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1975年のスト権ストと原発、そして、分野別段階的審査
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投稿者 taked4700 日時 2015 年 4 月 25 日 13:12:14: 9XFNe/BiX575U
 

http://blogs.yahoo.co.jp/taked4700/12818845.html
1975年のスト権ストと原発、そして、分野別段階的審査

 スト権ストは1975年11月から12月に行われましたが、その当事者であった富塚三夫氏のインタビュー「スト権スト40年目の真実」という記事が週刊エコノミスト4/7号から4/21号まで3回連載されました。どうやら、三塚氏がスト権ストを決意されたのは当局の誘導であった様子です。国鉄で生産性向上運動導入反対の組合運動が始まったのが1971年で、この年の10月には、国鉄総裁が、国鉄管理職による組合弾圧があったと、その不当労働行為を記者会見で謝罪しています。こういった形での組合運動完勝がスト権ストでスト権が勝ち取れると考える原因となったということです。

 「原発と地震ー柏崎刈羽『震度7』の警告」新潟日報社特別取材班 講談社の「第四章 なぜ未開の砂丘地に」に柏崎刈羽に原発立地が決まったか、その経緯が書かれています。72ページに原発用地に絡んだ動きの一覧があり、最初のものは1966年です。柏崎刈羽原発計画が公表されたのが1969年で、地元の議会が誘致決議をしています。原発用地の売買で得た資金4億円は、その後、1971年10月目白の田中角栄氏邸へ運ばれました。田中角栄氏の首相就任は1972年です。但し、この4億円のことが明らかになったのは中越沖地震が起こった2007年のことです。

 「(1975年のスト権ストの)あの時、三木政権ではなく田中政権だったらなあ、そう思うときがある。落ち目になる前の田中政権ならスト権を付与すると決意すれば実行できただろう」と4/7号の記事に書かれています。「結局、田中派が反対に回ったことがスト権拒否につながった」(4/21号)と言う事で、柏崎刈羽の原発用地転売も絡んでいたであろう金脈問題追及がスト権ストに対する田中派の態度変容の原因であった可能性があります。

 あさま山荘事件が起こったのが1972年です。これによっていわゆる一般市民の政治運動は一挙に退潮に向かいました。1973年年末にはオイルショックが起こり、それが電源三法制定につながります。田中内閣総辞職の半年前のことでした。

オイルショックはOPECによる原油値上げが原因で、そのきっかけはリビアでのカダフィ政権による外国資本石油会社の国営化でした。1969年に無血革命で政権を掌握し、その後始めたことが、外国軍隊の駐留取り消しと海外資本によって経営されていた石油会社への原油買い上げ価格の値上げ要求と国営化です。リビアの動きを見て、サウジアラビアがOPEC内部で動いた結果のオイルショックだったのです。

 1975年3月、柏崎刈羽原発1号炉の設置許可申請が行われました。設置許可が下りるのが1977年です。この1号機設置許可取り消し訴訟が1979年7月に提起されました。

 1975年までに運転開始をしていた原発は次のものです。

1.1966年7月:日本原子力発電東海発電所(廃炉)
2.1970年3月:日本原子力発電敦賀発電所1号機沸騰水型軽水炉
3.1970年11月:関西電力美浜発電所1号機加圧水型軽水炉
4.1971年3月:東京電力福島第一原発1号機BWR-3(廃炉)
5.1972年7月:関西電力美浜発電所2号機加圧水型軽水炉
6.1974年3月:中国電力島根原子力発電所1号機沸騰水型軽水炉
7.1974年7月:東京電力福島第一原発2号機BWR-4(廃炉)
8.1974年11月:関西電力高浜発電所1号機加圧水型軽水炉
9.1975年10月:九州電力玄海原子力発電所1号機加圧水型軽水炉
10.1975年11月:関西電力高浜発電所2号機加圧水型軽水炉

 1975年時点で茨城県、福井県、福島県、島根県、佐賀県という形で5県10原子炉が稼働していたわけですから、使用済み核燃料の処分について、どうするかが意識されだしていたはずです。建設期間はだいたい5年程度ですから、1960年代にはこれらの原発の建設工事が始まっていました。

