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中国が原発建設を本格化、その意味を考える イスラム国、シェール革命、ウクライナ紛争、そしてドル基軸通貨との関連はいかに
http://www.asyura2.com/15/genpatu42/msg/164.html
投稿者 eco 日時 2015 年 3 月 04 日 19:09:08: .WIEmPirTezGQ
 

中国が原発建設を本格化、その意味を考える イスラム国、シェール革命、ウクライナ紛争、そしてドル基軸通貨との関連はいかに
2015年03月04日(Wed) 伊東 乾
 川崎の少年事件ですっかり前後してしまいましたが、4年目の3.11「哲学熟議」に関連する内容をお話したいと思います。タイトルを、

次世代エネルギーへのソフトランディング
〜原子力/イスラーム・中国/原油そして〜

 として社会・経済の一線から城南信用金庫の吉原毅理事長、理科系からロバート・ゲラー東京大学理学部教授(地震学)、文科系から一ノ瀬正樹・東京大学文学部教授(哲学)にご登壇いただき、特定の政治や利害から離れた大学だからこそ可能な場で、結論の出ない問題にあらかじめ結論ありきでない「白熱熟議」を準備したいと思っています。

 参加・聴講をご希望の方は電子メールアドレスgakugeifu@yahoo.co.jp宛に「3月11日希望」としてお名前・ご連絡先とともにお申し込み下さい。一通のメールで2人まで予約を受けつけますが、会場管理のため必ず入場される方すべてのお名前を明記下さい。

 「山田太郎ほか1人」といったお申し込みの場合は予約を受けつけず、確認のメールで二度手間になってしまいますので、どうかよろしくお願いします。

中国の「エネルギー生産消費革命」

原子力エネルギーは不可欠、需要増や温暖化への対応で IEA分析
フランス南部ボレーヌにあるトリカスタン原発〔AFPBB News〕

 2月12日付けの新聞報道で、2011年3月以降、原子力開発を凍結していた中国が、新規の原発建設を本格化させる姿勢を明らかにしたと伝えられました。

 習近平指導部は「エネルギー生産と消費の革命」というスローガンを掲げ、向こう5年で発電能力を約3倍に増加、フランスに迫る原発大国化へと進もうとしています。

 このニュース以降に、反原発・脱原発の観点から「中国は原発開発をやめろ」という大きな声が上がるのを、耳にした覚えがありません。私が不勉強なだけかもしれませんので、そうした観点からの指摘があれば編集部宛ご教示頂ければ幸いです。

 ここでリアルな政治の話をしようという考えはありません。ただ、わりとしばしば、

 「原子力は人類が手をつけてはいけない神の領域」

 みたいな発言を目にする気がするのですが、そうした方が同じ人類であるはずのフランスに「原発依存はやめなさい」と抗議行動を取るのは目にしないように思います。

 中国の発表によれば南は広州から福州、上海、青島、天津から北は吉林省まで、ずらりと並ぶ原発の分布、こんなものが仮にパチモン式の雑な工法で粗製乱造のオンパレード状態となり、片端から壊れたりした日には、何が起きるでしょう?

 気象庁が「黄砂情報」のホームページを常設公開していることからも明らかなように、タクラマカン砂漠あたりからの砂塵ですら偏西風の影響で朝鮮半島から日本列島全体を舐めて行きます。

「メルケル首相、ギリシャのユーロ圏離脱に対応の用意」独雑誌が報道
ドイツのアンゲラ・メルケル首相〔AFPBB News〕

 まして、中国沿岸部のどこの原発が1基壊れても、ろくでもないことが起きる可能性は明らかです。

 少なくとも外交カードの1つという程度でも、徹底的して高い安全基準を求め続けていく、あるいは国際機関に諮って様々なガイドラインを設けていくといった動きが、なされるべきと私は思います。

 日本の外交政策には、米国を筆頭に様々な思惑が反映して一筋縄でいかないのは当然としても、地誌的条件はポリティクスでは変わりません。偏西風と貿易風を逆にすることはできない。

 そういう条件に照らした「理系の外交手腕」という観点を考えると今日の国際社会でドイツの首相、アンゲラ・メルケル氏を凌駕する人がすぐには思い浮かばず、日本についてはコメント以前という状況が長く続いています。

 日本国内ではかまびすしいヘイトスピーチも、こうした関係はすっかりおとなしい気がします。韓国にでも中国へでも出かけて行って、エネルギー政策への内政干渉でもするのなら、それはそれで一本筋が通るかもしれませんが、どうも見ている半径が非常に小さいらしく、しら〜っとしている。

 仮に東アジアに話を限っても、各国の次世代エネルギー源転換は環境レベルでの相互影響を絶対に免れないわけですから、より透徹した議論が必須不可欠であることを指摘しておかねばなりません。

 地震・津波という地誌的災害に関連して、地誌的な別のつながりを検討する必要があると指摘せねばなりません。

「基軸通貨」から「基幹動力源」へ:オイルの二重の意味

 さて、今回前半は「分かりやすい」テレビでも成立しそうな話、後半は「全く分かりにくい」大学で議論する終わりのない問題を扱うスタイルで、明確に書き分けてみようと思います。

