏の言葉を借りれば、プーチン氏は今、はっきりとした修正主義の計画を持ち、それに基づいて、情報戦争を通じ、また必要があれば武力を用いて、冷戦後の欧州の秩序を変えようとしている。

ウクライナの全面戦争や核兵器まで絡むアクシデントの恐れ

 ウクライナでの戦闘拡大の露骨な脅しは、クレムリンの宣伝を担うセルゲイ・マルコフ氏が口にしている。同氏は、ロシアはキエフのウクライナ政府を倒し、オデッサとハリコフを占領する必要があると語り、そうなって初めて、「制裁が解除され、軍事政権が権力の座を追われ、ウクライナが民主的な連邦制に移行する」と書いている。

 戦争を挑発するようなこの発言は、明らかに西側諸国に向けられたものだ。西側は今、銀行間決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアを締め出すことも含めた新たな制裁措置を検討している。SWIFTからの排除は、ロシア経済に破滅的な影響を与える恐れがある。

 ロシアのドミトリー・メドベージェフ首相は、これは制限のない報復の引き金を引くことになり、しかも、それは経済的報復に限らないと警告した。

 危険なのは、ロシアがNATOに対して宣戦布告することではなく、ロシアの無謀な行動が意図しない結果を招きかねないことだ。また、プーチン氏が何を考えようとも、自分自身の意思を持った人口4500万人の国ウクライナが挑発されて全面戦争に入るリスクもある。

 こうした状況は、ある意味では、今の事態を冷戦時以上に危険なものにするかもしれない。一定の誇張だと思いたいが、ロシアのイゴーリ・イワノフ元外相は、次のようなことまで言っている。

 「政治的な対話がなく、相互の不信感が歴史的な高さに達している中、核兵器が絡むものも含む意図せぬ事故が起きる確率がいよいよ現実的になっている」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42859



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