 1968年に東大紛争で、安田講堂での機動隊との衝突がありました。こういった学生運動は世界的なもので、アメリカやヨーロッパでも同様な動きがありました。原因はベトナム戦争で、1968年1月の北ベトナム軍によるテト攻勢後、劣勢となったアメリカ軍は3月に北爆の部分的停止と北ベトナムへ無条件交渉を呼びかけます。この後、4月にマーチン・ルーサー・キング牧師暗殺、6月には民主党大統領候補となっていたロバート・ケネディ上院議員暗殺が起こっています。アフリカ系アメリカ人による公民権運動が本格化し、それを擁護していたジョン・F・ケネディ大統領が暗殺されたのが1963年11月、後を継いだジョンソン大統領によりアメリカのベトナム戦争本格介入が始まり、黒人兵士を中心として多くの米兵が、そしてその何百倍、何千倍と言うベトナム人兵士と民間人が戦争の犠牲となりました。反戦運動としての社会運動は、世間の関心を戦争へ向け、原発建設について視線を向けさせないという意味がありました。なお、第2次世界大戦で発言力を増したアフリカ系アメリカ人の勢力を封じるためにベトナム戦争が起こされたという見方が出来ます。わざと勝とうとしなかったベトナム戦争で、黒人兵士の戦死を狙ったということです。

 オイルショックが起こると、アメリカ国内では金融面から原発新規建設が停止します。電力需要があまり伸びないので新規原発建設の必要がないという理由からです。日本でもアメリカでも一般には1979年のスリーマイル島原発事故がアメリカ国内での新規原発建設ストップの原因と信じられていますが、現実にはオイルショック時に新規原発建設はストップしていました。

 日本に於ける一般市民を担い手とした社会運動は1972年のあさま山荘事件でほぼ消滅します。1975年のスト権ストは当時の公営企業大手であり、社会運動の担い手として大きな勢力であった国鉄の労働運動を敗北に追い込んだものでした。

 1960年代後半から1970年代まで成田国際空港開設問題で三里塚闘争がされますが、日本の社会の在り方を考えると、本来この時期に争われるべきであったのは原発建設であったはずなのです。

 日本国内で1960年代に運転開始をした原発は東海原発1基のみです。70年代は22基、80年代は17基、90年代は16基、2000年代は6基です。つまり、1976年からの4年間で12基が運転開始をしたということです。

 1973年8月、日本で最初の原発訴訟が伊方原発1号機を対象に提起されました。1984年12月に控訴審判決が出て、そこで登場したのが、分野別段階的審査という考え方です。原発の安全確保の技術は日進月歩しているので、その時点での最新の知見をもとに段階を追って安全確保方法の合理性を検証することが最も有効な規制方式だという考え方です。つまり、原子炉設置許可が出た段階では、基本設計の安全性についてだけを規制の対象にし、裁判で争うのもその部分だけでいいとしたのです。この考え方は最高裁でも同じで、1992年の最高裁判決(最高裁平成4年10月29日第一小法廷判決)でも同じことが述べられています。このため、固体廃棄物の最終処分の方法、使用済核燃料の再処理、温排水の熱の影響などに関する事は、原子炉設置許可段階の安全審査の対象にはならず、当然、その審査の正当性を問う裁判の対象ともならないとされたのです。

 本当は、設置計画段階で原発技術の全体、つまり、核廃棄物とか再処理と言った問題についても安全性が確保できるのかどうかが問われてしかるべきです。それをしなくても、ともかく目先の電力確保の方が重要で、それで大丈夫だという日本の国家としての意志決定がされたのが、1984年の控訴審判決であり1992年の最高裁判決でした。

 1975年のスト権スト敗北が意味したものは、労働運動が企業ごとの視野内での活動、つまり、賃金アップや労働環境改善と言ったものに限られ、日本社会全体のあり方と言ったものは配慮の対象とはならないことが社会的に強制されたということでしょう。

 経営側も労働側も、比較的短期の経済的利益を意識し、廃炉や核廃棄物の問題からは単に目をそらすことで済むと国家として決定したのが1992年の伊方原発訴訟最高裁判決であったわけです。

 放射能の半減期が何千年、何万年、何億年と言う高レベル核廃棄物の安全な保管が今後の科学の進歩によって可能になることが果たして本当にあり得るのでしょうか。もし、分野別段階的審査(規制)を認めるというなら、今後どの程度の期間でそういった技術が実施可能になるのか、そのことがある程度合理的に推測されていなければいけません。しかし、そういった議論はされていない様子です。