 離乳食みたいに「分かりやすい」話を喜ぶ人がありますが、そういうものに慣れていると思考の能力を失ってしまいますので、このコラムではできるだけ「読んでスッキリ」ではなく「読んだ後から、ものを考え始める」スタンスを取っています。

 しばしば「何が言いたいのか分からない」というコメントをもらいます、それが大学の教室の場合なら「そうやって君が考え始めることを期待している」と答えるわけです。

 今回は「哲学熟議」のご紹介でもありますので、ことさらに結論のない、混迷する現下の状況を直視する方向で記します。どうぞ、自ら考え、疑問に思われましたら自ら調べ、ご自分の頭を使ってみてください。

 特に大学で学ばれた方は、本当はそういう基礎訓練を受けて社会に出ているはずなのです。以下は値引き最小で淡々と内容を記します。

 1990年代、かつて東西冷戦終結直後の世界は、米国一国超大国の体制下、欧州などが旗振り役となって「地球温暖化対策」が強く叫ばれました。温室効果などの問題は、仮に自然科学の対象としては、現在も決して終わっていない可能性があります。

 しかし「人類が立ち向かうべき宿敵はCO2」といったトーンは、2011年3月11日をもって大きく変わってしまいました。

 かつては「京都議定書」という日本の地名を冠したアグリーメントが掲げられ、持続可能な社会経済を支える「クリーンな動力源」として風力、波力、地熱などとともに「原子力発電」が称揚され、私も一度だけですが、とある西日本の電力会社から原子力PRの講演依頼が打診されたことがありました。(日程が合わずお受けできなかったのは幸運だったと思います)。

 原子力発電の問題を考えるとき「イスラム」の名を挙げると、不思議な顔をされることがあります。しかし原子力を含む「代替エネルギー」に対置するものとして「オイル」を挙げれば、誰もおかしな顔をしないでしょう。

 かつて1970年代初頭、「石油ショック」で諸物価が高騰、トイレットペーパーが買い占められて品薄になった、などという記憶を持つ人は、すでに50代以上になってしまったかと思います。

 1970年代初頭、原油価格が経済に決定的な影響を与えた背景に為替相場の制度移行を挙げるべきでしょう。

 一般に第1次石油ショックそのものは1973年10月6日、第4次中東戦争の勃発を引き金として語られますが、あらゆる戦争は経済営為で、ソ連の軍事技術を背景にアラブ側が祝日(ヨム・キプール祭)中のイスラエルに攻撃を仕かけたこの「ヨム・キプール戦争」は、東西の軍事力がアラブ・イスラエルとほぼ互角に戦い合い、その後の中東和平への道筋を変えた戦争であると同時に、第2次世界大戦後の国際金融、特に金本位制に基づく米ドルと連動した国際固定相場制(ブレトン・ウッズ体制)の崩壊があります。

 第2次世界大戦後の国際社会は、西ドイツと日本の奇跡的な高度成長に代表されるように爆発的な規模で拡大し、米国の金産出量や保有量ではとても世界経済をまかなうことができなくなっていました。

 米国からの金流出が止まらないなか、1971年8月15日米国のリチャード・ニクソン大統領はドルの金兌換を停止(ニクソンショック)、同年12月18日スミソニアン博物館での調停で先進10カ国は対ドルの自国通貨の増価でいったん合意します(スミソニアン体制)。

ウォーターゲート事件の盗聴記録、最後の未公開テープを公開
米国の故リチャード・ニクソン大統領〔AFPBB News〕

 しかし、すでに機軸通貨ドルに対する固定相場で対応できない範囲まで諸国通貨の需給レートの変化は拡大しており、1973年2月には日本円が変動相場制に移行、続いて西ドイツを含むEC(European Communities=応手共同体)各国も変動相場制を採用することで、短かったスミソニアン体制は崩壊し、ブレトン・ウッズ体制以来の「戦後」が完全に終焉することになります。

 通貨は互いの需給関係によってのみ価値が決定され、金銀本位制に相当する「モノ」と「カネ」との価値の対照基準を失うかに見えた、そのような究極のマネタリー・ベースへの移行というべきフロート、変動相場への移行で急速に位置を浮上させたのが「基幹動力源」の価値基準でした。

 「機軸通貨」から「基幹動力源」、つまり原油価格が価値の基準を左右する時代への転換・・・。1973年の第4次中東戦争とそれを引き金とする石油ショックは、それを全世界に知らしめる象徴的な出来事となりました。

 この「第2次世界大戦後」(ブレトン・ウッズ体制)から「冷戦後期移行」(フロート)への移行の経過は「冷戦終結後」(米国一国超大国体制 2008年まで)から「「冷戦終結後」以降の世界」(2008年〜 現在に至る)への移行を考えるうえで、多くの示唆を与えるものとなっています。そういう文脈で「3.11以降のグローバル社会経済」を考える視点が必要であると思うのです。

