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緊急事態と憲法論議 発議の可能性は/清永聡・曽我英弘・nhk
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投稿者 仁王像 日時 2023 年 5 月 09 日 06:05:14: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

緊急事態と憲法論議 発議の可能性は/清永聡・曽我英弘・nhk
2023年05月02日 (火)
清永 聡 解説委員曽我 英弘 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/482953.html

5月3日は憲法の施行から76年です。
ここ数年、新型コロナウイルスやウクライナ侵攻など、“緊急事態”と言える状況が続いています。
今回は、憲法をめぐる議論とこれからの課題についてお伝えします。

【ポイント】
▽“緊急事態”の議論▽9条をめぐって▽コロナ対策の検証です。

【「国会任期延長」の是非】
清永)
まず、最初のポイントです。国会ではこのところ、緊急事態を想定した議論が続いていますね。

曽我)
なかでも焦点となっているのは国会の機能維持、具体的には大規模災害などで選挙が行えない場合に国会議員の任期延長を認めるかどうか、です。
というのも憲法は衆議院議員の任期を4年、参議院議員を6年と定める一方で任期が切れた後の規定はないためです。
あるのは「内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる」とするのみで、現状では議員が不在になる可能性があります。

これについて自民党は、憲法に緊急事態条項を新たに設け、任期延長の規定を優先すべきとし、公明党も同様の考えで、日本維新の会、国民民主党などはすでに、6か月を上限に任期延長を認める条文案をまとめています。
これに対し、立憲民主党は「権力の乱用を防ぐ観点から問題がある」としていて、緊急集会の役割を重視する立場から参議院の議論では反対を明言する場面も見られました。
共産党、れいわ新選組は反対です。

また緊急事態をめぐっては、一時的に内閣に権限を集中させることの是非や司法の関与などで各党の見解が分かれています。
戦後の憲法制定時、緊急時の対応が規定されなかったのはなぜですか。

【制定時にはあえて盛り込まず】

清永)
確かに、いまの憲法に、緊急事態条項は明記されていません。
ただ▽日本国憲法制定時に、憲法担当の国務大臣だった金森徳次郎は、国会で「緊急勅令や財政上の緊急処分は、行政当局者には実に重宝なものであります。しかしながら重宝という裏面には、国民の意思をある期間有力に無視しうる制度ということが言えるのであります」と述べています。
国民の権利を損なうという理由から、否定的な考えを示しています。

さらに、何らかの原因で交通断絶などによって、議会が招集できない場合なども金森大臣は、「臨時措置の規定を必要な法律に編み込み、(中略)1つの考え方であろうと思います」などと述べていて、個別の法律を制定すればよいという考えです。(いずれも衆議院帝国憲法改正案委員会、昭和21年7月2日より)
当時の政府が、人権が大幅に制限される危険性があることを踏まえて判断した点は、今後の憲法論議でも大事な視点だと考えます。

【「自衛隊明記」の議論は】
清永)
さて、新型コロナやウクライナ侵攻でも自衛隊の役割が注目されました。憲法9条については、どのような状況でしょうか。

曽我)
自衛隊の存在を明記することの是非などで議論が続いています。
自民党の主張は、戦争の放棄を定めた9条1項と戦力不保持の2項は維持したうえで自衛隊の存在を追加するものです。
「自衛隊違憲論」を解消し国防の規定も必要だとしていて、日本維新の会も同調しています。
一方公明党は「内閣総理大臣および内閣の職務を規定した72条と73条に自衛隊に対する民主的統制を書き込むのがふさわしい」として自民党と認識にずれもあります。
これに対し立憲民主党は、自衛隊の役割と必要性は国民に十分理解されており不要としています。
自衛隊をめぐって政府与党は去年暮れ、安保3文書を改定し「反撃能力」を保有する方針に転換したのに続き、現在はウクライナ支援として、殺傷の能力のある装備品の輸出を認めるかどうかをめぐって、「防衛装備移転三原則」の運用指針などの見直しを始めています。
憲法9条のあり方や、平和国家としてどうあるべきか、今後も議論が続きそうです。

