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タイ副首相、経済救えるか タクシン元首相の懐刀、軍政で返り咲き 内閣改造の目玉、皮肉な運命:政策の対立ではなく利権の争奪
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 9 月 12 日 06:07:34: Mo7ApAlflbQ6s
 


タイ副首相、経済救えるか
タクシン元首相の懐刀、軍政で返り咲き 内閣改造の目玉、皮肉な運命


 タイ軍事政権のプラユット首相が内閣改造に踏み切った。目玉は経済閣僚のリーダーに任じたソムキット副首相(62)だ。評価がいまなお国を二分するタクシン政権(2000〜06年)で副首相や財務相などの要職を務め、タクシン元首相の懐刀とされた人物だ。ポピュリスト的な政策を繰り出した「タクシノミクス」の推進者が、反タクシン色が濃い軍事政権で経済運営を取り仕切ることになる。


 内閣改造から一夜明けた8月24日、ソムキット副首相はさっそく緊急経済対策を打ち出す方針を言明した。ロイター通信は「経済を前に進めるため、農民や低所得層への支援を計画している」と述べたと伝えた。


卓越した教え子

 タイ経済停滞の原因は消費と輸出の不振だ。国内総生産に占める家計債務は8割にのぼり、消費にカネが回らない。中国景気の減速で通貨バーツ安が進んでも輸出は伸びない。国家経済社会開発委員会(NESDB)は15年の予想成長率を前年比3〜4%から2.7〜3.2%に引き下げた。

 ソムキット氏とは、どのような人物なのか。彼はバンコクに暮らす華人家庭の10人いる子供の一人として育った。後にチャワリット内閣(1996〜97年)で商業相を務める兄のソム氏のあとを追うように海外に留学した。米イリノイ州の名門ノースウエスタン大学のケロッグ経営大学院で博士号を取得した。

 ソムキット氏はマーケティングの専門家だ。世界的に有名なフィリップ・コトラー教授と共同で書いた著作もある。名前は「マーケティング・オブ・ネーションズ」。マーケティングによって競争力を高める国家戦略について論じた。この本を仕上げる前に運命の人との出会いがあった。通信ビジネスで財をなし、後にタイ政界の風雲児となるタクシン氏だ。

 コトラー教授は13年に日本経済新聞で連載した「私の履歴書」で、卓越した教え子の一人としてソムキット氏を挙げた。ソムキット氏から助言を求められ、「政治の世界でがんばれ」と励ましたエピソードを明かした。ソムキット氏は98年のタクシン氏によるタイ愛国党の結成に参画し、経済分野の知恵袋として01年の総選挙で地滑り的な大勝利に貢献した。

 タクシノミクスの最大の特徴は国家を企業に見立てて「首相は最高経営責任者(CEO)」と定義した点だ。あるタイの有力ジャーナリストは選挙の1年前、ソムキット氏らが掲げる起業家精神を重視する経済政策が、タイ経済を牛耳ってきた40〜50の華人ファミリーへの挑戦だと指摘した。

 首相を国のCEOと考えるタクシン氏の考えと、マーケティングによって国の競争力を高められるというソムキット氏の主張が共鳴した。ソムキット氏の発想の背後には実業界で学んだ経験もあったようだ。彼は米国から帰国後、消費財や流通を手がける有力企業サハ・グループに幹部として招かれ、創業者のティアム氏とも交流があった。

 選挙後に財務相に就任したソムキット氏は、主に農民をターゲットとしたマーケティングを展開した。すべての村落に100万バーツ(約340万円)ずつ融資する開発基金制度、1回30バーツであらゆる医療サービスが受けられる国民皆医療制度などだ。ポピュリスト的な政策はタクシン派の選挙基盤の強化に寄与したが、ただ農民をスポイルしたのではない。日本の一村一品運動を参考に「OTOP運動」を奨励し、村落が商品作りを競い合いながら発展していくよう促した。

 ところが政権は06年、汚職の横行やタクシン首相一族の課税逃れ疑惑の浮上をきっかけに崩壊に向かう。最終的にタクシン政権を葬ったのはこの年9月の軍事クーデターだった。タクシン氏はクーデター前に辞任を表明し、後継者候補の一人にソムキット氏を挙げた。経済界からもソムキット氏を推す声が上がっていた。政権がクーデターで幕を閉じなければ、ソムキット氏が首相になっていたかもしれない。ただしタクシン氏の影の支配を受け続けるという条件付きだ。


短いハネムーン

 世間を驚かせたのは、クーデター後に誕生した軍事政権で経済政策の対外説明を担う閣僚に就いたことだった。反タクシン派がこの人事に激しく反発したのは言うまでもない。結果としてソムキット氏はわずか1週間で辞職に追い込まれた。8年あまりの歳月を経て、ソムキット氏を経済統括担当の副首相に充てるのが、タクシン氏の妹のインラック政権をクーデターで倒したプラユット首相というのは歴史の皮肉だ。

 ソムキット氏はタクシン元首相の右腕、側近というレッテルを完全にはがせたのか。今のところは反タクシンの保守層からソムキット氏への目立った攻撃はない。改造後の政権にはウタマ情報通信相らノースウエスタン大OBもいて、ソムキット氏を支える。スビット氏はタクシン政権でソムキット氏の下で働いていた経歴の持ち主だ。

 問題はソムキット氏が自らの経済運営によってタクシン元首相の影を完全に払拭できるかどうかだ。現地メディアはソムキット氏を持ち上げる経済人の声であふれるが、長いハネムーンを楽しめるほどタイの経済に余裕はない。運命のいたずらとも思える軍政との奇妙な取り合わせで政界に復帰したソムキット氏は、停滞経済の救世主になれるだろうか。

(バンコク=小谷洋司)

[日経新聞9月6日朝刊P.15]

 

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