資料の中身をよく吟味しないと、まるで震災後、

　　　　　　　　A.避難しないで地元に留まった高齢者と、

　　　　　　　　B.避難をした高齢者

の死亡率を比較しているようにみえる。
もしそうなら、このコメントの表題にあるとおり低線量被爆リスクよりも避難にともなう心労や環境の変化が高齢者にダメージを与えたと考えられないこともない。そうであれば、一概に、高齢者を汚染地域から避難させるのも考えものだといえなくもない。

ところがこの研究報告をよく読んでみると、なんと！　比較しているのは震災後の高齢者ではなく、震災前五年間の高齢者の死亡率と、震災後に避難した高齢者の死亡率とを並べて比較しているのだ！
それなら、低線量被曝のリスクなんかあるはずがない。だって原発事故が起きる前の高齢者の死亡率と、原発事故後に避難した高齢者の死亡率を比較しても意味がない。原発事故後に避難した老人たちは被爆しているのだ！　その影響が死亡率を高めているかもしれないじゃないか！

ばかばかしい。なにが「低線量被曝のリスクよりも」だ。避難しなかった老人たちは原発事故後ではなく、原発事故前五年間の死亡率をいっているのだ。それならば被爆のリスクなんかそもそもないに決まっているだろ。
その死亡率と、事故後に避難した老人たちの死亡率を並べてどうするのだ？　
詐欺としかいいようがない。

原発事故後に避難しないで地元にとどまった高齢者と、避難した高齢者を比較してはじめて、低線量被爆のリスクと避難による心労や環境変化のリスクが吟味できるのだ。

こんなまやかしの研究を発表するとは、東大だかなんだか知らないが、恥を知れと言いたい。