タイ新憲法草案を否決 軍政指名の評議会　民政復帰に遅れ

　【バンコク＝小谷洋司】タイ軍政の指名メンバーで構成するタイ国家改革評議会（ＮＲＣ）は６日、憲法起草委員会が提出していた憲法草案を否決した。新憲法づくりは振り出しに戻る。新憲法に基づく総選挙の実施も遅れ、民政復帰は2017年夏以降にずれ込む見通しだ。結果として現在の軍政が長期化する。

　タイでは14年５月の軍事クーデターで当時のインラック政権が崩壊。軍が全権を握り、同年９月にプラユット暫定首相が軸の政権が発足した。

　採決は賛成105、反対135、棄権７の反対多数だった。一部のメンバーは「草案の内容が非民主的」だと反対。軍が影響力を行使できる「国家改革和解戦略委員会」が、非常時に内閣や国会を超越した強権を握れるとする規定に反発した。

　軍政寄り傾向が強いメンバーにも「経済立て直しを優先すべき」などの主張が広がった。草案を否決することで軍政長期化を支持した。今回の否決で新憲法づくりは一からやり直しとなり、全体スケジュールは短くとも７カ月間は遅れることが必至の情勢。ＮＲＣの承認を経て憲法案ができあがれば16年１月の国民投票にかかる予定だった。

［日経新聞９月７日朝刊Ｐ．１］

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