ちょっと違う。意図的に改変しようとしたのか。
世界遺産委では日本の２３サイトについて認定の宣言のあと、日本および韓国代表による声明発表があった。日本代表は次の声明を出した。すべて英語。原文と日本語訳は次のようになる。

“Japan is prepared to take measures that allow an understanding that there were a large number of Koreans and others who were brought against their will and forced to work under harsh conditions in the 1940s at some of the sites,” the Japanese delegation said in a statement. (Washington Post July,6)

「日本の代表団は次の声明を出した。『日本は次のことがらを理解させる手段をとる用意がある。（世界遺産登録を申請している）これらいくつかの場所で1940年代に意思に反して連れてこられ、過酷な条件のもとで働くよう強いられた多くの韓国人やその他の国の人がいたことを。』」

日本は注意深く言葉を選んでいる。「forced to work：仕事を強いた」は戦時中日本じゅうで中学校生徒や女学生まで工場動員したことと同じレベル。給料は支払われた。forced laber：強制労働とは違う。こちらは奴隷労働や懲役などを指す。

そして「理解させる手段を取る用意がある」と言っているだけで、具体的に作るとか、世界遺産登録された場所に表示を義務ずけてゆくとか言ってはいない。

岸田外務大臣は（日本で）これをフォローするかたちで声明を出し、ICOMOSの推奨事項である、施設で外国人が労働を強制されたことがあるという全歴史を展示に反映すべきとの事を真剣に取り組んでゆく、とした。
そしてまた岸田外相は、強制労働を含む賠償に関する問題は何十年も前に集結したとする日本の立場はいささかも揺るがないと強調した。
But Kishida emphasized that Japan had not budged in its stance that any issues related to compensation, including forced labor, were settled decades ago.(quoted 同上）

日本代表の言葉選びの慎重さと外相によるタイミングの良い声明発表により、つまらない言質を取られたと思うのは杞憂だ。