「アラブの春」と3.11

ムバラク大統領「退陣すれば国が混乱」、米ABCインタビュー
タハリール広場で対峙する反政府デモの参加者たち(上)と、ホスニ・ムバラク大統領の支持派(2011年2月2日)〔AFPBB News〕

 2010年の暮れも押し迫った頃、チュニジアでの暴動が引き金となって「アラブの春」と呼ばれる、イスラム世界としては歴史的な民主化の運動が沸き起こりました。

 エジプト、タハリール広場でムスリムとコプト派キリスト教徒が力を合せて護衛し合う感動的な姿もつい先日のことのように思い出されます。

 そんな春先の3月11日、東日本大震災によって発生した福島第一原子力発電所の事故は、国際的な動力源シナリオに決定的な影響を与え、すべての動きに影響が波及しました。先に記した中国ですら、いったんは原子力開発を凍結せざるを得なかった。

 アラブの春、イスラムの民主化とは、分かりやすく言えば原油価格の値上がりを示唆するものです。

 逆に言うなら1970年代以降の国際経済は、サウジアラビアをはじめとするドル建てで廉価なオイルが支えてきた、それは原油生産者の安い労働力と、産油国の実体経済のある面が成長・発展しないことで、安定が約束されてきたものでもあったわけです。

 ワッハーブ派の厳格な教えはイスラム原理主義運動のさきがけとして位置づけられ、サウジアラビアの国教としても知られます。

 オサマ・ビン・ラディンを筆頭に1990年代以降のイスラム原理主義テロリストの多くがサウジアラビアとの関係を指摘されますが、政治の表層以上に、6〜7世紀の古代を理想とする原理主義の運動が社会・経済の成長を拒否することで原油価格の安定に資するものになっている、という事実にも目を向ける必要があるわけです。

 ISIS(Islamic State of Iraq and Syria=イラクとシリアのイスラム国)による武力の濫用は、日本人人質の殺害など許し難いものですが、こうした勢力を生み出した背景には原油価格〜国際経済の基盤を支える大きな動きが深く関係しています。

 今現在もイスラム国が闇ルートで売り出す原油は1バレル当たり30ドルとも20ドルとも言われます。

 昨年半ば、1バレル100ドルを超えていた頃、都内のガソリン価格も1リットル当たりレギュラーガソリンが160円、ハイオクが170円といった価格帯でした。しかし昨今では120〜130円台に急落、背景にはシェール関連の動きなど、他の要素も大きく関連しており、簡単には因果的に総括することができません。

白熱熟議の必要性・・・混乱の中、思考し続けるために

 ともあれ「原子力に頼らなければ経営的に成立しない」という経済シナリオは、原油価格や需給、いわゆる再生可能エネルギー群、またシェール資源やメタンハイドレートなど新たな化石燃料の開発、それらのコストや安定性とのバランスの中で、必然的な再検討を求められるものにほかなりません。

 戦争は経済営為から発生する経済行為、動力源など決定的な背景が事態を深刻化します。パイプライン問題なくしてウクライナ紛争はあり得ませんが、現在も断続する4カ国協議のメンバーはロシア、ウクライナ、フランスそしてドイツであって、米国の姿はありません。

 ドル建てのオイルと原子力という背景とは別の「動乱」に、世界史が踏み込んでいる現実を直視する、そういう場が少なくとも大学には確保されるべきだと思っています。

 サウジの「安い原油」よりさらに安い「紛争地域の原油」が当分供給され続ける可能性が高いことも、間違いなく「3.11」以降の影響が世界に波及している面があります。

 こうした観点から具体的な問題を4年目の3.11「哲学熟議」で討論します。ご興味の方はどうぞ、お名前とご連絡先を gakugeifu@yahoo.co.jp まで3.11希望(「3.16哲楽遊戯」と混同しないよう)と明記してお申し込み下さい。

 アタマは考えるためについているもの、報道は情報を理解するためのものと思いますが、この連載は思考し続けるため、私自身もヒントとして書き続けているわけです。

 実際には、もう少しスッキリした展望のもとに、継続的に考えていける視点を3.11「哲学熟議」お運びの方にはお話します。が、それは私の見方に過ぎず、まずは混迷する状況のなか、近視眼の短絡に陥ることなく、基幹動力源と通貨、グローバルシステムの安全保障と紛争に、思いをめぐらせてみていただきたいと思うのです。

 推理小説の冒頭から 犯人がハッキリ分かるのが「明快でいい」と書いても、アタマを使う楽しみがなくなるだけ、それと同じ話です。

 次回は「川崎少年事件」の進捗を、新たな報道内容と、「サイレント・ネイビー」の時と同様、私自身も現場を歩いてみたのですが、そこで気がついたこととを織り交ぜて記したいと思います。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43082
http://mitsishikawa.wix.com/musicmanufacture#!tetsugakuyuugi/c101j


 

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コメント
 
01. 2015年3月04日 20:53:05 : cee4kD9E7w
原発は安全って事でしょ。何騒いでんだか?風評被害を流すの止めてね。

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