 人間が走る速さは限界があります。100mの記録は10秒を切る時代になりましたが、だからと言って、人間の能力が今後向上して100mを3秒以内で走ることが出来るようになるとは誰も考えないはずです。

 なお、伊方原発訴訟最高裁判決が出た1992年の翌年、中学校現場での業者テストが全国的に廃止され、その後、中学での成績評価が相対評価から絶対評価へ変わり、公立高校への推薦入試が大幅導入され、大学もAO入試や推薦入試の割合が大幅増加しました。これらの動きは明らかに試験制度を不透明化しました。そのため、もともと存在していたコネによる裏口入学が組織だった、裏金のやり取りで試験不正に変容し、教育制度自体が、目先の自分の利益を追いかければそれでいいとする人たちを作り出す機関に変わってしまったのです。

 産業別組合が無くなり企業別組合になることで、社会全体へ目配りするという体制そのものが破壊されました。入試・試験不正が一般化したために一般市民社会自体が長期的な展望のもとに行動することを拒否するようになってきているのです。

 戦争によって自らが破滅させられたくないという欲求が作り出した原子爆弾ですが、原子爆弾保有に伴う負の側面を覆い隠すために考え出されたのが原子力発電であり、その意味は高レベル核廃棄物の処分を原子力発電に付随する問題だとすり替えることにあったはずです。しかし、結果的にそういったごまかしがまさに高レベル核廃棄物の大量積み上がりを招き入れてしまったのです。

 現状が続くならば、つまり、あくまで現状が是正されないならばと言う前提の上での話ですが、311の福島第一原発事故と同じような放射能漏れが近い将来再度起こり、地球環境悪化が本格的に始まるでしょう。

2015年4月25日12時50分 武田信弘   

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コメント
 
01. 2015年4月25日 13:58:01 : FmZeRF5yeA
理解力が劣るのか、何の史観にしたいのか良くわからないけれども
日米で取り決めた核に関する条約は、原発にはあまり関係ないんだよね。

経済拡大基調真っ只中の1970年代は、ほとんどのガチ左翼でさえ原発追認の時代。
イデオロギーを持った右翼も左翼も束なって原発!原発!とやってた時代が
今に比べて、良かったのか悪かったのか・・・


02. 茶色のうさぎ 2015年4月25日 15:16:04 : qtmOTsgWNIsK2 : 7Nnbh1VAwI

そうだよなー。! ボクなんか学生時代は共産党支持で推進派。!?? 鉄腕アトム。! 希望の光。!

まぁ、多元連立方程式を解くのと同じで大変だな。! 方程式自体が作れねーよー。! 正解。???

 ↓ 興味のある人へ。! スト権スト
http://www.weblio.jp/wkpja/content/%E3%82%B9%E3%83%88%E6%A8%A9%E3%82%B9%E3%83%88_%E3%82%B9%E3%83%88%E6%A8%A9%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81

結論: 本スレは自分の学生時代からの歴史を思いだします。! 答えは無しです、最中だから。!

きょうは、これからカラオケのお稽古よー。! いちご白書をもう一度 バンバン


03. taked4700 2015年4月25日 21:09:58 : 9XFNe/BiX575U : OioSHjWwoI
>>01

>何の史観にしたいのか良くわからない

何々史観ということを意識していませんでした。上の記事を書いたのは、単に科学技術とか人間の能力の進化、進歩と言っても限界があることが明らかで、核の利用は人間の限界を超えているのではないかという感じがあったからです。

簡単に言えば裁判とか司法とか言って、いかにも権威のある、正当性のあるもののようにたてまつってしまっていますが、それは社会統治の都合があるからであり、裁判で扱えるものは限定されているのではと言う事なのです。
核の問題は、社会統治のまさに都合、つまり、戦争で勝ちたいから出てきたからで、それを、戦争という視点を取り除き、単に、核廃棄物とか原子力発電所の安全性が科学で担保できるかどうかという議論をしても、的外れであり、頓珍漢な議論にしかならず、戦争で勝ちたいという動機がある限り、原発を止めることはできず、核廃棄物は溜まり続け、結局、地球環境悪化が続くばかりではないのかということです。

戦争を核で避けることができたが、核廃棄物を作り出していて、結局、より大規模に地球破滅への道をたどっているのではないでしょうか、ということです。


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