【国会発議の可能性は】
清永)
憲法改正の発議は、衆参両院で与党と日本維新の会など憲法改正に前向きな勢力が3分の2を超えたため、議席の数だけをみればいつでも可能な状況です。
実際に発議される可能性はどのくらいあるのでしょうか。

曽我)
岸田総理は「先送りできない課題だ」などと来年9月までの総裁任期中に目指す考えを繰り返し示していますが、その道筋は必ずしも見通せていないというのが大方の見方です。
というのも改憲の是非を問う国民投票の実施には国会で発議してから60日から180日間必要で、改正原案をまとめて遅くとも来年の通常国会には発議をしなければ間に合わないという時間的制約があること。
また国民投票で最終的に過半数の賛成を得て承認されるには、膨大な政治的エネルギーが必要ですが、物価高や国際情勢が緊張する今の状況で可能かどうかという点です。

【各党の動向は】
さらに国会発議に向けて自民党が野党側に対しどのようなスタンスで臨んでいくかが重要なポイントです。

自民党はこれまで、発議は過去例がないだけに、野党第1党との合意を重視してきました。
ただ、立憲民主党は憲法改正に反対や慎重な意見もあるのに対し、日本維新の会はここ最近の選挙で躍進し、改憲実現をこれまで以上に自民に強く迫っていくとみられます。
自民は今後も、立民も含めた幅広い合意を優先するか。
それとも維新などとのみでの発議にかじを切ることはないのか。
その場合、立民はどういう方針で臨むのか。
一方で参議院は衆議院とは異なり、公明党抜きでは自民党、日本維新の会、国民民主党の3党だけでは発議に必要な3分の2には届きません。
それだけに改憲項目の中身や発議のタイミングをめぐっては公明の意向も影響を与えそうです。

【行政が行ってきたコロナ対策の検証は】
清永)
5月8日からは、新型コロナは「5類」に分類され、季節性のインフルエンザなどと同じ扱いになります。
これまで行政は感染拡大防止を最優先に対策を進め、個人の自由や権利は制約されてきました。
いまは憲法改正の議論が目立ちますが、これまでの取り組みが憲法上問題なかったのかという検証はほとんど行われていません。

このうち東京都が飲食店に時短命令を出したことについて、運営会社の代表が、憲法に違反するなどとして裁判を起こしました。
東京地方裁判所は去年、憲法違反は認めなかったものの「東京都は命令を出した必要性や判断材料について合理的な説明がない」などと指摘して違法と判断し、その後確定しました。
司法が行政のコロナ対策を検証し、その妥当性を判断した数少ない事例です。
飲食店の運営会社「グローバルダイニング」の長谷川耕造代表は、私の取材に「基本的人権がないがしろにされるのは見過ごせないと考えた。司法が行政のコロナ対策を検証することで、社会が少しずつでもよくなっていってほしい」と話しています。

【海外での検証は】
曽我)
海外ではコロナ対策に対する検証は行われているのでしょうか。

清永)
例えば、フランスでは、行政が行うコロナ対策などの措置に不服があれば、国務院へ申し立てる仕組みがあります。緊急の場合は48時間以内で判断されます。
2021年4月までの1年あまりに647件の判決を出し、このうち51件で政府や自治体の措置の執行を一時停止し、あるいは変更を求めたということです。
この中には、「デモの許可」、「老人ホームからの外出許可」、「宗教的行為の許可」など、コロナ禍の暮らしに関するものが数多く含まれます。
緊急事態ほど、社会の風潮や空気に流され、人権が損なわれがちです。日本も司法がもっと迅速に対策を検証することも求められます。

新型コロナやウクライナ侵攻など、様々な事態は、憲法をめぐる議論にも影響を与えています。私たち1人1人も、憲法の役割を考え議論することが、いっそう大切になっているのではないでしょうか。  

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