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株価史上最高値 意味するものは/岸正浩・nhk
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投稿者 仁王像 日時 2024 年 3 月 03 日 06:30:21: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

株価史上最高値 意味するものは/岸正浩・nhk
2024年02月26日 (月)
岸 正浩 解説委員
https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/492044.html

日経平均株価が史上最高値を更新しました。34年前、バブル絶頂期の株価水準に戻ったわけですが、実感がわかないと思う方もいるかと思います。今回の株高の背景に何があるのか、そして、私たちの生活や日本の社会にどのように影響するのか考えます。

日経平均株価は、バブル崩壊、リーマンショックなどがあって低迷が続き、失われた30年とも言われました。しかし、ことしに入って急ピッチで値上がりし、ついに1989年12月29日に付けた史上最高値を更新しました。ただ、バブルのピーク時のように世界の企業の時価総額で銀行など日本企業が上位を占めるような存在感は示していないのが実情です。また、当時を知る人の中には、あの時のような熱気を感じない人が多いかと思います。

株高の理由は複数の要因が重なったことがあります。
足元では▼アメリカの株式市場の値上がりが上げられます。アメリカ経済は引き続き好調で、ダウ平均株価などが史上最高値を更新し続けています。そこに▼半導体の需要拡大への期待が加わりました。アメリカの半導体大手「エヌビディア」の決算が市場の予想より大幅な増収増益となったことなどから東京市場で半導体関連企業の株が軒並み上昇しました。エヌビディアは生成AIに使われる高性能の半導体に強みがあります。半導体産業を象徴するこの会社の業績が良かったことで今後も世界的に需要拡大が見込めるという期待が高まっています。▼最近の円安と好調な企業業績も大きな理由です。再び1ドル・150円台まで円安が進んでいます。景気が良いアメリカではFRB=連邦準備制度理事会の度重なる利上げにもかかわらず、インフレが簡単には収まらない状況です。市場ではFRBが逆に利下げに踏み切る時期が予想よりあとになるのではないかという見方が出ています。
一方で日本は日銀の植田総裁などの最近の発言から、日銀がマイナス金利を解除しても緩和的な環境は続き、金利差は縮小せず、円安・ドル高の構図は、当面、続くという見通しが市場で広がっています。上場企業の今年度の最終利益は円安やコロナからの回復などで過去最高になる見通しです。これが最近の円安で一段と業績を押し上げるという期待が高まっているのです。

こうした背景に注目して海外投資家は日本が長引くデフレから脱却するとみていて、日本株を積極的に買っています。このところ海外投資家が日本株を買った金額が売った金額を上回る、買い越しの状況は続いていて、1月に買い越し金額が2兆円余りに上りました。また、海外投資家は株価の低迷する中国の株式市場から日本に資金を移す動きを強めていると指摘する市場関係者も多くいます。これも株価上昇の一因とみられています。
個人投資家向けの優遇税制「新NISA」も株高に拍車をかけています。証券会社などによりますと、新NISAを利用する個人投資家は、アメリカの株式を組み込んだ投資信託などを購入するケースが多いということです。その資金はアメリカの株式市場に流れ、アメリカの株高の一因になっているとみられています。日米の株式市場はよく「ミラー相場」と言われ、アメリカの株価が上昇すれば日本の株価も上がるケースが多いです。新NISAによる個人投資家の資金が間接的に日本の株価上昇に繋がっていると考えられます。さらに、最近は、個人投資家が新NISAで個別の日本株も積極的に購入する動きが目立っています。市場では「買いが買いを呼ぶ」つまり買いたい人ばかりになっているとも言われています。市場関係者の間から「投資」というより「投機」になっているという指摘も聞かれます。若い世代にとって株の取引はスマホでも手軽にできる時代となっています。ただ、株式市場は大きく下落することもあります。リスクもあることをしっかりと押させて取引をすることが重要です。

今回の歴史的な株高では“潜在的な要因”もあることを指摘したいと思います。注目して頂きたいのがPBR=株価純資産倍率という指標です。一株の株価を、持っている土地や現金などが含まれる一株あたりの純資産で割って計算します。このPBRが去年3月時点で東証・東京証券取引所に上場する3300社のうち1倍を下回る企業が半数以上を占め、欧米に比べて日本は「低PBR」の企業が突出して多い市場になっていました。これは、バブル崩壊などの苦しい経験からリスクを極端に恐れるあまりPBRの分母にあたる現金などの資産をため込んでいる日本企業の姿を示していると考えます。その結果、資産を賃上げや成長分野への投資に十分に使ってこなかったために長い間、株価の低迷につながったとみられます。
そこで東証は去年、PBRなどの改善を企業側に求めました。その結果、1倍を超える企業の割合が増え、それに伴って株価も上昇しています。いわばPBRの改善が今回の株高の下地を作ったとも考えられます。

一方でPBRの改善では課題もあります。
分子の株価を短期的に上げた企業の中には、自社の株をみずから買って世の中に出回る株を減らす「自社株買い」を使ったところもあります。この自社株買いの金額は、去年4月から先月までで9.7兆円と、この10年でもっとも多かった2022年度をすでに上回っています。もちろん、自社株買いによって株価を上げて株主に応えることは否定されるものでありません。ただ、単にPBRを上げるために自社株買いだけに頼ることは好ましくないと考えます。多少、時間がかかっても持続的に企業の成長力、稼ぐ力を付けて株価を上げていくことが大切ではないでしょうか。

去年1年間の日本の名目GDP・国内総生産がドイツに抜かれ4位となりました。それとともに気になるのが実質のGDPが2期連続でマイナスになった点です。個人消費、設備投資ともにマイナスです。物価高に賃金が追い付かない状況が続く中では積極的に消費をしません。設備投資では企業が目標を立てても人手不足で思うように実行できていないという指摘もエコノミストから聞かれます。PBRという指標で企業が資産を減らすと指標が良くなることを説明しましたが、資産の中には、企業が儲けてため込んだ現金なども含まれます。まずは、そうしたお金を取引先の中小企業を含めて賃上げにつなげていく取り組みが必要だと思います。また、最先端テクノロジーに精通し、革新的なアイデアを生み出せるような人材の育成、さらに人手不足が課題となる中で、ITやロボットなど省力化への投資にもっと資金を振り向けるべきだと考えます。それによって企業が持続的に賃上げをできる強い体質に変わることが求められています。

この30年間でアメリカの株価は14倍となっています。その差を埋めるためにも日本企業はイノベーションへの更なる挑戦が欠かせないと考えます。そして日本全体の成長に繋げることが何よりも求められていると思います。  

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